【要請レポート】

第35回佐賀自治研集会
第6分科会 セーフティネットとしての公共交通

 公共交通の地域間格差が存在する中、人口減少、少子・高齢化等による利用者減が公共交通事業収益を悪化させ、公共交通体系維持への財政負担が増加していく状況を改善し、交通弱者の解消と持続可能な公共交通体系の再構築をめざした取り組みと今後の課題



朝倉市地域公共交通体系構築と課題


福岡県本部/朝倉市職員労働組合・ふるさと課・交通対策係 舟木 信広

はじめに

 2006年3月20日、甘木市・朝倉町・杷木町が合併し朝倉市となっている。
 福岡県のほぼ中央部に位置し、福岡市の南東、久留米市の北東、大分県日田市の西に位置し、東西約25km、南北約15km、総面積246.73km2(県内4番目)であり、市北部から東北部にかけて800m~1,000m級の山々が連なり、少子・高齢化も相まって、民間経営交通網の採算性は厳しく撤退した路線が存在する状況である。
 朝倉市では、2008年度に公共交通サービスの平準化及び持続可能な公共交通体系を構築することを目的に、朝倉市公共交通総合連携計画を策定した。
 計画期間である2009年度から2013年度の間、朝倉市地域公共交通活性化協議会が中心となり、国や県の関係機関及び地域コミュニティ協議会等との協議を重ね、計画に掲げた施策を年次的に実施してきた。
 これまでの取り組み内容の成果、目標の達成状況をまとめ、今後の改善点や課題等を整理することで、2014年度以降の方向性を検討する。

1. 計画策定の背景

(1) 公共交通サービスにおける地域間格差の存在
 合併前(2006年3月)の旧市町には、それぞれに路線バスや福祉バス、スクールバスなどが運行され、運賃や利用者制限など、サービス内容に"格差"が存在していました。
 また、公共交通のない不便な地域もあり、過疎化や高齢化の進展と相まって、将来にわたっての公共交通のあり方が問われていました。

(2) 公共交通の維持に係る行政負担の拡大
 人口減少や少子化の進行、車過多社会の到来に伴い、公共交通の利用者は減少の一途を辿り、収支悪化による行政の赤字補填額は、毎年増嵩する傾向にありました。
 市では、市民が将来にわたって安心して暮らすための生活基盤の一つとして、持続可能な公共交通体系を構築することが、重要な課題となっていました。
 ※ 公共交通に係る費用の推移(市の負担額)
   2009年度 89,573千円 (2006年 75,524千円  年6%の上昇)

(3) 関係法令の改正
 道路運送法の改正(2006年10月施行)と地域公共交通の活性化及び再生に関する法律(2007年10月施行)制定に伴い、市町村が公共交通会議等を経て、地域の実状に即した交通のあり方を企画・決定することができる転機を迎えていました。

2. 計画策定の経過

 市では、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律に基づき、協議会を2008年3月に組織化し、市民アンケート調査の実施や地区役員、交通事業者等、広く関係者との協議を重ね、2009年3月に「朝倉市地域公共交通総合連携計画」を策定しました。

3. 計画の概要

(1) 連携計画の基本的な考え方
 連携計画では、地域毎に異なるサービスを可能な限り平準化し、市域全体で一定のサービス水準を確保しながら、持続可能な公共交通体系を構築することを基本的な考え方としました。市全体を中学校区に分け、2009年度から2013年度までの5年間で、それぞれの地域の需要調査(年次的な社会実験)を行い、本格運行へ繋げていく方針を定めました。

【基本方針】
① 将来的に持続可能な公共交通を構築するため、既存の公共交通機関を活用した施策の見直しを行い、効率化による行政負担の軽減を図る。
② 市内の周辺部から中心部(市街地)に来た市民の公共交通の利便性を図るため、市街地の交通体系の整備を行う。
③ 既存交通の見直しを行ったあと新たな交通システムの導入を行う。

(2) 目標像と施策ポイント
 基本的な考え方に基づき、3つの目標像と4つの施策ポイントを設定しました。

【目標像】
① 市全体で一定の公共交通サービスレベルを確保する。
② 将来的に持続可能な公共交通体系を構築する。
③ 市民の大都市圏との交流を支援する公共交通を整備する。

