【自主レポート】

第35回佐賀自治研集会
第4分科会 地域から考える再生可能エネルギーによるまちづくり

再生可能エネルギーの推進


三重県本部/再生可能エネルギーワーキンググループ

1. はじめに

 再生可能エネルギーへの転換の必要性
 (気候変動対策)
 産業革命以降、人類は石油、石炭、天然ガスなどの化石燃料を大量に燃やしてエネルギーを得る生活を現在まで続けてきました。この活動により、二酸化炭素の排出量は増加し、大気中の二酸化炭素濃度は増え続けています。このことで温室効果が高まり、世界の平均気温の上昇スピードが加速しています。このため、化石燃料の利用に伴って発生する温室効果ガスを削減することが重要な課題となっています。
 (エネルギー・セキュリティ)
 日本のエネルギーは、石油や石炭、天然ガスなどの化石燃料がその8割を占めており、そのほとんどを海外に依存しています。一方、近年、新興国の経済発展などを背景に、世界的にエネルギー需要が増大しています。また、投資などにより、化石燃料の市場価格が乱高下するなど、エネルギー市場が不安定になっています。
 再生可能エネルギーは、価格変動や枯渇のリスクが少なく、また、国産エネルギーの自給率を高めることにもなります。エネルギーを安定的かつ適切に利用するため、資源の枯渇の恐れが少なく、環境への負荷が少ない再生可能エネルギーの導入を進めることが必要です。
 (災害(時)対策)
 太陽光発電などは、未利用スペースに設置ができるため、送電設備のない遠隔地の電源として活用できます。災害時などには、発電設備等に影響がなければ自立運転が可能であり、貴重な非常用電源として活用することができます。
 3・11東日本大震災による福島第一原発事故によって、いったん原子力発電所で事故が発生したら甚大な被害が発生することや人体に対する放射能の影響、高レベル廃棄物の最終処分方法が曖昧なままであることなど、原子力発電には多くの問題があることが国民に理解され、脱原発への国民の意識が高まっています。
 このほか、再生可能エネルギーの導入拡大により、環境関連産業の育成や雇用の創出といった経済対策としての効果も期待されます。

2. 再生可能エネルギーとは

 再生可能エネルギーとは、法律で「エネルギー源として永続的に利用することができると認められるもの」として、太陽光、風力、水力、地熱、太陽熱、大気中の熱その他の自然界に存する熱、バイオマスが規定されています。再生可能エネルギーは資源が枯渇することなく、繰り返し使え、発電時や熱利用時に地球温暖化の原因となる二酸化炭素をほとんど排出しない特性があります。

(再生可能エネルギーの資料)
  再生可能エネルギー 太陽光
発電
風力発電 バイオ
マス
発電
バイオ
マス
熱利用
バイオ
マス
燃料製造
小規模
水力発電
地熱発電 太陽熱
利用
概要       生物資源を「燃焼」「ガス化」して発電 生物資源を燃焼し、蒸気で発電 生物資源から燃料を製造     太陽熱エネルギーを集め、熱媒体を温める
メリット 環境に
やさしい
設置地域に制限がない

発電コストが比較的低い

理論上
CO
排出なし
資源の
有用利用
  既に確立された
技術
発電後の蒸気・熱水を
再利用
資源は太陽エネルギー
  資源の枯渇の心配がない メンテ
ナンス
フリー
設置の工期が短い 循環型社会を構築 焼却時の排熱利用   河川、農業用水の利用が
可能
持続可能なエネルギー 簡単な
操作
    未利用スペースに設置が
可能
高効率で電気エネルギーに変換 農産漁村の活性化 生物系廃棄物の削減に寄与   自然の
形状を
有効活用できる
昼夜を問わず安定した発電 水式と
空気式
    現地建設により送電施設が不要 地域の
シンボルとなる
地域循環の改善     クリーンエネルギー   ソーラーウォール
    災害時の非常電源 夜間でも発電可能       河川環境の改善    
デメリット 設備投資が高価 導入コストは次第に下がっているが更なるコスト軽減が必要 周辺環境との調和 資源が広範囲のため、取集・運搬・管理コストがかかる 資源が広範囲のため、取集・運搬・管理コストがかかる   水量、有効落差など条件に左右
される
立地場所が必要 競争に負け、減少傾向
  自然状況に左右され、出力が不安定 気候により発電が左右
される
台風対策などの技術開発が必要 小規模
分散型になりがち
小規模
分散型になりがち
  魚などへの影響
調査
  公共施設への導入拡大が
期待
  設置できる地点が限られる           投資に対する回収期間が
長い
   
