【自主レポート】

第35回佐賀自治研集会
第8分科会 男女がともにつくる、私たちのまち

 函館市近郊5市町村が合併して、10年が経過する。この間、それぞれの地域の特色を生かしながら、市としてのさらなる発展をめざし市政運営を行ってきているが、一方で、長引く景気低迷や出生数の減少、人口流出による人口減少が続き、様々な課題に直面していることから、2006年と2008年、2010年に引き続き市民・組合員へのアンケートを実施し、これまでの結果との比較・検証により、今後のまちづくりの方向性を探るものである。



市町村合併後の住民意識の変化とまちづくりの課題


北海道本部/函館市役所職員労働組合 外﨑 洋亮

1. 調査概要

① 調査期間 組合員  2014年6月2日~6月16日
       市 民  2014年5月26日~6月20日
② 配 布 数 組合員  1,490人(※2010・1,626人、2008・1,844人、2006・2,081人)
       市 民  1,000人(※2010、2008、2006・1,000人)
       ※ 市民のうち700人は電話帳・住宅地図から無作為抽出にて郵送。
         (旧函館・500人、旧戸井・40人、旧恵山・60人、旧椴法華・20人、旧南茅部・80人)
       ※ 残りの市民300人分については、地区連合傘下の組合員および家族へ依頼
③ 回 収 数 組合員  1,034人
       市 民   493人
④ 回 収 率 組合員   69.4%(※2010・63.8%、2008・66.2%、2006・66.2%)
       市 民   49.3%(※2010・42.4%、2008・48.3%、2006・51.0%)
⑤ 調査内容 アンケート用紙のとおり
       (調査項目については、2006、2008、2010年実施時から一部追加)

2. 各調査項目結果

(1) 合併の感想(市民設問6・組合員設問7)
① 組合員・市民双方とも、半数以上が「わからない」と回答。
  市民・組合員ともに、否定派が賛成派を上回っている。
② 地域別にみると、旧函館居住者、旧4町村の市民ともに、否定派が肯定派を上回っている。特に、旧4町村の市民は、肯定派(6.8%)を否定派(55.1%)が大きく上回っている。

(2) 合併によるプラス効果(市民設問7・組合員設問8)
① 組合員については、「地域の連帯感」、「経済・産業」、「公共施設」の順に高く、その他はバラツキがある。地域別にみると、椴法華・南茅部では「環境衛生事業」、戸井では「経済・産業」、恵山では「日常生活の利便性」が高順位。
② 市民については、「公共施設」、「日常生活の利便性」の順に高い。地域別にみると、戸井・南茅部では「公共施設」、恵山・椴法華では「日常生活の利便性」が高順位。

(3) 合併によるマイナス効果(市民設問8・組合員設問9)
① 組合員については、「日常生活の利便性」、「地域の連帯感」の順に高く、その他はバラツキがある。「保健・医療・福祉水準」については、旧函館4.3%に対し、旧4町村20.0%とほぼ5倍になっている。
② 市民については、「日常生活の利便性」、「保健・医療・福祉水準」の順に高率。地域別にみると、旧函館、戸井で「日常生活の利便性」が高率で、恵山では「保健・医療・福祉水準」、椴法華では「公共施設」、南茅部では「経済・産業」、「地域の連帯感」が高率。

(4) 設問7・8・9の総合検証
① 無回答(Non Answer)が組合員で5割を超えている。特に、市民、組合員ともに旧4町村地域のプラス効果の回答率が低い点が顕著。
② 地域の連帯感について、旧函館は組合員・市民ともにプラス効果に挙げているが、旧4町村では、組合員(プラス3.8%)・市民(プラス0.7%)と極めて低率。反対に、組合員(マイナス22.5%)・市民(マイナス14.3%)とマイナス効果に挙げている率が高い。

