【自主レポート】

第37回土佐自治研集会
第4分科会 “土佐さんぽ”~若者と考える自治体の未来~

 地域内の商業者を中心に異業種及び町民が協力し、参加者すべてが楽しめる本町独自の「まつり文化」を創造し、イベントをとおして積極的に地域間相互の交流と地域活性化の推進を図るための取り組みについて



白糠町におけるイベントを通じたまちづくり


北海道本部/白糠町役場職員組合

1. 白糠町の食と観光

 白糠町は北海道の東部に位置し、阿寒国立公園にある阿寒富士を頂点として原生林から庶路川、茶路川、和天別川が流れています。

(1) 北部地域
 山間部では、紫蘇やブルーベリー、メイプルシロップ、ベビーリーフなど特色ある産品が生産され、特に夏場の鍛高地区の紫蘇畑は鮮やかな紫色の絨毯が一面に広がり、その景色は絶景です。
 また、酪農が盛んであり、搾りたての生乳と製法にこだわって作るチーズ工房のほか、めん羊牧場直営のファームレストランがあります。
 その他、豊かな自然の中でのキャンプ、ヤマメやイワナなどの渓流釣り、バードウォッチング、エゾモモンガなどの野生生物観察が楽しめるほかエゾシカハンティングも盛んに行われております。
 さらに、紅葉の名所「庶路ダム」では毎年「ぐるっと庶路ダム紅葉ウォーク」が開催され、多くの参加者がウォーキングをしながら紅葉を楽しんでいます。

(2) 南部地域
 太平洋が広がりサケやシシャモ、柳ダコ、毛ガニなどの前浜がもたらす豊富な資源を活かした漁業が盛んであり、遊漁船によるサケやイカを中心とした海釣りも人気です。
 また、太平洋を一望できる国道38号沿いの道の駅「しらぬか恋問館」には様々な特産品が販売されているほか、太平洋を眺めながら食事が楽しめるレストランなど、多くの家族連れや観光客が訪れ、周辺にはハマナス、アヤメなどの野生の花々が訪れる方々の目を楽しませております。

(3) 東部地域
 道東の空の玄関口である釧路空港や釧路市と隣接する工業団地が広がり、水産加工や鹿肉加工などの工場のほか、メガソーラ発電所や木質バイオマス発電所が立地しております。

 2016年の北海道横断自動車道の延伸に伴い、本町では2つのインターチェンジが開通し、物流及び人的交流に係る道路交通網が整備され、道央圏等からの流通網が増大したことから、地域に及ぼす経済効果や来町者による地元消費の喚起や身近に白糠を感じて立ち寄っていただくための魅力あるまちづくりを進めることが必要となっています。

2. カミングパラダイスとは

 「カミングパラダイス(通称カミパラ)」は、毎年2万人ほど(主催者発表)の集客がある、白糠町で最大のイベントです。
 内容は、駅前商店街の直線道路である通称「ハミングロード(全長368m)」を2日間に渡って完全封鎖し、歩行者天国を実施するものです。
 カミパラには露店が約70店ほど立ち並び、怪しいオリジナルキャラクターが場内をウロウロし、会場内に複数ある特設ステージでは、実行委員会が趣向を凝らしたアトラクションやお楽しみ抽選会などを実施したり、町内の若者によるミニコンサートなども開催されたりしています。
 またこの祭りのコンセプトの一つには、「運営をするのも町民、楽しむのも町民」というものがあることから、企画運営はもちろんのこと、イベントの中心的な役割である「露天」の出店も、素人の町民なら誰でも参加できるような体制となっています。
 物販など経験の無い町民が、それぞれ独自のアイディアで露天を切り盛りし、モノを売ったり、お客さんと触れ合う、日常ではなかなか味わうことができない体験を、カミパラに訪れた町民とともに楽しんでおります。

  

  

3. カミングパラダイスのきっかけ

 本町でもっとも大きな祭りであった「厳島神社祭」が大幅に縮小され、昔ながらの厳島神社祭を知る世代の人たちが、今の子ども達に自分たちが体験してきた「祭り」の楽しみを伝えようと、商工会青年部の声かけにより集まった各青年団体が企画運営の中心となり、子どものお小遣いで連日訪れることが出来るよう低価格での物販やヨーヨー釣りやほっぴき、スマートボールなど昔ながらの露店を楽しめる内容とするよう話し合われ、1993年、現在では数万人規模の集客を誇る「カミングパラダイス」が開催されました。

4. 職員組合とのかかわり

 私たちの職員組合は開催当初、70人ほどの青年部員を抱えており、町内で最も大きな青年団体でした。そのようなことから、事前準備や会場設営、アトラクションの運営、片付けなど多くの人数が必要となるこのようなイベントでは大きな戦力となっております。
 また、青年部としても子ども達を楽しませるため、開催当初から物販とゲームコーナーを運営しており、毎年子ども達で賑わっております。
 過去には町が職員の新規採用を控えていたことにより、一時は青年部員が十数人となったこともありましたが、「交流」を活動の一つの柱としている青年部にとっても他の青年団体等と一体となり、自らも楽しみながら一つのイベントをやり遂げることは、仕事上だけではなく、プライベートにおいても各組合員の貴重な財産となっております。

  

5. 四半世紀を迎え

 1993年に開催され、町民の間でもまちの中心的なイベントとして定着したカミングパラダイスは、2017年、25周年という節目を迎えました。
 本町では北海道横断自動車道の延伸により2つのインターチェンジが開通して以来、身近に白糠を感じて立ち寄っていただくため、「食と食材のまち白糠」をPRしてきました。
 このことから、25周年の記念イベントとして、道内のB級グルメの店舗などが並んだ「グルメ広場」を開設し、2017年8月に「白糠食と食材PR大使」に任命された大食い女王のアンジェラ佐藤さんを招き、大食い対決や各店自慢の一品を味わっていただくなど、「食」に関連したイベントを開催し、大いに盛り上がりました。

  

6. これからのしらぬか

 当時、素人の発案ではじまったこのイベントは、年を重ねるごとに洗練され、今では数万人を集客する、まちの一大イベントとなりました。
 北海道横断自動車道の道東方面への延伸の効果もあり、交流人口が拡大していますが、今後、更なる延伸が計画される中、現状を維持するためには、カミングパラダイス立ち上げ当時のような地域と一体となった取り組みが必要となります。
 現在、白糠町では、漁協青年部が中心となった、海のイベントである「港in白糠大漁まつり」や道東道白糠IC開通により開催された「港inしらぬか花火大会」など魅力あるイベントがたくさんあります。
 これからも、これらのイベントや当町の豊富な「食と食材」を活かした白糠の魅力を発信し、住民が一体となった地域の活性化を推進してまいります。