【自主レポート】

第35回佐賀自治研集会
第6分科会 セーフティネットとしての公共交通

 2013年度、富士市では『富士駅周辺地区バリアフリー基本構想』を策定しました。これは、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律、また同法に基づく国土交通大臣の方針を受けたものです。本市では、2004年度の新富士駅周辺地区、2007年度の吉原駅・吉原中央駅周辺地区に続く3地区目の構想作りとなります。本構想を策定した直接の担当者として、策定までの経緯や苦労した点を報告します。法や国の方針に記載されていることは説明していませんのでご了解下さい。



移動等円滑化の直近事情
―― 『富士駅周辺地区バリアフリー基本構想』を策定して ――

静岡県本部/富士市職員組合・書記長・都市計画課都市政策担当 西原 徹治

1. 策定の背景

富士駅通商店街

(1) 社会的背景
 我が国において迎えた本格的な少子高齢・人口減少社会が、富士市にとっても明らかになり、高齢者や障害者などを始めとして、誰もが安心・安全・快適に社会生活を営むことができる環境の確保が重要な課題となっています。
 このような社会的要求に対応するため、我が国においては2006年に「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」が施行され、都市において生活上必要な空間を「面」でとらえ、バリアフリー化を推進することにより、誰もが安全で暮らしやすい都市の実現をめざしています。
 富士市においては、2004年度に新富士駅周辺地区交通バリアフリー基本構想を、2007年度に吉原駅・吉原本町駅周辺地区バリアフリー基本構想を策定しましたが、今後一層のバリアフリー化を推進するため、2013年度に「富士駅周辺地区バリアフリー基本構想」を策定しました。

(2) 富士市の状況
 富士市は静岡県の東部、富士山南麓に位置しており、東京・名古屋を結ぶ東西国土軸上に位置しているほか、静岡県と山梨県を結ぶ南北軸が東西交通軸に結節し、交通及び産業経済の要衝地としての役割を期待されています。
 人口は2012年をピークに減少に転じ、2013年現在で258,000人ですが、世帯数は増え続けています。老齢化人口は2010年には21%を越え、障害者人口は常に3.1%を越えているなど、より暮らしやすい都市の実現が求められています。

(3) 富士駅と富士駅周辺地区の状況
 富士駅は、JR東海道線と身延線が乗り入れる駅で、1日の乗降客数は16,000人を越える、本市では最も多く利用されている鉄道駅です。駅周辺は商業地域と位置づけられ、本市の中心商業地として、不特定多数の人が日常的に利用する地区となっています。
 しかし、近年においては富士駅の乗降客数や富士駅周辺地区への来街者は減少し、賑わいや活力の維持・創出が課題となっています。

2. 策定体制

(1) 策定のための全体構成
 バリアフリー基本構想は、法では「市町村は、基本方針に基づき作成することができる」とされており、行政が自らの判断で作成する行政計画です。一方で、基本構想を作成しようとするときは、「あらかじめ、住民、生活関連施設を利用する高齢者、障害者等その他利害関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする」ともあり、策定の際には住民意見、施設の管理者などの幅広い意見反映が求められています。
 そのため、策定は本市都市計画課で行うものとした上で、市民意見を反映させるための検討協議会を組織しました。また、道路や交通安全施設、公共交通事業者の意見を直接収集し、後の事業家にスムーズにつなげるための、施設設置管理者等懇話会を立ち上げました。(組織の名称には縛りがないため、フィーリングで名づけました)

(2) 検討協議会、施設設置管理者等懇話会の構成と運営
 高齢者、障害者の10団体、商店街の振興組合の代表にも参加をお願いした他、一般公募から2人の市民代表を選出しました。また、施設管理者として市と県の道路部局、バスタクシー事業者、警察署から代表を選出しました。その他にも、学識経験者や市の福祉関係課等の課長が代表して委員になるなど、検討協議会は30人ほどの委員で構成されました。
 事業者で構成する施設設置管理者等懇話会では、検討協議会と重複する委員が多かったものの、道路維持管理者、交通安全施設管理者、公共交通管理者など、構想策定後に実際に事業を行っていく8人の委員で構成しました。基本構想をまとめる段階では、懇話会として定期的に集まるだけではたりずに、各管理者のもとに何度も足を運びました。

