【自主レポート】
埼玉県本部/ |
熊谷市職員労働組合・
熊谷市職員自主研究グループ倶楽部2033
嶋田 道雄 |
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はじめに
里山=人里近い人の手が入った雑木林に覆われた丘陵地が関心を呼んでいる。各地で保全活動が盛んで、横浜市や茨城県牛久市では、市民の手による保全活動が盛んである。埼玉県では、平成11年まで、「平地林パートナーシップ推進事業」として、所沢市や北本市などで民間団体の雑木林の保全活動に対する支援を行ってきている。これらは、広い意味では市民参加であると言える。
市民参加は、私たちグループの関心事でもあるが、熊谷市の場合、市民参加の現状は、残念ながら、各種の市の委員会で公募委員ぐらいにとどまっているので、職員として地域に働きかけようという「職員参加」の活動スタイルをとっている。
平成12年度は、それを本格的に挑戦するために「里山の再生」をテーマとして選んだ。
里山保全の手段として、ステップ1・里山への関心を呼び起こす、ステップ2・参加主体の育成、ステップ3・本格的な里山の管理、を政策提言した。
平成12年度、活動内容としては、ステップ1にとどまった。実践活動を通じて地域に働きかけようとする場合、どうしても単年度で終わることは難しい。そこで、平成13・14年度も同じテーマを選んだ。
私達の関心は、今竹炭焼きに焦点が絞られてきている。同地は、孟宗竹に覆われていて、利用の障害となっていたが、竹炭として活用することで、大きく展開できると思われるので、ステップ2でもあるとともにステップ3の要素も含んでいる。つまり、炭材料を取るために、竹や雑木を伐採し周辺が整備され、この作業を共同作業として行うことで、多くの住民が参加してもらえる。
その後、活動地周辺が埼玉県で推進する「彩の国グランドワーク」の対象となり、それへの参加が始まった。すでに、竹炭は商品として評価が高く、われわれがそれを行っていることが、マスコミにも取り上げられた。
1. なぜ里山に取り組んだのか
あらためて、いったい、里山という言葉をどれくらいの人がご存知だろうか。一度整理してみたい。里山の条件として最近は5つがあげられる。
① 人間の生活に近い場所(里)……社会学的
② 丘陵地を中心にした台地・低山地帯……地理・地形学的
③ 松林や雑木林の2次林(自然林に対して)……植生・生態学的
④ かつて薪や炭などの供給地として利用されていた。……経済学的
⑤ 今日では身近な自然の場……環境的
雑木林に覆われた、なだらかな里山の姿をながめると、誰でも何か、懐かしさを感じると思う。うさぎ追いし彼の山、小鮒釣りし彼の川とうたわれた「ふるさと」であるという人もいる。心の原風景として、これを守ろうという気になるのも当然ではないだろうか。
これまでの経済開発を第一にする考え方の中では,忘れられていたものが、今見直そうという気運になってきている。雑木林を守ろうという活動も全国的に盛んになってきている。身近に残された自然として見直されてきた。
熊谷市においては、まとまった雑木林があり、里山といえるのは、吉岡地区である。この地区の人の中には、吉岡中学校周辺の斜面林を吉岡山(よしおかやま)という人もいる。この地には、谷津田や雑木林があり、大切な里山の風景がある。しかし、今ここは、管理されないまま放置され雑木林が藪に変わってしまったり、ごみの不法投棄の場所となってしまうおそれのある場所もある。現に、かつて雑木林であった吉岡中学校周辺は、現在孟宗竹が繁殖しており、私達としては、これをなんとかしなければならないという目前の課題がある。
また、「ふるさとの風景の原形」ともいわれ、今里山を見直す活動が活発になってきているが、里山が見直され始めたのは、物質文明にとらわれずに真の豊かな生き方を人々が見出そうとしているからではないであろうか。
過日、炭焼き体験への市民参加の新聞での評価や参加者の反応は、大変大きいものであった。また、その後11月17・18日のふるさと祭りで私達の活動を発表したが、大きな反響をいただいた。単にブームというにとどまらない確かな手ごたえを感じた。
