【自主レポート】

第35回佐賀自治研集会
第5分科会 発信しよう地域の農(林水産)業 つながろう生産者(地)と消費者(地)

 漁業協同組合の合併、海苔養殖の不振等を契機に、漁業者、一般市民による環境ボランテイア活動として1995年3月に「海の森」植樹事業は始まりました。その後現在に至るまで植樹事業は毎年開催され、市民総参加の事業として定着し参加者も多くなってきています。山・川・海一体となった地域住民による森林の保全活動が、地域の振興につながるものであり、行政と市民との垣根を越えた活動となっていることを報告します。



地域住民と一体となった森林づくり(海の森)


佐賀県本部/鹿島市職員労働組合・副執行委員長 髙本 将行

1. はじめに

 私たちのまち鹿島市は、佐賀県の南西部に位置し、人口約3万1千人、面積約110km2を有し、南は多良岳山系、東は有明海に接した自然豊かなまちであります。
 また、私が所属している農林水産課は、まちの主要産業であります第一次産業(農業、林業、水産業)の振興のための様々な事業を企画立案し、施策として業務を遂行している部署であります。第一次産業の振興を進めていく上では、現場で携わられている方と交流を通じて、様々な意見を聞き入れることが大切であり、その現場の方と一体となりながら、いかに効果的な方法で振興を図っていくことが求められています。

2. 「海の森」とは

 私たちの職場では、水産業の振興も一つの業務となっております。
 今から約20年前は市内には4つの漁業協同組合がありましたが、1994年に「鹿島市漁業協同組合」の1つの漁業協同組合に合併をされました。合併当時は、「水産業で主な産物である養殖海苔の不振をどうにかしなくてはいけない。」という思いと、「漁業協同組合の合併を記念して何か記念行事を始めよう。」という機運の高まりがありました。
 そのような中、水産業の振興には海の水質改善が必要であり、そのためには、その上流の山の環境をよくすることで、流れ着く海の水質改善につながるのではないかという意見がありました。このことから、市内の山林に広葉樹を植栽し、適切に管理することで、落葉した葉が山林の表面を覆い養分となり、豊かな清流、さらに流末の有明海の環境改善に繋がるとの構想で「海の森」事業が始まりました。

図1 水の循環図
 豊かな森林を育むことが、有明海の環境改善につながる。 

3. 地域住民との交流

 市では平成7年3月に、地域住民が一体となった環境ボランティア活動として最初の「海の森」植樹祭を開催し、漁業者、一般市民を合わせて約200人の参加により広葉樹約4,000本を植栽しました。市職員の一般参加として、ボランティア活動に参加し汗を流してみようと、総参加者のうち約40人が参加し活動を行っています。
 さらに、平成9年には、様々な森林ボランティア活動を行う「鹿島市森林交流隊」を約50人で結成し、その内市職員が約40人も継続して活動も行ってきています。
 その後も「海の森」植樹事業は毎年開催され、市民総参加の事業として定着し、現在では、県内外からの参加者も多くなってきています。参加者のほとんどは、毎年参加され、植樹祭での再会と活動を楽しみにされています。

表1 「海の森」植樹祭の活動実績

 

写真1 海の森植樹祭での植林状況

4. 自然生態系とのかかわり

 近年、森林の持つ多面的機能に関し、多くの評価が言われています。例えば、
 (1) 二酸化炭素吸収
 (2) 化石燃料(石油など)の代替エネルギー
 (3) 国土保全としての浸食防止
 (4) 豪雨時の洪水緩和
 (5) 水資源としての保水と水質浄化
 (6) 環境レクレーション
などが挙げられています。
 ほとんどの皆さんには、何気なく見える山でもその機能が多岐におよび公益的機能を発揮していることは、すぐには理解できるものではないと思っています。しかし、身近にある森林を地域住民の手で育てあげることで、その機能を享受できるのは、地域住民であることを伝えていくことが必要だと思っています。

 
写真2 公益的機能を発揮している海の森植樹地

5. おわりに

 私たちの国土の約7割を占める森林について、その大切さと価値を再認識し、山・川・海一体となった地域住民による森林の保全活動が、地域の振興につながるものであり、市職員も一般市民に参加していくことが、行政と市民との垣根を越えた活動となっていることを報告します。