【論文】

第35回佐賀自治研集会
第8分科会 男女がともにつくる、私たちのまち

 三股町民、特に子どもとその親世代に注目し、公園という公共施設が果たす役割とその現状について調査を行い、その結果から分析と政策提言を行う。



子どもを育むまちづくり
~子育て世代を意識した公園整備~

宮崎県本部/三股町役場職員労働組合・自治研局

1. 研究テーマ選定に至る経緯

 多くのまちが人口の減少に悩まされる中、三股町は、子育てしやすい環境整備や子育て支援施策をすすめ、僅かではあるが人口も増加傾向を維持し、一定の成果を上げている。しかしながら、子育て世代の日常生活に目を向けた時、三股町に真に子育てしやすい環境が整っているか、疑問を拭い切れない部分もある。その一つを上げるとすれば、公園やそれに類する公共施設の整備状況である。
 公園という公共施設は子どもにとって、その親にとって人と人とのふれあいの場であり、遊びの場であり、体を動かし鍛える場である。親子や友だちとのふれあいで育まれる心の成長。おもいっきり遊び、体を動かす事による体の成長。公園は、発育段階にある子どもにとって大変重要な役割を果たす施設であるということができる。
 私たちは公園が担うこのような役割に着目し、発育段階にある子どもにとって、子育てをする親にとって、理想の公園とはどのようなものなのかを検証し、子育てしやすいまちづくりをめざす三股町が備えるべき公園のあり方を考える。

2. あそびの重要性

 「あそび」は子どもにとって純粋に「楽しさ」を追求する活動であると同時に、体を動かす・友達とかかわるなどの体験を通じて、「身体や社会性の発達を促す」という重要な意味を持つ。つまり、子どもはあそぶだけで発達が促されている、ということができる。
 「あそび」の3要素=発達を促す原動力
① 体が育つ:運動能力・敏捷性・瞬発力・柔軟性・リズム感・平衡感覚
② 知覚が育つ:五感・空間認識能力・観察力・時間の感覚・集中力・想像力
③ 社会性が育つ:協調性・自主性・責任感・ルールの理解・競争力・コミュニケーション能力
 公園はまさに、このような「あそび」による発育の場となり得る、子どもにとって必要不可欠な公共施設である。

3. 現地調査

 一般的に、公園・広場と言っても行政の所管ごとに幾つかに分類される。(表に示す)

所 管 区 分 箇所数
都市整備課 都市公園 18箇所
  一般公園 23箇所
  町営団地内児童遊園 22箇所
産業振興課 農村広場 7箇所
福祉課 児童遊園 7箇所

 この内、今回の調査では都市計画部局(都市整備課)が所管する都市公園及び一般公園を対象とすることとした。施設の整備状況や利用状況を確認するため、2班に分かれて現地調査を実施した。

4. 調査結果の分析

各公園の諸元

公園名

遊 具

ベンチ等

トイレ

水飲み

駐車場

備 考

上下動

1

旭ヶ丘運動公園

   

運動公園

上米公園

   

総合公園

早馬公園

     

       

近隣公園

稗田公園

     

     

 

近隣公園

蓼池公園

     

   

近隣公園

新馬場公園

   

 

近隣公園

前目公園

     

     

近隣公園

一町田公園

 

       

近隣公園

植木公園

     

   

近隣公園

10

椎八重公園

         

 

 

 

11

五本松小公園

       

     

 

   

12

もみの木公園

                   

   

13

植木小公園1号

       

     

 

   

14

植木小公園2号

     

       

 

   

15

植木小公園3号

       

     

 

   

16

植木小公園4号

                 

 

   

17

植木小公園5号

     

     

 

   

18

植木小公園6号

                     

   

19

植木小公園7号

       

       

       

20

植木小公園8号

     

           

   

21

蓼池小公園1号

               

 

   

22

蓼池小公園2号

       

       

 

   

23

蓼池小公園3号

                           

24

三本松小公園

       

                 

25

稗田小公園

       

   

       

26

都三小公園

                 

       

27

古堀公園

     

                 

28

大鷺巣小公園

                 

       

29

やまと小公園

                 

       

30

塚原児童公園

   

       

     

31

宮村児童公園

     

     

 

 

32

五本松児童公園

   

     

 

 

 

33

中原児童公園

     

   

   

34

榎堀児童公園

     

     

     

35

花見原児童公園

 

 

     

     

36

矢ケ渕公園

                   

 

 

37

長田峡公園

                   

 

 

38

西五本松小公園

                           

39

植木南小公園

       

       

       

40

中原小公園

       

       

       

41

眺霧台小公園

                           

