【論文】

第35回佐賀自治研集会
第1分科会 住民との協働でつくる地域社会

 自治労運動で経験した労働委員会闘争等を通じて得た、自治体当局に共通した、極めて特徴的な「お上」意識についての考察



自治体における「お上」の考察
―― 40年の経験から ――

兵庫県本部/権利・組織強化対策室長 小和田敏晴

1. はじめに

 自治労運動に携わって40年、内約20年は県本部役員の立場で労働委員会闘争等に単組の皆さんと汗を流してきた。その中で、自治体当局に共通した極めて特徴的な「お上」意識が見られた。
 この数年間だけでも、姫路市との合併に伴い雇用確保を求めた姫北労組、勝手に給料表等を条例化された佐用町職現業評議会、団交拒否に対する明石市消費生活相談員労組、不誠実交渉に対する三田市民病院労組の闘争等いずれも不当労働行為救済申し立てを行い勝利的和解で決着したが、どこの当局の対応も面白いほど同様であった。

2. 各事件の概要

(1) 姫路市事件
 姫路市に編入合併した旧町の嘱託職員の組合が、旧町と交渉し確認した雇用に関する事項が合併後の姫路市に引き継がれず、3年で雇止めになるという問題が発生、不誠実交渉として救済を申し立てた。旧町当時、姫路市に交渉申し入れを行ったが、任命権者と違うとして拒否されやむなく旧町と交渉を行った。合併後、姫路市と交渉を行ったが、編入合併で、合併協での「姫路市の制度に統一することを合意」をタテに「市関係規則・要綱、合併時の確認書も踏まえて3年雇用、継続は認めない」と回答、組合の関与しない所で一方的に決めた条件に従えということであった。組合はこれらを不当労働行為とし、救済申し立てを行った。

(2) 佐用町事件
 佐用町で、従来「規則」で決められていた「技能労務職給料表」等が条例に入れられ、同時に従来の規則が廃止されようとしていた。現業職には地方公営企業労働関係法が適用され、給料表等は対等な労使交渉で決定し、協約を締結、その協約に沿って就業規則等を制定することとされている。
 ところが、佐用町は事前の通知もなくこの規則事項を条例化し議会提案した。組合が、法違反と抗議したところ、町は「地方公務員法に基づく、一般職に属する地方公務員なので条例で定める。」「労使合意は必要ない」との返事であった。
 その後も「管理運営事項」「君らは職員組合」「労働条件の変更ではないので協議不要」「単に規則を条例化しただけ」などと強弁を繰り返した。
 組合は、県市町振興課から「条例で定めることは適正でない」との回答を得、町に対し、市町振興課へ見解を問うよう求めたところ、「県に問い合わせをした。労使合意のない条例提案については謝る。今後は協議を行う。条例化することについては、ダメだとは法で定められていないので条例化提案は取り下げない」と述べた。
 そこで改めて文書申入れを行い、条例案の撤回と謝罪、労働協約締結を求めたが、「議会で多忙」等と交渉を拒否、労働協約締結要求についても「現規定で十分」とゼロ回答を示した。その後ようやく交渉が行われたが「地方自治法204条に基づいて……税を財源としているので……民意を得ようと、条例化で労働条件に変更はないので……団体交渉すべきものとの認識はない……条例化をしたということは町の方針、(協約締結について)就業規則的なものは、条例規則があるので、その中で十分」等ゼロ回答に終始した。
 そのため、組合は不当労働行為として労働委員会に救済申し立てを行った。

