【自主レポート】

第37回土佐自治研集会
第11分科会 自治研で探る「街中八策」

 富良野市労働組合連合会が企画実施した自治研活動を紹介



今後の富良野市に何が大切か、何が必要か
―― 富良野市長選挙を通じて考える ――

北海道本部/上川地方本部・自治労富良野市労働組合連合会・自治研推進委員会

1. はじめに

 組合員の賃金・労働条件の維持改善を図ること。それが労働組合の果たすべき大きな役割の一つです。しかしながら、基礎自治体の職員を中心に組織している私たち自治労富良野市労働組合連合会(以下「市労連」という。)は、自治体の将来がどうあるべきか、そのためには何をすべきか、まちづくりの議論と実践を続けなくてはなりません。また、そのためには、市労連・市職員と市民や関係団体との関係性をより深いものにすることを追求する必要があります。
 本レポートでは、2017年に富良野市長選挙(2018年4月22日執行)を見据えて、職員、組合員、市民として「こんなまちづくりをしてほしい」をテーマに政策立案を行い、次期市長候補予定者に対して選挙公約(マニュフェスト)に盛り込み、組合員の声を反映したまちづくりを進めてほしいと考えました。富良野市に何が大切か、何が必要か議論を行ったことで見えてきたことについて報告します。

2. 2017市労連自治研について

(1) はじめに
 自治研推進委員会の取り組みでは、2018年4月に執行される富良野市長選挙において、今後の富良野市のまちづくり・方向性について何が大切か、何が必要かを提起していくことが重要であると考え検討を行いました。
 また、推進委員の選定にあたっては、最近の全国自治研では若手組合員を中心に何かを取り組んでみようという企画が実施されており、「自治研活動を担う若手の育成」も目的としていることから、概ね35歳前後の組合員を中心として行いました。
 政策立案をする上で富良野市の「強み」「課題」をテーマごとに出しました。テーマは「出産・子育て」「生活」「雇用」「若者」「移住・定住」「行政」「医療」「農業」「観光」「教育」「高齢者」の11つとし、委員が日頃感じている「強み」「課題」について話し合いをしました。出された意見は130を超え、「強み」だと思っていることが人によっては「課題」だと感じているなど、話し合わなければわからないこともあり、非常に大切な時間となりました。
 そこから自治研推進委員会として、「医療」のテーマから地域医療の充実が人口減少対策につながるとの意見が多かったことから「地域医療・医師確保」、「行政」のテーマから市長を含めた幹部職員が参加する地域懇談会において施設の改築に向けた取り組みを行うと説明があった「市庁舎等の施設改築」の2つに絞ってそれぞれのグループで議論をすすめることにしました。

(2) テーマから考える
 「地域医療・医師確保」では、富良野市の地域センター病院である、「社会福祉法人北海道事業協会富良野病院(略称、富良野協会病院)」の現場状況を知ることから始めました。
 仕事柄、病院の職員(医師、看護師、事務員)と関わる推進委員がメンバーとなり、医療現場を取り巻く環境について情報共有を行いました。医師や看護師をはじめとする医療従事者の不足により労働環境が悪化していること、また、市民として病院を利用している意見として、出張医が多く主治医が定まらないなどの課題が挙げられました。
 地域医療が抱える課題の解決に向けては、病院で働く仲間の声をもっと聴く必要があるのではないかということになりました。
 しかし、同時期に富良野地区連合会でも富良野協会病院労組も加わった「政策研究会」が組織されたので、これまでの議論経過を研究会に付託し、自治研推進委員会では「市庁舎等の施設改築」に絞って議論することにしました。
 市長を含めた幹部職員が市内をまわり、行政の取り組みや地域課題の状況共有を図る「地域懇談会」において、急に「市庁舎等の施設改築」が取り上げられ、組合員からも「なぜこのタイミングなのか」「議論経過は?」などの意見が多くあり、議論テーマにしました。
 議論のきっかけとして、市庁舎は1968年に建設され、すでに50年が経過し、耐震基準を満たしていないことに加えて、熊本地震による役場庁舎被害を踏まえて、災害等に対応する庁舎機能を確保するため、建て替えをした場合に交付税措置のある起債が創設されたことがありました。しかし、建て替え議論は、起債創設きっかけであることが明確でした。
 推進委員会では、「建て替えるならこんなことも考えよう」という内容で議論をスタートさせました。
 議論を重ねる中で、過去の保育所を統合し、市街地に新設した際に起きた、市民(利用者)からの反対運動について考えることになりました。どうして反対運動が起きたのか、反対の意見はどのようなものだったのか、何が足りなかったのかを市政に関するアンケートから考えました。

 アンケートでは、「財源ありきではなく利用者の声をもっと聴いて欲しい」「せっかく自然豊かなところなのに、なぜまちなかに建てるのか」「まちなかだと園庭が狭い」などの意見が多く、推進委員会では、「どんな庁舎を建てるのか」ではなく、「どうやって建てるのか」が重要だということに至りました。
 しかし、建設には莫大な費用がかかるため、起債などを利用して少しでも財政負担を軽減することも重要です。

富良野市庁舎建設基本構想より

 起債は、2020年度までに実施した事業が対象となるため、起債を利用して建設するためには、通常の半分の期間で進めていかなければいけません。

 理想とする新庁舎の建設にむけては、「起債の借入ができて、財政負担が軽減できること」「情報開示などを行って、市民の意見反映をすること」「職員のパフォーマンスが最大限発揮される機能性のある庁舎にすること」が重要と考えますが、保育所建設の議論経過などから、コスト論に重点をおいて進めていくと"とりあえず"建てた新庁舎になってしまう可能性が高いと考えました。

(3) 理想の庁舎を建設するために
 起債借入に重点を置くのではなく、「身の丈予算で、市民に愛される(利便性の高い)スマート庁舎」を建てるためには、推進委員会として以下のことが重要だという結論に至りました。

3. まとめ

 今回、富良野市長選挙を見据えて政策立案を行いました。結果として組織内候補は擁立できず、我々が応援する市長誕生にはなりませんでしたが、新庁舎の議論については、進んでいます。新市長には組合員の声を反映したまちづくりを進めてほしいと考えていますので、自治研推進委員会で議論したことを伝えていきたいと思います。
 また、今回の推進委員は、富良野市の「強み」「課題」をテーマに議論を行い、年齢は35歳前後、家族構成などもバラバラ、中には社会人採用者など青年部運動の経験が少ない組合員で組織しました。
 議論を進めようとした際に、それぞれの職場で中枢を担っていたり、地域活動、子育てなどで全員が揃って議論を進められませんでした。過去の採用抑制で一番層が薄い世代であり、行政運営の中核を担っていく世代が少なすぎる実態にも改めて気づくことができました。しかし、そのような状況でも各々が時間を工夫して議論ができたことは大きな組織強化につながったと思います。議論では、それぞれの立場にたって、富良野市について考え、議論する時間を共有できたことは、今後、市職員としてまちづくりに携わっていくうえで大きな経験となったことは間違いありません。今後も「まちの将来がなければ私たちの公務職場は無い」という視点での労働運動を進め、市労連がまちづくりにどう関わっていくか、継続した議論と実践が必要と考えます。

4. 参考資料

・2017年富良野市労連自治研推進委員会報告書「新庁舎は必要か!?
・富良野市庁舎建設基本構想 (http://www.city.furano.hokkaido.jp/docs/2018061300043/files/300613_choushatoukensetsukihonkousou.pdf