【レポート】

第39回静岡自治研集会
第1分科会 自治研入門 来たれ、地域の新たな主役

 看護職員は複雑な勤務シフトを始め、様々な理由により普段から連休が取得できないことが多い。そこで、2020年度の確定交渉で夏季休暇の取得期間延長の改善を勝ち取った。年休よりも申請が容易な夏季休暇で連休取得ができれば、看護職員の意識も変化することを狙っての戦略である。今回の検証では、組合が意図する結果には直接的に繋がらなかったが、今後に繋がる契機となる結果もみられたため報告したい。



看護職場の夏季休暇取得期間を延長したことによる
連休取得への変化について検証

長崎県本部/自治労長崎県職員連合労働組合 原尾 健作・本村 幸永・坂本 健司

1. はじめに

 病院で勤務する看護師は、複雑な勤務シフトや診療報酬上の勤務者確保等の影響で、従来から連休が取得できない現状がある。そのため、夏季休暇も同様で連休が取得できない状況であり、2021年度から取得期間を延長した。今回は、取得期間を延長することによっての意識の変化について考察したのでここに報告する。

2. 夏季休暇の制度について

(1) 国の経過
 1990年8月7日に人事院が、国家公務員について1991年から「家庭生活の充実や心身のリフレッシュを図るため、民間の普及状況を考慮し、3日の夏季休暇を新設」について勧告された。その結果、職員ごとに7月から9月の間において原則として連続する3日の範囲内の期間で取得することができるようになった。

(2) 長崎県の経過
 1991年10月11日に長崎県人事委員会が、県職員について1991年から「国に準じた休暇を新設する必要がある」と勧告した。その後、組合が県総務部長との11回に及ぶ確定交渉(この年は、一時金の傾斜配分の問題からストライキを実施、交渉も難航していた)の末、2月1日に妥結し、夏季休暇について「今年から3日間の夏季休暇を実施、現在の休暇については、今後協議していく。期間を7月から9月」とした。
 2014年10月8日に長崎県人事委員会が、県職員について「仕事と家庭生活の両立支援として、夏季休暇の拡大について検討を行う必要」と勧告した。それを受けて、組合が県総務部長との6回に及ぶ確定交渉(この年は、55歳超昇給停止の問題で越年交渉)の末、1月15日に妥結し、夏季休暇について「正規職員は5日、臨時的任用職員は4日、非常勤職員のうち週5日勤務者は4日、週4日勤務者は3日、週3日勤務者は2日、週2日勤務者は1日とするとともに、取得期間を原則6月から9月までとし、業務の都合により同期間に取得できない場合には、所属長の承認により10月まで延長(2015年4月1日実施)と改善された。

(3) 病院職場
 基本的には国や県に準拠としているが、2014年度の県職員の確定交渉結果を受けて、病院労組と病院企業団副企業長との5回の確定交渉の末、3月10日に妥結し、夏季休暇について「病院の交代勤務職場では夏季休暇を3日から5日に、いきなり拡大する事は、職場の混乱(勤務表作成に懸念、欠員が多く取得も困難等)を招く恐れがあることから2015年度は4日とする」ことで合意した。
 2015年度の確定交渉では、病院労組と病院企業団副企業長との3回の交渉の末、2月25日に妥結し、夏季休暇について「取得日数を現行の4日から5日に拡大。取得期間について6月から10月までの期間内に5日の夏季休暇を取得できない場合、1日に限り11月末まで取得可」とすることで合意した。
 2020年度の確定交渉では、病院労組と病院企業団副企業長との4回の交渉の末、11月26日に妥結し、夏季休暇について「原則は6月から10月であるが、支障がきたす場合は、3月まで取得可能。対象は全職種」とすることで合意した。

3. 看護職の連休取得の困難さについて

 病棟で勤務する看護職の勤務形態は、3交代制と2交代制が一般的になる。3交代制勤務の場合は、各8時間ずつの勤務で、準夜勤(16時45分~1時30分)、深夜勤(0時45分~9時30分)になる。また、毎月8回から9回前後も夜勤をしなければならない。さらに準夜勤の翌日は休日と固定されていること(準夜勤4回休日と4日がセットになる)で、夜勤後の休日は疲労回復のため自宅で過ごすことも多く、丸1日休日の確保が困難になる上に、睡眠や生活リズムが崩れやすくなる。また、診療報酬上、必要な勤務者確保が必須になり、夜勤シフトと相まって複雑な勤務シフトとなるため、予め希望休の申請が1カ月に3日~4日までしかできないことが多いことや、連休や長期休暇を取得しようとすると、他スタッフのシフトへの影響が大きく普段から連休を取得しづらい環境がある。連休取得の困難には直接関係はないのだが、翌月のシフト発表が1週間前(25日~月末)という病院もあり、予定が立てづらいという状況もあり、従来から連休取得をあきらめている看護職が多く見受けられる。

