【自主レポート】

第35回佐賀自治研集会
第8分科会 男女がともにつくる、私たちのまち

 DV(ドメスティック・バイオレンス)専門相談員として働き始めて見えてきた、DV対策の現状と課題についての報告。



竹原市でDV専門相談員として働き始めて見えたもの
―― DV(ドメスティック・バイオレンス)専門相談員とは ――

広島県本部/竹原市職員労働組合 高橋 美香

1. はじめに

 竹原市は広島県の南中部に位置し、古くから瀬戸内海の交通の要衝として発展しました。室町時代より港町として知られ、江戸時代後期は製塩業で栄え、現在は『安芸の小京都』と呼ばれ、2000年に国土交通省によって、町並地区が「都市景観100選」に選定されました。人口は約28,000人になります。
 私は岡山市に在住しています。竹原市は全く知らない地名でした。ご縁があり2013年6月より竹原市市民生活部人権推進室でDV専門相談員として働いています。現在は岡山と竹原を行き来しています。
 まず、みなさんはDVと言う言葉をご存知でしょうか?
 DVとは「ドメスティック・バイオレンス」の事をいいます。配偶者等からの暴力をDVといいます。最近はデートDVと言う若年層の交際相手からの暴力・ストーカー行為から殺人事件になる事件が多発しています。DVは人権侵害であり重大な犯罪行為です。DVには様々な暴力の種類があります。

●暴力の種類(DVの定義)

身体的暴力……殴る・蹴る・首を絞める・押さえつける・物を投げつける・刃物を突きつける
       髪を引っ張り引きずり回す・殴るふりをする・怪我をしているのに病院に行かせない
精神的暴力……脅す・大声でののしる・無視をする・大切にしている物を壊す、捨てる
経済的暴力……生活費を渡さない・お金を要求する・働かせない・収入を取り上げる・多額の借金をする・させる
性的暴力 ……無理やり性行為をする・避妊をしない・見たくない映像を見せ同じ行為を要求する。
       売春を強要する。
社会的暴力……メールや電話をチェックする・行動を監視し制限をする・家族友人との付き合いを嫌がり制限する

 2000年に「ストーカー規制法」、2001年には「DV防止法」が制定され、現在3度目の法改正が行われました。このことによりDV被害者は法に守られることになりました。私の仕事は被害者の方の話をお聞きし、法律に基づいた支援方法を考え情報提供をすることです。支援にはその人に合った方法があり、みなさんが全て同じ内容の支援方法ではありません。その人に適した方法を考えお伝えし、最終的には当事者本人の自己決定を尊重します。加害者から逃げる人、加害者の元に戻る人様々ですが、全てを受け入れ長く繋がり続ける信頼関係も作っていきます。
 私は2009年に国の緊急雇用対策の取り組みで1年間、更に2010年国の「住民生活に光を注ぐ交付金」事業(予算1,000億円)で2年間の合計3年間、全国で初めての試みである「DV被害者支援員養成員人材育成」制度を受けて、DV被害者を保護する民間シェルターで働きながらDVについて学びました。民間シェルターとはDV被害にあった人を安全が確保されるまで保護する所です。シェルターでは当事者の人のアドボケイト(権利擁護)・生活支援・子どもの支援・母が自立する際の就労支援・日常生活が安全に出来るまで等、当事者が回復できるまでをお手伝いします。他には様々な研修、男女共同参画の啓発活動の企画・準備・開催・運営なども学びました。雇用の3年が終わり次の就労場所として私は引き続きDV支援という仕事にどうしても付きたいと思いました。そんな中、竹原市で相談員募集を知り現在となります。私の雇用形態は「非常勤特別職」で週に30時間勤務月給制で¥146,500です。定期昇給や一時金はなく、有給休暇はありますが病気休暇等は無給です。条件等、生活するには不安はありましたが副業も可能ということだったこともありWワークしてでも3年間学んだ事を活かすこの仕事につきたくて条件等、了承の上で応募しました。業務を始めてから大きく分け①啓発活動、②支援しやすい仕組み作り、③相談員の雇用状態とスキル向上この3つの課題があるのではないかと感じました。