              水利権が必要    
事例   公共施設 町営発電 木材工場 公営
プール
  砂防堰堤を利用 地熱
発電所
オフィスビル
    マン
ション
大学(地下水) 牧場 食品工場   農業用水路を利用 ホテル 個人住宅
    住宅 市内
タクシー
下水処理施設 公立
保育園
  浄水場の放流水を利用   公共施設
    工場   食品工場 製紙工場   隣接する公共施設の落差を利用   スポーツランド
個人住宅対応   × × × × ×
公共施設対応  

 一方、再生可能エネルギーの導入にあたっては、設備の価格が高く、太陽や風等の自然状況に影響を受けやすいなどの理由から、出力が不安定で、地形等の条件から設置できる地点も限られます。また、自然の影響が発電等に直接影響するため、利用効率が低く、既存のエネルギーと比べて、発電コストが高くなっています。
 さらに再生可能エネルギーが大量に導入された場合、電力需要の少ない時期に余剰電力が発生したり、天候などの影響で出力が大きく変動し電気の安定供給に問題が生じる可能性もあります。そのため、電力出力の抑制や蓄電池の設置等の対策が必要になります。
 このような課題を克服するため、「太陽光発電の余剰電力買取制度」が開始され効果を上げています。また、再生可能エネルギーやこれらで作られた電気を蓄え、安定的に供給するための蓄電池の導入に関するコスト削減や性能向上等のための研究開発が進められています。

3. 本ワーキンググループの目標について

 再生可能エネルギーには様々なものがあり、提言にあたり、エネルギーの種類を絞った方がよいのか等も含め検討が必要となりました。このため、まずは、普及のためには誰に対して提言を行うのがよいのかから議論を始めました。
 議論におけるワーキンググループのメンバーから出された主な意見は次のとおりです。

@ 自治体においては既に施設の設置など、できることから始めている。その上で普及と言うことを考えれば住民への普及がどうしても必要となるのではないか。
A 住民への普及を進めるには、コストが大きな課題となる。
B 三重県内各市町においても様々な再生可能エネルギーの取り組みがなされている。どのようなものがあり、何が有効なのか調べる必要があるのではないか。
C コストは普及を進めていくために大きな抵抗となるが、コスト論以上の必要性をアピールできれば住民の意識も変わるのではないか。
D コスト面、また普及啓発面で行政として何ができるのか。
 これらの意見を踏まえて、「三重県において、再生可能エネルギーを住民に普及していくための行政の対応はどうあるべきか」というところに重点を置き検討を進めました。

