【自主レポート】

第35回佐賀自治研集会
第7分科会 ワークショップ「自治研」 楽しく学ぶ自治研活動

 住んでいても知らないことがイッパイ。働いていても知らないことがイッパイ。まちにはそんな知らないがイッパイ隠れています。そんな「知らない」に職員として触れてみませんか?



歩いて知る、働くまち
歩く目線で働くまちの再発見

石川県本部/野々市市職員労働組合 池上 直樹

1. はじめに

 私たちが働く石川県にある野々市市(ののいちし)はお隣の金沢市のベッドタウンとして栄え、面積が14km2に人口が5万人、平均年齢39.7歳、山や海、大きな川も無いという市で当時の平成の大合併の雰囲気の中、2011年11月11日に単独市制で町から市となりました。
 東洋経済新報社が毎年公表している「住みよさランキング」では2012年・2013年に全国2位、2014年は3位というとてもありがたい評価を頂きました。
 野々市市職員労働組合では一昨年まで組合員とその家族の親睦のため、毎年ユニバーサルスタジオなど県外への日帰りバス旅行を行っていました。
 しかし、それは低料金の参加費徴収で行っていたため、かなりの組合費の持出しが必要とされ、いくら親睦のためとはいえ組合財政を圧迫するので行事内容の再考を迫られていました。
 執行委員会でこの話題を議論していた際にある執行委員の口から出た「県外の旅行ではなく発想を変えて自分たちが働く野々市を歩いてみたら」という言葉……これだ


2. 企 画

 野々市市役所も自分が勤務し始めた23年前には職員の殆どが野々市町民(市制前)で役場に来られる方も職員と顔馴染みの方が多いなという雰囲気でした。
 しかし近年の人口の急激な増加に伴い町から市へと変わり、その間に職員の構成も変わり地元の野々市市出身者、在住の職員の割合が年々小さくなってきたのです。
 それが良いことか悪いことかはわかりませんが根っからの野々市っ子である私からすると、野々市市出身・在住でない若い職員が上司に「市内の公共施設に行ってきて」と言われ、インターネットや地図を調べ始める光景……市になったとはいえ約14km2の小さな市です、市役所で働いていてそんな事もわからないのか……とついつい思ってしまいます。
 市制に伴い時期を同じくするように野々市市では有志によるボランティアガイド「ののいち里まち倶楽部」が発足し「住んでよし」「訪れてよし」の「里まち」野々市を紹介するためと活動を始めていました。
 野々市市出身・在住ではない多くの組合員に自分たちが働く野々市という「まち」を知ってもらう良い機会だし県外へのバス旅行と違い活動時間も短く、そして家族連れじゃなくても参加しやすいという思いと「ののいち里まち倶楽部」様のご協力の承諾もいただけたのでこの企画にゴーサインが出ました。
 企画は以前まで旅行を担当していた組合の体育厚生部が担当し、勤務時間が終わった後、自分たちのアイディアと「ののいち里まち倶楽部」のアイディアを摺合せ「縄文の里を訪れて」「北国街道歴史散歩」「昭和の鉄道 松金線 跡を訪ねて」「富奥の史跡と大木を訪ねて」とそれぞれのテーマを持った2~4kmの4つのコースを作成し、参加者に申込時に選んでもらうという企画になりました。


3. 実 施

 初めての企画に何人の参加があるかと心配していましたが初回となる2013年6月9日の開催には77人の組合員とその家族、そして管理職と合わせて90人の参加となりました。
 当日は天気にも恵まれ市役所正面玄関前に参加者全員が集合し、諸注意や「ののいち里まち倶楽部」の皆さんの紹介の後、それぞれのコースに分かれ「まち歩き」のスタートです。
 私も息子と野々市市で国の史跡に指定されている縄文遺跡「御経塚遺跡」を中心に周る「縄文の里を訪れて」というコースに参加しました。
 私は生まれてからずっと野々市在住なので息子にいろいろこの近辺のことを教えながら歩こうかと思っていましたが目の前に広がる光景が何かいつもと違うのです。気が付くと私がよく見る野々市の光景は車の車窓からばかりだったのです。
 子どものころは歩きや自転車で見ていた風景も社会人になり移動手段が車中心の生活になってしまい、最近見ていたこのまちの風景は速い速度で窓越しに見ていた風景ばかりだったのです。
 ガイドの方が案内してくれている場所は知っているし見たことがある場所だがゆっくりとした歩きの速度で見る光景は新鮮で美しく、そして「こんな場所に?」という驚きが満載だったのです。
 そしてこの風景を知らなかった息子は新しい事を知る喜びで笑顔が絶えることがなく、歩きながら二人の会話が止まりませんでした。
 まち歩きが終わりに差し掛かったころ「自分はこのまちのこと知ってるつもりが知らなかったんだ」という恥ずかしさが私を襲いました。 
 野々市市在住者と自信満々に働いていながら初めて感じる風景の数々……その時改めて思いました、「この企画は凄い」と。
 この「まち」に働く者がこの「まち」を知る、それを業務で行うのではなく自発的な組合活動として行う。
 「まち」を知る組合員、「まち」を知りたい組合員、そんな垣根をとっぱらってこのような企画にどんどん参加して自分が働き、住むこの「まち」をもっと、もっと知りましょう。

※ まち歩きは2014年も4月27日に開催されました。


野々市市職労ウォーキングチラシ(まち歩き)
2013.6野々市市職労情報(まち歩き)