(5) 市民の満足度(市民設問11・組合員設問12)
① 組合員は市民の「満足:不満足」を17:57と回答。これに対して、市民は「満足:不満足」を31:54と回答している。旧4町村については、組合員が14:66と回答しており、不満足の割合が高くなっている。
② 設問6及び7で「合併しないほうが良かった」と回答した組合員の約7割、市民の8割が不満足と回答している。

(6) 市民の満足点(市民設問12-1・組合員設問13-1)
① 組合員・市民ともに、「自然・気候」がトップで、順位は異なるものの「公共施設」「買い物の利便性」が2・3位に位置している。
② 旧4町村においても、「自然・気候」がトップであるが、その他については、満足点についての回答が少なかったこともあり、ほぼ横並びであった。また、設問6及び7で「合併して良かった」と回答した市民の約3割が「福祉・医療」を挙げている。

(7) 市民の不満足点(市民設問12-2・組合員設問13-2)
① 組合員は「労働環境」、市民は「行政サービス」をトップにあげている。組合員は「行政サービス」、「余暇の場所・機会」が、市民は「福祉・医療」、「労働環境」が2・3位となっている。
② 地域別にみると、ほぼ上記の4項目が上位を占めているが、恵山地区市民では「公共施設」、椴法華地区市民では「文化・教育環境」を2位に挙げている。
③ 設問6及び7で「合併しないほうが良かった」と回答した市民の約6割と組合員の約4割が「行政サービス」を、市民の約4割と組合員の約5割が「労働環境」を挙げている。

(8) 東部4支所の機能(旧4町村市民のみ・設問9)
① 地域の声として、6割以上が「反映されていない」、「あまり反映されていない」を回答している一方、「十分反映されている」、「ある程度反映されている」を選択したのは1割未満である。
② 支所機能についても、約6割が「機能していない」、「あまり機能していない」と回答している一方、「十分機能している」、「ある程度機能している」を選択したのは約2割となっている。
③ 「機能していない」理由としては、「行政サービスの低下」が48.6%であり、続いて、「職員数の減少」が25.7%となっている。

(9) 東部4支所体制(組合員のみ・設問10)
① 「現状のままで良い」が23.6%、「体制を縮小すべき」が19.5%となっており、「わからない」が約5割となっている。
② 旧4町村においても傾向は変わらないが、南茅部で「体制を拡大すべき」が29.4%と高率となっており、回答理由として、「行政サービスの充実」が高率となっている。
③ 設問6で「合併しないほうが良かった」と回答した組合員の約3割が、「体制を縮小すべき」と回答している。
④ 回答理由として、「何も問題ない」と「地区人口と職員配置のアンバランス」が高率となっている。

(10) 東部4支所との連携(組合員のみ・設問11)
① 3割以上の組合員が「十分図られている」、「図られている」と回答しているが、「わからない」と回答した組合員もほぼ同率となっている。
② 椴法華と南茅部の約4割が、「図られていない」と回答している。
③ 職種別でみると、事務職の約4割が「図られている」と回答しているが、現業職の約7割が「わからない」と回答している。
④ 設問6で「合併して良かった」と回答した組合員の5割以上が「図られている」と回答している。

(11) 市政の課題点(組合員のみ・設問14)
① 約7割が「ある」と回答し、課題点として「予算・財政負担」「職員不足」の順に挙げている(約5割)。また、椴法華・南茅部では「市民ニーズとの不整合」を約7割の組合員が挙げている。設問6で「合併しないほうが良かった」と回答した組合員の約7割が「職員不足」を課題として挙げている。

(12) 市の将来像(市民設問13・組合員設問15)
① 組合員が「国際観光都市」(27.4%)、市民が「福祉都市」(31.6%)をトップに挙げている。順位は異なるが、組合員が「福祉都市」(23.6%)、市民が設問を新たに追加した「エネルギー自立都市」(24.7%)をその次にあげている。
② 地域的にみると、「水産海洋産業推進」が旧4町村組合員で25.0%(旧函館・17.8%)、市民で28.6%(旧函館・10.9%)といずれも旧函館より高率である。
  なお、「新たな合併」を選択したのは、市民・組合員ともに1割未満である。

