【自主レポート】

第35回佐賀自治研集会
第7分科会 ワークショップ「自治研」楽しく学ぶ自治研活動

 出雲市職員連合労働組合では、数年前から新たに取り組みを始めた自治研活動があります。本レポートではこれらの取り組みを開始するに至った経緯と活動状況を振り返るとともに、活動の前進に向け今後取り組むべき課題をとりあげました。
 本文でもふれていますが、組合員に自治研活動の意義を再認識してもらうことが取り組み前進の第一歩です。このレポートがそのための一つの契機となればと考えています。



出雲市職員連合労働組合における自治研活動
―― 近年の活動報告と今後の展望 ――

島根県本部/出雲市職員連合労働組合・自治研推進部

1. はじめに

(1) 自治研活動とは
 自治労の自治研活動は、1957年に財政危機が全国の地方自治体に波及した時代背景のなかで開催された、第1回地方自治研究全国集会に始まります。この集会は、「自治体は住民の要求にどう応えているか」を基調テーマに、財政危機を理由にした賃金削減や住民サービスの切り下げに対して打開策を見出すために開かれました。
 また、1961年、静岡で開催された第5回集会以降は「地方自治を住民の手に」が基調テーマとなり、地方自治体の抱える様々な問題を明らかにしていくなかで、労働組合の運動が住民のための運動となることが自治研活動の基軸と位置づけられています。

(2) 労働組合における自治研活動の意義
 ひとえに「労働組合運動」といえば、自身の雇用や権利を守るための活動を指します。自治労島根県本部の5大闘争と呼ばれる、春闘・男女産別統一闘争・人員確保闘争・現業公企統一闘争・賃金確定闘争は、すべて私たちの労働条件に直結する問題に対して当局と交渉していくことが主な活動となります。
 しかし、前述のとおり自治研活動は、いわゆる労働組合運動とは趣を異にしている運動です。つまり、最終的な目的が「住民のために」であることから、自身の労働条件についてではなく、自身の仕事内容を見つめ直す運動といえます。それゆえ、場合によっては「管理運営事項」にまで踏み込んだ内容を取り扱う場合もあります。
 このように、自治体労働者の視点で自治体を見直し、問題点・解決策などを見出す運動からスタートした自治研活動ですが、最終目的の「住民のため」に行う活動は広義的に自治研活動であるとされています。よって、現在では全国の単組で様々な内容の自治研活動が取り組まれています。

(3) 組織内での議論の経過
 このような中、出雲市職でも自治研活動のあり方を今一度考えてみるべきではないかとの議論が持ち上がってきました。これまで出雲市職の自治研活動では、財政分析や人事評価制度の研究等、対内的な取り組みを主として行っていましたが、全国の単組において、地域住民と一体となっての取り組みや、直接的に地域活性化に貢献する取り組み等が行われているのを見聞きし、地域・住民のために私たちができる活動がまだほかにもあるのではないか、という提起からでした。
 議論の過程では、私たちは市民からまちづくりの付託を受ける市職員として、地域社会に貢献する活動を行っていく責務があるという点を確認し、組合員はもちろん、一般の方も気軽に参加でき、長期にわたり続けていける活動の実施をめざそうということになりました。また、活動を通して地域や社会の役に立つことはもとより、労働組合活動への理解を組織内外で深めてもらう契機にもしたいと考えました。


2. 具体的な取り組み

(1) 取り組み内容の決定にむけて
 具体的な取り組み内容の決定にあたっては、組合員の参加しやすさ・継続性という点を重視し、全組合員を対象にしたアンケートを2011年4月に行い、活動のアイディアを募集しました。
回答を集計したところ、大多数の意見が清掃活動と募金活動で占められており、特に清掃活動については回答した人の半数以上が意見として挙げていました。そのため、これらの活動であれば多くの組合員の協力が得られると考え、以下の活動を行っていくこととしました。

(2) 活動報告
① ファミリー清掃活動
  組合員だけではなく、家族の方にも参加していただく活動として、市内のわかあゆの里を会場としたファミリー清掃活動を2011年6月18日(土)において企画しました。出雲市乙立町にあるわかあゆの里は、名勝天然記念物・立久恵峡の峡谷と清流神戸川に囲まれた自然ゆたかなキャンプ場ですが、2006年の豪雨災害で甚大な被害を受け、この年ようやく復興を果たしたばかりでした。そのため、復興祝いの思いと利用促進の願いを込めて、初回の活動場所として選びました。
  活動内容が決まると、代議員会資料や組合機関紙を通じて参加者の募集を行い、現地の下見等準備を進めましたが、大変残念なことに当日は悪天候に見舞われたため、清掃活動は中止を余儀なくされ、初の試みは不本意な結果となってしまいました。
  そこで翌年は時期をずらし、2012年7月14日(土)に、再度わかあゆの里で同様の活動を企画したところ、8家族18人が参加しました。この日は何とか天気ももちこたえ、ファミリー清掃と銘打っただけあって、子ども連れでの参加がほとんどというにぎやかな雰囲気の中での活動となりました。
  一見きれいなように見えた公園内は、歩いてみると使用済み花火やビニールごみなどが落ちており、予想よりも多くのごみを回収しました。子どもたちも熱心に取り組み、この日の清掃活動を無事終えることができました。小さな子どもがいるうちは、なかなか組合活動に参加しにくいものですが、そういった方にも気軽に参加してもらえたという点でも意義があったのではと考えています。