ここで、里山の評価について、まとめてみよう。里山は生物多様性の維持機能をはじめ多くの優れた公益的な機能を持っている。あるいは、人の営みと自然環境の調和した一つの空間形式であるともいわれる。残された貴重で身近な自然としてのレクレーションの場や自然探勝の場としての価値は増している。季節感や昆虫、野生動物の豊富さの点では、薄暗く単調な杉・ひのき林とは比較にならない。里山は生きた自然・環境教育の場としても適している。さらに、水源の涵養や洪水防止、高温化する都市気温の調整、大気の浄化など、多面的な環境保全機能を持っている。里山の保全は日本の自然(ふるさと)の保全でもある。
2. 熊谷にとっての里山(吉岡地区)
熊谷で里山と呼べる地区は比企丘陵の最先端である吉岡地区であろう。この地は、地区の人々の大切な里山(雑木林)が管理されないまま放置されているのが現状だ。総論として「里山を守ろう」というのは容易でも具体的な方法論となると、なかなか一筋縄ではいかない。こういった地味な活動は、初めから成果を期待せずに、やり方としてむしろ、いろいろな形があるほうが面白いのではないだろうか。
平成12年度から、私たちグループでは、「里山の再生」をテーマとした。それには、まず吉岡地区の雑木林への関心を持ってもらうこと。そのために、さまざまな関心を呼び起こすための工夫をした。
平成12年度から、吉岡中学校駐車場の西側に隣接する市所有地(約1,000㎡)を市から借用して、グループの活動の拠点にした。この地は日が入る明るい雑木林が人の手も入らないため繁殖力の強い竹林に変わり、落葉広葉樹や松は竹によって光を遮られ立ち枯れて、昼間でも暗い怖い林になっている。日が差し込まないため竹以外の植物や動物、昆虫等は見受けられない。その竹でさえも立ち枯れているものもあるほど密集している。2年がかりで、休日になると、メンバーが竹を伐採し、光が差し込む広場を作り、そこに炭焼き窯を設置して竹炭焼きに挑戦中である。光が差し込むようになると、草花や蝉の幼虫の抜け殻、とかげ、蝶が見られるようになった。ここを拠点にして、ここにある竹を使った天体望遠鏡による観望会や竹細工教室の開催をした。そして、竹炭焼を行っている。これらは、住民の力で森づくりを進めるための最初のステップである。
政策提言をしながら、市職員自ら(同時に市民でもある)が地域に入り、それを実践してきたのは、協力者の発掘・育成が必要であると考えたためである。ただ、活動することの困難さを痛感している。
平成13年度には、協力者の発掘・育成として市自治振興課が中心になり吉岡中学校PTAを母体に吉岡グランドワーク実行委員会が発足し、吉岡中学校を中心とした区域一帯で「よしおか八幡里山づくり」グランドワーク推進事業を進めていくことになった。月1回第2日曜日午前中に里山づくりの活動を始めたばかりである。倶楽部2033も支援グループということで参加している。この「よしおか八幡里山づくり」グランドワーク推進事業が「吉岡中学校周辺地域環境整備構想」につながっていければと思う。
平成13・14年度は以上の点を踏まえて、当面の課題としては、次の3点である。
① 人間の回復の場としての里山を見直す。(再発見)
② 里山管理を行うための仕組みを作る。
③ 人間の回復の場としての里山の活用を図る。(生産の場)
3. 政策提言
先の課題を受けていわゆるヒト・カネ・モノの面の制約から政策提言としては十分な検討ができなかったため、とりわけ①の里山の見直し、つまり関心を持ってもらうための試みを平成12年度に行ったので、概略を以下に記す。②の里山管理の仕組み、③の里山の活用にも若干触れたいと思う。
ある面で里山の管理は、地道な努力が必要だ。長続きするには、楽しくなければいいアイデアも浮かんでこない。まず、里山で遊んでしまおうといったことで「スターウォチング」、「竹細工教室」に取り組んでみた。13年度は、竹炭焼きに挑戦し、14年度は住民を対象に竹炭焼きの楽しさを伝えられればと願っている。
また、吉岡中PTA、地元企業などが参加するグランドワーク推進事業にも支援グループとして参加し、里山管理の参加主体の育成に取り組んでいる。
これまでの活動をまとめると、次のようなステップで進めることになる。
ステップ1 遊びの要素を取り入れながら、関心を呼び起こす。
(里山に生える竹を使用した竹筒天体望遠鏡でのスターウォチング・竹細工教室の開催・竹炭焼き親子教室・ふるさと祭参加・活動広報紙「里山だより」の発行・ロードギャラリーへの竹炭展示)
ステップ2 参加主体(ボランティア)の育成と賛同者の発掘
