【自主レポート】

第35回佐賀自治研集会
第4分科会 地域から考える再生可能エネルギーによるまちづくり

 佐伯市清掃課では生ごみの堆肥化・減量化の取り組みとして、生ごみ処理機の購入費用補助、コンポスター、ボカシ容器の貸与、ダンボールコンポストのモニター制度事業を行ってきたが、生ごみから作られた堆肥を使った野菜作り(※菌ちゃん野菜)を推進することで佐伯市民の健康づくりや食育活動を支援できると考え2014年度から新たに『佐伯市生ごみリサイクル菌ちゃん野菜作りチャレンジ事業』を立ち上げた。



佐伯市生ごみリサイクル菌ちゃん野菜作り
チャレンジ事業の取り組みについて

大分県本部/佐伯市職員労働組合

1. 取り組みの経緯

 近年、佐伯市の可燃ごみの処理量はほぼ横ばいで推移しており、毎年処理費用に多額の経費が必要となっている。
 可燃ごみに含まれる生ごみ(ちゅう芥類)の量は常に5~10%程度含まれているが、生ごみには8~9割の水分が含まれており、本来は焼却処分に向かないごみである。
 佐伯市清掃課では生ごみの堆肥化・減量化の取り組みとして、生ごみ処理機の購入費用補助、コンポスター、ボカシ容器の貸与、ダンボールコンポストのモニター制度事業を行ってきたが、生ごみから作られた堆肥を使った野菜作り(※菌ちゃん野菜)を推進することで佐伯市民の健康づくりや食育活動を支援できると考え2014年度から新たに『佐伯市生ごみリサイクル菌ちゃん野菜作りチャレンジ事業』を立ち上げた。

2. 生ごみの堆肥化及び野菜作り

 今回の事業では認定者に生ごみの堆肥化方法としてコンポスター(1世帯につき1個)の支給、ダンボールコンポスト(1世帯につき3個)の支給、ベランダdeキエーロの貸与(3ヶ月間)を行うこととした。(認定者全員に生ごみ処理容器の使い方説明書を清掃課で作製し配布)※いずれか1種類を選択
 また野菜作りも同時に体験してもらうため、NPO法人大地といのちの会が発行する『生ごみリサイクル 元気野菜作り・元気からだ作り』(冊子)と4種類の野菜の種(にんじん、小松菜、ほうれん草、ねぎ)のうち好きなものを2種類選択してもらい支給した。

容器の使い方説明書 元気野菜作りの冊子 野菜の種 ※4種類のうち2種類選択

3. 生ごみ処理容器の特徴及び支給件数

 

※支給及び貸与件数は2014年6月13日(金)現在のもの

① ダンボールコンポスト(支給数:49件)
  ダンボール箱を生ごみ処理容器として使用する。箱の中に基材と発酵促進剤を入れ、その中に残飯、野菜くず、揚げ物に使用した油などを投入し、1日に1回かき混ぜる。一般的な家庭の生ごみの量(500g程度)であれば4日~1週間程度で分解でき、3か月程度使用を続けられる。基材の色が黒くなり、アンモニア臭が発生したら、生ごみの投入をやめ3~4日に1回かき混ぜる。アンモニア臭が完全に無くなれば完熟した堆肥の完成となる。
 長所……・あまり場所をとらないので、せまい場所(軒先、ベランダ等)でも生ごみ処理が出来る。
     ・手軽に生ごみを堆肥化できる。
     ・簡単に持ち運べる。
     ・油などの液体も処理できる。
 短所……・毎日かきまぜるのが面倒。
     ・大きなもの(スイカ、竹の子の皮等)や硬いもの(鳥の骨、貝がら等)は分解するのに時間がかかる。
     ・ダンボールが濡れると破れやすくなるので、屋外で使用する場合は雨に注意が必要。
     ・防虫対策をしていないと、虫がわきやすい。

ダンボールコンポスト 基材(左)と発酵促進剤(右)