(3) 明石市事件
 明石市の消費生活相談員は採用時に所属長から、「1年更新だが、60歳まで働ける」との説明を受け、現に本人希望以外で雇い止めになった人は一人もいなかった。
 その後雇用期限を設けるという話が持ち上がり、不安を感じた相談員が労働組合を結成した。交渉で、市当局は「雇用期限は5年、最初の雇用止は5年後」と明言した。
 以後明相労は継続雇用を求めてたたかいを進めたが「5年を越える雇用は法的にできない、市の方針として3年乃至5年」と当局は主張、平行線をたどった。
 偶然の機会に当時の市長から「皆さんの話が聞きたい、懇談会をしましょう」と申し出があった。
 懇談会実施に難色を示す総務当局の引き伸ばしに会い、市長選挙をはさんで半年後、当時の人事課長や所属長も待機して、ようやく懇談会が実施された。これを受け、その後の交渉で継続雇用が決まり、身分も非常勤特別職に変更した。その際、「地方自治法で特別職には手当は支給できない」と交通費・時間外賃金・年次休暇・生理休暇は不支給とするなどの扱いにされた。
 その後、労働条件改善を求め再三交渉を行ったが進展はなかった。
 5年後、2回にわたり、要求書を提出し交渉申し入れを行ったが、「交渉には応じない、要求にはゼロ回答」の人事課長名の回答文書が届いた。その理由は5年前①市長に直接会って継続雇用を求めたことが(人事課長の)頭越しであった。②当時「私たちの要求は、雇用継続の一点のみ」と言っていたのに「要求通り雇用継続を合意しているにもかかわらず、どうしてそれ以外の要求が今になって出てくるのか理解できかねる」というものであった。さらに、「……人事課長としましては、この2点につきましては、是非とも十分納得できる説明をお願いしたい……この点についての協議でしたら、都合がつき次第、いつでもお会いする所存……」と、個人的感情についてのみ話をしようと公文書で2回も宣言し、「明相労が謝罪するまで交渉に応じない」「公平委員会に登録していないから交渉に応じる義務はない」と嘯いていた。
 労使対等での交渉相手は本来市長である。人事課長は市長から見れば末端の補助執行者に過ぎず、自分の思いと違ったからと文句をいうなら当時の市長に言うべきである。また、首切りを前にした当時、雇用継続の一点のみが問題であるのは当然で「首がつながったんだから文句をいうな」というのは暴言も甚だしい。非常災害でもまず命を守る、次に水・食料、衣類、住宅と欲求は変化する。回答は、命を助けてやったのだから食料や住宅はいらないだろうというものであった。
 組合員は地方公務員法適用外の非常勤特別職であり、民間同様労働組合法が適用され、交渉拒否は不当労働行為となる。ベテラン人事課長はこの初歩的な法適用を知らず、交渉に応じる法的義務はないと、2回も堂々と文書で交渉拒否を宣言していたのである。
 組合は、この明白な証拠をもって、人事課長の個人的感情で交渉を拒否することは不当労働行為であるとし、救済申し立てを行った。

(4) 三田市民病院事件
 三田市民病院当局は、わずか2回の交渉のみで「人勧準拠」の賃金切り下げを議会提案した。地方公営企業法適用で、本来給料表は労使合意により労働協約とすべきところ条例で規定し、合意のない賃金合理化を行ったことを不誠実団交として救済申し立てを行った。

