【自主レポート】

平和への取り組み(沖縄現地研修に学ぶ)

広島県本部/御調町職員労働組合 梶本 慎二

1. はじめに

 御調町は、尾道市、福山市、府中市、三原市、甲山町、久井町に囲まれた。人口8,200人余りの山間の町です。
 御調町職員労働組合は、自治労では、世羅・御調ブロックに所属し、東部総支部の一員として各種の取り組みに参加しています。連合や労組会議では、府中市と新市町の単組や組織と連帯しながら取り組みをしています。
 御調町職員労働組合としての、平和の取り組みの起源は定かではありませんが、反核平和の火リレーの取り組みや核実験抗議の座り込み(現在まで、110回、述べ1,655人参加)を通して醸成されてきたものと思っています。
 その中で、1998年から3ヵ年間で行った沖縄現地研修は、実際にその場に身を置き、自分の目で見、肌で感じ、現地の人と話しをする中で、沖縄を通して平和を考えて行こうという取り組みとして行いました。

2. 沖縄問題を考える月間行事

 沖縄現地研修のきっかけは、1997年に府中地区労組会議御調支部とともに行った「沖縄問題を考える月間」の取り組みです。1997年は、「平和憲法施行50年」と「沖縄復帰25年」の年でした。沖縄県の皆さんは、米軍基地と米兵による事件・事故が相次ぐ中、平和的な生存権が脅かされていることを考える中で、6月23日の「慰霊の日」に向けて、沖縄問題を考える行事に取り組みました。
・6月4日 第29次まなぶ講演会「平和憲法とヒロシマ・沖縄」
労働大学講師 陶山さん
文化会館視聴覚室。36名の参加。
・6月17日 映画「GAMA月桃の花」の上映会
文化会館大ホール。130名参加。
・6月23日 沖縄問題を考える講演会・講師 城間和行さん(市民運動家)
「沖縄から問う護憲・反差別・連帯」
文化会館視聴覚室。59名参加。
 私たちは、この一連の取り組みの中から、戦後50年を経過した今でも戦争をひきずり、いまだに戦後といえない状況に怒りさえ覚えました。そして、日本の中でも、沖縄県は、いじめられているのだと感じました。それさえ、わからない人が多くいるのが現実です。

3. 現地研修(1998年・1999年・2000年の取り組み)

(1) 1998年沖縄現地研修(17名参加)

 
取 り 組 み 内 容
6月1日 第1回事前学習会
1 役員の選出、役割分担
2 沖縄現地研修の概要説明
3 事前学習会の進め方
 3班に分けて部門別の事前発表をする
  (1) 中部担当:沖縄中部地域のオキナワ問題
  (2) 伊江島担当:伊江島のオキナワ問題
  (3) 文化担当:沖縄の文化(琉球の歴史、史跡、食文化、工芸、特産品、自然など)
6月5日 第2回事前学習会(沖縄と平和を考える講演会)
 城間和行さんの講演を聴く
  昨年も城間さんからオキナワ問題の提起を受け、実際に現地に身をおくことの重要さを認識していたので、更に詳細を聴くことで現地での行動の在り方や見方を意識つけすることができた。
6月8日 第3回事前学習会
 第1回事前学習会で決めた部門別の研修課題を中心に進めた。
6月12日 沖縄現地研修(本島中部地域)
6月13日 沖縄現地研修(伊江島)
6月14日 沖縄現地研修(那覇、南部地域)
6月18日
 から5回
事後学習会(現地研修のまとめ)
 現地研修の中で知ったことや思いの意見交換、報告書の作成方針の確認。
10月 沖縄現地研修団報告書の発行

<日  程>
第1日
6月12日
 (金)
御調町役場 →
9:00
広島空港 →
10:40
那覇空港
12:30
午後   佐喜眞美術館(館長講演)・普天間基地
14:00~15:15時0分
読谷村役場(平和行政講演)
15:50~17:30
嘉手納基地(安保の見える丘)            本部(泊)
第2日
6月13日
 (土)
宿舎 → 
8:10
本部港 → 
9:00
伊江島 → 
9:30
伊江島 → 
16:40
那覇
17:40
午前   アーニーパイル碑、ニヤティアガマ、団結道場、ワジー、リリーフィールド米軍通信隊、タッチュウー
午後   ヌチドゥタカラの家(講演、見学)
13:00~16:00
 

宿舎 → 
18:50

料亭那覇
19:10
                  那覇(泊)
第3日
6月14日
 (日)
宿舎 → 
那覇空港 → 
16:50
広島空港
18:30
午前   自由行動 那覇公設市場、国際通り、首里、壷屋、南部戦跡跡等
午後   自由行動


