【自治研究レポート(個人)】
青年部活動でボランティアをして思ったこと
三重県本部/自治労伊賀町職員労働組合・青年部 岡森 千容
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私は二年前に伊賀町役場に就職して青年部に入りました。就職をして社会に出ると、学生のときと違い同年代の人と集まって話しをする機会が格段に減りました。役場の職員には同年代の人も多くいますが、私の職場は役場庁舎から道路を挟んで隣の建物になる農業センターですのでセンター内の職員の方々とは顔を合わせますが、庁舎や出先機関の方々とはあまり出会う機会がありません。地域の人とも窓口や仕事の関係で出会ったりしますが、ほとんど交流する機会はありません。そんなことからも青年部の活動を通して同年代の人たちと交流できるのがうれしいです。
青年部の活動は研修会、各種大会参加等、もちろん組合活動が主ですが、そんな活動の中で部員同士が交流を図れたらな、と考えています。青年部で伊賀地区の駅伝に参加したりもしました。ボランティア活動では町内の老人ホームを訪ねたり、町の観光資源である白藤滝付近の清掃をしたりもしました。そんないろいろな青年部の活動がある中、毎年恒例になっている保育園へのクリスマスボランティアがあります。
伊賀町は大きく柘植地区、西柘植地区、壬生野地区の3地区に分かれています。柘植地区には柘植保育園と柘植第二保育園、西柘植地区には西柘植保育園、壬生野地区には壬生野保育園と希望ヶ丘保育園と計5つの保育園があります。その5つの保育園のクリスマス会にはグループに分かれてお手伝いに行きます。
平日に仕事を休んで保育園に行きますので、職場の方々のご理解とご協力には本当に感謝しています。
保育園ボランティアは平成9年度に当時の青年部役員の発案ではじまりました。この保育園ボランティアでは保育士業務を手伝うことで、保育の現場を体験し、また現業職との交流を図ることが目的のひとつとなっています。
一年目私は柘植第二保育園にお邪魔させていただきました。保育園内に入るのはほとんど20年ぶりでしたので自分が保育園にいたときの記憶しかありません。だから「こんな感じだったとか」「今はこうなっているのか」とか懐かしかったり、新しい発見があったりしました。保育部屋の中や廊下にはかわいい飾りがたくさん飾ってあり保育士さんの園児への優しさが感じられました。
出かけてゆく保育園によってお手伝いする内容は少しずつ違っていますが、紙芝居をしたり、子供たちと遊んだり、特に園児たちは普段と違うお兄さんお姉さんに大喜びで、中には飛びつかれて3人もの園児を抱っこしたり、背負ったりしている人もいました。私も肩車をしたり一緒に追いかけっこをしたりして、すごくヘトヘトに疲れました。普段と違って園児もはしゃいでいたのだろうけれど、保育士さんの仕事は本当に大変だなぁと感じました。
昨年は柘植保育園にお邪魔させて頂きましたが、その日登園してきたときからなんとなく元気がない女の子がいました。給食のときに同じ机のグループで食べていたのですが、急に泣きはじめ私は給食が食べられないのかと思い「大丈夫? 無理して食べなくていいよ。」と声をかけてあげることしか出来ませんでした。その子はついに吐いてしまい、家の人に迎えに来てもらって早引きをしました。突然だったので私は近くにいたのだけれど保育士さんに知らせることしか出来ませんでした。どうもその子は風邪を引いていたようです。けれど、泣きはじめた時は風邪で具合が悪いとは分かりませんでした。保育園に通うぐらいの子ではまだ自分の具合の悪さを大人にうまく伝えることが出来ないのだと思いました。それだけに、周囲は子供のことには特に気をつけなくてはいけないと思いました。このことは当たり前のことですが、保育園ボランティアに行かなければ、上辺だけの常識としてしか、私は考えていなかったと思います。
柘植保育園では、おやつの時間にケーキ作りを一緒にしました。ケーキ作りといってもあらかじめ用意しておいたスポンジケーキにクリームを塗ってお菓子やフルーツをトッピングする簡単な方法で、園児にも出来るようにとよく考えられていると思いました。子供たちはみんな自分の好きなようにトッピングをして楽しんで作っていました。保育園へ通うくらいの子供達は、お菓子やケーキが好きだろうと思い、たくさんトッピングをするのかなぁと思っていたら、まだ食べられる量が少ないからか、トッピング用のお菓子が余ってしまいました。そうしたら、逆に「おねえちゃんのケーキにもっとのせ」と、言ってお菓子をいっぱいくれました。みんな明るく、そして優しく、私も一緒にクリスマスを楽しませていただきました。