(これは地区内外からの知識や労力その他の支援体制が必要であるため。グランドワーク推進事業発足への協力・支援)
ステップ3 本格的な里山の管理 熊谷市版里山条例の制定
4. グループの活動(3. 政策提言 ステップ1として)
(1) 現地の状況
吉岡中学校を中心に平地から丘陵地帯になる斜面林を登り、樹木等の植生を調査する。人の手が入っている気配は見られず、鬱蒼とした昼暗い常緑広葉樹と竹林になっている。
吉岡中学校駐車場の西側に隣接する市所有の場所も人の手が入らないまま、約10年前に比べてくぬぎ・こならの落葉広葉樹の数はめっきり減り、繁殖力の強い竹が大部分を占め地面に四季を通してまったく日の届かない里山に変わっている。そのため、くぬぎ・こならは立ち枯れている。日が差し込まないため、地面で花を咲かせ生きていくことができた多くの植物が消え、それらの実を食べていた虫や明るい林を好む動物・鳥も住めない状態になっている。この土地を借りて活動の場にして里山の再生を図る。
(2) 里山に管理が必要なわけ
里山に管理が必要なわけを次に説明していきたい。
「おじいさんは、山へ柴刈りに。おばあさんは川へ洗濯に」とおとぎ話・桃太郎に昔の生活が描かれているが、つい30年前までは、柴刈りとは、くぬぎ・こならの雑木林の下に生えた低木の刈り取りをいい、それを燃料にした。またくぬぎ・こならを早く大きく育てるためにも必要である。くぬぎ・こならは薪や炭の材料になり農山村の貴重な収入源だった。手入れされた里山は、明るく開放的で美しく日が差し込むので、春はつつじや山桜が咲き、初夏は若葉、秋は紅葉、そして落ち葉の敷き詰めた冬枯れの雑木林。生産の場である里山は、遊ぶ場でもある。花摘み、きのこ狩り、栗拾い、あけび取りができる。動物や鳥にとっても住みやすい環境を提供した。
里山の保全をテーマとして進めているが、実地体験をとおして里山の保全をアピールしようということで、3回に渡る実地体験を計画した。
第1回目が星空ウオッチング、第2回目が竹細工教室で第3回目が竹の炭焼き体験である。現在、竹の炭焼き体験に挑戦中だ。竹炭は今注目され、脱臭やかび・湿気の予防、食べ物を美味しくするなどのいろいろな用途で利用されている。竹炭の作り方、何からはじめてどう進めていけばよいのかまったく知識がなかった。埼玉県の県民の森が行う炭焼き体験教室に2名が参加した。
そこで得たことは単に炭焼きの技術だけでなく、炭焼きの材料として伐採するために多くの人手が必要であること。(共同作業の場)竹炭そのものに利用価値が高いこと。さらに、吉岡の小中学校での学習の場として、利用できれば「里山の再生」として地域の発展の可能性が出てくることである。
具体的な活動は、以下のとおりである。
(3) グループの活動(実践活動)
① 実施日程
平成12年
4月30日(日)吉岡地区里山現地調査
8月26日(土)炭焼き体験教室参加(埼玉県県民の森・横瀬町)
10月7日(土)スターウオッチング(子ども・住民対象にした)
11月25日(土)市民竹細工教室
平成13年
2月16日(金)吉岡山の竹林の伐採を開始 3月25日(日)竹林の伐採
4月15日(日)ドラム缶窯の設置 5月5日(土)屋根掛け
5月26日(土)第1回竹炭焼き 6月9日(土)炭材作り
6月10日(日)第2回竹炭焼き 7月14日(土)炭材作り
7月20日(金)第1回グランドワーク実行委員会参加
7月21日(土)第3回竹炭焼き
8月18日(土)第2回グランドワーク実行委員会参加
8月18日(土)炭焼き視察(所沢市荒幡市民の森ふれあいセンター)
8月19日(日)吉岡中学校PTAボランティア活動参加
9月9日(日)グランドワーク実行委員会視察参加(都幾川村どんぐり山・川本町わんぱくの森)
9月22日(金)炭材作り 9月23日(土)第4回竹炭焼き
10月13日(土)炭材作り
10月21日(日)第1回市民炭焼き体験教室開催(第5回竹炭焼き)
10月28日(日)グランドワーク活動参加 11月3日(土)第6回竹炭焼き
11月4日(日)グランドワーク活動参加
11月17・18日(土・日)ふるさと祭り出品
平成14年
1月13日(日)グランドワーク活動参加・第7回竹炭焼き
2月3・9日(日)グランドワーク活動参加
2月11日(月)第2回市民炭焼き体験教室開催(第8回竹炭焼き)
3月3日(日)グランドワーク活動参加
3月10日(日)第3回市民炭焼き体験教室開催(第9回竹炭焼き)
