【自主レポート】

第37回土佐自治研集会
第5分科会 人口減少社会をどう生き抜くか!?

 枝幸町の人口は年々減少傾向にあり、2060年までに現人口の半分まで減少すると予想されます。そういった現状の中で、子育て世代の方々から意見があった「ちょっとした手助け」を求める声が多くありました。その中で、枝幸町として何ができるかを考えた結果、行政では補い切れていない子育て支援のすきまを埋める取り組みを本レポートで紹介いたします。



地域で“つなげる”子育て支援


北海道本部/自治労枝幸町役場職員組合

1. 事業を実施するに至った経緯

① 2015年12月に策定した「枝幸町人口ビジョン」によりますと、枝幸町の将来の総人口が2020年で約8,000人、2050年で約6,000人、2070年には、現在の人口の半分に当たる約4,000人にまで人口が減少すると予想されています。
② 同年に当町が行った「第2次枝幸町まちづくり計画」策定に係る町民ワークショップの意見を見てみると、子育て中のお母さん等から『少しの時間だけ子どもを見てほしい』、『困っていることや悩みを聞いてほしい』といったちょっとした手助けを求めている声が多くありました。
③ このような現状を踏まえて、枝幸町が深刻な人口減少に歯止めをかける対策の一つとして、「心とからだの子育てサポート」推進プロジェクトが始動しました。
④ また、このプロジェクトの主要施策の一つでもある行政サービスでは補い切れていない、すきまを埋めるための子育て支援「ファミリーサポートセンター事業」を今回当町では新たに開始しました。

2. 事業の内容

(1) 地域子育て「お助け隊」養成事業
① この事業を行う上で、「地域少子化対策重点推進交付金」(内閣府)を活用させていただき、「第2次枝幸町まちづくり計画」及び「枝幸町まち・ひと・しごと創生総合戦略」の基本目標に基づく事業展開を行いました。
② 事業の中身といたしましては、「子育てコーチ養成講座」と称しまして、地域コミュニティを生かした精神的・身体的負担の両面をサポートする地域の子育て支援の中核を担う人材育成を2016年度に実施、16人の意欲のある町民の方が養成講座を受講し、「枝幸子育てコーチ」として任命を受けました。
③ 次に、自らの活躍の場と地域に密着したサービスを「枝幸子育てコーチ」が議論・検討を行い、決定した内容を町に提案して事業を展開していくといった作業を2016年12月から1年間ほど行いました。

(2) 心とからだのサポート拠点施設整備事業
① この事業を行う上で、「地方創生拠点整備交付金」(内閣府)を活用させていただき、「枝幸町まち・ひと・しごと創生総合戦略」の基本目標に基づく事業展開を行いました。
② 事業の中身といたしましては、心とからだのサポート拠点施設を運営していくために、民間遊休施設(民間の病院)の用地、建物の取得を行いました。
③ 次に、子どもを預かる支援(からだのサポート)や育児中の母親・父親が気軽に立ち寄って息抜き・相談・アドバイス等の支援(心のサポート)と、幅広い年齢層が集える交流の場(カフェやレンタルルーム等)を提供する複合型の拠点施設(子育てサポート拠点施設「にじの森」)として活用するために施設改修を2017年度に行いました。

(3) ファミリーサポートセンター事業
① 上記事業につきましては、厚生労働省の「地域子ども子育て支援事業」に位置付けられた事業を当町に合わせたものにしました。
② 厚生労働省が定める基本的なルールに特段の変更はなく、子育てサポートをしたい人とサポートを受けたい人が会員となって、拠点施設「にじの森」内に、通称ファミサポの事務局を設置して子育て支援の相互マッチングを行って子育て支援を実施します。
③ サポートを受けたい人を「おねがい会員」、サポートをしたい人を「まかせて会員」とそれぞれ名称を付けました。
④ それぞれの対象となる人の条件は厳しいものではなく、「おねがい会員」については、小学生までのお子さんを持つ人を対象とし、「まかせて会員」については、子育てに熱意や関心がある18歳以上の人であれば誰でも会員になることができます。


(4) 地域おこし協力隊の活用
① 今回、この事業を展開していく中で、地域おこし協力隊の活用に着目し、子育て支援分野の協力隊員として、カフェメニューの発案やSNSを使った情報発信、ファミサポ事業の展開に関するサポート等を行ってもらっています。
② 現在、徳島県徳島市より女性隊員(30代)が協力隊員として枝幸町に移住して日々奮闘しており、その傍らで2人の娘さんのお母さんとして育児も両立して頑張っております。
③ 今後、様々な事業展開を行っていく予定とのことです。

(5) 子育て支援に特化したサイト「子育て幸(ハッピー)NAVI」
① 当町の行政サービスや、子育て支援に関する情報をパソコンやスマートフォンで見ることができるサイトを2017年8月から開始いたしました。
② サイト版だけではなく、スマートフォンのアプリ版も連携しているため、アプリをダウンロードしている人は、プッシュ通知機能を使って当町から様々な情報を受け取ることができます。
③ URL:https://esashi-town.mamafre.jp//で検索するとご利用できます。

3. まとめ

 今回、紹介した複合型の拠点施設(子育てサポート拠点施設「にじの森」)で今後も事業展開していき、幅広い年齢層が集える場を設けて町外出身者の子育て世代の人が不安や悩みを相談できるサポートづくりや、地域の人とつながるきっかけづくりをすることで子育てがしやすい「枝幸町」をめざしていきます。