【自主レポート】

第35回佐賀自治研集会
第12分科会 地域包括ケアシステムの構築

地域医療と介護


京都府本部/京都公共サービスユニオン 武田 純一

 地域医療と介護を考える上で必要となってくるのが、地域包括ケアシステムの構築です。
 厚生労働省は、団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に、重度な要介護状態になっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築をめざしています。
 今後、認知症高齢者の増加が見込まれることから、認知症高齢者の地域での生活を支えるためにも、地域包括ケアシステムの構築が重要です。
 では、地域包括ケアシステムにおける4つの構成要素について考えてみます。
① すまいとすまい方
  生活の基盤として必要な住まいが整備され、本人の希望と経済力にかなった住まい方が確保されていることが地域包括ケアシステムの大前提です。高齢者のプライバシーと尊厳が十分に守られた住環境が必要です。
② 生活支援と福祉サービス
  心身の能力の低下、経済的理由、家族関係の変化などでも尊厳ある生活が継続できるように生活支援を行います。
  生活支援には、食事の準備など、サービス化できる支援から、近隣住民の声掛けや見守りなどのインフォーマルな支援まで幅広く、担い手も多様です。生活困窮者などには、福祉サービスとしての提供も。
③ 介護・医療・予防
  個々人の抱える課題に合わせて「介護・リハビリテーション」「医療・看護」「保健・予防」が専門職によって提供されます(有機的に連携し、一時的に提供)。ケアマネジメントに基づき、必要に応じて生活支援と一体的に提供します。
④ 本人・家族の選択と心構え
  単身・高齢者のみ世帯が主流になる中で、在宅生活を選択することの意味を理解し、そのための心構えを持つことが重要です。
  つまり、「介護」、「医療」、「予防」という専門的なサービスと、その前提としての「住まい」と「生活支援・福祉サービス」が相互に関係し、連携しながら在宅の生活を支えています。
 次に市町村における地域包括ケアシステム構築のプロセスについてです。
 まずは地域の課題の把握と社会資源の発掘を行います。それを基に地域関係者による対応策の検討を行います。そして、最後に対応策の決定・実行を行います。
 それではそれぞれを詳しく見ていきたいと思います。
① 地域の課題の把握
  まずは日常生活圏域ニーズ調査を実施し、地域の実態を把握します。この場合の課題とは高齢者のニーズ、住民・地域の課題、社会資源(介護・医療・住まい・予防・生活支援)の課題、支援者の課題(専門職の数や質、連携、ネットワーク)があります。
② 社会資源の発掘
  社会資源の発掘とは、地域資源の発掘、地域リーダーの発掘、住民互助の発掘を意味します。
③ 地域の関係者による対応策の検討
  日常生活圏域ニーズ調査を基に介護保険事業計画の策定等を行います。
  都道府県との連携(医療・居住等)、関連計画との調整(医療計画・居住安定確保計画・市町村の関連計画等)、住民参画(住民会議・セミナー・パブリックコメント等)、関連施策(障害・児童・難病施策等)との調整なども行います。
  地域ケア会議等を実施(地域包括支援センター等で個別事例の検討を通じ、地域のニーズや社会資源を把握)し、地域課題の共有(保健、医療、福祉、地域の関係者との協働による個別支援の充実・地域の共通課題や好取り組みの共有)や年間事業計画への反映を行います。

④ 対応策の決定・実行
  介護サービス
   地域ニーズに応じた在宅サービスや施設のバランスのとれた基盤整備
   将来の高齢化や利用者数見通しに基づく必要量を検討
  医療・介護連携
   地域包括支援センターの体制整備(在宅医療・介護の連携)
   医療関係団体等との連携
  住まい
   サービス付き高齢者向け住宅等の整備
   住宅施策と連携した居住の確保
  生活支援・介護予防
   自助(民間活力)、互助(ボランティア)等による実施
   社会参加の促進による介護予防
   地域の実情に応じた事業実施
  人材育成(都道府県が主体)
   専門職の資質向上
   介護職の処遇改善
 これらのことを繰り返し行うこと(PDCAサイクル)で地域包括ケアシステムが構築されていきます。
 しかし、まだまだ地域包括ケアシステムにも課題(問題点)があります。
 本人が住み慣れた地域で在宅生活を希望しても、24時間の支援体制が整備されていない地域が多いことや在宅サービスを多用することで、莫大な費用負担がかかることから、施設入所に依存してしまうケースが多いことです。
 今後は、人口が横ばいで75歳以上人口が急増する大都市部と75歳以上人口の増加は緩やかだが人口は減少する町村部等、高齢化の進展状況には大きな地域差が生じるとみられています。
 地域包括ケアシステムは、保険者である市町村や都道府県が、地域の自主性や主体性に基づき、地域の特性に応じて作り上げていくことが求められています。
 それと同時に法整備や人材確保と育成が急務になってくると思われます。