【自主レポート】

第37回土佐自治研集会
第2分科会 まちの元気を語るかよ~町ん中と山ん中の活性化~

 人口減少が深刻化している今、村内に存在する空き家の有効活用を通して、定住促進による地域の活性化を図ろうとしている猿払村の現況と空き家対策について紹介します。



人口減少と空き家対策について


北海道本部/猿払村職員組合

1. 猿払村における人口減少を取り巻く状況

(1) 総人口は現在も緩やかに減少
 猿払村の人口は減少傾向が続いており、2010年では2,825人、1955年から1975年までの20年間では人口が約5,000人減少し、総人口が約4割まで減少しています。その要因はホタテの水揚げの減少や、炭鉱の閉山による影響と考えられます。
 1975年からは人口減少が緩やかになりましたが、これは1971年にホタテの稚貝放流事業が始まり、主産業の立て直しを行ったことによるものと考えられます。
 1990年以降の人口について、1990年から2005年にかけては人口が約100人の減少で推移していましたが、2005年から2010年にかけては、減少が少なくなっています。

出典:総務省「国勢調査」

 

(2) 単独世帯の増加
 世帯数の推移については、人口の減少とは反対に増加傾向であり、1世帯あたりの世帯人員が減少しています。特に単独世帯数が増加しており、1980年と比べると2010年は約3.5倍に増加しています。また、65歳以上の単独世帯についても全体と同様に増加しています。


2. 空き家活用事業(空き家バンク制度)

 猿払村では、空き家の有効活用や定住促進及び地域の活性化を図ることを目的に「猿払村空き家バンク制度」を2016年度より行っています(累計登録数2件)。
 推計で人口は減少していくものの世帯数は増えている状況にあります。主産業である第一次産業は、後継者が育ち安定していますが、単独世帯数が増加傾向(核家族化)にあるなど空き家が増えていくことから、空き家バンク制度を積極的に活用する取り組みを進めていくことが必要です。空き家バンクの登録は、5月1日現在で0件となっているため、住民周知を積極的に行うなど制度理解を求めていくことが課題の一つと考えます。

 また、持ち主不在(不明3件)により廃屋(37件)となっている物件も数多く存在しています。理由としては離農や高齢独居世帯によるものと考えられます。周辺に住む子どもたちや住民への影響(物件の損壊)を考え、危険な物件の解体を進めていけるような制度を構築する必要があると考えています。

3. まとめ

 猿払村では、このほか様々な取り組みを行っており、これらの施策の循環により、住環境の整備から転入の促進、雇用の創出、結婚・出産・子育て支援を進め、誰もが住みやすい環境づくりを進めています。村内には10の地域がありますが、同じ機能を持ち合わせることは不可能です。また、現状の機能を維持していくことも費用負担を考えると持続していくことは困難です。これらの課題を地域住民とコミュニケーションを図り、生活水準を落とすことなくサービスを持続していけるよう、職員組合としても取り組んでいかなければなりません。