4. ワーキングの検討の経過

(1) 三重県における再生可能エネルギーの現状
 県内の普及率は、2011年度(H23)末で3.6%であり、全国水準とほぼ同じ普及率となっています。
 三重県内各市町が行っている普及に向けた取り組みについて調査を行ったところ、そのほとんどが、個人住宅あるいは事業所への太陽光発電設備の導入補助です。
 (県内市町の施策資料)
 現在、三重県内14市町で補助金制度が制定されていますが、その多くは太陽光発電システムの設置に対する補助です。一部地域では、地域の特性に合わせ、バイオマス等の施設設置補助も制定されているものの、設置コスト、設置スペース、維持管理面等から、住民が設置する再生可能エネルギー施設の主なものは、太陽光発電システムとなっています。
 また、補助制度が制定されていない市町もあり、一部市町では、補助制度が終了した市町もあります。終了した理由としては、@国の補助制度の復活で普及促進がなされている。Aシステム価格(太陽光発電システム)が下がり設置負担が軽減した。B売電価格も高く、売電のための補助金が必要なのかとの声も住民から出てきている。C住民の再生化のエネルギーへの意識が高まったと判断した等です。
 この状況を踏まえて、県内で普及させていくための課題について、ワーキングメンバーで議論検討を行いました。主な意見は次のとおりです。
@ 実際に太陽光発電システムを設置しようとした場合、安価になったとはいえ、まだまだ高価であり、この補助金額で本当に設置しようという気になるかは疑問。
A 従来から比べれば設置負担が軽減したことも事実であり、意識を持っていた人たちにとっては、設置を促すことになったのではないか。
B セールスマンは、補助金制度があることも説明しながら、セールスを行っており、補助金制度が普及に貢献していることも事実。
C 現在、多くの新築住宅には、太陽光発電システムが付けられており、注文住宅でも新築の場合は、太陽光発電システムを付ける人が多いことから、新築住宅については今後も普及していくと考えられる。反面、既存住宅への設置は、新築と比べ普及が見込めない。全家庭で太陽光発電システムを設置して、再生可能エネルギー100%にしていくにはまだまだ時間がかかる。

D 補助金額と言うよりは、再生可能エネルギーへの転換の必要性を住民にアピールし、住民の意識を変えることが必要ではないか。
E 見える化モニターの設置により、節電意識も上がる。また、システムの設置により、電力会社から買う電気についても、再生可能エネルギーにより発電した電気の比率が高まっていくことを意識することが必要ではないか。

(2) 現状と課題
 現状の県内各市町が行っている補助事業は、新築では普及効果があらわれていますが、既存住宅での普及はあまり進んでいません。また、太陽光発電システムの設置には、現状まだコストが大きいことから伸び悩み傾向にあり、補助金額のアップも地方財政の状況を考えると難しい状況です。
 一方、電力会社から買う電気について、再生可能エネルギーで発電した電気の比率を高めるという発想については、啓発等住民へのアピールも少なく、考えが住民に浸透していない傾向にあります。
 これらを踏まえ、先進地の取り組みを参考に、県内における新たな取り組みを検討する必要があります。

5. 先進的な取り組み

 個人が自宅に太陽光発電等の設備を設置するには、市町の補助事業だけでは、環境問題に意識があっても、資金やスペースなど様々な課題から設置に踏み切れない人も多い。自分のできる範囲で、資金を出し合い、公共施設等のスペースを利用して、再生可能エネルギーによる発電を行っている取り組みについて、先進地の視察を行いました。
資料1(滋賀県東近江市)市民共同発電所
資料2(長野県飯田市)官民パートナーシップ
資料3(三重県伊賀市)エコ忍者プロジェクト
資料4(三重県桑名市)市有施設屋根貸し事業
 先進地では、以前から環境施策の取り組みが行われており、地域住民の環境(再生可能エネルギー)への意識が高い傾向にあります。
 このような方式で、再生可能エネルギーの発電率を高めていくことは、住民の意識の向上にもつながっており、再生可能エネルギーの普及には重要な要素です。
 三重県県内においてもさまざまな取り組みが行われています。今回訪問した伊賀市の合同会社「三重あおぞらエネルギー」代表の大田雅美氏は、飯田市へ研修生として自然エネルギーのコミュニティビジネスについて学びました。そこで学んだノウハウを活かして地元である伊賀で広めようと実践しております。
 また、自治体の取り組みとして桑名市では「桑名市スマート・エネルギー構想」を策定しました。この構想推進の一環として公共施設の屋根を有償で一般事業者に使用を許可し、太陽光発電を行う事業を開始しました。