ファミリー清掃活動終了後、参加した組合員とその家族で記念撮影

② 書き損じハガキ等の回収
  誰もが手軽に社会貢献に参加できる取り組みとして、書き損じハガキや未使用切手等を回収する取り組みを2011年の年末から実施しています。代議員会や機関紙を通じて回収を呼びかけ、年賀ハガキの書き損じが多く回収できる年明けに取りまとめて、特定非営利活動法人エファジャパンに送付します。
  エファジャパンは、自治労が社会貢献事業として1994年に開始した子どもの家事業を引き継いだ国際協力団体で、ベトナム、ラオス、カンボジアなどの東南アジア諸国を中心に、生活環境や教育環境の整備等、子どもの権利を実現する取り組みを行っています。私たちが回収した書き損じハガキ等は、送付後切手に交換されることによりこれらの活動に役立てられています。
  これまでに、2012年度はハガキ224枚、テレホンカード39枚、切手215円分が集まり、2013年度はハガキ490枚、テレホンカード8枚、切手1,480円分が集まりました。この活動は徐々に組合員の間に浸透してきているようで、開始間もない取り組みではありますが、2013年度の回収枚数は2012年度を大きく上回る結果となりました。今後もより多くの組合員に協力してもらえるよう継続して呼びかけを行い、活動を拡大していけるよう取り組んでいきます。

(3) 震災復興支援の取り組み

気仙沼市職の畠山さんと握手する第一陣の2人

 また、これらのほかに行っているのが宮城県気仙沼市職員労働組合への支援活動です。出雲市職では2011年3月の東北地方太平洋沖地震発生後、組合員2人が自治労復興支援活動の第一陣として気仙沼市入りしたのを縁に、現在も独自の支援活動を継続して行っています。
 第一陣として参加した2人は、16日間にわたる復興支援活動を終えて出雲市に戻った直後、現地の自らが被災しながらも懸命に働く市の職員や、一緒になって避難所を運営する被災者の姿から感じたことなどを、機関紙を通じて全組合員に報告しました。また、2012年3月には執行委員長ら2人が気仙沼市を訪問し、気仙沼市職の皆さんから、通常業務を優先させなければならない事情から執行委員会の開催もままならず、通常の闘争も行えていないこと、またそのような状況の中でも組合員を対象としたメンタルカウンセリングを行い、心のケアに努めているといった現状を聞きました。
 こうした気仙沼市職の状況に、自治労の仲間として私たちができる支援を行っていこうと、以下の取り組みを行いました。
① 気仙沼市特産品販売の斡旋
  地域復興の一助となるよう、気仙沼市特産品の販売斡旋を行いました。海産物の加工品を中心におよそ30品目をリストアップし注文を取りまとめたところ、ふかひれスープや気仙沼市観光キャラクター「ホヤぼーや」をあしらったお菓子などが人気を集め、2012年度の販売総額は228,972円となりました。
 これらの取り組みは、気仙沼市職に対する支援活動、また地域に対する復興支援としてはきわめて微力なものではありますが、今後も継続した支援活動により、復興支援の取り組みを継続していきたいと思います。
② 支援カンパ
  約700人おられる組合員のうち3割もの方が被災されたと聞き、わずかでも損害の補填にあててもらえればとカンパを募りました。寄せられたカンパの総額は261,441円となり、2012年5月に送金しました。
2012.5.15 島根日日新報
2012.5.22 山陰中央新報

 

③ 支援物品の寄贈
  組合活動が停止している状態であることを受け、日常的に使用できる物品により組合の一体感の醸成を図ってもらおうと、メッセージ入りのボールペンを気仙沼市職の全組合員分寄贈しました。ボールペンには「気仙沼の復興を応援しています 出雲市職員連合労働組合」というメッセージを入れ、同じ自治労の仲間として早期復興を応援していることを伝えました。

メッセージ入りのボールペン(上)とともに
気仙沼市職へ送付した寄せ書き(右)

 

3. おわりに

(1) これまでの活動から見えてきた課題
 私たちは、市民からまちづくりの付託を受けた市職員として、目に見える形で社会貢献していく責務があるという思いから、近年、自治研活動の一つである清掃活動等といった社会貢献活動に取り組んできました。しかしこれまでの活動実績から言えるのは、活動への参加が一部の組合員や、その家族に限られていること、そして地域への広がりまでは進んでいないというのが現状だということです。
 特に清掃活動は、組合員の参加しやすさを重視して企画した活動ではありましたが、実際には参加者が募集定員を下回る結果となりました。その要因として、こういった地域に出かけての自治研活動に対する取り組みの日が浅く、組合員にとってなじみがなかったということもありますが、それ以前に自治研活動そのものの意義が組合員に十分浸透していないことが原因ではないかと分析しています。

(2) 今後の取り組みの前進にむけて
 自治研活動は、社会貢献活動に限らず労働組合が主体的に、地方行政、自治体政策、自らの仕事のあり方について研究し、実践していくことです。しかし先に述べたように、私たちが新たに始めた取り組みは、このような段階にまでは至っていません。
 出雲市職としての今後の取り組みは、まず組合員に自治研活動の意味や意義を改めて知ってもらい、関心を持ってもらうことから始める必要があると考えます。同時に、より組合員が参加しやすい、あるいは参加したくなるような活動を実施していけるよう、工夫を重ねていくことももちろん必要です。そして、これまでの活動を含め、長期的な取り組みを行っていく中で自治体から地域へと活動の場を広げ、市民との協働により、めざす「住民のための」自治研活動を実現できるよう取り組みを進めていきます。