3. 事件に共通する自治体当局の意識構造

(1) 日本的発想×特別権力関係
 一旦組織にとりこめたら何をしようと勝手といわんばかりの日本的発想が社会に根強い。世界に通用する日本語「karoshi」=過労死に見られるように、ブラック企業もこういう発想と思われる。渡邉美樹参議院議員率いるワタミグループでは「24時間365日死ぬまで働け」と「理念集」に記載していた。
 雇用関係は単なる労務提供契約で、契約の範囲内で、かつ法律の範囲内で指揮命令ができるということが理解されない。請負契約でもないのに「成果により賃金を支払う」などという残業代不払い制度も雇用契約に反するし、パワハラや、はなはだしきは暴力をふるい全人格的な支配服従関係を強いることも雇用契約の枠を超える。ところがこれらを何とも思わない、グローバルスタンダードからかけ離れた発想が日本の経営者にはよくみられる。
 これに加え、公務員の場合、実定法上何の根拠もない「特別権力関係」という不思議な理論が登場する。これは国民と国家との一般統治関係のもとでは法による権利義務関係が求められるが、公務員の雇用や、留置所拘置所での拘禁、刑務所での受刑者の処遇等という特別な関係のもとでは必ずしも明文の規定がなくても権利義務を規制できるというものである。
 日本的発想に加えて、この「特別権力関係」が問題を拡大する。つまり、人権に日本的発想+特別権力関係という二重のバイアスがかかり、これが時に足し算でなく掛け算=日本的発想×特別権力関係、になるから国際常識からかけ離れた非常識が起こる。
 留置所拘置所での劣悪な処遇が冤罪の温床になったり、刑務所では看守を先生と呼ばせ不当な権利制限が行われたりの人権侵害が発生する。
 ILOからの再三の勧告も無視して公務員労働者の労働基本権を認めないのもまさにこの発想である。
 また常識では到底理解できないのが公務員の雇用が契約ではなく「任用」であるという理屈である。正規非正規、一般職特別職を問わず、全ての公務員は雇用契約でなく、任用=本人の同意を要する行政処分、とされ任命権者の裁量による広範な任用権が認められるとする。そのため、臨時非常勤職員の雇用止めや、労働条件改悪がいつでも勝手にできると思う当局が大半である。
 民間では形式上有期雇用でも長期継続した労働者は無期雇用同様、解雇が制限され、パートやバイトでも労働条件の一方的切り下げや就業規則の改悪は原則無効というのが司法判断であり、労働契約法でも規定されている。
 ところが自治体では何十年雇用しても毎回新たな「任用」で次期雇用するかどうかは雇う側の裁量、継続雇用とみる余地はないとするのが司法も含め通用している。そのため、雇用が一年だから、次年度の雇用や労働条件は現にいる組合員のことではないので新たに自由に決められ労使交渉も不要、と勝手な解釈が横行、姫路市事件は、編入合併という要素もあったがまさにこの発想であった。明石市でも、首をつないでやっているのに何の文句があるのかと言わんばかりの対応といえるし、以前の交渉では「非常勤職員は任用で雇用とは違う」「特別権力関係」だからとして年次休暇・生理休暇までも拒否=労基法違反をしていた。
 全国自治体の手本ともいうべき東京都にしても一年更新の消費生活相談員の組合との交渉を拒否し、中央労働委員会で「専務的非常勤職員である相談員の次年度の労働条件は、任用前の労働者の採用条件ではなく、現に都に任用されていて、次年度も引き続き任用される可能性が現実かつ具体的に存する組合員についての労働条件そのものであるというべきであるから、義務的団体交渉事項に該当する。」(平成22年(不再)第38号)と不当労働行為とされている。
 さらに、労働条件改悪は条例規則等の改正で可能、契約途中でも、たとえば正規職員がマイナス人勧に準じてマイナス改定なら、一年雇用の臨時非常勤も右に倣えで任期途中、労使合意も本人同意もなくマイナス改定というケースも少なくない。

(2) 自分の都合だけ、相手のことを考えない
 しかも、なぜ雇止めなのか、姫路市をはじめどこの当局も「長期化すると退職金要求等問題」、「広く市民に職を」など理由にならない理由をあげる。その根底には当局の裁量を認めない組合に対する嫌悪がある。一方学校校医等「専門性」「人員確保が困難」等雇う側の勝手な事情で「違法」のはずの例外が広く存在している。
 姫路市は労委への提出書面で「これまで本市の制度を運営してきたが大きな支障をきたした職場等はない」と主張しているが、雇う側に支障がないというだけで、首を切られた側になんら目を向けない身勝手・冷酷なものであった。当局内部の勝手な都合を臆面もなく前面に出すのも各自治体の特徴である。
 労働委員会では使用者側委員からも「なぜ慣れた人を辞めさすのか理解できない、民間ではありえない」と疑問の声があがった。
 ちなみに、こうした役所的対応に対し、東京地裁山口均裁判長は「思うに、非常勤職員と言っても、任用更新の機会の度に更新の途を選ぶに当たっては、その職場に対する愛着というものがあるはずであり、それは、更新を重ねるごとに増していくことも稀ではない。任命権者としては、そのような愛着を職場での資源として取り入れ、もってその活性化に資するように心がけることが、とりわけ日本の職場において重要であって、それは民間の企業社会であろうと公法上の任用関係であろうと変わらないものと思われる」とし、「また、非常勤職員に対する任用更新の当否ないし担当業務の外注化の当否については方針もあろうが、任用を打ち切られた職員にとっては、明日からの生活があるのであって、道具を取り替えるのとは訳が違うのである」と厳しく指弾している。さらに、「永年勤めた職員に対して任用を打ち切るのであれば、適正な手続きを試み、相応の礼を尽くすべきものと思料する」とし、更新拒否する際もきちんと本人に説明しなかったことに対して「著しく正義に反し社会通念上是認できない……任用更新を拒絶することは信義則に反し許されない」と、継続雇用を命じている。これこそが社会常識・当局がよく言う市民目線である。