(2) 1999年沖縄現地研修(17名参加)

 
取 り 組 み 内 容
6月7日 第1回事前学習会
1 役員の選出、役割分担
2 沖縄現地研修の概要説明
3 事前学習会の進め方
 3班に分けて部門別の事前発表をする
 (1) 中部担当:沖縄中部地域のオキナワ問題
 (2) 南部担当:沖縄南部地域のオキナワ問題
 (3) 文化担当:沖縄の文化(琉球の歴史、史跡、食文化、工芸、特産品、自然など)
6月14日 第2回事前学習会
 昨年の現地研修団員から昨年の取り組み内容について提起を受ける
6月23日 第3回事前学習会
 第1回事前学習会で決めた部門別の研修課題を中心に進めた。
6月25日 沖縄現地研修(読谷村を中心に)
6月26日 沖縄現地研修(宜野湾市と南部地域)
6月27日 沖縄現地研修(那覇)
7月15日 第1回事後学習会
 現地研修後の学習会の進め方を決める
7月21日 第2回事後学習会(沖縄と平和を考える講演会)
 城間和行さんの講演を聴く 昨年は城間さんから現地研修前にオキナワ問題の提起を受けた。今回は研修後、実際に現地に身をおいたことを踏まえ、更に詳細を聴くことで現地での思いを深くうることができた。
8月6日 第3回事後学習会
 2班に分かれ、現地研修の中で知ったことや思いの意見交換、報告書の作成方針の確認。(写真への思いから現地研修全般の思いを記す方法へ転換)
第1回編集委員会
8月23日 第2回編集委員会
8月下旬 各班学習会
 第1回事前学習会で決めた班のまとめ
9月下旬 第3回編集委員会
9月 第3回事後学習会
 各班学習会のまとめを全員で確認した。
9月末 沖縄現地研修団報告書の発行

<日  程>
第1日
6月25日
  (金)
御調町役場 → 
10:30
広島空港 → 
12:20
那覇空港
14:10
午後   読谷村役場(平和行政講演)
15:50~17:20
安保の見える丘(嘉手納基地)
17:40~18:00
 
 
宿舎 → 
18:30
夕食・郷土芸能「ライブハウス島唄」 
19:00~22:00             
(宜野湾市)
沖縄市(泊)
第2日
6月26日
 (土)
宿舎
8:30発
午前   キャンプハンセン
佐喜眞美術館(館長講演)
 9:20
 10:00~11:45
 
午後   ひめゆり平和祈念資料館
米須海岸、ヒロシマの塔 
平和祈念公園、県立平和祈念資料館
ガラビガマ、アブラチガマ
 13:20~14:00
 14:10~14:40
 14:50~16:20
 16:30~17:40
 
 
宿舎 →  料亭那覇
19:10~ 19:30
那覇市(泊)
第3日
6月27日
 (日)
午前
午後
  自由行動 (首里城、壷屋、国際通り、海岸)
宿舎ロビー集合 15:00
那覇空港 → 
15:50
広島空港 → 
17:30
御調町役場
18:30


(3) 2000年沖縄現地研修(12名参加)

 
取 り 組 み 内 容
4月18日 平和研修合同学習会
 1998年、1999年沖縄研修参加者のうち、組合5役経験者、事務局長及び2000年平和研修事務局で日程、研修内容についての検討を行った。
6月5日 第1回事前学習会
1 役員の選出、役割分担
2 沖縄現地研修の概要説明
3 事前学習会の進め方
 3班に分けて部門別の事前発表をする
 (1) 中部担当:沖縄中部地域のオキナワ問題
 (4) 南部担当:沖縄南部地域のオキナワ問題
 (5) 文化担当:沖縄の文化(琉球の歴史、史跡、食文化、工芸、特産品、自然など)
6月12日 第2回事前学習会
 昨年の現地研修団員から昨年の取り組み内容について提起を受ける
6月中旬 各班学習会
6月26日 第3回事前学習会
 第1回事前学習会で決めた部門別の研修課題を中心に進めた。研修日程の確認。
6月30日 沖縄現地研修(読谷村を中心に)
7月1日 沖縄現地研修(宜野湾市と南部地域)
7月2日 沖縄現地研修(那覇)
7月10日 第1回事後学習会
 現地研修後の学習会の進め方を決める
 報告書の作成方針の確認
 報告集編集委員の選出
 第1回編集委員会
8月1日 第2回編集委員会
8月11日 第3回編集委員会
9月6日 第4回編集委員会
9月上旬 各班学習会
 第1回事前学習会で決めた班のまとめ
9月11日 第2回事後学習会
 各班学習会のまとめを全員で確認
第5回編集委員会
9月下旬 第3回事後学習会
 報告集について意見交換
9月下旬 沖縄現地研修団報告書の発行