6. まとめ

 東日本大震災とそれに起因した福島第一原発事故によるエネルギー需要、とりわけ電力不足が大きな問題となりました。特に福島第一原発事故により、国内のすべての原発が歴史上初めて運転を停止したことは、国が国策として原子力発電を推進し、それを受け電力の安定的な供給に取り組んできた電力会社としても大きな転換を迫られる状況となったことは間違いありません。
 三重県では、その地域性を生かしこれまで様々な再生可能エネルギーの活用が図られてきました。水力、風力は言うまでもなく、化石燃料によらない火力発電の取り組みも進めてきました。今後は、全国的にみても日照時間が多いとされている地域でもあることから、より効果的な太陽光発電を中心としたエネルギー供給システムを構築していくことが、より住民の意識の向上につながるものと考えています。

(1) 県内自治体の取り組み
 行政として取り組まなければならない課題は山積しており、政策を立案し推進しなければならない状況は以前よりも増しています。それぞれの自治体で地域性に見合ったエネルギー構想の構築が急務となっており、その自治体の取り組みの指針となる基本計画の策定は住民意識の向上を促す意味でも非常に重要な取り組みとなってきています。※資料4参照
 また、基本計画の策定と同時に必ず取り組むべきことは、「職員の意識の共有化」を図り、構想の推進役としての職員の意識の向上と、自治体が定める取り組み指針を住民にアピールできる「発信力」が必要です。そのためには、自治体の政策作成段階から労働組合が積極的に政策作成に関わり、組合員の意識を高めること、またそれぞれの単組において、地域にあった再生可能エネルギーのあり方を自治研活動として、各地域で推進していくべきです。

(2) 住民意識の改革
 自分の住宅へ個人で太陽光発電システム等を設置するには、資金やスペースが必要となり経済的・物理的に設置を断念してしまう人も多くいます。
 先進地視察で明らかになったように、地域で、自分のできること、モノを提供し、地域住民が共働して、再生可能エネルギーの発電を行うことで、無理なく再生可能エネルギーの普及ができるのと同時に、このことが、エネルギーに対する住民の意識に変化を起こし、節電や新たな再生可能エネルギーの普及につながります。
 また、自治体等から正しい知識と情報を得ることでコスト面や環境問題、更には化石燃料や原子力に頼らない発電システムへの関心が高まれば、再生可能エネルギーの普及がよりいっそう進むことでしょう。

【資料1】 滋賀県東近江市(市民共同発電所)

 市民共同発電所とは、有志が少しずつ資金を持ち寄り、公共施設の屋根などを借りて太陽光発電システムを設置するもので、売電して得られた富をみんなで分け合うというものです。アパートや借家在住の方など太陽光システムを個人では設置することができない人でも再生可能エネルギーの取り組みに参加することができます。また、設置した施設は非常時に緊急用電源が常に確保できるというメリットもあります。
 2003年12月に東近江市(旧八日市市)で初めて市民共同発電所が設置されました。当時、市の「新エネルギービジョン」策定に関わった推進会議のメンバーが中心となり、市内有志・団体が資金を出し、市内の農産物直売施設の屋根に太陽光発電システムを設置しました。

「ひがしおうみ市民共同発電所1号機」
設置年月:2003年12月
設置場所:八日市やさい村の建物屋根面
設置主体:「八日市やさい村」市民共同発電所運営委員会
発電容量:5.99kW(京セラ製)
設置費用:5,250,000円
(滋賀県非営利活動による太陽光発電施設設置支援事業補助金2,036,000円)
資金協力件数:66件(出資54件、寄付12件)
資金協力額:1口5万円


年度別償還額(1口当り)

年度

償還額

備考

2005年

2,700円

 

2006年

2,200円

 

2007年

2,000円

 

2008年

2,100円

 

2009年

2,200円

 

2010年

2,600円

 

2011年

3,000円

被災地へ寄付

2012年

4,500円

三方よし商品券で支給

 2010年1月、29の個人・団体から協力を経て、地元FM局の屋根に市民共同発電所2号機が設置されました。この2号機には新たに2つのアイデアが加えられました。一つは持続可能な自然エネルギーの活用の可視化をすすめるためにスマートメーターを設置し、5分毎に直近の発電量をツイッターでアップすることで誰にでも確認できるようになっています。もう一つは、売電益を地元商店で流通が可能な「三方よし商品券(地域商品券)」で分配しているところです。これによって"東近江市に降り注ぐ自然エネルギーによって得られた富をエコ活動に取り組む市民の手によって地元の商工業振興に役立てる"という地産地消である東近江モデルが確立しました。