2. 啓発活動

(1) 竹原のDV被害者相談の現状
 私が竹原市でDV専門の相談員として配置される以前は、女性職員が相談を受けていました。専門知識がない為、県の担当に聞きながら対応していたそうです。常に適切な救済支援ができているのかと悩み考えることが多かったと聞いています。その状況で相談件数が増え、相談内容が多様化・ケースが深刻化していき、専門職が必要となり設置に至ったそうです。ですがすぐに設置となった訳ではなく、2年がかりの人事課への要求だったそうです。
 DV法によるところ婦人相談員の設置は努力義務であり広島県では14市の中で竹原市は8市目の設置になります。まず私が竹原市で働き始め感じたことは「相談件数が少ない」ということと「ひとつのケースの内容があまりにも酷く、もっと早く手を打つことが出来なかったのか」と言う点でした。
 6月の広報にDVの記事が掲載され、その中に自分がDVの被害者かどうかを知るチェックリストがありました。そのチェックリストを見た市民の方があわてて「私が受けているのはDVですか?」と相談に来ると言うことがありました。その中の数人はすでに相談者が精神的に追い込まれていると言う状況でした。その方たちは私と繋がった事で自分の身に起っていることを正しく認識して「自分は悪くない。おかしいのは相手なのだ」と最後の力を振り絞り、家を出て調停で離婚成立となりました。
 全ての方が家を出て行ける訳ではなく、家を出て行くことの出来ない理由やタイミングがあります。何とか毎日を生き抜いて生活します。家を出て行くこともできず、でも自分の身に起きていることの意味さえも分からず、ただ毎日パートナーからの暴力を受け、それでも「暴力を受けるのは自分が悪いから。」「自分さえもっと頑張れば・我慢すれば」と耐え続け、最終的に精神が不安定になってしまいます。子どもにも悪影響が出始めます。
 自分と子どもを守る為にDV被害者が加害者を殺そうとしてしまった。などと深刻なケースになっていると感じました。

(2) DV啓発チラシ配布
 相談件数が少ないのは、問題が起こっていないのでなく、知識がない為に起こっていると感じました。正しい知識をもってもらえれば早期相談につなげることができ、被害が深刻化する前に早期対応ができます。
 そう考え私が行った取り組みはDVについて正しい知識をもってもらうことでした。広報に掲載した記事を更に詳しくし、チェックリストも独自の物を掲載しDV啓発チラシを作成しました。そのDV啓発チラシを竹原市内小・中学校及び幼稚園・保育所の保護者へ配付しました。

(3) DV啓発カードの女性トイレ設置
 竹原市独自で作成している手の平サイズのDV啓発カードがあります。今までは人権センターに設置していただけでしたがこのカードを市役所庁舎・市内13公民館・図書館の女性用トイレに設置しました。被害者は女性が多数を占めます。被害者の方は加害者の監視下にいることが多く自由な行動が取れないことも多く、唯一1人になれる女性トイレにDVと啓発カードを設置することで被害者の方が相談窓口を知ることができ、更に小さなカードなのでこっそり隠し持てると言う利点があります。

(4) 女性の人権に関するパネル製作・展示
 毎年12月に開催される人権フェスティバルには、人権に関するパネルを他市から借りていましたが、2013年度は私が竹原独自の「女性の人権」に関するパネルを作成して展示しました。今年はDV・デートセクハラ・パワハラなど9つのテーマでパネルを制作しました。今後は毎年新しい人権のテーマを増やしていく予定にしています。

(5) パープルリボン・メッセージカードを付けたパープルツリー作成
 パープルカラーはあらゆる女性に対する暴力の撲滅を訴える色です。そのパープルカラーを使ったリボンは、暴力の根絶を訴える啓発活動のシンボルです。そのリボンを付けたメッセージカードをツリーに付けたパープルツリーを作成しました。まず、メッセージカードを市職員に書いて貰おうと思いました。最初は抵抗がありましたが思い切ってお願いして回りました。書いて頂けるか?迷惑がられるか?など不安だらけでしたが、みなさん快くそれぞれの方が心に持った人権に関するメッセージを書いてくださいました。
 竹原はDVに対してあまり認識が少ないイメージを持ってしまっていた私にとっては職員の人権に対する思いが直接伝わった嬉しい瞬間でした。そのパープルツリーも人権フェスティバルでパネルと共に展示しました。同時に市民の方々が自由にメッセージを書きツリーに付ける事が出来るようにしました。
 竹原市職員と市民の共同制作となった素敵なパープルツリーが完成しました。