(13) 今後のまちづくりの進め方(市民設問14・組合員設問16)
① 組合員・市民ともに、「予算規模にあわせた規模縮小」、「NPO等の活用」、「地域活動の活発化」が上位を占めており、地域別でも順位は異なるが同様の結果であった。

(14) まちづくりと市役所の関わり方(組合員のみ・設問17)
① 「市民と協働してすすめる」が約5割を占める。また、「小さな市役所をめざす」については、旧函館では26.1%、旧4町村では21.3%を占めている。

(15) まちづくり活動への意欲(組合員のみ・設問18~19)
① 総体的には、性別・年代・職種を問わず、現在参加していない組合員が約7割にのぼる。
  一方、地域別にみると、旧4町村地域では約5割が参加しているのに対し、旧函館は約7割が参加していない状況にある。
② 現在、活動に参加している組合員の約7割が、引き続き活動を継続する意思をもっており、性別・年代・職種・地域に差異はない。
③ 現在、活動に参加していない組合員について、総体的には今後の参加意欲ありと回答したのが43.3%で、意欲がないと回答した32.9%を上回った。特に、性別では女性、年代別では20代と40代、50代以上、地域では旧4町村在住者の参加意欲が高い(戸井地区以外過半数)が、それ以外の層においては「積極派:消極派」の割合は、30代でほぼ拮抗、旧函館は参加意欲ありと回答したのが42.8%、意欲がないと回答したのが33.6%となっている。

(16) まちづくり活動の参加状況(市民設問15)
① 現在活動している市民は総体で16.8%で、今後活動してみたいと考えている人は36.3%、関心のない人が41.3%で消極派が上回り、女性が同様の傾向にある。
② 年代別に比較すると、50代と60代以上は活動に対し積極的である一方、その他の世代は消極派が上回っている。
③ 地域別の比較では、恵山・椴法華について参加率は4割以上と高い。他の地域については、全体傾向とそれほど差異はないが、旧函館で活動に参加していない人の今後の参加意欲は積極派が上回っている。

3. 2006・2008・2010調査結果との相違点

(1) 合併の感想
① 市民の回答において、今回も否定派が肯定派を上回ったが、前回(2010年)から肯定派が若干増加し、その差が縮まっている。一方、組合員の回答において、これまでどおり否定派が肯定派を上回り、その差も若干増加している。

(2) 合併によるマイナス効果
① 従来、組合員は「行政サービス水準」、市民は「保健・医療・福祉水準」をワースト1に挙げていたが、今回は、組合員・市民ともに、「日常生活の利便性」を挙げている。また、従来から回答のバラツキが見られる。

(3) 市民の満足度
① 市民・組合員の回答において、ともに「市民の不満足度」の割合が高いが、前回(2010年)から減少している。
  (市民44%→48%→56%→54%、組合員49%→63%→73%→56%)

(4) 市民の不満足な点
① 市民・組合員の回答は、ともにこれまで「労働環境」、「福祉・医療」、「行政サービス」が上位であり、今回も同様の傾向であるが、特に、「労働環境」を回答する組合員の割合が高い。

(5) 市政の課題点
① 「ある」と回答した組合員の比率は、従来同様に高い。課題点の「予算・財政」を挙げた比率は、前回から増加、「市民ニーズとの整合性」を挙げた比率は、前回から若干減少した一方、職員不足は2倍以上に増加している。
  (15.5%→16.3%→22.7%→52.7%)

(6) 市の将来像
① 「福祉都市」と「水産海洋産業推進」の上位2項目は変わりないが、市民は、新設した「エネルギー自立都市」が「国際観光都市」に代わり3位となった。組合員は、「国際観光都市」「福祉都市」「水産海洋産業推進」の上位3項目は変わりがなく、比率も従来から変動がない。

(7) まちづくり活動の参加状況
① 前回上昇傾向であった「機会があれば参加したい」、「既に行っている」が、今回も上昇し、「全く関心がない」が減少(7.2%→16.3%→10.5%)した。