【施策ポイント】
○ 路線バスのルート・ダイヤの見直し
  利用者や運行便数が少なく赤字が多い路線や、新たな施策導入によってコミュニティバス等と競合する路線を対象とし、利便性の確保や運行経費の維持・削減を目的に、ルート・ダイヤの見直しを検討する。
○ 福祉バスのコミュニティバス化
  既存の福祉バスエリアを基本とする比較的需要が見込まれる地域を対象とし、利便性の確保や運行収入の増加を目的に、コミュニティバスの導入を検討する。
○ スクールバスの利活用
  既存のスクールバス走行地域を対象とし、混乗化等による車輌の活用、デマンド型乗合タクシー運行時の車輌の活用を検討する。
○ デマンド型乗合タクシーの導入
  比較的需要が少ないと見込まれる地域や、交通空白地域を対象とし、利便性の確保を目的に、デマンド型乗合タクシーの導入を検討する。

(3) 事業の概要(実施状況)
 事業計画概要は、下図のとおり。

 

4. 事業の実施内容

 連携計画に基づき、路線毎に社会実験を行い、需給関係や費用対効果等の不確定要素を確認し、本格運行について検証しました。

(1) 2009年度実施内容
① 市街地巡回バス事業(福祉バス廃止代替事業)
  市街地を運行していた福祉バスを見直し、誰でも乗ることのできるコミュニティバスの導入について、2009年10月から半年間、社会実験を行いました。
  コミュニティバスの利用者数は目標値を大きく下回り、採算面において運営が厳しいことが明らかとなり、本格運行を断念する結果となりました。

(2) 2010年度実施内容
① あいのりタクシー黒川線(路線バス廃止代替事業)
  路線バス「西鉄黒川線」の代替施策としてデマンド型乗合タクシー制度を導入し、併せて交通空白地区の解消を図りました。
② あいのりスクールバス:高木地域(スクールバス混乗化事業)
  路線バス佐田・矢野竹線の一部区間を廃止し、代替施策として同様のコースを運行していたスクールバスを活用することで、一般住民の混乗化及び間合い運行のデマンド型乗合タクシー制度を導入しました。併せて交通空白地区の解消を図りました。

(3) 2011年度実施内容
① あいのりスクールバス:上秋月地域(スクールバス混乗化事業)
  路線バス松丸線を廃止し、その代替施策として同様のコースを運行していたスクールバスを活用することで、一般住民の混乗化及び間合い運行のデマンド型乗合タクシー制度を導入しました。併せて交通空白地区の解消を図りました。

② 朝倉地域コミュニティバス事業(福祉バス廃止代替事業)
  朝倉地域で運行していた福祉バスを見直し、利用者制限を無くし、受益者負担を取り入れたコミュニティバスを導入しました。

(4) 2012年度実施内容
① あいのりタクシー上秋月・安川線(路線バス・SB混乗化事業廃止代替事業)
  上秋月(江川)地区の児童・生徒がいなくなったことから、あいのりスクールバス「上秋月地区スクールバス混乗化事業」を改め、「あいのりタクシー上秋月・安川線(スクールバス機能付き)」に事業転換しました。
② あいのりタクシー長渕線(路線バス廃止代替事業)
  路線バス「長渕線」の代替施策としてデマンド型乗合タクシー制度を導入し、併せて交通空白地区の解消を図りました。
③ あいのりタクシー馬田線(交通空白地区解消事業)
④ あいのりタクシー福城線(交通空白地区解消事業)
⑤ あいのりタクシー杷木東部線(交通空白地区解消事業)
  交通空白地区の新たな公共交通として、デマンド型乗合タクシー制度を導入しました。需要状況を見極めるため、運行日数は当面週3日で運行することとしました。

(5) 2013年度実施内容
① あいのりタクシー矢野竹線(路線バス廃止代替事業)
② あいのりタクシー美奈宜の杜線(路線バス廃止代替事業)
  路線バスを廃止し、代替路線としてデマンド型乗合タクシー制度を導入しました。併せて交通空白地区の解消を図りました。
③ 甘木市街地循環線(路線バス活用事業)
  連携計画事業の最終年度を迎えるにあたり、郊外から市街地への移動手段の構築と併せて、周辺部と中心市街地とをネットワーク化するために、市街地循環路線バスの態様(コース・便数)を充実しました。