(6) 2014年度成人式でのデートDV啓発チラシ配布
 婚姻関係のない交際相手からの暴力を「デートDV」と言います。DV被害者の多くの方は婚姻関係になる前の交際期間ですでに暴力を受けています。「デートDV」の啓発チラシはDV啓発チラシとは少し趣向を変えて【健全な関係性・不健全な関係性】を見やすく図にし、交際している相手とどれだけ対等に付き合うことができているか?自分のしていることはデートDV?と男女共に自分に向き合えることができるようなチラシにしました。
 早い時期に「デートDV」「DV」を知ることで加害者にも被害者にもならず、お互いが成長し合える関係性を作ることが伝わればと思っています。

(7) 庁内DV支援関係部所における職員研修会
 DV支援には庁内での連携がとても重要です。今まで庁内DV支援関係部所の職員(福祉室・子ども福祉課教育委員会・市民健康課・都市整備課・税務課・出先機関【支所・出張所】)を対象とした研修会を行ったことはありませんでした。今回初めてDVについて正しく理解をして頂きDV被害者への「2次加害」を防ぐ為の研修会をしました。民間のDVシェルターを運営されている人を講師に迎え、DVについて基本的な内容について話して頂きました。そして具体例を挙げグループワークをしました。職員の方がそれぞれの立場での考えを話すことができて、実のある研修会になりました。今後は定期的にフォローアップ講座として開催する予定です。

(8) 漫才による啓発活動
 2014年5月18日土曜日に竹原市忠海東公民館で行われた「公民館講座開講式」で男女共同参画を性別年代関係なく分りやすく理解してもらう為に漫才という方法で啓発活動をしました。「男らしさ」「女らしさ」の「すり込み」や人と人が「境界線」と「者間距離」をとることなどをテーマにした漫才をしました。漫才の中にグループワークを取り入れ、会場の方と一緒に考え、堅苦しく分りにくいテーマを楽しく伝えることができたと思います。

(9) デートDVの冊子作成
 2014年7月には竹原市で始めて全中学生を対象とした「デートDV予防啓発講演会」を講師の先生を呼び開催します。それにあたり冊子の作成をしました。全12ページの内容のある冊子が完成しました。

(10) 結 果
 様々な啓発の取り組みの結果として【相談人数・件数の推移】は次の通りです。

 

2011年度

2012年度

2013年度※

相談人数(人)

15

21

相談件数(件)

39

181

180

解決件数(人)
(離婚成立・他機関へ繋ぐ等)

12

12

継続件数(人)
(自立支援等見守り継続中)

10

※2014年2月末現在 2013年度は2014年2月末時点でそれまでの年間数を上回りました。

3. 支援しやすい仕組み作り

(1) 相談の仕組み作り
 相談を受けその人に合った支援を考える中、社会的資源の活用はDV支援に必要不可欠な資源です。
 相談窓口・一時保護・一時避難先住居・生活保護・行政窓口・病院・警察・子どもや高齢者の担当窓口との連携など、その窓口は全て行政にあります。DV被害者の人が相談に来るまでには大変な勇気と決断とエネルギーが必要となります。心身共に弱り切った状態の中、それ以上の負担をかけないで済むよう、一か所の窓口で様々な支援を受けることのできる仕組み作りは全国的にも大きな課題になっています。竹原市にはその仕組がありませんでした。まず、実際に相談者の相談を受け実働で支援をしながら関係部所と連携をとり支援の仕組みをつくりました。相談者を色々な部署に移動させながら手続きをするのではなく、ひとつの部屋に関係部所の担当職員が来て手続きをする。このことにより、DV被害者は何度も同じ話をしなくて済む・庁内移動の際に加害者や知り合いに会うという危険性の回避やプライバシーの保護が出来るという、ワンストップサービスの仕組みを作ることができました。このワンストップサービスを事例ごとに丁寧にこなした結果・警察・市役所・他市の市役所・弁護士との連携がスムーズに進み加害者拘留中に被害者・子ども・親族を合わせた保護命令を異例のスピードで発令されるという、今までに無かった対応をする事が出来ました。
 DV支援は、被害者・同伴児・同伴家族・被害者の家族・支援員・相談員等の命を守らなければいけません。危険と隣り合わせにもなります。その為、仕組みの内容は今後の被害者支援に支障をきたすので詳しくはお知らせできませんが、何もなかった竹原市にとっては大変、画期的なことだったと思います。

