【自主レポート】

地球温暖化防止にむけた取り組み
「徳島市エコオフィスプラン」について

徳島県本部/徳島市役所職員労働組合

1. はじめに

 私たちのふるさと徳島市は、「四国三郎」と名高い吉野川の河口域に位置する、人口約27万人の県庁所在市です。
 万葉の昔には「眉のごと…」と歌われた眉山(びざん)や阿波藩主・蜂須賀家の居城跡である城山(しろやま)が、まちのランドマークとして存在します。また、市内には138もの河川が流れており、まさに、水と緑に恵まれた自然環境豊かな都市です。
 また、毎年8月12日から8月15日までの4日間は、徳島市が世界に誇る「阿波おどり」が開催され、普段は静かなまちが、多くの観光客と踊り子達の熱気で包まれ、躍動のまちへと変貌を遂げます。
 このように美しい自然環境を持つ私たち徳島市においても、廃棄物の増加や生活排水による水質汚濁など、様々な環境問題を抱えています。
 また、近年、地球温暖化やオゾン層の破壊など地球規模での問題も深刻化し、地域においても、グローバルな視点での対策が求められています。
 こうしたなか、徳島市では、平成13年7月に地球温暖化対策の推進に関する法律第8条第1項に基づく実行計画として「徳島市エコオフィスプラン」を策定しました。

2. プラン策定の背景

 地球の温暖化とは、人間の様々な活動に伴って発生する二酸化炭素等の温室効果ガスの大気中濃度が増加することにより、地球の平均気温が上昇する現象で、地球規模での最も重要な環境問題の1つです。
 このまま温暖化が進むと、①海面水位の上昇による水没、②異常気象による豪雨や干ばつなどの増加、③農業生産や水資源への影響、④マラリアなどの熱帯性感染症の発生増加等の影響が予測されます。
 地球温暖化防止に関する対策として、国際的には平成9年に開催された地球温暖化防止京都会議(COP3)で採択された「京都議定書」の中で、わが国については、温室効果ガスの排出量を2008年から2012年までに1990年比で6%削減する目標が定められました。
 これを受けて、国では「地球温暖化対策の推進に関する法律」が平成10年10月に公布され、平成11年4月に施行されています。
 この法律では、温室効果ガスの排出抑制等のための国・地方公共団体・事業者・国民それぞれの役割を明確にしており、国、県及び市町村は自ら行う事務及び事業に関し、温室効果ガスの排出抑制等のための措置に関する計画を策定し、公表することが義務づけられました。

3. プランの概要

 「徳島市エコオフィスプラン」は、市役所が事業者・消費者の立場から、環境に配慮した行動に率先して取り組み、環境への負荷を可能な限り低減するため、自らの事務・事業について財やサービスの購入・使用や建物の建設・管理、エネルギー使用の抑制、及びこの計画の推進体制の整備など基本的事項を定め、温室効果ガスの排出削減に取り組むものです。
 このプランの対象範囲は、「地球温暖化対策の推進に関する法律」第7条第1項に基づく基本方針により、市が自ら直接行う行政事務や現業的活動、つまり市職員が直接行う活動を対象とすることになっていることから、本庁舎におけるものだけでなく、廃棄物処理、上下水道、交通局、市立学校、市立病院等も含むことにしています。つまり、市長部局、議会事務局、教育委員会、選挙管理委員会事務局、監査事務局、農業委員会事務局、水道局、交通局のすべての職員による市施設の運営・管理及び使用並びに事務の執行に関して適用することとしています。
 また、このプランは、平成11(1999)年度を基準とし、平成13(2001)年度から平成17(2005)年度までの5年間を対象期間としていますが、技術の進捗状況等を踏まえて、必要に応じて見直しを行うものとしています。

4. 温室効果ガス排出状況と削減目標

 当市の平成11年度の温室効果ガス排出状況は、市役所全体で、二酸化炭素に換算して、35,644,362㎏、本庁舎では1,997,607㎏となっています。
 プランでは、この数値を基準として平成17年度までに本庁舎から排出される温室効果ガスを2.5%削減することを目標としています。
 「地球温暖化対策の推進に関する法律」によって削減対象として定められた温室効果ガスは、二酸化炭素(CO2 )、メタン(NH4)、一酸化二窒素(N2 O)、ハイドロフルオロカーボン(HFC)、パーフルオロカーボン(PFC)、六フッ化硫黄(SF6)の6種類ですが、PFC、SF6については、使用実態が把握できないため温室効果ガス排出量の算定対象からは除いています。

