【自主レポート】
1. はじめに 平成14年4月から精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部改正により、市町村に業務が移行され2ヵ月が過ぎようとしています。市町村への権限委譲により精神障害者を取り巻く環境は大幅に変わり、特に「入院治療中心」の体制から「地域におけるケアを中心」とする体制への移行は大きな影響を及ぼしているようです。現在の福祉の流れは「地域ケア」を重点において流れていますが、精神障害者はこの「地域ケア」をどのように感じるのか、また行政としてどう考えていくべきなのかまとめてみたいと思います。 2. 権限委譲による市町村業務 4月からの権限委譲により市町村での業務となったのは、精神福祉サービス、精神障害者保健福祉手帳及び通院医療費公費負担制度等の窓口業務、各種相談業務です。当町においても次の事業を開始しました。 3. 精神障害者に対する理解 「精神障害者」と聞くとどう思われるでしょうか? 大多数の方がいいイメージを持たないように思います。実際、悲惨な結末を迎えてしまった事件が起きる度にテレビ等で「昔、精神に関する病気だった。」「数年前まで治療していた。」等よく耳にします。報道等の力で偏見や差別を生んでいるように感じます。このような事をなくし、精神障害者に対する理解をしなければ、「地域ケア」が進まないように思います。また、精神に関する病気は高血圧についで2番目に多いと言う事です。これは「いつ自分が精神に関する病気にかかってもおかしくない。」という数値の表れだと思います。「引きこもり」は精神障害者予備軍と言われており、日本全国で約100人に対して1人が精神に何らかの病気があると言われております。病院から退院しても家族とのトラブルで再入院という形をとる場合もあり、このような事から地域や各個人の意識を少し変えるように、またお互いに理解するようにしなければ「地域ケア」は成り立っていかないように思います。「地域ケア」には当事者や家族の参加と行動、地域住民の理解と協力が不可欠に感じられます。 4. 担当課での対応 権限委譲により精神保健福祉の相談窓口が市町村になり、権限委譲前から電話での相談はありましたが、以前より増加した感じを受けます。電話を通して話をするが、その方との面接ができないのが現状で今後の課題です。ほとんどのケースを保健師が相談を受けているが不在の場合、担当が相談を受けるケースもある。この場合、知識はあるが、相談に関するノウハウを知らない者が知識だけで話を聞いていいのか? 相談に乗っていいのか? 疑問があります。当町の保健師は精神以外に他の業務もあり、精神だけという事ができません。これは他市町村も同様かと思います。また今まで行っていた保健所の相談も引き続き残ると聞いているが、「どこで線を引くのか?」「相談に線引きができるのか?」権限委譲に対する疑問が残っておりますが、住民サービスを考え、身近な町の保健士が相談を受ける事が望ましいと思いますが、このことは保健士に過大な要求をしているような感じがします。 5. おわりに これからの社会福祉は個人の尊厳を重視し、地域住民の誰もが安心して家庭や地域の中で障害の有無や年齢に係わらずその人らしい生活が送れるよう、地域全体で支えあう社会福祉に変わっていくことが求められています。 |