4. 夏季休暇取得期間の延長による変化について

(1) 目 的
 小中学生を子育て中の看護職員は、子どもの夏休み期間に合わせて夏季休暇を取得する傾向にあるが、病棟によっては対象職員が重複することで、希望期間に取得できない状況があるため、2021年から夏季休暇の取得期間を3月まで延長した。今回、夜勤を担う病棟看護職員の連休取得が促進されているのか。また今後に向けて、冬季にも夏季休暇が取得されているかについて検証を行った。

(2) 対象者
 長崎県病院企業団の11医療施設内の2病院で、夜勤従事している病棟看護職員(2020年度は234人。2021年度は235人)を対象とした。なお当直に従事する看護師長や外来看護職員は対象外とした。

(3) 対象期間
 2020年度(6月から11月)と2021年度(6月から3月)まで

(4) 検証方法
 当局から提示された2020年度と2021年度の勤務表から夏季休暇について、期間の単純集計と連休について確認した。なお、個人情報の観点から勤務表の氏名部分が削除されていることで、年度途中の退職や休職、病棟異動等の詳細は追究できず精確な検証にはいたっていない。

(5) 結 果
① 2020年度と2021年度の夏季休暇の月別取得日数の状況について(全体)
 2020年度は、6月403日、7月318日、8月189日、9月98日、10月75日、11月5日であった。
 2021年度は、6月291日、7月190日、8月271日、9月166日、10月143日、11月38日、12月15日、1月3日、2月2日、3月0日という結果であった。(比較表は下記左図のとおり)
② 2020年度と2021年度の夏季休暇の連休状況について(夏季休暇の前後に公休や年次有給休暇等を組み合わせてどの程度連休が取得できているかについて)
 2020年度は、2連休297人、3連休259人、4連休90人、5連休35人、6連休9人、7連休1人、8連休2人であった。
 2021年度は、2連休386人、3連休239人、4連休84人、5連休20人、6連休10人、7連休7人、8連休2人、9連休2人、10連休1人という結果であった。(比較表は下記右図のとおり)