(3) 市(町)の方針……方針を変えろvs.方針だから変えられない
 これも、各当局が判で押したように「市(町)の方針だから変えられない」と主張している。
 姫路市=「市の方針、要綱があるから雇い止め」佐用町=「条例化をしたということは町の方針」明石市=「市の方針として3年乃至5年の期限」と同じことを言うのである。交渉でも、「5年で雇い止め」は、「正規以外期限のない雇用はおかしい……市の基準できめているのでご理解頂くしかない……」、「市の方針として市長の意思で決めた」などと、理由も示さず、要求を拒否する態度であった。「雇い止めの市の方針を変えてくれ」というのに、「市の方針だから変えられない」と返事するのは自分たちでこう決めたから変えられないというだけで何ら説明になっておらず、労使対等で決めるという原則に反するものである。民間企業が、就業規則の改正を求める組合に、「就業規則で決めているから改善できない」と回答するのと同様、「市(町)の方針だから変えられない」は不当労働行為の典型である。
 労使の上に市長がいて、「決めるのは市長、交渉は市の方針を伝達する場」というのが各当局の態度であった。

(4) 地方自治法、条例主義、規則、要綱、決裁の魔術
 さらに都合よく法律を持ち出すのも共通している。
 佐用町=「地方自治法に基づいて条例化」を基本、「賃金も管理運営事項」、明石市=「5年を越える雇用は法的にできない」「地方自治法で特別職には手当は支給できない(交通費・時間外賃金・年次休暇・生理休暇不支給)」、姫路市=「雇用の長期化が違法」ともっともらしいが、いずれも事実に反し(現業職給料表等細目は「規則事項」と法律で規定、「同一人を繰り返し任用できる」が総務省見解、「特別職には手当は支給できないが交通費実費支給はできる」が総務省見解、時間外賃金・年次休暇・生理休暇不支給は労基法違反)法律にうとい組合員に嘘言を弄するという不誠実極まりない対応であった。
 その上、「要綱で決まっているから」(姫路市)、「5年の期限を条例で規定」「市長まで決裁」(明石市)等あたかも条例や規則で決められていて変更できないと主張している。
 ところが、錦の御旗の姫路市の「要綱」は交渉で配布もされず、例規集にも掲載されず、誰にも周知されていなかった。明石市の「市長まで決裁」も「5年の期限を条例で規定」も、情報公開請求の結果、「条例」は不存在、「5年」を規定した「臨時的任用職員の雇用期限等に関する基準」は市長までの決裁でなく、部長専決の「非公開」の決裁文書に過ぎないものであることが明らかになった。公開請求で組合は初めて「5年で雇用止め」の根拠を知ったのである。
 たとえ法律であっても官報掲載等の公布行為がなければ効力を有しないのは行政法のイロハであり、就業規則も周知されなければ効力を生じない(労働契約法)。
 首長には規則制定権があるが、労使交渉事項を勝手に決めることはできないし(特に現業職・企業職・特別職は協約優先)、形式的にも公布行為という手続きを踏まなければ拘束力はない。
 要綱、決裁等自分たちで内々に文書化した単なる「内規」(多くが非公開)など対外的拘束力を持たないし、仮に正規に条例や規則で決めても、労使交渉事項は交渉に応じ、結果条例規則の改正となることもあるし、改正できないとしてもその理由を資料を作成するなどし、懇切丁寧に示すのが誠実交渉義務(判例・労委命令)として課されている。
 うそを平気でつき、根拠不明な「市の方針」(佐用では「町の方針」の根拠すらなかった)や内密の要綱・決裁をもって相手を拘束しようとするのはまさに「知らしむべからず、よらしむべし」という「お上」然としたやり方として指弾されるものである。