3月26日(火)~4月16日(火)市役所通りJR立体交差地下道歩道ロードギャラリー竹炭展示
4月14日(日)グランドワーク活動参加
4月27日(土)第4回市民炭焼き体験教室開催(第10回竹炭焼き)
5月12日、6月9日(日)グランドワーク活動参加
② 竹炭焼き
ア なぜ竹炭焼きを始めたのか
わたしたち倶楽部2033は、前述のように里山の再生を目的として3年間活動してきた。実践の場として、吉岡山の市有地に注目した。雑木林というよりは、竹林と化していた。里山再生には、まず、この竹林をどうにかしなくてはならない。木々の生息を遮っている竹を伐採する必要があった。その伐採した竹を利用して、なにか里山再生のアピールができないか。行ったアピールの第一弾が、平成12年度行ったスターウオッチングで、第二弾が竹細工教室だった。里山再生のアピール第三弾は、平成13年度から行っている竹炭焼きである。
イ 竹炭焼きの準備
a まず始めに、竹を伐採して炭焼きをするスペースをつくる。
b 次に、所沢市荒幡市民の森ふれあいセンターで炭焼きを行っている小熊さんの指導の下、2機のドラム缶窯を設置した。ドラム缶窯は煙突付きで2機の側面と後方を板で囲み、ドラム缶窯が隠れる位に土を盛る。煙突付ドラムカン窯代2台 18,000円
c 次に屋根を敷設する。鉄パイプを組み合わせて骨組みを作り、トタン屋根をかけた。屋根掛け材料代 27,878円
d 炭焼きの手順を埼玉県県民の森で行われた炭焼き体験教室で学んだ。
ウ 炭焼きの開始
炭焼き教室で学んできたことを元に炭焼きの実験を始めたが、なかなか学んだとおりにはいかない。ここで、炭焼きの手順について紹介したいと思う。
a 炭材つくり
i)まずは炭材つくりから始める。まず、あらかじめ伐採しておいた竹をドラム缶窯の中に入る大きさに切る。ドラム缶の長さが90cmなので、竹を詰めたときにドラム缶内部の両端に空間ができるよう、竹を80cmに切る。
ⅱ)次に80cmに切った竹を縦に4つ割りにする。この作業はなたを使う。
ⅲ)4つ割りにした竹の節を取る作業をする。この作業は、かなづちやなたの頭を使う。
b 炭材を詰める。
i)次にドラム缶窯の中に炭材を詰めるが、詰める前に、ドラム缶窯の底に鉄筋の井桁を敷く。その上に竹を乗せていく。竹を寝かせて詰めていく方法と立てかけて詰めていく方法があるが、私たちは、寝かせて詰めていく方法を取る。詰める際には、ドラム缶窯の内側の両端が5cmずつ空くようにする。
ⅱ)ドラム缶窯のふたを閉める。ふたはバッキンでしっかり閉める。なぜしっかり閉めるかと言うとここから空気が入り込まないようにするため。空気が入ると、竹が燃えてしまう。ドラム缶窯のふたには25cm四方の穴が空いているが、そこから熱風をドラム缶窯の中に送り込む。
c 焚口を作る。
次にドラム缶窯の中に熱風を送り込むための焚口をつくる。ドラム缶窯のふたに接して焚口を作るわけだが、私たちはこの焚口で試行錯誤した。
i)ただブロックを重ねて焚口をつくる。結果は炭焼きの途中で中の竹が燃え始めた。
ⅱ)一斗缶を焚口にした。
ⅲ)U字溝を逆さに使って焚口にした。
ⅳ)U字溝を使うとともに、U字溝とドラム缶窯のふたの間の隙間に粘土を詰めて、さらにU字溝全体を土で覆う。ⅳ)の方法にいたってなんとか空気の入りを遮断することができた。
d 点 火
i)焚口に薪を入れて、点火する。
炎が安定したら、うちわで扇いで、熱風をドラム缶窯の中に送る。ここで注意したいのは、窯の中の竹自体が燃え出すようにうちわで扇ぐのではなく、あくまでも、焚口で作った熱だけがドラム缶窯の中に送られるようにすることだ。やがて、窯の中は送られてきた熱によって温度がどんどん上昇していく。その熱によって、竹自体が発熱し、熱分解が始まる。竹の自発炭化という。自発炭化が始まったかどうかは煙突からでる煙の色と勢いにより判断する。真っ白い煙がまっすぐに勢いよく噴出し始めたら自発炭化が始まったと見てよい。このとき、煙の温度は大体100℃くらいになる。時間的には点火から1時間半から2時間くらいかかる。うちわで焚口を扇ぐ作業を終わりにする。
e 焚口を狭める。
i)自発炭化が始まったら、焚口の中にいっぱいに薪を詰めてから、焚口を狭めてやる。焚口を狭めることにより、ドラム缶窯の中へ入り込む空気の量を少なくする。焚口を小さく狭めるほど、出来上がりまでの時間がかかるが、その分締まった良い炭ができる。