※ 下図は2020年度と2021年度の夏季休暇の月別取得日数(左)と夏季休暇の連休状況について(右)
③ 2020年度と2021年度の夏季休暇の月別取得日数の状況について(病棟別)
 A病棟の場合、2020年度の対象者は24人である。そのうち6月の取得者数が19人であった。また6月の取得日数が41日であった。7月の取得者数は23人で取得日数は44日であった。8月の取得者数は10人で取得日数は21日であった。9月の取得者数は2人で取得日数は2日であった。10月の取得者数は4人で取得日数は12日であった。11月の取得者数、総取得日数は0であった。
 2021年度の対象者は25人である。そのうち6月の取得者数が16人であった。また6月の取得日数が34日であった。7月の取得者数は17人で取得日数は24日であった。8月の取得者数は22人で取得日数は34日であった。9月の取得者数は9人で取得日数は15日であった。10月の取得者数は7人で取得日数は16日であった。11月から3月までの取得者数、取得日数は0であった。
 B病棟の場合、2020年度の対象者は26人である。そのうち6月の取得者数が22人であった。また6月の取得日数が40日であった。7月の取得者数は23人で取得日数は45日であった。8月の取得者数は19人で取得日数は26日であった。9月の取得者数は5人で取得日数は9日であった。10月の取得者数は2人で取得日数は3日であった。11月の取得者数、取得日数は0であった。
 2021年度の対象者は25人である。そのうち6月の取得者数が23人であった。また6月の取得日数が45日であった。7月の取得者数は22人で取得日数は24日であった。8月の取得者数は24人で取得日数は43日であった。9月の取得者数は3人で取得日数は5日であった。10月の取得者数は3人で取得日数は7日であった。11月の取得者数は1人で取得日数は2日であった。12月の取得者数は1人で取得日数は1日であった。1月から3月までの取得者数、取得日数は0であった。
 C病棟の場合、2020年度の対象者は17人である。そのうち6月の取得者数が14人であった。また6月の取得日数が28日であった。7月の取得者数は12人で取得日数は17日であった。8月の取得者数は11人で取得日数は16日であった。9月の取得者数は9人で取得日数は12日であった。10月の取得者数は3人で取得日数は8日であった。11月の取得者数、取得日数は0であった。
 2021年度の対象者は18人である。そのうち6月の取得者数が16人であった。また6月の取得日数が28日であった。7月の取得者数は14人で取得日数は15日であった。8月の取得者数は17人で取得日数は33日であった。9月の取得者数は1人で取得日数は1日であった。10月の取得者数は1人で取得日数は3日であった。11月の取得者数は1人で取得日数は1日であった。12月から3月までの取得者数、取得日数は0であった。
 D病棟の場合、2020年度の対象者は24人である。そのうち6月の取得者数が22人であった。また6月の取得日数が48日であった。7月の取得者数は24人で取得日数は26日であった。8月の取得者数は23人で取得日数は29日であった。9月の取得者数は9人で取得日数は10日であった。10月、11月の取得者数、取得日数は0であった。
 2021年度の対象者は24人である。そのうち6月の取得者数が24人であった。また6月の取得日数が53日であった。7月の取得者数は14人で取得日数は15日であった。8月の取得者数は19人で取得日数は21日であった。9月の取得者数は15人で取得日数は15日であった。10月の取得者数は5人で取得日数は7日であった。11月の取得者数は3人で取得日数は3日であった。12月から3月までの取得者数、取得日数は0であった。
 E病棟の場合、2020年度の対象者は29人である。そのうち6月の取得者数が25人であった。また6月の取得日数が50日であった。7月の取得者数は24人で取得日数は43日であった。8月の取得者数は25人で取得日数は26日であった。9月の取得者数は5人で取得日数は5日であった。10月の取得者数は4人で取得日数は7日であった。11月の取得者数は1人で取得日数は1日であった。
 2021年度の対象者は30人である。そのうち6月の取得者数が27人であった。また6月の取得日数が27日であった。7月の取得者数は15人で取得日数は29日であった。8月の取得者数は15人で取得日数は31日であった。9月の取得者数は15人で取得日数は23日であった。10月の取得者数は11人で取得日数は20日であった。11月の取得者数は4人で取得日数は4日であった。12月の取得者数は2人で取得日数は2日であった。1月の取得者数は1人で取得日数は1日であった。2月、3月の取得者数、取得日数は0であった。
 F病棟の場合、2020年度の対象者は23人である。そのうち6月の取得者数が20人であった。また6月の取得日数が39日であった。7月の取得者数は21人で取得日数は33日であった。8月の取得者数は14人で取得日数は17日であった。9月の取得者数は13人で取得日数は14日であった。10月の取得者数は1人で取得日数は1日であった。11月の取得者数、取得日数は0であった。
 2021年度の対象者は26人である。そのうち6月の取得者数は24人で取得日数は24日であった。7月の取得者数は17人で取得日数は22日であった。8月の取得者数は21人で取得日数は29日であった。9月の取得者数は22人で取得日数は34日であった。10月の取得者数は9人で取得日数は9日であった。11月の取得者数は3人で取得日数は3日であった。12月から3月までの取得者数、取得日数は0であった。
 G病棟の場合、2020年度の対象者は25人である。そのうち6月の取得者数が21人であった。また6月の取得日数が45日であった。7月の取得者数は21人で取得日数は38日であった。8月の取得者数は10人で取得日数は10日であった。9月の取得者数は7人で取得日数は10日であった。10月の取得者数は2人で取得日数は2日であった。11月の取得者数は1人で取得日数は1日であった。
