【自主レポート】

第35回佐賀自治研集会
第8分科会 男女がともにつくる、私たちのまち

 2005年3月に1市8町村が合併し、九州一広い市となった大分県佐伯市における公立幼稚園の取り組みを報告する。



佐伯市公立幼稚園の現状


大分県本部/佐伯市職員労働組合・幼稚園部会

1. はじめに

 佐伯市は大分県南部に位置し、2005年3月に1市8町村が合併し、九州一広い市となった。幼稚園教諭は、同年9月に日教組から自治労に移行し、現在の所属となっている。合併に伴い、公立幼稚園数が22園となり、現在2園が休園である。職員数は50人で、そのうち約半数は臨時の職員である。また、2010年に保育所型認定こども園が2園運営を開始し、人事交流として2人の正規の職員がこども園に異動になったことから、正規の職員が足りず、臨時の職員がクラス担任をしている現状である。
 ほとんどの園が小学校に併設されており、園長・教頭は小学校との兼任で、どの園も園長が園内にいないため気軽に相談がしにくく、担任がクラス運営だけでなく、園全体の運営も行っている。仕事内容も増大し、市役所や教育委員会から届く文書や財務会計事務、幼稚園内外の環境整備なども対応し、保育に関する仕事は家での持ち帰りが多い状況である。
 私の勤務する青山幼稚園は、佐伯市の山間部に位置している。過疎化が進み、2014年度4歳児のみ3人の極小規模の幼稚園である(小学校も2複式で19人の児童が通学している。同じ中学校区の小学校・幼稚園に統合するという話もある。)。職員構成は、小学校と兼任の園長・教頭と私、他園のように子どもの保育にかかわれる幼稚園教諭の免許を持った臨時の職員の配置ではなく、サポーターの4人である。
 青山幼稚園では、19年前より同じ中学校区の近隣の3つの幼稚園(上堅田幼稚園・下堅田幼稚園)で交流保育が行われている。本園は、少人数の幼稚園では毎日の遊びや活動に深まりや広がりが不足しがちであるため、お互いの幼稚園を行き来して少人数では経験できない様々な体験をとおして、大人数での遊びの楽しさや友だちと協力することの大切さ、豊かな感性を育むことを目的として行っている。これはまた、教師間で受ける刺激や再発見、保育技術の向上にもなっている。
 さらに、青山小学校の児童や地域の未就園児とかかわりながら、より楽しく充実した、たくさんの経験に触れさせていきたい。


2. 取り組み

(1) 小学校との連携
 本園は青山小学校と併設されており、運動会をはじめとした多くの行事を一緒に行っている。また、給食を小学校のランチルームで一緒に食べたり、休み時間に遊んだりと日常的な交流も多い。
① 鮎の放流(4月)
  4月に鮎の放流を行った。園児と小学生がペアを組み、バケツに入った鮎の稚魚を川に放流する。入園して1週間、まだ小学生との交流もなかったため、話しかけられても答えられなかったり、「先生と手をつなぎたい」と話したりと緊張した様子が見られた。
  放流が終わり園に戻ってからは「楽しかった」「お魚さん大きくなって戻ってくるといいなぁ」「お兄ちゃんたち優しかった」と感想を言い合う姿が見られた。
② 給食(5月)
  5月の連休明けから給食が始まった。ランチルームで給食を食べていると、授業を終え教室から出てきた小学生が「おいしい?」「髪切ったなぁ、かっこいい」と次々に声をかけてくれる。園児も鮎の放流でペアになった子を見つけ「私のお姉ちゃん」と喜んだり、「今日こんなことして遊んだ」と報告したりと小学生との会話を楽しんでいるようだ。

(2) 保護者・地域との連携
 毎日園まで送り迎えをしてもらっているため、保護者とは毎日顔を合わせて話す機会がある。その日園であったことや家庭での様子を話し、情報交換をすることで連携をとることができている。
 また、地域の方も協力的で、園児を見かけると必ず声をかけてくれる。
① 子育てサロン(5月~)
  今年度、青山地区社会福祉協議会代表の方より『子育てサロン』の再開の話があった。園児だけでなく地域の未就園児も招待し、月に1回程度遊びの会を開くことで普段より多い人数で遊ぶことができ、保護者同士の情報交換も行うことができる。
  第一回目は5月に本園で行われた。14人が参加し、親子での手遊びや読み聞かせ・リズム遊びを行い、おやつを食べながら今後の活動内容についての話をした。
  園児は部屋の隅にいる年下の子に「一緒にしよう」と声をかけたり、「ここに座るんで」と教えたりする姿が見られた。普段は一番年下でお世話をしてもらうことの多い3人だが、「サロンでは自分たちが一番お兄さん・お姉さん」という自覚があるようだ。
② ピザ焼き体験(5月)
  5月に親子遠足で、青山地区にある『かすみの里 しばいや』で、ピザ焼き体験を行った。生地作りに石窯で焼いたピザの試食と経験したことのないことばかりで、親子で夢中になっていた。野菜嫌いな子が野菜を食べて周囲を驚かせ、1か月たった今でも「ピザおいしかったよなぁ」と話すなど印象に残ったことがわかる。保護者も「初めて来た」「また家族で行きたいなぁ」と話しており、地域の施設を活用することの大切さを実感した行事であった。