最後に忘れてならないのは、青年部役員の人によるアンパンマンの人形劇です。すごく練習してあったと思われ、とても上手で子供たちも大喜びでした。終わったあとの役員のみなさんも笑顔でした。園児の喜んでいる顔を見ると保育園ボランティアに来てよかったなぁ、と心の底から思えます。また来年も参加したいと思いました。
保育園ボランティアで知ったことは保育士さんの仕事の大変さ、小さい子供に接することの難しさ、何よりも子供はみんなで守らなければならないと思いました。
しかし、ニュースで報道されていて記憶に新しいところですが、無認可保育園の管理者が預かっていた子供を虐待し、2人も死なせるという事件や、親による子供の虐待の話も最近よく聞きます。守られるべき子供が、子供を守るべき立場にいる大人に傷つけられるというのは、本当に悲しいことだと思います。けれど、子供を安心してあずけられる環境が減りつつあるのが現状です。子供の数に対し保育所が少ないということもあり、都会では無認可の託児所が増えています。逆に田舎では、保育所のボランティアに行って実感しましたが子供の数が減ってきており閉鎖や合併になる保育所もあるそうです。ひとりで育児を背負い込み育児ノイローゼから児童虐待に走る親もいます。親が子供を安心して預けられる環境が増えればいい、それは保育園や託児所だけではなく地域の人みんなで子供を見守っていける交流の場があれば、子供が社会の事情に傷つけられることが無くなるのではないかと思います。
保育園ボランティアに参加して、子供に接することは難しいけれど自分にも出来ることだと思いました。やさしく接すれば向こうもやさしく返してくれます。今回のようなボランティアは普段は仕事の都合などで個人ではなかなか出来ないと思います。けれど、例えば婦人会では通学路の危険箇所などに交替で立つ日をつくってくれています。小学生が通学している列に、声をかけてくれています。道であったときに、知っている子供なら声をかけてあげるとか、きっとそういった簡単な事から交流が生まれてくると思います。
私が住んでいる地元の青壮年部の方々もいろいろな活動をしてくれています。区の道沿いに花を植えたり、区内の空地に花壇を作ったりしてくれています。子供会も一緒に花を育ててくれています。夏休みなど花壇の前を通ると小学生の子供たちが花に水をやってくれていました。ここにも、地域の大人と子供の交流が生まれています。
ボランティア活動は地域の人と人との交流を活発にするための手段の1つになっていると思います。
新聞の投稿欄などで「無償で人を助けることを良いこととして人にも勧めたたりすることは偽善ではないか」という意見を読んだこともありました。そのこともあり、これまでわたしは偽善と言うイメージで思っていたことがありました。しかし多くのボランティア活動をしている団体がそうであるように、伊賀町役場の青年部でも「行政職員として地域に密着した活動」を念頭に「自分達に何が出来るかを知ろう」「そのために外に出よう、話を聞こう」そういった声から始まっている事を知りました、そして実際に参加することによって私のボランティアに対する考え方も大きく変わりました。ボランティアの活動を良い悪いで判断するともちろん良いことだと思いますが、単に良い悪いでは判断できないものもあると感じました。
昨年、伊賀町三大祭りのひとつになっているもみじ祭りの開催日の前に、開催場所である白藤滝周辺のごみ拾いを青年部でしました。
さすがに、普段は人の少ない山中ということもあり、ごみは少なかったけれど、それでも空き缶やアメやガムの包装紙、タバコの吸殻などが落ちていました。特にびっくりしたのが、白藤滝の滝つぼのそばにあった焚き火のあとでした。バーベキュー等を何回かしたのか黒い炭やごみの灰が積み重なっていました。渓流特有の白い砂は黒くなり、焚き火の周りに置いてある石は、すすで汚れてしまっていました。
私達はその灰を袋に詰めてトラックに運びました。どうしても元通りというわけにはいきませんでしたが、ずいぶんきれいになりました。疲れたけれどすごく充実感がありました。きっと、ごみを片付けたことで、祭りの時に訪れた人も白藤滝の美しい景色を笑顔で楽しんでくれるだろうと思いました。
ボランティア活動を通して、職場では体験出来ないことや、自分に何が出来るのかということを知ることが出来ました。そして、人も自分も笑顔になる、そういった活動が自分達にも参加出来ることがわかりました。きっとこれから自分の仕事をしていく上で役に立つと思います。
これからも、青年部を含めたボランティア活動に参加し、地域に密着した活動、人も自分も笑顔にする行動をしていきたいです。
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