3. 住民意向の反映

(1) アンケート調査
 施設利用者の意見を取り入れるため、アンケート調査を実施しました。地域周辺の住民へ無作為抽出による300通と、駅周辺で直接配布した200通で、計500通です。136通の回答が寄せられ、回収率は27.2%となりました。
 バリアフリーに対する多くの課題が寄せられましたが、古い町であり、車の送迎スペースが不足していると感じている方が多く、その他には駅周辺での案内表示が不十分であるという指摘を多くいただきました。

(2) 現地調査(フィールドワーク)
フィールドワークの様子
協議会の様子
 市民協議会第2回の会議で、実際に駅周辺を散策し、危険箇所や改善の必要のある施設を点検してきました。4つのグループに分かれ、駅周辺で、構想の対象となる範囲はほとんど点検できたものと思います。参加者は市民協議会の参加委員を中心としていますが、バリアフリー基本構想の趣旨に賛同する多くの方々に、協議会委員を通じてご参加いただきました。参加市民だけで50人を越え、委員として参加していたはずの市の各部局の職員にも、記録係をお願いすることになりました。
 全てのグループに車いすで生活をしている方や、視覚障害あるいは聴覚障害の方にご参加いただき、健常者の参加者にとってはとても刺激になる調査になりました。

(3) 協議会への対応
 本市では3つ目の構想ということもあり、過去の策定会議へ出席した経験のある参加者もいました。非常に多くの意見が協議会の場では出ました。
 協議会での意見は、基本構想に反映可能なものはすべて反映しましたが、反映できないものは委員を個別に訪問して説明し、ご理解をいただきました。

(4) ヒアリング調査
 障害者、高齢者等の関係団体に個別に訪問し、協議会の場では意見が出しにくいことについてヒアリング調査を行いました。普段不便に感じている点を細かく聞きとることができました。対象としたのは、検討協議会に参加いただいている団体の皆さんです。

(5) パブリックコメント
 本市では、2004年の新富士駅周辺地区交通バリアフリー基本構想の策定時に、富士市全域を視野に入れた方針を定め、パブリックコメントを実施しています。
 そのため、同内容で何度も行う必要はないと判断し、2007年度の吉原駅・吉原本町駅周辺地区で策定の際には行いませんでした。富士駅周辺地区についても、同様の立場をとり、実施しませんでした。

4. 構想策定に際して、特に配慮した事項

(1) コンセプトと方針の決定
 法によると、基本構想の中でまず対象となる地区のバリアフリー化の方針を決めることになっています。そこで、方針によって実現するべきコンセプトを決めることからはじめました。

富士駅周辺地区のバリアフリー化のコンセプト
「すべての人にやさしい安全・安心・快適な富士市の玄関口」
※ 富士駅が立地する富士市の玄関口として、すべての人が安全かつ安心で快適な移動ができる、すべての人にやさしい都市空間の創出を目指します。

 このコンセプトを実現するための方針として、7つの方針を定めました。そのうち、4つ(下記の1~4)は富士市全域を視野に入れたバリアフリー化の方針として、2004年度に定めたものですので、富士駅周辺地区としての方針は後半の3つ(下記の5~7)となります。

1. 市域全体を視野に入れたバリアフリー化を推進します。
2. 市民、事業者、行政が連携したバリアフリー化を推進します。
3. バリアフリー化チェック体制の構築とバリアフリー環境の維持を図ります。
4. 「こころのバリアフリー化」を推進します。
5. 富士駅の交通結節性やまちなか機能の強化に寄与するバリアフリー化を推進します。
6. 都市機能の連携を促進し、自然に賑わいが生まれるバリアフリー化を推進します。
7. 駅南北の分け目ない一体的なまちづくりに寄与するバリアフリー化を推進します。

(2) 区域と経路の設定に対する考え方
 バリアフリー基本構想は、重点整備地区を決め、生活関連経路と生活関連施設を定めることで形作られます。富士駅周辺は商業地域として都市計画法上の用途地域が指定されていますので、実際の施設の配置を考慮しながら、おおむね商業地域を徒歩で移動する区域として、重点整備地区としました。
 商業地域としっかりと一致しなかったのは、災害時の避難場所である、南北の小学校と西の中学校を範囲に入れたためです。当然、駅から避難場所までは生活関連経路として位置づけました。重点整備地区内なら、道路も安全、災害時にも安心、をめざしたいと思います。