 
路線バス(甘木観光バス)   路線バス(西鉄幹線バス)
     
 
あいのりスクールバス
(スクールバス混乗化)
  あいのりタクシー
(デマンド型乗合タクシー)

5. 評価・総括

 朝倉市地域公共交通総合連携計画で定めた施策は、3つの基本方針(①効率化による行政負担の軽減、②市街地の交通体系の整備、③新たな交通システムの導入)に沿って計画どおりに実施され、2013年度に新しい地域公共交通ネットワーク体系を構築しました。
 それぞれの路線事業は、初年度の1年間を社会実験として位置づけ、「①利用者数」、「②時間帯」、「③出発地・目的地(利用バス停)」等、項目毎に利用状況を分析・評価し、「将来的に改善すべき問題点や展望」も含めて総括を行い、2年目以降の本格運行を判断してきました。
 この5年間の実施施策について、計画目標に沿って総括します。

(1) 公共交通サービスレベルの平準化
 計画策定時、市内には路線バスや福祉バス、スクールバスなどの公共交通があり、運行形態によって運賃のあり方や利用要件が異なっていました。また、市内の約26%は交通空白地区であり、地域によって公共交通のサービス水準に格差が存在していました。
 地域毎に異なるサービスレベルを、地域や交通事業者との合意形成を図りながら、可能な限り調整し、新しい交通システムの導入や運行路線の再編等を通じて、運賃の有償化、利用者制限の撤廃、交通空白地区の解消など、基本的事項の平準化を図りました。
 新規路線(馬田線、福城線、杷木東部線)での隔日運行、朝倉地域での定時定路線運行など、地域の実情による運行様態も残っていますが、今後の利用状況や地域ニーズを踏まえて、さらに調整をしていくことが必要となっています。

【路線等の推移】

地 域

計 画 前 2009

計 画 後 2014

備   考

甘木地域

路線バス 7路線

路線バス 3路線
あいのりタクシー 6路線

2路線追加
 馬田線、福城線

福祉バス(市街地巡回)

廃止

2013 甘木市街地循環線に統合

スクールバス 2校区

スクールバス 1校区

一般利用者混乗化

朝倉地域

福祉バス 2路線

コミュニティバス 2路線

有料化
利用要件の解消

杷木地域

路線バス 2路線

路線バス 1路線
あいのりタクシー 2路線

1路線追加
 杷木東部線

※国道386号幹線バスは除く。
※スクールバス(秋月中学校)は、2012年度に該当生徒がいなくなったため、廃止となる。

【通空白地区の推移】

 

計 画 前

計 画 後

備  考

甘木地域

17.90%

ほぼ0%

 

朝倉地域

57.32%

ほぼ0%

 

杷木地域

35.49%

ほぼ0%

 

※交通空白地区はバス停から500m圏外とする。

 

(2) 持続可能な公共交通体系の構築
 本計画では、既存事業を抜本的に見直し、合理的かつ効率的な施策を進めることで、拡大の一途を辿っていた経費(赤字補填額)を抑えつつ、その削減経費をもって、交通空白地区の解消を含めたサービスレベルの平準化を図ることをめざしていました。
 そこで、需要の低いバス路線や既存スクールバスの運行形態を見直し、予約に応じて運行する「デマンド型あいのりタクシー」の導入を図りました。このことにより、運行経費の無駄を省くとともに、広範囲に散在する需要を広くカバーすることが可能となりました。導入後の経費は、次図のように推移しています。
 計画前期(2009年度~2011年度)は、路線バスのデマンド化事業に特化することで運行経費を削減し、2012年度以降は、その削減経費をもって交通空白地区の解消事業を手掛け、交通弱者はもとより全ての人に公平な移動手段を確保しました。
 このように、一定の公共交通サービス水準を確保しながら、経済性と社会性の両面から持続可能な公共交通体系を構築しました。