評価できる点
① 各地区に整備された近隣公園は、遊具の数・種類も比較的バランスがとれており、トイレや水飲み、ベンチなど、一定の施設は整っている。
② 唯一の総合公園である上米公園は、遊具はもちろんであるが、駐車場・トイレ等も整っていて、高い評価ができる。
改善が望まれる点
① 各公園ともベンチや東屋などの日除けできる休憩施設が十分とはいえない。
② 施設の配置(レイアウト)が効果的でない。
③ 上下運動系遊具や回転系遊具は全国的にも事故怪我等が発生しており、その影響か修繕・代替設置ではなく撤去されることが多く、数が少ない。
④ ブランコ、鉄棒、滑り台等は大体の公園に設置されているが、筋力やバランス感覚を養うのに適したジャングルジムなど登はん系遊具は少ない。
⑤ 木製遊具は劣化が著しく、使用禁止のものもあった。
⑥ 子どもが多い地区の公園に遊具がなく、逆に子どもの少ない地区の公園に、使われていない様子の遊具がある。(その地域住民の年代層が変化したのも一因か)
⑦ 小公園に関しては遊具施設が全くないうえ、荒地になっている場所もあった。

5. 公園のめざすべき方向性

 現在整備されている公園は都市計画法や都市公園法などの関係法令に基づき、行政的な目線で整備されてきたものと思われる。それぞれの公園を詳細に見ていくと、遊具の種類や数、休憩施設の数やレイアウトなど、利用者の目線が十分に反映されていないことに気付かされる。施設の規模・グレード等は予算的制約が伴うが、遊具やベンチ、トイレなど各施設のレイアウトは予算的制約とは無関係のはずである。遊具やベンチなどの施設がどのように使用されるのか、子どもたちが遊んでいる様子や、保護者がどこでどのように子どもを見守るのか、そのように公園の使われ方のイメージをふくらませていくと、配置はとても重要な要素であることがわかる。
 三股町の公園は数・面積共にある程度整備が整っている。今後は新たな整備ではなく、適切な維持管理を行っていく段階に入っている。特に、老朽施設の撤去や更新は今後の公園事業の中心となるものと思われ、その際に、如何に利用者ニーズを反映させたリニューアルができるかが重要である。

6. 政策提案

 調査研究を通じて出てきた実現可能な政策について、以下に示す。

① コストを掛けずにできる施設リニューアル
  調査をする中で、各公園に遊具やベンチなどの設置数にかなりばらつきがあることがわかった。特にベンチはその傾向が強く、利用者が多い公園にもかかわらず、ベンチが設置されていない(撤去されたまま)の公園もある。一方で、必要以上にベンチが設置されている公園や、全く利用されていない公園に遊具があるなど、設置状況の不適切さが目立った。今回調査対象外とした児童遊園なども含めると、この傾向は更に強くなると思われる。
  このような施設を、公園の利用状況を考慮して適切に再設置すれば、あまりコストを掛けずに、公園の利用ニーズに答えることができるものと思われる。
② 公園マップ・PR素材の作成
  上米公園は規模も大きく比較的知名度もあるが、各地区にある近隣公園となると駐車場がない公園が多く地区外の人の利用はほとんど見られない。しかし、設置されている遊具は公園ごとに特色のあるものも有り、身近な場所で様々な遊具遊びを体験させたい親にとっては、知りたい情報である。
  町内の公園の場所や遊具の種類などをわかりやすく示したマップの作成や、それに合わせて公園の遊具で遊ぶことによる発育の効果などをPRすることにより、三股町が子育てしやすいまちづくりの取り組みとして公園整備に力を入れていることもアピールすることができる。
③ 上米公園を子育て世代に特化した公園へ
  子育て世代が利用しやすいことを考えると、駐車場やトイレなどは不可欠であるが、すべての公園で駐車場、トイレを整備するのは現実的に不可能である。
  調査の結果、総合公園である上米公園は施設も充実しており、もっとも子育て世代が利用しやすい公園であることがわかった。しかしながら、撤去された遊具や使用禁止状態の遊具も多いので、遊具の充実が望まれる。また、遊具周辺に休憩施設が不足しているので、保護者が子どもを見守るのに適した位置にベンチを設置したり、緑陰を作るなどの工夫が必要である。
  そうすることで、より一層子育て世代が利用しやすい公園となる。

7. まとめ

 以上、三股町の公園及び遊具の整備状況を調査し、今後の公園整備の方向性を検証した。
 実際に現地を廻り、普段とは異なる視点から見たことで、子育てしやすいまちとしての三股町の将来イメージに、公園が果たす役割はとても重要であることを認識できた。
 三股町におけるこれまでの公園整備に、どれほど利用者の視点が取り入れられていたかまでは検証できていないが、今後は既存の公園の魅力を高めるべく、的確に利用者ニーズを掴み、それに沿ったリニューアルを進めるべきではないだろうか。
 公園で遊び育った子どもたちがやがて親となり、慣れ親しんだ同じ公園で我が子と遊ぶ。公園に子どもたちや親子の声が響き渡り、公園が世代を超えてまちの人達を育てていく。「子どもを育むまちづくり」それは、「郷土愛にあふれるひとづくり」と言い換えられるかもしれない。