【自主レポート】

第35回佐賀自治研集会
第8分科会 男女がともにつくる、私たちのまち

ゆるやかな参加のかたち
~おしごと女子のおしゃべりカフェ~

京都府本部/福知山市役所職員労働組合 横田 未来

1. はじめに

 女性が集まるとおしゃべりが進む、甘いものとお茶があればおしゃべりが止まらない。福知山市では、2011年から「おしごと女子のおしゃべりカフェ」という男女共同参画推進事業を行っています。
 福知山市では、人権推進室の中に男女共同参画担当があり、女性相談、協働支援、市民啓発、企業啓発などの事業を行っています。人権推進室の業務の中でいちばんの柱は、相談業務です。福知山市は人口8万の都市ですが、それでも年間に300件以上のDVの相談がありました。軽いけんかのようなものから警察の出動が必要なものまでいろいろありましたが、相談を受けている中で感じたことは、ある価値観に縛られているということでした。また、人には色んな当たり前があり、それを人が変えるのは難しい、しかし、話を重ね、信頼関係を築いていく中で自身で気づくことがあるということもわかりました。
 相談事業そのものや相談の中から出てきた課題の背景について啓発事業を実施しています。啓発事業を行うときにいつも課題に挙がっていたのが、参加してほしい人の参加がないということでした。たとえば、男性、働いている人、若い人。そんな人たちが気軽に行ってみたいなと思える、気軽に色んな人と話ができる市役所っぽくない事業ができないかということから「おしごと女子のおしゃべりカフェ」をすることとなりました。

2. おしごと女子のおしゃべりカフェ

 「おしごと女子のおしゃべりカフェ」は、20歳代30歳代の働いている女性が集まり、仕事のことや趣味のこと、休みの過ごし方などお茶を飲みながらフリートーク形式ですすめていきます。

(1) 実施にあたって
 初対面の人が気軽におしゃべりできるよう大切にしたことは、市の事業らしくないことと場の雰囲気です。楽しくおしゃべりするにはゆるーい空気が必要、市の施設ではその雰囲気を出すのは難しいと考えました。どこでするか。ゆるい空気、おいしいお茶とお菓子、また行ってみたいと思える、この条件を満たす場所がいいなと思い「まぃまぃ堂」という昔ながらの商店街の中にあるカフェを選びました。
 また、フリートークとはいうものの場を作る人、話をしっかり聴く人も必要でした。その場で大切にされているという実感を持ってもらうためです。

(2) 進め方
 テーマをあえて設定することなく、ファシリテータの話をきっかけにフリートークを進めていきます。ファシリテータは基本的には最初のフリと時間がきたら場を閉じるくらいで基本的には参加者同士でおしゃべりをします。お菓子効果もあり、1時間半があっという間に過ぎてしまいます。

(3) 広 報
 広報も通常と違う形をとりました。通常の広報では、若い女性に見てもらえないので、チラシをお店に置いてもらうことにしました。また、私の友達とあなたの友達は知らない人ということでそれぞれの知り合いに声をかけました。なかなか自分ではいけないけれど誘われたから仕方なくという口実をつけて参加することもできます。また、カフェということでこのお店だったら行ってみたいという人や常連さんの参加もありました。このやり方で2回目以降のカフェでは参加者の友達にも広がっていきました。

3. おしゃべりの中から

(1) ジェンダー意識
 仕事の紹介や休日の過ごし方、結婚生活などの話をしました。男性が多い職場なので女性用トイレがほとんどない、おやじっぽいって言われる、30歳が近付いたら結婚をしろと言われるようになったけど30歳になったら言われなくなった、夫に家事をしてもらいたいけど、やっぱり私がしないとと思う、子どもが生まれたら小さいうちは家にいてあげないとかわいそうなどその世代の女性ならではの話を多く聞くことができました。
 こういった話の背景には女性だったらこうじゃないと、女性なのにこんなことをしてはというジェンダー意識があります。笑いながら話をしつつも何でやろなという疑問のようなものも出てきて、知らず知らずの間に決めつけられてなんとなく窮屈な思いをしているものだということがわかりました。
 新規採用職員を対象に研修をすると、特に若い世代では男女平等は当たり前で女性だからこう、男性だからこうということはなかったという意見がよく出てきます。しかし、構えないおしゃべりの中から普段の生活で知らず知らずにジェンダー意識が当たり前のこととして存在しているということが浮かび上がってきました。そしてそれを声に出すことで当たり前だと思っていたことに違和感をもつことを共有することができます。

(2) つながり
 働き始めると自分から意識しないと職場以外の人と出会う機会がないという声も多く聞きました。「おしゃべりカフェ」がきっかけでつながった人や、もともと実は知っていたかもという人もあり人のつながりのおもしろさも見えてきました。人を知ることは、その人の周りのことを知ることにもなります。たとえば、今まで地元には何もないと思っていたけど実はこんな良いところがあったとか、一人ではなかなかできなかったけど、誘ってもらったらやってみようかなということなど地元のことや人のことを知り、まちに興味を持つことにもつながったと思います。
 また、違う環境にいる人、違う価値観を持った人と話すことで自分の思っていることを再発見したり、当たり前を考えるきっかけになったりするのではないでしょうか。また同じ思いを持っている人がいることでエンパワーメントされます。
 人と人をつなぐ場があることで色んなやってみたいが実現する可能性も大きくなります。そんな可能性を秘めた場でもあるなと感じています。

(3) 声を集める
 同年代の同性、利害関係がない人同士で話をすることにより、ポロっと本音も出てくることもあります。力関係がなくフラットに話せる場。これまでの行政の事業ではなかなかなかったことかと思います。同じ思いを持っている人がいる、似たような体験をしたことがあるということを集めることで課題は社会化します。その声をしっかり受け止め、生かしていく、また何かやってみたい人の力を生かしていくことが今後の課題です。

4. 今後の展開

 「おしごと女子のおしゃべりカフェ」をきっかけに、カフェのオーナーとよく話をするようになりました。そして、カフェが主催のお茶会をやってみないかと誘われ、個人的に受けることとなりました。私の役目は、お茶会の日時を決めること、お知らせをすること、当日にその場にいて場を開いて閉じることです。私は現在、人権推進室を離れ、「おしごと女子のおしゃべりカフェ」は後任者に引き継ぎましたが、お茶会は続けています。福知山市は、配偶者の転勤等で転入してこられる方も多くいらっしゃいますが、働いていなくて子どももいない場合は、なかなか人と知り合うことが少なく、何をしたらいいのかわからないという話もありました。
 このお茶会でも感じることは、おしゃべりできる人、気軽に行ける場を求めているけどどこに行ったらいいかわからないという人がけっこういるということです。気軽に行ける場としてゆるく続けていけたらと感じています。また、カフェからお茶会への参加にもつながればと思っています。

5. さいごに

 お茶とおしゃべりという女性ならではの視点で、参加者もほとんど女性でおしゃべりして終わりなので一見生産性がないように見えるかもしれません。しかし、その中から課題や展望が見えてくることがあるのではないでしょうか。話してみて聴いてみて初めてわかること、理解できることがあります。ゆるやかに話ができる場で個人の思いを社会化することで色んな人の声が活かせるまちづくりにつながるかもしれません。
 カフェがきっかけで私自身が他人のために何かやってみようかなと思えたように、「おしゃべりカフェ」がちょっと出てみること、話をしてみることがおもしろいなとなるきっかけとなり、今後も人と思いをつなぐ場として事業を展開していけたらと思います。