【公共交通維持費の推移】

(3) 市民の大都市圏との交流を支援する公共交通の整備
 本計画では、幹線路線バスや高速バス、電車等の市内外を結ぶ主要路線と、それに繋がる周辺路線との位置づけを明確にし、結節点での乗り継ぎ利便性や快適性を高めることで、大都市圏との交流を支援する公共交通をめざしてきました。
 幹線と支線の乗り継ぎを基本とし、周辺部における支線網の整備や中心市街地における移動手段の充実を図るとともに、高速インター、幹線バス停、電車駅前等、大都市圏との結節点となる交通要衝にバス停を新設しました。また、運行ダイヤについても、乗り継ぎ時間の調整を図り、都市圏との交流に寄与する交通環境を整備しています。

6. 課題と改善点

 本計画で構築した地域公共交通ネットワーク体系を、持続可能な公共交通体系として維持・発展させていくためには、経費の抑制とあわせてコミュニティバス利用促進に向けた取り組みを積極的に進める必要があります。
 コミュニティバスの維持経費は、その大半が市の財源で賄われています。市の財政が縮減していく中、公共交通サービス水準を維持・向上するためには、事業の効率化を進める一方で、事業収益を増加させる必要があり、そのための利用促進が絶対条件です。
 2013年度における市主宰路線の利用者数は、約4万5千人であり、2009年度に比較して4万1千人減少(減少率約48%)しています。各路線共通する主な減少要因は、日祝日の運行廃止、幹線を外した路線変更によるものと考えられますが、路線バス当時と同様のコースを運行している路線においても6割程度の減少が見られ、制度変更に伴う予約の煩わしさや認知度の低さが影響しているものと思われます。
 また、公益性(福祉)の観点から、真に公共交通を必要とする潜在的利用者に対するサービス確保についても留意する必要があります。
 今後は、市民のコミュニティバスに対する認知度の向上を図ると共に、利用実態調査や市民の需要・ニーズに基づく利便性の改善に努め、利用促進を図って行くことが極めて重要です。

【公共交通バス 年度別利用者数の推移】

(1) コミュニティバス運行に関する認知度の向上
 利用促進を図るためには、先ずは新しい公共交通システムに関する市民の認知度を高め、有効な公共交通手段であることを認識していただくことが重要です。これまで、事業の導入に合わせて、広報紙やHP、パンフレットなど、多様な媒体を活用した広報活動に取り組んできました。
 今後も新たな利用者獲得に向け、効率的で効果的な情報発信に努めていく必要があります。
① 広報紙への掲載
  連携計画の初年度から、事業計画内容や進捗状況等、公共交通全般にわたる情報をシリーズ化し広報紙に掲載してきました。今後も市民の視点に立って掲載していく必要があります。 
② HPへの掲載
  連携計画事業を推進するため、市HPのトップ画面に「朝倉市公共交通」のバナーを設け、各路線の運行内容等を掲載してきました。引き続き迅速で分かりやすい情報の更新が必要です。
③ パンフレット更新・配架及びポスター掲示
  公共施設や病院、商業施設等へ、ポスター掲示や路線パンフレットを配架してきました。また、路線毎に沿線住民へパンフレットを配布してきました。コミュニティバス事業が定着するまでの間は、これらの取り組みを継続する必要があります。