(3) 道路に関する基本的な考え方
 富士駅周辺には古くからの町並みが残り、再開発事業等も行われず、大規模な商店の出店もなく、狭い道路が不規則に走る、整備の難しい道路が多くあります。
 道路移動等円滑化基準への適合は非常に困難な道路が多くありましたが、あえて生活関連経路として位置づけることにより、整備を促すことにしました。生活関連経路として基本構想に位置づけられると、基本構想に記載されたとおりの内容で整備することが国の方針により決められています。2020年度までに実施すること、とされています。
 結果として、生活関連施設を結ぶ28の経路を生活関連経路として位置づけました。また、生活関連施設がないために位置づけられなかった経路1本を、生活関連経路を補完する経路として、「その他の経路」としました。この経路は、高齢者や障害者等の通行を想定せず、他の生活関連経路に流入する自転車通行の代替経路として位置づけたもので、整備内容も、自転車が通行しやすいように整備するといったものになっています。

(4) 視覚障害者の移動円滑化に関して
 視覚障害者の移動円滑化には、特別な配慮が必要です。段差の解消だけでは日常の通行が行えないため、特別な施策を用意する必要があります。通常は、歩道上の視覚障害者誘導用ブロック(点字ブロック)と音声案内を設置することで対応しています。
 バリアフリー基本構想で生活関連経路として位置づけられた道路では、全て点字ブロックを設置することが多いと思います。富士市でも、過去の新富士駅周辺地区・吉原駅・吉原中央駅周辺地区では、全ての生活関連経路には点字ブロックを設置するものとしていました。
 ところが、富士駅周辺地区には、歩道が狭く、点字ブロックを設置しても十分な歩行幅が確保できないと思われる経路や、歩道の設置が出来ない経路、さらには外側線を設置して路側帯を確保することすら難しい経路が多数あります。これは、生活上必要だと判断して、生活関連経路と位置づけたものですが、点字ブロックを設置して、視覚障害者の方々を誘導することにより、かえって事故の危険性が増したり、入り組んだ場所に誘導して、自分のいる場所がわからなくなることが想定されました。
 そこで、実際の施設の配置、歩道幅を勘案しつつ、回遊性・利便性に配慮した経路に点字ブロックを設置することとし、点字ブロックを設置した経路上の信号機を音声案内対応型に変更することとしました。音声案内については、街中のガイドや注意喚起などで利用することもありえると思いますが、バリアフリーの構想内で設置を決めるには十分な考慮をする時間もなく、今回は見送りました。

(5) 交通結節点としての機能強化
 富士駅は、本市でもっとも利用客が多く、バスやタクシーのターミナルになっていることからも、交通結節点であることは間違いありません。交通結節点としての機能を強化することが、方針とコンセプト上でも重要であることから、どうやったら機能強化を図れるかを検討しました。なお、2013年から国土交通省では、利用客が1日で3,000人を越える鉄道駅の交通結節性についての調査を始めています。
 交通結節点であるというために、まず駅の改札を出てすぐの場所にある、ペデストリアンデッキに、高齢者、障害者等の実際の利便性に配慮した位置に案内看板等を設置するとしました。バスの乗り場も、ターミナル機能がある割りに、乗り場は共通しているため、非常にわかりにくく、バスの案内看板もわかりやすいものに改善することとしました。
 また、本市は自動車交通への依存が強く、駅周辺の駐車場も、交通結節性を高めるためには必要な要素です。そこで、駅周辺の市営駐車場から富士駅まで結ぶように経路を設定し、駐車場には車いすスペースを増設、さらに駐車場から駅までの案内看板を設置することとしました。