(2) 見えてきた課題・広島県と他県との現状と温度差
 私は現在、竹原市で仕事をして、週末自宅のある岡山に帰っています。かつて民間シェルターで働いた経験から、岡山で行われている支援が普通の支援方法と思っていました。この民間シェルターは全国にあり、その全国のシェルターをまとめる組織として「全国シェルターネット」という団体があります。この団体は国とも連携をとって活動しています。内閣府や全国シェルターネット主催の研修等で様々な他県の支援者と交流を持ちますが、県によって多少行政・警察の支援に対する温度差は感じることはありました。
 岡山は国の「配偶者からの暴力及び被害者の保護の為の施策に対する基本的な方針」に沿った取り組みがされていると思っています。たとえばその方針の中には
 「被害者の立場に立った切れ目のない支援」
 「民間団体と支援センターが必要に応じ、機動的に連携を図りながら対応する事が必要である。」
 「基本方針を基に地域の実情に合った適切な役割分担となるよう、あらかじめ協議することが必要である。」
という文が入っています。
 これは行政中心の枠組ではなく、当事者中心の枠組で支援をするということであり、また、喧嘩をしないでそれぞれの役割を持ち支援策を作りなさいということです。岡山は行政と民間がうまく連携を取りながら当事者支援を行い、支援者・相談員のスキルアップの為の研修や講座などの企画や開催にも取り組んでいます。これらが当たり前と思っていましたが、竹原市で支援を考え行動に移す時に「岡山で当たり前にできていた支援が広島では各機関でしてもらえない。」という思いもしないことがいくつもありました。一番に驚いたのが国の基本的な方針の中で何度も明記されている民間団体との連携を、広島県は「一ヶ所の民間団体をのぞき民間を紹介してはいけない」とはっきり言われていることです。私は納得がいかず「全国シェルターネット」に投げかけました。これを受け全国シェルターネットが「全国的な支援の格差」について少し調査をしたところ、広島県は当事者支援が全国的に遅れているという事実が浮かび上がってきました。例えば昨年度行われた「中国・四国婦人保護事業研究協議会」の中で報告された広島県の2012年度の一時保護件数は、中国・四国地方の中では160件と一番多い件数でした。入所者の自立に向けての心理的な支援について他県はいずれも「心理カウンセリング」・「精神科医の面談」・「心理検査」・「グループワーク」・「退所後も自立が困難または見守りが必要なDV被害者に対して公費で予算が付き民間に見守りや精神的サポートを委託している。」等の報告が出されましたが、広島県に関しては「当県では、心理職員等による面接は実施していない。」という報告でした。DVのある家庭の多くは子どもに対しての虐待もある場合が多く、子どもにDVを見せることは心理的虐待と定義づけられています。DV被害者とその子ども達はとても大きなトラウマを抱えています。DV加害者から逃げても、身体的・精神的ダメージにより中々自立ができません。他県はその自立の為の支援を行政がしており、数字で一時保護件数が一番多かった広島県は早急に自立の為の支援策を作らないといけないと思います。
 最近の事例では、広島県内○○市に被害者が避難するにあたり○○市に行った後の様々な行政手続きなどを同行支援する職員を求めたところ、そのような業務は行っていないとのことでした。
 私がこれまで他県で支援を行っていた中で、避難先である他市町へ被害者に行って頂く時には、必ずその市に連携をとり、被害者が安心して手続きや相談などが出来るまでを繋ぎます。DV支援の経験のない市町もそれなりに対応策をつくり対応してくれました。被害者の方からも避難した先の市役所の方もよくしてくれたと報告を受けています。しかし県内の○○市では、これまで事例がなかったとはいえ、被害者の人に一番与えてはいけない二次加害を与え、被害者に「もう、誰にも助けてもらえないのだ」という絶望感をいだかせるといった悲しい出来事がありました。竹原市では万全の対応で送り出しましたが、○○市ではそれを一瞬で壊すといった結果になってしまいました。これが現実です。
 DV被害者の中で、夫の元に帰る人は経済的な理由がほとんどです。家を出て避難まで出来たのに結局、夫の元に帰ります。また家を出ないで我慢します。相談を受ける中で女性が自立できないことがどんなに苦しくて悔しいことか思い知らされることが多くあります。精神的・経済的に女性が自立できることができればと切実に思います。社会が女性の貧困に目を向け、自立しやすい環境整備があれば、DV被害者や子ども達は安心・安全の当たり前の生活が送れるのではないでしょうか。