 2021年度の対象者は16人である。そのうち6月の取得者数が15人であった。また6月の取得日数が15日であった。7月の取得者数は10人で取得日数は14日であった。8月の取得者数は8人で取得日数は10日であった。9月の取得者数は13人で取得日数は18日であった。10月の取得者数は12人で取得日数は18日であった。11月の取得者数は5人で取得日数は11日であった。12月の取得者数は1人で取得日数は1日であった。1月から3月までの取得者数、取得日数は0であった。
 H病棟の場合、2020年度の対象者は25人である。そのうち6月の取得者数が23人であった。また6月の取得日数が36日であった。7月の取得者数は18人で取得日数は23日であった。8月の取得者数は16人で取得日数は20日であった。9月の取得者数は13人で取得日数は18日であった。10月の取得者数は9人で取得日数は18日であった。11月の取得者数は2人で取得日数は2日であった。
 2021年度の対象者は28人である。そのうち6月の取得者数が26人であった。また6月の取得日数が29日であった。7月の取得者数は15人で取得日数は18日であった。8月の取得者数は18人で取得日数は25日であった。9月の取得者数は13人で取得日数は19日であった。10月の取得者数は8人で取得日数は14日であった。11月の取得者数は9人で取得日数は11日であった。12月の取得者数は9人で取得日数は10日であった。1月の取得者数は2人で取得日数は2日であった。2月の取得者数は2人で取得日数は2日であった。3月の取得者数、取得日数は0であった。
 I病棟の場合、2020年度の対象者は19人である。そのうち6月の取得者数が17人であった。また6月の取得日数が34日であった。7月の取得者数は16人で取得日数は20日であった。8月の取得者数は7人で取得日数は10日であった。9月の取得者数は6人で取得日数は10日であった。10月の取得者数は6人で取得日数は11日であった。11月の取得者数は1人で取得日数は1日であった。
 2021年度の対象者は19人である。6月の取得者数が16人であった。また6月の取得日数が17日であった。7月の取得者数は8人で取得日数は12日であった。8月の取得者数は11人で取得日数は22日であった。9月の取得者数は12人で取得日数は18日であった。10月の取得者数は9人で取得日数は16日であった。11月の取得者数は1人で取得日数は1日であった。12月から3月までの取得者数、取得日数は0であった。
 J病棟の場合、2020年度の対象者は22人である。そのうち6月の取得者数が21人であった。また6月の取得日数が42日であった。7月の取得者数は19人で取得日数は30日であった。8月の取得者数は9人で取得日数は14日であった。9月の取得者数は7人で取得日数は8日であった。10月の取得者数は12人で取得日数は13日であった。11月の取得者数、取得者日数は0であった。
 2021年度の対象者は24人である。6月の取得者数が19人であった。また6月の取得日数が19日であった。7月の取得者数は14人で取得日数は17日であった。8月の取得者数は17人で取得日数は23日であった。9月の取得者数は17人で取得日数は18日であった。10月の取得者数は20人で取得日数は33日であった。11月の取得者数は2人で取得日数は2日であった。12月の取得者数は1人で取得日数は1日であった。1月から3月までの取得者数、取得日数は0であった。
④ 2020年度と2021年度の夏季休暇の連休状況について(夏季休暇の前後に公休や年次有給休暇等を組み合わせてどの程度連休が取得できているかについて)(病棟別)
 A病棟の場合2020年度は、2連休は42人、3連休は21人、4連休は6人、5連休は2人であった。また2021年度の場合は、2連休は33人、3連休は30人、4連休は7人、7連休は1人であった。
 B病棟の場合2020年度は、2連休は29人、3連休は28人、4連休は7人、5連休は5人、6連休は3人、8連休は1人であった。また、2021年度の場合は、2連休は41人、3連休は33人、4連休は6人、5連休は1人、6連休は2人、9連休は1人であった。
 C病棟の場合2020年度は、2連休は25人、3連休は12人、4連休は8人、5連休は1人であった。また、2021年度は、2連休は30人、3連休は12人、4連休は10人、5連休は1人であった。
 D病棟の場合2020年度は、2連休は39人、3連休は38人、4連休は4人、5連休は3人であった。また2021年度は、2連休は43人、3連休は21人、4連休は3人、5連休は2人であった。
 E病棟の場合2020年度は、2連休は36人、3連休は30人、4連休は14人、5連休は6人、6連休は2人であった。また2021年度は、2連休は38人、3連休は28人、4連休は13人、5連休は7人、6連休は2人、9連休は1人であった。
 F病棟の場合2020年度は、2連休は21人、3連休は29人、4連休は16人、5連休は1人、8連休は1人であった。また2021年度は、2連休は65人、3連休は22人、4連休は7人、6連休は1人、8連休は1人、10連休は1人であった。
 G病棟の場合2020年度は、2連休は31人、3連休は27人、4連休は8人、5連休は1人であった。また2021年度は、2連休は40人、3連休は17人、4連休は6人、5連休は1人、7連休は1人であった。
 H病棟の場合2021年度は、2連休は35人、3連休は26人、4連休は5人、5連休は6人、6連休は3人であった。
 I病棟の場合2020年度は、2連休は21人、3連休は19人、4連休は9人、5連休は3人であった。また2021年度は、2連休は27人、3連休は20人、4連休は7人、5連休は2人、6連休は1人であった。
 J病棟の場合2020年度は、2連休は18人、3連休は29人、4連休は13人、5連休は4人、6連休は1人、7連休は1人、8連休は1人であった。また2021年度は、2連休は36人、3連休は28人、4連休は12人、5連休は2人、6連休は2人、7連休は3人、8連休は1人であった。