4. 調査結果から推察される課題点

① 10年を迎えようとしているが、大多数が合併の是非を未だに判断できない状況である。これは、合併により具体的なプラス面、もしくはマイナス面が生じていないと捉えてよいものか、合併の是非を決める判断材料が何か、さらに精査する必要がある。
  市民の回答において、「合併しない方が良かった」と感じている人が若干減少している一方、組合員の回答において、前回調査(2010年)より増加している。何故、市民と組合員とでこのような違いが出たのかあわせて精査する必要がある。
② 東部4支所地域においては、依然として「保健・医療・福祉水準が下がった」と感じている人が多く、「日常生活の利便性が悪くなった」と感じている人が大幅に増加している。東部4支所地域の人々が求める「保健・医療・福祉の水準」、「日常生活の利便性」が何かを精査することが、合併の是非を決める一つの判断材料になるのではないかと考える。
  いずれにせよ、東部4支所地域においては、地域の独自性を生かし、職員と地域住民が一体となって、活力を感じられるような取り組みが必要である。
③ 現在の市政(市役所)に対し、従来と同様、約半数の市民が不満足と回答している。さらに、その不満足な点として、「行政サービス水準」が高位を占めていることは、市職員として真摯に受け止めなければならない。また、「福祉・医療」、「労働環境」に対する不満も従来と同様、高位となっていることから、その対策も進めていかなければならない。
④ 今回、東部4支所地域の市民向けに新設した東部4支所の機能については、約7割が地域の声が反映されていないと回答し、さらに、6割が支所が機能していないと回答しているが、その理由として、行政サービスの低下と職員数の減少が高位となっている。
  これについては、地域の声が届いていない実態や、何をもって行政サービスの低下を感じているかを深く掘り下げて精査・議論する必要がある。
⑤ 今回、組合員向けに新設した東部4支所体制と連携については、体制について4割以上が「体制を縮小すべき」と回答しており、「合併しない方が良かった」と回答した組合員が高率となっているが、その理由としては、「地区人口と職員配置のアンバランス」が高率となっている。また、連携については、全体で3割以上の組合員が「図られている」と回答し、「合併して良かった」と回答した組合員の5割以上が「図られている」と回答している。
  しかし、「合併しない方が良かった」と回答した組合員の約3割が「図られていない」と回答していることや、「わからない」と回答している組合員も多いことから、連携を図らなければならない業務で連携がとれていないのか、そもそも連携を図る必要がない業務なのか精査する必要がある。
  いずれにせよ、地域の独自性を発揮するための支所体制や、地域防災体制の観点から、東部4支所体制のあり方を議論する必要がある。
⑥ 組合員は、今後のまちづくりの進め方について、「市民との協働」を高位に挙げているが、現在のまちづくりへの参加状況が全体で3割に止まっている。特に、10代~30代の若年層において顕著な傾向であるが、10代と20代については、今後の参加意欲が高いことから、まちづくり活動への機会の提供が必要である。一方、活動の中枢を担うべき30代は今後の参加意欲が低いことを考えると、活動への意欲喚起が早急に必要である。
  また、市民については、旧函館で参加率が低く、東部4支所地域で参加率が高い傾向となっているが、まちづくりを進めるうえでは、市民・組合員双方の意欲喚起・機会提供が必要である。

5. むすび

 今回のアンケート調査により、先述のとおり、当市のまちづくりを進めていくうえでの、いくつかの課題点が認識できた。また、過去3回の調査と比較して、項目によっては住民意識の変化も見受けられた。
 いずれにしても、今後、住民にとって住みよい、輝きのあるまちづくりを追求していくために、これら課題に対し職員組合として市政運営へ積極的に関わるとともに、単組としての独自運動を継続して展開していく必要がある。このためには、日頃から地域住民と連携を一層強化し、お互いの協働体制を構築していくことが必須である。
 今後の取り組みに生かしていきたい。