5. 目標達成のための取り組み

 当市の事務・事業から排出する温室効果ガスを削減し、数値目標を達成するために次の取り組みを行うものとしています。

<直接的な取り組み>
 (1) 電気等エネルギー使用量の削減
   ① 照明機器の適正な使用・管理
   ② 事務用機器の適正な使用・管理
   ③ 空調機器の適正な使用・管理
   ④ 省エネルギー型機器の導入
   ⑤ その他
 (2) 公用車の燃料使用量の削減
   ① 公用車の使用の合理化
   ② 低公害車の導入
 (3) エネルギー等の有効活用
   ① 環境にやさしいエネルギーの導入など

<間接的な取り組み>
 (1) 環境配慮型製品の購入・使用
   ① 用紙類
   ② その他の事務用品
 (2) コピー、印刷用紙等の使用量の削減
   ① 文書の簡素化
   ② 使用量の削減
 (3) 環境に配慮した施設整備・管理、工事
   ① 再生資材等の使用
   ② 水の有効活用
   ③ 廃棄物の適正処理
   ④ 周辺環境への配慮
   ⑤ その他
 (4) 廃棄物の減量・リサイクルの推進
   ① 減量化の推進
   ② 資源化・リサイクルの推進
 (5) 意識啓発
   ① 環境に関する研修
   ② 環境保全活動への参加
 以上、プランでは、それぞれの項目について具体的な取り組み内容を掲げ、詳細に説明しています。
 また、温室効果ガス排出量の算定に直接関係するものと間接的削減につながるものを、<直接的な取り組み>、<間接的な取り組み>と区分しています。

6. 徳島市エコオフィスプラン実行マニュアル

 策定したプランの実効性をより高めるために、「徳島市エコオフィスプラン実行マニュアル」を作成し、約3,000人の全職員に配布しました。
 このマニュアルには、温暖化防止に取り組むべき理由や削減目標、具体的な実施項目などを詳細にわかりやすく記載しています。
 また、マニュアルの中には、全10項目について取り組み状況をチェックする「自己チェック表」があり、全職員が定期的に日頃の個人の行動を振り返り、自己点検・自己評価することができるようなシステムになっています。これを活用することにより、温暖化防止への意識向上と取り組みの徹底を図ります。
 課単位のチェック表は、「取り組み状況の点検表」として、取り組み内容別に7分野、80項目について点検することになっており、各課に設置したエコオフィス推進員が1年に1回評価し、事務局である環境保全課を通じてプランの進行管理を行う環境調整会議へ報告することになっています。
 温室効果ガス排出量の削減目標を達成できるかどうかは、各職員1人ひとりの意識と行動にかかっています。このため、日常業務における実施状況を繰り返し点検することにより、意識付けを徹底していくことが重要と思われます。
 プランの事務局(環境保全課)では、エコオフィス推進員会議や職員研修、また講演会などを通じて、全職員に自己チェックによる点検を呼びかけています。

7. プランの策定及び進行管理

 プランの策定や全職員のために考案した教科書ともいえる「徳島市エコオフィスプラン実行マニュアル」の作成は、事務局(環境保全課)が中心となり、全庁をあげて取り組みました。
 プランについては、各部局に対し、温暖化防止のための行動についての実態調査や関連施策調査を行い、それに基づき、環境調整会議において策定しました。また、実行マニュアルの作成は、プランの実効性をより高めるために、関係課で構成するワーキング部会やエコオフィス推進員の意見も取り入れました。
 このプラン推進の中心となっているのが、平成12(2002)年8月に設置した徳島市環境調整会議であり、第一助役を会長に市の全部局長で構成し、プランの方針決定や進捗管理などを行っています。
 また、各課に設置したエコオフィス推進員が、それぞれの所属職員に対し、指導や情報提供を行うこととしています。
 今後も、このエコオフィス推進員を中心に全職員が日常業務において、削減目標に向かっての取り組みを徹底していけるようプランの推進体制を強化していく必要があります。

8. 温暖化防止に向けたこれからの課題

 先頃、国内では京都議定書の批准が閣議決定され、日本は温室効果ガス排出量6%削減という重い約束を背負いました。
 このように、地球規模での温暖化防止の取り組みが具体化していく状況下において、地域に暮らす私たち1人ひとりの行動がより重要なものとなっています。
 つまり、各地方自治体の率先的な行動が、市民や事業者への温暖化防止への意識向上につながっていくものと思われます。
 そのためには、職員1人ひとりが、日常業務において温暖化を意識しながら行動することが必要不可欠です。
 当市では、現在、庁内LANの整備により、電気使用量が増加傾向にあります。このため、プランの取り組み項目にもある電気使用量の削減を強化すると同時に、太陽光発電等の自然エネルギーやコージェネレーションの導入なども検討し、省エネルギー化を推進していく予定です。
 プランの目標達成、そして本当の意味での「エコ・オフィス」の実現に向けて、全職員が一丸となって取り組んでいきたいと思います。