※ 下図は病棟毎の夏季休暇の月別取得日数(左)と夏季休暇の連休状況について(右)

⑤ 2020年度と2021年度の夏季休暇の月別取得日数の状況についてと2020年度と2021年度の夏季休暇の連休状況について(夏季休暇に公休や年次有給休暇等を連動してどの程度連休が取得できているかについて)(病棟別)
 病棟別の結果では、A病棟は2年とも10月までに夏季休暇を完全取得していたが、結果的にほとんど連続休暇がなく、2020年度は5連休が1人、2021年度は7連休が1人という状況であった。
 B病棟では、2020年度は6月、7月で6割以上の休暇取得であったが、2021年度の期間延長から12月まで休暇取得者が見られ、結果的に2021年度は8月の休暇取得者が増え、12月までの休暇取得者が見られた。しかし、2021年度は9連休取得者が1人のみと大幅な改善は見られなかった。
 C病棟では、2020年度と比較して2021年度は8月に取得者数が大幅に増えたものの、連続休暇が5連休までに留まった。
 D病棟では、2020年度と比較して2021年度は8月から11月にかけての休暇取得者が大幅に改善したものの連続休暇が5連休までに留まった。
 F病棟では、2020年度は7月までに約6割以上の休暇取得が見られたが、2021年度は8月から11月までの休暇取得者が増えた。それに伴って2021年度は6連休、8連休、10連休の取得者が見られた。
 G病棟では、2020年度は7月までに約7割以上の休暇取得者が見られたが、2021年度は11月までに平準化して休暇取得がなされた。しかし、連続休暇は7連休に留まった。
 H病棟では、2020年度は6月の休暇取得が多く、順に右肩下がりの取得状況であったが、2021年度は12月まで平準化の取得状況へ変化しており、2月までの休暇取得ができていた。連続休暇は7連続が増えている状況であった。
 I病棟では、2020年度は7月までに約6割以上の休暇取得者が見られたが、2021年度は10月までに平準化した取得が見られた。しかし、連続休暇は6連休が増えたに留まった。
 J病棟では、2020年度は7月までに約6割以上の休暇取得者が見られたが、2021年度は8月、10月の取得者が前年度を上回り、11月と12月の取得者が見られた。また、連続休暇については6連休、7連休の取得者が増えた。

(6) 考察について
 2020年度は、6月に403日と取得する職員が多かった。これは、病院で勤務表作成にあたり、職員が夏季休暇希望の申請を放棄した場合に、看護師長が6月は祝日がないことで夏季休暇を6月に入れ込むことの配慮も考えられる。また職員も、新型コロナウィルス感染症の影響で緊急事態宣言下において移動制限がある中、連休についての意識が働かなかったことも考えられる。そして、勤務表を作成する看護師長の立場から、夏季休暇5日と年休5日の消化を管理する立場として、早めに管理から逃れたいという思惑も見られるので、6月から期間が過ぎるほど、取得日数が減少の推移となっていることに繋がっていると考えられる。
 2021年度は、取得期間については、前年度と同様に6月が多い状況ではあるが、病棟毎で見ると、E病棟からJ病棟については平準化しており、夏季休暇の取得期間延長の制度を利用とする運用が見られた。そのことからも前年度よりも6月、7月までに取得する割合も2021年度には減少して、月数によってバラつきも見られ、2月に取得する職員も見られた。期間が延長したことで、勤務表を作成する看護師長の管理上把握が大変になるものの、夏季休暇取得が重複しないことによる診療報酬上必要な勤務者確保ができやすくなったと思われる。連続休暇は、2020年度が5連休までの人数が多く、2021年度は、6連休以降の人数が多い状況であったが、数字に大幅な違いが見られなかった。これは、新型コロナウィルス感染症の影響で夏季休暇について一定数が連休について意識が働かなかったと思われる。しかし、7連休以上を取得した職員も前年度よりも微増し、新型コロナウィルス感染症のオミクロン株で重症化しないことで、行動拡大したとも考えられるが、根本的に病院での行動制限が足かせとなり、取得期間を延長して平準化がなされたが、連続休暇の取得者拡大には繋がらなかった。

(7) まとめ
 今回、夏季休暇の取得期間を延長したことの変化について効果を検証したかったが、コロナ禍の中、夏季休暇の目的である「家庭生活の充実や心身のリフレッシュを図るため」に一致しない職員が多かったと思われ、仮説の検証は不十分であった。しかし、看護師長の勤務表作成への負担については一定軽減されたと考えるが、まだ取得期間延長の運用をしていない病棟もあることから、その周知も十分に図る必要がある。
 今後は、新型コロナウィルス感染症の終息後、職員が夏季休暇の希望申請状況や小中学生を子育て中の看護職員の希望が重複しないこと等、名簿を把握することで再度検証を行いたいし、同時に看護師長からヒアリングを実施し、夏季休暇取得期間の延長での負担軽減についても検証を行っていきたい。