(3) 他園との連携
 交流保育は年間を通して6~7回行われる。路線バスや地域のコミュニティバスを利用し、他園へ出向いている。本園には近くに河川プールがあるため、7月には2園が青山幼稚園に来て川遊びを行う予定である。
 また、職員間の連携としては、佐伯市内の公立幼稚園を4つのグループにわけて週に1回研修を行っている。
① 2園交流保育(5月)
  5月に一番近い園との2園交流保育を行った。はじめは表情がかたく、涙ぐむなど緊張した様子であったが、どちらの園の園児も好きな踊りを一緒に踊ったり、じゃんけん遊びをしたりしている時には笑顔も見られた。好きな遊びの時間にはお互い気になっているが、一緒に遊ぶまではいかず同じ園の友だちと過ごす時間が多かった。
② 3園交流保育(6月)
  6月に3園での交流保育を行った。人数の多さに驚いた3人だったが、今回は泣くこともなく、大きな声で自分の名前を言うことができた。5月に2園交流保育を行っていたこともあり、知った人がいる安心感があったようだ。なじみのあるじゃんけん遊びもいつもは1対1だが、この日は教師1人対園児50人で行い、普段は経験できない新鮮な遊びとなった。
  好きな遊びでは、どんな遊具があるのか興味をもって探検し、「これうちにもあるなぁ」「こんなおもちゃないなぁ」と嬉しそうに話す姿が見られた。他園の子が「一緒に遊ぼう」と誘う場面もあったが、教師や友だちと離れることにまだ不安を感じているのか、新しい友だちを作るまではいかなかった。


3. 成果と課題

 これまでの取り組みをとおして、以下の成果が考えられる。
 ・小学生や地域の人など、かかわりの深い人にすすんで挨拶をしたり遊んだりして、親しみを持ってきた。
 ・子育てサロンの活動をきっかけに幼稚園に関心をもち、声をかけてくれる地域の人が増えた。
 ・交流保育では、「楽しかった」「次はいつ行くの?」と次回への期待を持つようになってきた。4歳児なので、お世話をしてもらう、一緒に遊んでもらうということで子ども同士のかかわりは薄いが、気の合う友だち遊びをすすめていけるように継続した交流を行っていきたい。
 課題としては、まだ子どもが緊張して自分を発揮できない場面が多いことがあげられる。今後とも小規模だからこそできる活動、園や地域の特性を活かした活動、交流保育でしかできない活動など、様々な経験を積み重ねていくことが必要である。また、次回により良い交流を行えるように、職員間で話し合いの場を持ち、共通理解しながら活動計画を考えていきたい。


4. おわりに

 佐伯市では、園児数や職員数、地域性が異なり、各園が抱えている悩みも様々である。
 年々厳しくなっていく勤務状況の中、要望として次のことをあげる。
 ・園児の安全を確保し、一人一人に行き届いた幼児教育を推進するために、担任外教諭を配置し、1学級の定員を25人以下にしてほしい。
 ・小学校の統廃合に伴う幼稚園の統合、廃園についての情報を早期に知らせてほしい。
 懸念される事案として次のことをあげる。
 ・認定こども園への人事交流について。
 ・子ども子育て新システムの導入により、佐伯市の公立幼稚園の教育がどのようになるのか。
 今後は、困りや悩みを一人で抱え込まず、部会や学習会を開いてみんなで共有し、労働条件や待遇などの改善に向かって、組合と連携をとっていきたい。

(1)-① 鮎の放流 「大きくなってね
(1)-② 小学生との交流
給食後の休み時間。「ねぇ、遊んで~
(2)-① 子育てサロン 読み聞かせ
(2)-② ピザ焼き体験
「生地はいっぱいこねてたたくといいんで」
「へぇ~。やってみたいなぁ」
(3)-① 2園交流保育
踊っているうちに笑顔が
(3)-② 3園交流保育
じゃんけん大会。「最後まで残るぞ~