(6) 移動の円滑化を想定しない経路
 道路の円滑化の考え方でも触れましたが、特別配慮した部分なので、再度紹介します。
 富士駅から富士山方向に向かってまっすぐ500メートルほど伸びた商店街は富士市の自慢であり、構想の中でもとりわけ重点的な整備がされるものと考えられます。しかし、自転車の交通量が多く、高齢者、障害者等にとっては深刻な脅威となる存在です。今までも歩道から自転車を排除しようという試みはなされてきましたが、自動車交通量もかなり多く、歩道の代わりに車道を走らせるのは、自転車利用者にとって危険な状況になります。自転車がどこを通過するのかを考えずに、ただ排除するというのは、配慮が足りないということになります。
 そこで、商店街の西に、商店街と平行して南北に走る道路を生活関連経路として位置づけることを考えました。歩道がない生活関連経路は、基本的に全て自動車の速度抑制策を講じるつもりでしたので、自転車の安全が十分に確保されると考えたからです。しかし、生活に関連のある施設を結ぶという、生活関連経路本来の趣旨から外れる部分もあり、その経路については、「その他の経路」としました。あくまでも生活関連経路の価値を高めるために必要であり、生活関連経路と違って、高齢者、障害者等の通行を想定していません。法律上の位置づけを持たない経路ですので、経路の考え方は構想を策定する市長の判断によるものと思われます。

5. 関係機関との協議

 バリアフリー基本構想は都市計画課で作成しました。実際の事業を行うのは、施設を管理している各部局です。それらの部署には施設設置管理者懇話会として、常に情報の共有や意思統一を図るよう心がけましたが、それでも簡単に同意がとれたわけではなく、個別に協議を重ねる必要がありました。

(1) 道 路
 富士駅周辺地区の区域内には、市道と県道がありました。道路のバリアフリー化は、道路移動等円滑化基準で厳しく決められています。中でも、特定道路として認定されていると、歩道幅にも決まりがあり、バリアフリー化の基準に適合するように構想内でも位置づけなければいけません。
 しかし、現在歩道が無く、歩道の設置が困難な幹線道路が生活関連経路として位置づけられており、十分な幅の歩道を確保することはもちろん、歩行者の安全確保のための、車の速度抑制策の実施もできませんでした。
 このままでは、生活関連経路の位置づけられないところでしたが、基準に合わせられないために生活関連経路に位置づけることができず、可能な整備すら行われないという状況になっては本末転倒です。そこで、特定道路の考え方について、国の機関である中部地方整備局に確認したところ、特定道路は2008年に告示されたもので、バリアフリー基本構想が新たに策定されても、それによって増えていくものではないという回答を得ました。つまり、特定道路でなければ、道路移動等円滑化基準に厳密に適合させる根拠は無く、必要な事項を実情に合わせて構想に位置づけていけば良いということになります。
 そのことが判明してから、実際の道路管理者の意見を聞き、何度も現地に足を運んで必要な記述内容を整え、道路管理者に承諾をもらいながら策定を進めました。

(2) 交通安全施設
 交通安全施設としては、道路標識、道路標示、信号機があげられます。
 道路標識や道路標示については、明るく見やすいものにすることで、より交通の安全が図られます。この点については、重点整備地区内のものについては、改修の際に高輝度化を測るということで警察署から了解をいただきました。しかし、協議会や団体のヒアリングで要望があったことの1つとして、横断歩道の新設があげられていました。対象となる場所を提示したのですが、横断歩道の設置については道路管理上の基準があり、交通に影響があることから、認められませんでした。基本構想では、横断歩道の記述を削除するかわりに横断の安全に配慮する等の記述を加えてあります。
 信号機についてですが、警察署と協議をした結果、点字ブロックを設置する場所上の信号機が音声案内対応型である必要があることは理解を得られました。国の定める基本方針では、重点整備地区内の信号機は全て音声案内対応型に変更するものとしていますが、増えすぎてしまうとかえって混乱を招くことになりかねないため、あくまで点字ブロック上のみのものだけとしました。信号機については、青色時間の延長などもありますが、自動車交通に対する影響が大きいため、適正な青色時間であるか点検するという内容にとどめました。