(5) 法律の無知
 さらに、法律を方便として使いながら、法の執行者とは思えない無知が各当局にみられる。
 労使関係は非現業の一般職を除き、現業職、企業職は正規非正規共、労働組合法・労働関係調整法が適用、非常勤特別職についてはその上にスト権まであるという違いがあるがこれら法適用や労使関係制度を理解していない。明石市の人事課長のようなベテランでも交渉を拒否しても何の問題もないと思っていた。察するに、各当局は労委からの呼び出しは青天の霹靂、対応に大慌てしたのであろう。交渉に応じたか否か再三にわたり労働委員会から釈明を求められた明石市は「文書上ですが、交渉を行っております。」と珍答弁を行い、交渉拒否を自白した。
 これは労使関係だけでなく、たとえば政治的行為が何ら規制されない現業職、企業職、非常勤特別職についてまで選挙が近づくと一律に「政治的行為の制限」が通知されたり、人事院の処分基準をそのまま使って、自治体で政治的行為に対する処分基準を定めたり(処分対象となる政治的行為は国家公務員とは異なる)、明白な人権侵害となるが(組合も含め)無頓着である。

(6) 労使対等?……市長は別格の「殿」!!
 労基法第2条が適用される特別職、現業職、企業職については明文で労使対等の原則が規定されているにもかかわらず、理解不能なようである。首長に条例提案権や規則制定権があること(市長としての市長)と、使用者としての市長を混同し、さらに特別権力関係の呪術からか、理屈では否認できなくても、自治体当局は労使対等が認めがたいのである。たとえば明石市では、労委和解後の労働協約締結交渉で人事課長は「……労使対等の交渉で労働条件を決定し協約化する……」という法律通りのことを明文化することに異様なほど難色を示した。その上、「……市長さんが……とおっしゃっているので…」と恥ずかしげもなく敬語を使い出した。目上であろうと対外的には「市長が……と申しております」というべきところを、である。こんな接遇のイロハさえ、再三指摘しても分からず、どうやら労使対等なのは組合と人事課長まででその上に市長=殿がいると思っているようであった。これは佐用しかり姫路しかりである。

(7) 誤っても謝らない……お上は悪をなさず
 明らかな法違反をいくら指摘しても自治体当局は後に残る文書では謝らない。労委で敗北必至になっても謝罪は拒否、和解文書の文言にとことんこだわるのである。明石市も謝罪を拒否(「深く反省」を文書化したうえ口頭で謝罪、で和解)、三田市も謝罪を拒否、「遺憾」の文書化で和解にとどまった。「お上は悪をなさず」→「お上のやることにまちがいはない」→「仮に誤っても絶対に認めない」とばかり誤っても謝らないのである。

4. 結 び

 これらの取り組みを通じ「市の方針」「条例・内規で決まっている」「市長の決裁」等は、要求を拒否する正当な理由でないこと、賃金労働条件は労使対等の交渉で決めるべきこと、当局は権限ある者が交渉に応じるべきこと、要求に応じられないときも、その理由を具体的な資料を示すなどして丁寧に説明する法的な義務があること、等民間なら当たり前の労使関係の基本を無視して「お上」然とする自治体当局に対し、悪戦苦闘の末当たり前の労働関係を明らかにすることができた。
 明治150年、敗戦後70年を閲し、今なお、森鴎外が100年前、小説「最後の一句」で「お上の事には間違いはございますまいから」と語らしめた「お上」は自治体レベルですら強固に脈々と続いている。まして国においておや……集団的自衛権、特定秘密保護法、狭山事件等冤罪しかり……。
 改めて「人権を大切に、人権を守るためにたたかいを」と訴え、自治労運動からの卒業にあたり惜別の辞とするものである。