4. 相談員の雇用状態とスキル向上

(1) 相談員の安全とスキルアップと雇用の安定化
 学習すればするほどDV被害者のそれぞれの状況にあったより良い支援策を考え、自立に向けた支援を行うことができます。深刻な相談内容もあり「2次受傷」といって相談を受けた相談員が相談者と同じ傷を受けてしまい身体を壊すという事も少なくありません。それらを回避するためにはスーパービジョン・スーパーバイズが必要と考えます。スーパーバイズとは相談員の為の相談員です。このスーパーバイズがいることで相談員はスキルアップされ、更に自分を守りケアをすることができます。広島県・広島市・福山市は婦人相談員のメンタルヘルスの取り組みはしていると報告されていますが、相談員がスキルアップされ更に相談員自身が守られるような取り組みではないと思います。
 私が勤める竹原市は取り組みがされていません。私自身、一人で啓発活動や相談業務・直接支援などをしていて心身共に疲れ果ててしまいます。でも相談できる人がいません。簡単に誰にでも話せる内容ではありません。気持ちを共感しあえる人が必要です。他市との相談員の横の繋がりが簡単にできて、それぞれが困ったことを話し合いそれらをまとめるスーパーバイズを置く仕組みがあれば良いと思います。それにより相談員のスキルアップ・メンタルヘルスのケアができます。それが相談員と相談者を守ることに繋がると思います。そんな同じ考えを持つ仲間が広島の中で欲しいといつも思っています。現在の広島県はDV被害者支援に関する施策があまり充実されていないと感じています。そのため……