(3) 鉄道会社
 富士駅はJR東海が管理する鉄道駅です。利用者が多いこともあり、エレベーターや点字ブロックの点字、券売機の改修等、必要なバリアフリー化は完了しています。現状以上のバリアフリー化を求める必要はなさそうでしたが、鉄道から降りて以降の案内が十分ではないという意見が、協議会やアンケート調査の結果把握できていました。
 改札に接する自由通路はJRの管轄、自由通路に接続するペデストリアンデッキは市の管理です。ペデストリアンデッキに案内看板を設置するのは問題ありませんが、デッキに出たときには、駅の北か南に分かれた後であるため、改札から出た直後に案内を設置できないか求めました。改札部分の天井近くには案内があるのですが、高齢者、障害者等の視線を考えると、位置が高いため気づかない可能性が強かったのです。協議を重ねるうちに理解を得られたというには十分ではありませんが、構想策定後には市との協議に応じるということで同意を得ることができました。ただし、JRの財産をバリアフリー化していくと判断できる記述は構想からすべて削除することになりました。

(4) その他の施設
 生活関連施設として位置づけた建築物については、多くが民間の所有であることもありますが、すでにバリアフリー対応されている施設がほとんどでした。そこで、各施設の管理者には基本構想に記載されることについて説明を行いましたが、実際には増改築の際にバリアフリーの基準に適合させるよう検討するといった内容にとどめました。
 また、都市公園については、公園として整備済みでもあり、新たな整備はできないという回答でした。トイレや段差について、十分なバリアフリー化が行われているわけではないのですが、改修の際に検討するという内容に留まりました。
 鉄道以外の交通機関であるバスやタクシーについては、低床バスやユニバーサルデザイン(UD)タクシーの導入は全国的に進んでいることもあり、バス乗り場等については道路事業の中で見直されることになるため、協議会の場に委員として参加してもらい、ご理解をいただいています。

6. 事業化と今後の見通し

 2014年には、基本構想に基づいた特定事業計画が策定され、2015年度から本格的に事業が始まっていく予定です。
 その結果、富士駅周辺地区はどうなるのか。策定の際に作成したパンフレットの内容を一部ご紹介します。

『バリアフリー基本構想によって、富士駅周辺地区はこう変わります!!』(抜粋)

◎生活に必要な施設に、安全で快適に移動できるようになります。
・歩道がない道路は、車の速度抑制策を実施し、歩行者の通行スペースを確保して安全な道路にします。
・視覚障害者誘導用ブロックを、実際の利便性・回遊性に配慮し、連続して設置します。
・視覚障害者誘導用ブロックを設置する経路上の信号機は、音声案内対応型に変更します。
◎交通の結節点である富士駅の機能が向上します。
・車いす利用の方でも安心して駅を利用できるよう、南北の市営駐車場から富士駅までを、バリアフリー化された経路で結びます。
・駅周辺の案内看板を充実させ、安心して駅を利用できるようになります。
・市営富士駅前駐車場の車いすスペースを増設します。
◎まちに賑わいが生まれ、多くの人が訪れるようになります。
・商店街前の歩道は、滑りにくい舗装に変更し、雨の日でも安心してショッピングを楽しめるようになります。
・富士駅周辺に来れば、バリアなく移動できることにより、外出を敬遠していた高齢者や障害者等が外出しやすくなります。
・主な道路が歩行者にとって安全になることにより、狭い路地を通行しなくなります。安全な町として多くの人が訪れるようになります。
・商店街から自転車が減り、富士駅前のメインロードを安心して歩けるようになります。
・災害時の避難所となっている小学校・私立高校までバリアフリー化された経路で結ぶことにより、富士駅周辺ならいざというときも安心です。
◎さらに……
・重点整備地区内の全ての道路について、改修の際にはバリアフリー化に対応します。

7. まとめ

 国土交通省をはじめ、国全体がユニバーサルデザイン化に向けて取り組んでいることもあり、全体としては順風の中で策定作業を進められたと考えています。もちろん、バリアフリー化に反対するといった声はありませんでした。
 策定の際に、最も障害になったのは、山がちな日本の地形でした。どこまでも平らな土地が続く大陸とは、明らかに条件が違います。道路の傾斜をなくすということがいかに困難か、改めて認識させられました。
 結果としては満足のいく内容となったと思っています。できるだけのことはしたという思いもあります。その結果が、生活関連経路28本という数字に表れていると思います。実際の事業化については担当部署に任せるしかないのですが、基本構想策定で満足せず、全ての人にとっての暮らしやすい町については、常に考え続けなくてはならないテーマだと実感しています。