<日  程>
第1日
6月30日
 (金)
みつぎ勤労福祉センター → 
7:00
岡山空港 → 
9:20
那覇空港
11:20
午後   安保の見える丘(嘉手納基地、嘉手納弾薬庫) 
読谷村役場(平和行政講演)
トリイステーション、象のオリ、チビチリガマ
12:00~13:00
14:00~
~18:00
 
宿舎 → 
18:20
夕食・沖縄民謡ライブ「カラハーイ」(北谷町)
18:
北谷町(泊)
第2日
7月1日
 (土)
宿舎
8:30発
午前   佐喜眞美術館(館長講演)
普天間飛行場
アブラチガマ

9:00~10:30
11:00~12:30
午後  

ひめゆり平和祈念資料館
米須海岸、ヒロシマの塔
平和祈念公園、県立平和祈念資料館

13:30~14:10
14:20~14:40
14:50~17:00
宿舎 → 
18:00
民俗芸能と沖縄料理の夕べ(料亭那覇)
18:30
那覇市(泊)
第3日
7月2日
 (日)
午前   自由行動 (首里城、壷屋、国際通り、海岸等)
午後   宿舎ロビー集合 14:30
那覇空港 → 
16:00

広島空港 → 
17:40

みつぎ勤労福祉センター
18:40


4. まとめ

(1) 沖縄現地研修を終えて
   平和研修などに取り組む中で、百聞は一見にしかず。これは一度沖縄へ行ってみなければならない。という声があがり3年間の沖縄現地研修の取り組みが始まりました。
   1997年の映画「GAMA 月桃の花」上映、沖縄問題を考える講演会(講師 城間和行さん)につづく翌年の1998年から3年間で延46名の仲間が沖縄を訪れました。
   沖縄は、「太平洋戦争唯一本土決戦の島」「米軍基地の島」。
   参加者それぞれは、この現状と反戦平和運動を基調に、歴史や工芸、食文化などを、しっかりそれぞれの五感に感じとって脳裏に焼き付けてかえってきました。
   事前学習会で確認した沖縄現地平和学習参加の目的は、『映画』や『本』や『講演会』からではわからないことを、直接『見て』『聞いて』『肌で感じる』ことでした。
   沖縄の歴史を考えたとき、戦争や米軍基地のこと、返還闘争での本当の沖縄の人の願いや、思いを考えたとき、あまりにも重いものがあり過ぎてわからなくなります。
   しかし、まず行ってみること、そうすることが今後の平和運動の取り組みに大きなはずみとなることは確かです。
   結果は、『行って』『見なければ』触れることの出来ないことの連続で、時にはその余りにも悲惨な現実に言葉を失い、背筋が寒くなる思いとともに言い様のない腹立たしさを覚えました。
   通常のツアーでも、『平和祈念資料館』や『ひめゆりの塔』の見学で沖縄戦の悲惨さに触れることが出来ますが、今回の沖縄現地研修では、一般の観光客が訪れることの少ない『ガマ(壕)』などの戦跡や嘉手納飛行場・普天間飛行場等の米軍駐留施設見学と佐喜眞美術館や読谷村役場での説明を受けることにより、沖縄の過去と現在の学習を深める事が出来ました。
   参加者は、この経験をもとに、「沖縄と平和運動の未来」に向けて役に立つように活動したいとの決意に胸を熱くして現地学習を終了しました。
   沖縄を訪れる人の多くは、『青い海・白い砂』を求めて南の島でバカンスを楽しみショッピングを楽しみます。しかし、基地の島としてオキナワが本土復帰以降現在に至るまで抱えてきた悩みや、沖縄戦において人々が経験した想像を絶する苦しみに思いを馳せることは殆どないと思います。
   この研修は、3回で区切りとなっていますが、現地で受ける研修は大変意義があるもので、何らかの形で継続していきたいと思います。
   沖縄にはきれいな海や空、貴重な自然があります。元気な人も大勢います。基地返還と借地利用による産業振興を訴える読谷村の人達や沖縄戦実相を語り継ぐ人達。市場で元気に魚や豚を売っているおばあたち。
   沖縄には発展する活力があります。
   みなさんも是非沖縄へ行き、見て、聞いて、肌で沖縄を感じて、平和について考えてみてください。