 住みやすい安心・安全な広島県になることができると思います。
 私は今、竹原市で相談員をしていますが、とても相談員だけの収入だけでは生活できません。岡山に子どもを2人置き竹原には単身赴任をしています。昼は相談員で働きその後はバイトを深夜3時までしています。土日は他市で相談員のバイトをしています。そこまでこのDV支援相談員にこだわる理由は私自身が23年間DVを受けてきた被害者だからです。私と子ども3人は岡山で行政・民間機関と繋がり自分らしく生きて行くことができています。生き直しています。私が出会った民間団体の理事長との出会いで生き直すことができていることと同じ、私もひとりでも多くのDV被害者の生き直すきっかけになりたくて条件は悪くても覚悟して竹原市にきました。ですが賃金が岡山に比べて少ないことが今になり分かりました。
 スーパーバイズもいない、心身共に身を削るが賃金が上がることもなく保証もない竹原市での相談員を続ける事に限界を感じることも多々あります。岡山県の女性相談所の相談員は月23日、日給¥8,500で、岡山市の婦人相談員は週30時間月給¥166,600、倉敷市の婦人相談員は週30時間で月給¥156,600・年2回総額で月給の約2か月分の一時金が支給されます。条件が良いのでほとんどの方が定年退職まで働きます。岡山は相談員の枠が中々あきません。私の中では、行政の婦人相談員は非常勤でも安定したものだと思っていました。
 働く女性の6割近くが非正規雇用だそうです。国は一人の人が自立して生活するには年間約300万円を必要とするといっています。子どもを育てる私が300万円の収入を得るには「死ぬ覚悟」で寝る間もなく働かなければいけないのです。岡山位の賃金であれば正直、バイトも少し減らせます。竹原で働き続けるということは私にはDV支援をする前に自分自身が壊れてしまう過酷なことなのかと最近切実に思っています。
 岡山の同じ「あらゆる暴力を許さない」という同じ思いを持つ女性は、非正規雇用でもある程度の収入は保障され自立をしてイキイキと生活しているように感じます。
 女性議員の人達も党派を超え、「つなぐ会」と名付けたDV支援を行いながら岡山のDV支援を変え・支え、現在は岡山のDV支援は先進的と全国的に言われています。
 どうして同じ中国地方なのに格差があるのでしょうか? 
 最期に11年間、広島県内○○市で相談員として働き退職した方の言葉をお伝えします。この方もいくつものバイトを掛け持ちしていました。
 「11年間頑張れば頑張るほど、疲れはてました。頑張っても何の保証もない。研修などほとんど行かせてもらえない為、スキルアップするには自力・自費で研修参加。勉強するための書籍も全て持ち出しで購入。頑張るほど、持ち出し。11年間働いたが何も残らなかった。」「入口である上司(個人)による問題も大きいと思う。上司に理解があれば動くが理解がなければ動かない(一度だけ 処遇改善を頑張ってくれた上司がいた。頑張ってくれて年収が2万円だけあがった)」「研修行きたい→上司がダメと言うとダメ そんな上司が許されている→世間の風潮→政治が全てだと思う。暴力に関しては国連から日本は遅れていると勧告されている。世界的に恥ずかしい。世間がもっと問題にしなければいけない。」「○○市では時間外が多く全て休みで調整だったため 調整で解消する方が多く年休2年間分20日全て捨てて今回退職する。昨年辞めた人も同じだった。それが当たり前と思ってきた。年休取りたいが取らせてもらえなかった(休まれては困る)。どこの非常勤も同じと聞いている」「11年間働いたが何も得る物もなかった。疲れ果てただけだった」
質問: 11年たってここで待遇の変化があったら辞めなかったか?
答え: それは好きな仕事なんだもん 辞めないよ
質問: どんな改善があったら良かったと思う?
答え: 1年目の人と11年働いて条件が同じは嫌だよね。持ち出しもたくさんしているし。せめて研修は色々参加して勉強したいよね。安定と保障は欲しいかったよね。
 ○○市は自力で色々な資格を取ったスキルを持つ優秀な相談員一人を失いました。
 これでDV被害者は救われますか?
 私は11年後、竹原市で相談員として働いていることができているでしょうか?
 広島・自分の住んでいる地域・非正規雇用の条件を変える為に私はどうすれば良いのかを一緒に考えてくれる仲間が欲しいです。私は正直、このまま竹原での雇用条件が何も変わらなければ、岡山で相談員の募集があれば戻るつもりです。竹原で働き続けたくても、ずっとバイト生活は無理です。女性が自立して活動家としても動きやすい岡山に帰ると思います。
 最後に私はこの自治研での発表をしてみないか?と話をもらった時には、軽い気持ちで受けました。原稿を書いている中でも、日々、現場での仕事をこなし、その時の事例が、かなり酷く出来る支援策があるのに色々な理由でできない、思うように動きが取れないといった苦しい状態がありました。私は分らない事はまず広島県に尋ねます。ですが広島県の回答は「わからない」ことが多いので、岡山に尋ねて問題の突破口を見つけるという状態です。
 これではいけないと思いました。できる支援があるのに、中々、進められないことで、こんなにも大変で、悔しくて辛い思いをしています。しかし、今は竹原市の柔軟な判断と命令で一つひとつ、今までできなかった支援ができています。竹原市としてできることを一つひとつ丁寧にこなし、まず相談員としてできることをやり、事実を積み上げていく、それには積極的に多くの人と繋がる事が大切で、困ったときこそ人の繋がりで解決のヒントが貰えるということを、身をもって経験しました。「できない。できない。」と何も動かず嘆くのではなく、「駄目で元々」とりあえず「聞いてみる・やってみる・考えてもらう」ということが私の今、できることだと意識の変化がありました。その活動の中で自然に繋がる人との関係を大切にしていこうと思いました。
 最終的に積み上げた事実を提示して専門相談員の必要性、スキルアップの為の研修の必要性を投げかけて処遇改善を勝ち取りたいです。
 もう一点、県外では「犯罪被害者等支援条例」が制定されています。しかし、広島県ではまだ制定されていません。早急に条例を制定し、犯罪被害者及び遺族などの裁判所・検察庁・警察・病院の付き添いなどの支援を行う必要性があります。その支援を行う為には養成講座を受け法律や制度について学ぶ必要性があります。
 この支援員養成講座の受講を市の相談員の責務と位置づけ、行政の責務として支援できれば、もっと被害者や遺族が立ち直ることができるのではないかと考えています。
 原稿を書き始めた頃は、悩み・苦しみのなかでの作業でしたが、今はまず、やれる事を一つひとつこなし実績を積み上げていく事をしています。気持ちの「ぶれ」はなく、今、私は真っ直ぐな気持ちで働いています。