(2) 運行制度の改善
 路線計画策定にあたっては、沿線のコミュニティと協議を重ねプランを練り、本格運行後は、利用者アンケート調査を実施し、需要やニーズを吸い上げ、可能な限り運行内容の改善に取り組んできました。今後も、利用状況や市民ニーズを集約・分析し、市民生活や社会情勢の変化に適応した公共交通を創り続けなければなりません。
 現状におけるコミュニティバス運行制度の課題は次のとおりです。
① 需要とニーズの把握
  利用日報や乗降調査を基に、利用者状況や利用目的を分析し、路線毎の特徴や課題等の把握に努めてきましたが、市民からの改善・要望や潜在的な移動ニーズ(需要)を把握するまでには至っておらず、適確な事業改善に繋げるための需要やニーズの把握が必要です。
② 運行コース、時間帯、便数等の改善
  究極のあいのりタクシーサービスは、利用者の玄関先から指定場所までドア・トゥー・ドアで送り届けることです。しかし、この方式を導入するためには、相当の経費を要し、実現性に欠けます。また、旅客運送業界との共存が難しくなります。
  まずは、サービス水準の向上をめざして、利用実態や市民ニーズを反映した運行形態(運行コース、時間帯、便数等)に改善する必要があります。
  特に、運行コースについては、幹線と周辺部路線の乗り継ぎを基本とするコース設定を行ってきました。しかし、周辺路線の利用者からは、乗り継ぎ無しで目的地へ到着できるコース設定が求められており、コース設定のあり方についても整理する必要があります。
③ 運行日数の改善
  日祝日の運行については、コミュニティバスの前身の路線バス時代、利用者数が、極端に少なかったことから運行していません。また、新規路線については、地域ニーズを見極めるために隔日運行としています。今後、全体事業を見直す中で、公平性や効率性の視点から検討していく必要があります。
④ 予約に対する抵抗感の緩和
  デマンド交通は、予約の手間や利用法の分かりにくさから抵抗感が生じると言われ、本市においてもその傾向が見られます。しかし、他方では、一度利用した方は、リピーターとなって利用し、次第に煩わしさも解消されるという実態もあります。
  デマンド交通を維持していく上で、予約は必須条件であり、予約に対する市民の理解を促すとともに、予約に対する抵抗感を緩和するための予約要件の緩和策について検討が必要です。
⑤ 運賃の見直し
  コミュニティバスの運賃は、路線バスの初乗り運賃に配慮しながらも、生活路線として定着させることを優先したことから、市民が負担に感じること無く気軽に利用できるような料金設定としました。
  今後の社会情勢によっては、路線バス料金との整合性も含め値上げを検討しなければならない時期が来るものと予測されます。ただし、コミュニティバス事業が定着するまでの間は、必要最小限に止めることが望ましいと思われます。

(3) 住民意識の醸成
 将来的に持続可能な公共交通づくりを推進するためには、沿線住民の一人ひとりが、地域公共交通を守り育てるという意識を共有することが不可欠です。
 市では、これまで路線沿線のコミュニティ協議会と連携しながら地域住民の意識高揚に努めてきましたが、十分な成果を上げるまでには至っていません。今後も地域コミュニティをはじめ、運行事業者や地域団体等との協働により、住民意識の醸成を図って行くことが重要となっています。

(4) 事業者選定方法の確立
 利用者の安全・安心を確保し、質の高いサービスを安定して提供するうえで、委託事業者は、欠くことのできない重要な要素です。事業者の選定にあたっては、国のガイドラインで示すよう運行経費の多寡のみを基準とすることなく、運行の安全性、緊急時の対応能力等の観点から総合的に評価することが望まれます。
 市では、これまで、新規路線については指名競争入札とし、路線バスからデマンド事業へ転換した路線については、初回のみ暫定的に従前の路線バス事業者へ運行を委ねてきました。
 今後の事業者選定については、従前の手法を基本としながらも、収益の拡大策や利便性向上の視点から、事業者からの企画提案を総合的に評価する選定手法(プロポーザル方式)についても検討を進めていくことが望まれます。

7. 今後の展望

 本市の地域公共交通体系は、連携計画に基づき概ね計画どおりに構築されましたが、各路線事業は緒に就いたばかりであり、地域に定着させるための取り組みが急務となっています。また、高齢者社会が急速に進行する中、高齢者を中心とした交通弱者のライフラインとしての機能を向上させるとともに、市民の移動手段としての利便性向上を図っていくことが求められています。
 また、国においては、2014年2月に「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の一部を改正する法律」が閣議決定され、地方公共団体が、それぞれの地域の公共交通のあり方を主体的に検討し、再構築できる仕組みが強化されました。さらに、まちづくりと連携した面的な公共交通ネットワークの再構築を支援する制度も整備されようとしています。
 今後は、市内外の公共交通を取り巻く社会環境の変化に的確に対応するとともに、各路線事業の評価や課題を踏まえたフォローアップ施策(事業改善)を行い、市民や公共交通事業者等と協働・連携しながら、持続可能な地域公共交通の維持・確立に向けた取り組みを推進していくことが重要となっています。