② コンポスター(支給数:37件)
  プラスチック製の容器で、畑に20~30cm程度の穴を掘り埋めて使用。上部の蓋を外し生ごみと発酵促進剤を投入し、2~5日に1回程度長い棒やスコップ等で中をかき混ぜる。生ごみが容器いっぱいになったら投入するのをやめて、完全に腐敗臭がしなくなるまで放置する。腐敗臭がしなくなれば容器を外し、中身を堆肥として使用出来る。
 長所……・容器がプラスチック製なので、丈夫で壊れにくい。
     ・毎日かき混ぜる必要が無い。
 短所……・分解までに時間がかかるので、堆肥ができるまで長期間待たないといけない。
     ・畑や広い庭がないと使用できない。
     ・水分調整が難しい。

コンポスター(130L型) 発酵促進剤と防虫剤
※コンポスター支給者に配布

③ ベランダdeキエーロ(貸与数:5件)
  木製の容器に土を90リットル程度入れ、スコップ等で穴を掘りその中に生ごみを投入しかき混ぜる。生ごみは2~4日程度蓋付きの容器にためてから投入し、水分が多い野菜や油、調味料等もそのまま投入する。生ごみを投入する場所を変えながら、3か月程度使用すれば中の土は堆肥として使用出来る。堆肥が不要ならば、そのまま生ごみを処理し続けることもできる。
 長所……・不快な臭いがなく、うじ虫等が発生することもほとんどない。
     ・毎日かきまぜる必要が無い。
     ・油などの液体も処理できる。
 短所……・土を大量に投入するので、一度設置すると移動が困難。

ベランダdeキエーロ ベランダdeキエーロに生ごみを投入

4. 講演会の実施

 生ごみ処理容器の使用方法と土づくりや野菜作りの具体的な説明を市民向けに行うため、福岡県の「ふくおか大地といのちの会」代表の川口理恵氏を講師として迎え、『菌ちゃん野菜作り教室』と題した講演会を2014年6月3日(火)に昼夜2回行った。
 当日は悪天候にも関わらず、合計で約60人の市民が講演会場であるエコセンター番匠を訪れ、当日実施したアンケートでは「大変参考になった」「堆肥作り、野菜作りに是非チャレンジしたい」といった意見が多くみられた。

清掃課長 今津 康裕 清掃課生ごみリサイクル事業
担当 三浦 洋之
ふくおか大地といのちの会
代表 川口 理恵

講演会の様子 堆肥を使った土づくりの実演

5. 今後の取り組みについて

 6月13日現在、生ごみリサイクル菌ちゃん野菜作りチャレンジ事業の認定者は91人となっている。佐伯市には7万人以上の市民が暮らしているので決して規模は大きくなく、すぐにごみの減量や処理費の削減といった効果が期待できるものではない。しかし、生ごみからできた堆肥で栽培した菌ちゃん野菜を実際に食した認定者の方々が、自分の家族や近隣の住民にその感想を訴えてくれればさらに広まることが期待できる。
 また本年11月には企画課食育推進係が主催する『ホールフードフェスタ』において清掃課の取り組みを紹介するとともに、生ごみ処理容器を使用した市民から収穫した菌ちゃん野菜を提供してもらい、試食コーナー等を設けさらに多くの市民に生ごみの堆肥化や菌ちゃん野菜の素晴らしさを体感してもらう予定である。
 今後も広報や口コミにより認定者を増やし、生ごみの減量をさらに進めていきたい。また、現在食育推進活動を通じて清掃課は企画課食育推進係と連携しているが、将来的には佐伯市役所の農林課、ブランド流通課、健康増進課などとも連携し市民や事業者とともに循環型社会の形成をめざしていきたい。




菌ちゃん野菜……生ごみや雑草を土壌微生物(菌ちゃん)の持つ発酵の力で土に還し、ミネラル分豊富な土で育てた野菜のこと。菌ちゃん野菜は病害虫に強く、栄養価が高いことが特徴。発案者は長崎県佐世保市のNPO法人「大地といのちの会」代表吉田俊道氏。