「ひがしおうみ市民共同発電所2号機」
設置年月:2010年1月
設置場所:FMひがしおうみ社屋屋根
設置主体:同2号機組合
発電容量:4.392kW(京セラ製)
設置費用:2,900,000円
資金協力額:1口10万×29口
売電価格等:48円/kWh×10年間

年度別償還額(1口当り)

年度

償還額

2011年

8,000円

2012年

8,000円

※三方よし商品券で還元

Twitter上で5分おきに発電量のデータをアップしています。
http://twitter.com/PVcitizensHO2

近江商人の哲学「三方よし商品券」
 (売り手よし・買い手よし・世間よし)という名称の地域商品券を分配する方式に転換しました。
 クリーンなエネルギーによって得られた富を地域に循環。地元商店の活も役立ちます。

 再生可能エネルギーの導入による地球温暖化防止対策や災害に強い地域づくりを推進するために、「東近江市公有財産への再生可能エネルギー発電設備の設置に係るガイドライン」を策定しました。(2012年7月1日施行)
 これ以降、市の施設を利用した市民共同発電所がいくつか設置されました。

「ひがしおうみ市民共同発電所3号機」
設置年月:2013年3月20日(2013年5月13日午後から売電開始)
設置場所:滋賀県平和記念館屋根
設置主体:八日市商工会議所・東近江市商工会
発電容量:11.4kW
設置費用:およそ22,000,000円
資金協力件数:最大147口
資金協力額:15万円/1口
※ 「東近江市公有財産への再生可能エネルギー発電設備の設置に係るガイドライン」に基づく貸し出し第1号

「あいとうふくしモール市民共同発電所」
設置年月:2013年5月
発電容量:34.28kW
資金協力件数:110口
資金協力額:10万円/1口
※ 安心の拠点として「食」の自給と「ケア」の充足に加えエネルギーの自給をめざす。

「川並共同発電所共同発電所」
設置年月:2013年5月(同28日売電開始)
設置場所:特別養護老人ホーム清水苑
設置主体:川並共同発電所推進会
発電容量:10.6kW
設置費用:4,432,000円(太陽光設備4,400,000円、関電引き込み32,000円)
資金協力件数:24人45口(1人3口まで応募可)
資金協力額:1口10万円(売電益は自治会費個人分に充当)
※ 原発に頼らない社会の構築、防災拠点としての非常用電源の確保、電気の買取制度を活用した地域活性化、地域と顔の見える関係づくり

写真提供:東近江市新エネルギー政策室

【資料2】 長野県飯田市(官民パートナーシップ)

 環境省のまほろば事業で起業し、全国の市民による自然エネルギー普及活動をリードするパートナーシップ型環境エネルギー事業。
(1) 自然エネルギーと省エネルギーサービス(ESCO)を組み合わせた民間による新しい準公共的事業
(2) 電気の長期買い取り保証とESCO対象案件についての市の政策的バックアップ
(3) ハードだけではなく、環境教育も含めたソフト面の活性化
(4) 事業・人単位ではない継続的な関係の構築