ⅱ)その後もドラム缶の中の熱はどんどん上がり続ける。ここで注意したいのは、竹自体が熱分解して窯の中の温度をどんどん上げているのであって、薪が燃えていることによって温度があがっているのではない。
ⅲ)やがて竹の自発炭化が終わりに近づいてくると、煙は煙突の出口付近から透明になってくる。やがて青白くなり最後にはほとんど透明になる。そのときには、煙の温度は300℃を超える。
f 焚口を除去して、窯のふたの25cm四方の煙道口を密閉する。
煙道口を鉄板で密閉し、窯全体を土で覆い隠してしまう。空気を完全に遮断する。
g 出炭 出炭は2~3日後となる。
現在10回の炭焼きを行うが、最初に比べれば進歩したものの、まだ窯の中の竹が燃え出してしまったり、そうかといえば生のままだったりして、試行錯誤を続けている。
炭焼き自体が私たちの目的ではないのですが、満足する炭をつくろうとして、はまってしまいそうである。煙の温度を測る温度計代 28,000円
③ 炭焼き体験教室
炭焼き実験をした後、アピール第3弾として、平成13年10月21日炭焼き体験教室を行う。チラシは吉岡小学校と吉岡中学校に配った。当日は、吉岡在住の家族4人と孫に炭焼きを教えたいという岡部町から来たおじいさん、それから月見町に住むご婦人2名が一般参加してくれた。吉岡在住の家族は娘さんが吉岡小学校に通っていて、このチラシを見て、すぐに参加の連絡をくれた。参加人数は少なかったが、自発的に楽しみにして来てくれた人たちばかりなので、雰囲気も和やかで、この場所でやっている私たちの活動に興味を持ってくれた。少しはアピールできたのではないかと思う。それよりも参加してきてくれた人たちの方が、里山の保全に対する考えをしっかり持って、勇気づけられた。その後、3回開催した。
5. 今後の課題
自分たちの身近の自然を使って遊ぶ楽しさが伝われば、成功したといえるであろう。ただし、参加者の少なさは、身近な自然への関心の低さからくるものであるならば、それは忌々しきことである。もともとの趣旨が、吉岡に里山を残そうというものであり、吉岡に里山を再生するためには、生え放題の孟宗竹を伐採することから始めなくてはならない。このようなことは、地域や学校教育を巻き込んで行うことが重要であり、それならここの竹を使ってイベントをやりながら身近な自然、里山に対する理解を得ようではないかとの考えのもと、行ったイベントなので、参加者の少なさは、PRが足りなかった、開催の時間帯が悪かったなどを痛感する。身近な自然の大切さをアピールする手法の難しさを感じた。高知市にみられるように「里山保全条例」を制定し行政側からの支援として里山を保全するシステムの確立も今後視野に入れていきたい。
①竹炭焼き技術の確立 ②グランドワークの定着 ③パートナーシップの確立
竹炭焼を行うことで次の効果がある。
炭材材料を取るために、雑木を伐採し周辺がきれいに手入れされる。これを共同作業として実施することで、多くの住民(市民)が参加できる。つまり、先の政策提言の1から3までをまとめて実現できる方法である。
おわりに
平成8年から活動しているが、平成11年からグループの活動の方向性が、グループで実践することに趣きが変わってきたのには、3年も自主研究を行ってくると自分たちの政策を実現したい欲求がメンバーのなかから生まれてきたせいかと思われる。
倶楽部の活動テーマを決めるとき、里山で炭焼きをやりたいという卒直な意見が上がった。ただ、自分たちでやるには金と労力、時間がかかり過ぎる。平成12年度は住民を対象にしたイベントを2回行ったが、持ち出した会費は底をついた。臨時会費の徴収をした。自分たちのやれる範囲はやっていこうということを確認した。平成13年度は竹炭焼きを行うために、ドラムカン窯2台購入、小屋の設営で大きな出費になった。時間、労力も非常にかかった。すべて休日にやるしかない。自分たちで試行錯誤しながら、竹炭焼きを平成13年5月から今までに10回行った。うち、4回は市民を対象にした竹炭焼き教室を開催した。小さいグループだが、そこから住民の輪が広がりつつある。よしおか八幡里山づくりグランドワーク実行委員会が地元で出来上がったのはうれしいかぎりである。熊谷には吉岡にしかない貴重な里山の再生を図り、住民と自然(里山)との共生関係が育ってくれればと思う。
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