【自主レポート】

第35回佐賀自治研集会
第2分科会 地方税財政と公共サービス

暮らしの安心・安全を守る質の高い
サービス向上への取り組み

島根県本部/隠岐広域連合職員組合

 私たちの職場である隠岐広域連合は、1999年9月1日に島根県と隠岐島4(旧7町村)町村【隠岐の島町(旧西郷町・旧布施村・旧五箇村・旧都万村)、海士町、西ノ島町、知夫村】を構成団体として設立しました。処理する事務は、設立当初、介護保険事業、隠岐病院事業、島前診療所事業(2001年3月より隠岐島前病院事業)、救急医療対策事業で、2002年4月からは、隠岐島町村組合の事務を引き継ぎ、広域消防事業・知的障がい者援護施設事業・交流施設管理事業等を、さらに2004年度より知的障がい児施設事業を、2006年度より隠岐航路フェリー「おき」の設置、管理運営に関する事務を、また、2011年度より次期超高速船導入に係る事務を行うこととなりました。
 今回のテーマになっている指定管理者制度による委託及びアウトソーシングについて、隠岐広域連合においては、隠岐航路フェリー「おき」、超高速船事業及び交流施設(レインボープラザ)の事業を、来年度からは、知的障がい者・児施設「仁万の里」の管理運営についても指定管理制度により管理運営する方針で進められています。また、アウトソーシングでは、隠岐広域連合立隠岐病院(以下「隠岐病院」という)内において医事業務(受付及び診療請求業務)並びに病院食の調理業務並びにSPD業務(薬品及び診療材料管理業務)が行われています。
 指定管理者制度を用いて委託する大きなメリットとして、特定の業務の運営における専門性を有した民間企業やNPO等の団体に委託することで、その経営手腕を最大限に発揮し、低コストで利用者サービスのさらなる向上がそのねらいですが、現在は、単なる行政のコスト削減という視点が突出し、管理運営について指定管理業者をも苦しめている状況で、その制度の運用に課題があります。その課題の解決策として、①管理施設を募集する上で、行政としてめざすべきビジョンとその方法を明確に提示すること、②自治体がサービスの向上や運営状況のチェック機能としての評価及び評価体制をしっかりと行い、その結果(企業努力)を指定管理業者へどのように返していくのかというところが重要であると考えています。
 また、支出部分における人件費抑制による経費の削減として隠岐病院では一部の業務がアウトソーシングされています。現在隠岐病院が背負っている課題(経営の健全化)もあり、外部業務委託の流れは阻止できませんでしたが、全国的にみてもアウトソーシングされている業務はたくさんある中で、行政職員と外部委託業者がいかに連携し、利用者サービスの質を向上させるのかというところが重要になってくると思います。
 今回は、隠岐病院で取り組んでいる、外部委託業者も含めた暮らしの安心・安全を守る質の高い公共サービスを提供するために行っている活動について紹介します。
 その前に、まず、離島及び過疎地域である隠岐病院に求められている役割について説明します。離島・過疎地であるという地域性のため採算性の面から民間医療機関による提供が困難な状況で、隠岐病院は公立病院として2次医療圏の一つとして位置付けられており、住民の方に隠岐圏域内で完結性を高める適切な医療を提供していく役割を担っています。その役割を担っていく中で、①経営の健全化②医療の質の向上(医療そのものの高度化への対応及び利用者サービスの向上)③人材の確保の3つが課題に上げられ、広域連合職員組合も当局と一緒になってその課題の解決に取り組んでいかなければならないと認識しています。
 そのための活動として、隠岐病院では、CS(顧客満足度)向上のための土台作りとして、推進委員会を組織し、全職員(外部委託業者も協力する体制)でTQM活動に取り組んでいます。TQM活動とは、「全員・全体(Total)で、医療・サービスの質(Quality)を継続的に向上させる運営方法(Management)で行うこと」であり、その目的を「職員一人一人が、その手法(当院はQC手法)を身につけることにより、医療及びサービスの質的向上と改善を進める体質作り」と考えています。
 その中でアプローチ方法の一つである質の管理(Quality Control;以下QC)手法を取り入れています。QC手法は、一般的に製造業における品質管理や在庫管理を目的に作られたものですが、サービス業の現場においては、生産と消費が同時に起こるという観点から品質管理が困難であり、「サービスを提供する現場の品質が全て」という視点で行われています。この手法の利点として、更なる問題点を発見し、より高次な改善へ繋げていくこと、また、改善された事例について再度検証し継続性(PDCAサイクル)を持たせていくことができます。このことが、隠岐病院職員一人一人の現場力を高め、自分の職場について各々が役割を担うという自覚にも繋がると考えています。
 QCストーリー(活動手順)として、①問題を見つけ出す②テーマを決める③現状の把握④目標の設定⑤活動計画の作成⑥要因の解析⑦対策の立案⑧対策の実施⑨効果の確認⑩歯止め⑪定着のチェック⑫まとめのサイクルで進めています。そのQCストーリーで進めていく中で、問題特性要因図、パレート図、ヒトグラム、管理図、散布図、グラフ、チェックシート等を使用しながら効果的にわかりやすく進めていくことができます。
 活動内容について、「利用者の待ち時間の短縮」といった利用者サービスに直結するサービスの向上にとどまらず、医療安全や感染対策など医療そのものの質の向上まで幅広く研究テーマとし、特に、①質②CS③コスト④能率⑤モラル⑥安全の6つの視点でテーマを分類しています。そして、このような活動結果を幅広く病院内で共有するために、1年に1回活動発表会を開催しています。発表会では、診療部、医療技術部、看護部及び事務部等に分かれ7グループ程度が発表し、発表結果によってその効果が認められれば、病院全体としてその課題に対する方法が実践されることになります。 
 この活動は、2007年から始まり、今年度で発表大会も8回目を迎えました。2006年度までは小集団活動という形で行われていましたが、より客観性と論理的な思考で業務改善を行うという流れから、QC手法を採用することになりました。各部署内で問題点を抽出し、その課題について共通認識しながら課題解決に取り組むこと、また、その課題が複数の部署にまたがる場合は複数の部署で連携して取り組むこと、さらには全職場で取り組まなければならないこと(特に経費の削減課題等)、解決できない場合には、継続して検証すること等、QC発表を通じてその課題を全職員で共有し、有効に活用することができます。冒頭にも述べたように、私たちは、現在の隠岐病院のおかれている担うべき役割を外部委託業者も含めた全職員でしっかりと共通認識し、前述の活動を含めて職員同士の風通しのよい働きやすい職場づくり、利用者に満足していただく病院運営をめざし、これからも強い使命感を持って日々取り組んでいきたいと考えています。

 最後に、指定管理者制度等の問題を隠岐広域連合全体として見た時に、今年度からスタートした「超高速船の指定管理者制度」、来年度から始まる「知的障がい者・児施設『仁万の里』の指定管理者制度」等その管理運営について検証していかなければならない点が残されていることは言うまでもありません。今後も当局の施設運営に対するビジョンやその施設の運営状況等についてチェックしていくことが必要であると認識していますので継続課題として業務委託や指定管理者制度について検証していきたいと考えています。