 飯田市は日照条件が良く、2004年度に策定した「飯田市新エネルギー省エネルギー地域計画」においては太陽光発電システムを全世帯の30%に普及させる目標が掲げられています。また、2004年度に市が環境省の「環境と経済の好循環のまちモデル事業(平成のまほろば事業)」に採択されたことをきっかけとして、従来からバイオディーゼル燃料の普及啓発などを行っていたNPO法人南信州おひさま進歩を母体として官民パートナーシップで準公益的事業を進める「おひさま進歩エネルギー有限会社」が設立されました。
 事業内容としては、太陽光発電と省エネルギーサービス(ESCO)です。太陽光発電は、保育園や公民館を中心とした公共施設38カ所合計208kWが取り付けられました。施設側は、事業会社に屋根を無償で提供し、太陽光により事業体が生産した電気を施設が買い取る仕組みとなっています。市は、政策として電気の買い取り価格の長期保証を行い、この事業の安定に寄与しています。※図1
 その後、おひさま進歩は2006年度に環境省の「メガワットソーラー共同利用モデル事業」に採択され、太陽光発電の設置はさらに拡大しました。2007年度44カ所、2008年度48カ所、2009年度32カ所に設置され、全162カ所となり発電容量は1,281kWになりました。年間でCO約711tの削減効果が得られます。
 また、2009年度より特色ある事業として「おひさま0円システム」※図2を開始しました。これは、太陽光パネルの初期費用をお客様負担0円で設置するというもので初期投資が困難な家庭でも太陽光システムを設置することができる仕組みです。
 なお、2007年11月からおひさま進歩エネルギー有限会社は「おひさまエネルギーファンド株式会社」を設立し、市民出資事業を全国的に展開しております。
 飯田市とおひさま進歩との関係は、まさに事業展開のパートナーであり、行政主導ではなくエンパワーメントを基本スタンスとしてきました。また、行政によくありがちな国からの委託事業期間、または熱心な担当者が異動するまでなど、単発型ではない事業展開を進めています。

特色ある太陽光発電普及事業
「おひさまファンド(太陽光市民共同発電所)」

保育園に設置された太陽光パネル
写真提供:飯田市地球温暖化対策課
図1

「おひさまゼロ円システム」
○おひさま進歩エネルギー(株)が初期投資0円で太陽光パネルを設置。
○お客様は9年間月々一定料金をお支払い。
○売電収入はお客様の収入。
○10年目には太陽光パネルをお客様へ無償譲渡。

図2

 

【資料3】 三重県伊賀市(エコ忍者プロジェクト)

 2012(平成24)年11月三重県の「地域コミュニティ型エネルギー創出促進事業」の承認を受けて、伊賀市山出の合同会社「三重あおぞらエネルギー」が同市上之庄の大田酒造小売部店舗屋上に太陽光パネルを設置しました。

 三重あおぞらエネルギーとは、自然エネルギー普及を目的として全国から出資された意思のあるお金で、地域資源である空きスペースの屋根などに、太陽光パネルを設置することでコミュニティ型新エネルギーの普及と啓発活動を行っている会社です。
 代表の大田雅美氏は、NPO法人「南信州おひさま進歩」の研修生として自然エネルギーのコミュニティビジネスについて学んだのをきっかけに、地元伊賀市でもこの取り組みを始めました。
 三重あおぞらエネルギーでは、「エコ忍者プロジェクト」と名付けて全国から出資者を募り、有償で借り受けた保育園や店舗の屋根などの空きスペースに太陽光パネルを設置。今後は、名張市緑が丘中1の幼児教育施設「こども園まきば」にも取り付ける予定で、当面は計5カ所に設置することを目標としています。

 三重あおぞらエネルギーホームページより

 

【資料4】 三重県桑名市(市有施設屋根貸し事業)

 2013年3月桑名市では、地域でできる取り組みを考え総合的にエネルギー政策を進めていくため「桑名市スマート・エネルギー構想」を策定しました。
 この事業は、太陽光発電を行う事業者に公共施設の屋根その他必要な場所を有償で使用を許可するもので、再生可能エネルギーの利用を促進し、また、災害時等における公共施設機能の強化を図るとともに、地域経済の活性化を図ることを目的としています。

使用者の選定
 現在、公募要項に基づき、使用を希望する施設や事業内容等をプロポーザル方式により審査を行い、各施設の使用予定者が選定されたところです。
 なお、選定対象となった施設は以下の5つの施設となりました。

●長島町総合支所(東棟)及び(西棟)
●長島福祉健康センター
●長島公民館
●修徳小学校(屋内運動場)

太陽電池容量の合計・使用料(見込み)
 太陽電池容量 5施設 合計約141.9kW(年間CO削減量約49t)
 使用料収入 年間合計 約27万円(20年間合計 約540万円)