【自主レポート】

第37回土佐自治研集会
第11分科会 自治研で探る「街中八策」

 2018自治労新潟県本部自治研集会に向けて、各単組における自治研活動の位置づけや地域課題の解決に向けた取り組み状況などの現状を考査し、活動の底上げを図ることを目的に『労働組合における自治研活動』をテーマとして本分科会を立ち上げることとした。
 考査にあたり、自治研活動の取り組みの現状や、単組における活動の特徴などについてアンケートを依頼し、現状等を把握する中で、地域との連携や今後の自治研活動のあり方について問題提起(提言)をまとめることとした。



労働組合における自治研活動
―― 新潟県における自治研活動の現状報告と課題 ――

新潟県本部/自治研推進委員会・第3分科会

1. はじめに

(1) 「自治研」を知っていますか?
 言葉としては、「地方自治研究」の略ですが、その意味することは「労働組合が主体的に、地方行政や自治体政策、自らの仕事のあり方について研究・討議し、日常の仕事に実践していく」ことです。
 自治研は労働組合が自分たちの賃金や労働条件だけでなく、職場の仲間や住民と一緒に質の高い行政サービスを提供するために、主体的に研究する活動なのです。自治体で直接様々な行政サービスに携わる私たちにとっては、極めて有意義な活動であり、住民に対する責務であると言えます。
 分科会では、「労働組合で自治研活動を行っていますか? 労働組合でどんな活動を行っていますか?」そんなところから、各単組の自治研活動の現状や特徴、地方行政が担う地域との関わりを調査・研究し、これからの自治研活動、自治研の取り組みに戸惑っている人を後押しするきっかけになればと思っています。

(2) 2018新潟県自治研集会での第3分科会の主な活動内容
○第3分科会は「労働組合における自治研活動」を研究課題テーマとして、県内の自治体単組に以下のアンケート調査を行い、その解析を通して今後の活動等についての検討を進めてきました。
○アンケート調査の実施方法と内容
 調査目的:2018年9月開催の新潟県自治研究集会に向けて、「労働組合における自治研活動」を研究課題テーマとして、各単組へのアンケートを実施。
 調査期間:2018年1月11日から22日まで
 調査対象:自治労新潟県本部加盟の各自治体労働組合
 調査方法:郵送方式
 回 答 数:29組合(回答率100.0%)
 調査項目:Ⅰ.自治研活動について
      Ⅱ.組合と地域の関わりについて
      Ⅲ.今後の自治研活動等への取り組みについて

2. 自治研活動の現状と特徴点(組合アンケート結果より)

(1) 現 状
1.2 あなたの組合の活動方針と『自治研活動』との関わり
・あると回答したのは11組合(38%)、ないと回答したのは18組合(62%)でした。
・県職労や長岡市職労、上越市職労といった組織人員が1,000人を超す組合は記載
・取り組んでいる組合は7組合(64%)、取り組んでいない組合は4組合(36%)
3 単組での『自治研活動』の担当者(窓口)について
・担当者(窓口)を決めている組合は6組合(85.7%)でした。
・ただし、決めていないと回答した加茂市職労も自治研推進委員を選出していることから、実質担当者ありとみなすことができます。故に、自治研活動に取り組んでいると回答した組合すべてが担当者(窓口)を決めている状況と言えます。
4 『自治研活動』に関する会議について
・会議の場を設けているかについては、「具体的な案件・問題などがあった場合に検討する場を設けている」との回答が42.9%(回答数3)と最も多く、続いて、「執行委員会などの他の会議の中で案件を検討している」が28.6%(回答数2)、その他の回答として「機能していない」と「単組内の活動は無いが、政策課題については執行委員会で議論」がそれぞれ14.3%(回答数1)でした。
5 『自治研』および『自治研活動』について自由意見
・取り組みの必要性は認識しているが、日々の業務に追われ活動が停滞。
・市町村合併以降、自治体の人員削減等による組織率の低下により研究に割く役員や人材の確保が困難な状況である。
・賃金闘争や人員闘争を進めるうえで住民の理解が重要であり、自治研活動を通じて住民の中に入っていくことが大事である。
・自治体とは違う立場で自治体運営や市民サービスがどうあるべきかについて考える機会となる。
・課題やレポートが難しすぎて本来の自治研の意味から離れてしまう。
・今後理解を深めていくと共に継続した活動を実施する。
・地方自治における多種多様な課題を研究することは大事だが、参加しづらい。
・他との交流を含め、大変良い取り組みだと思う。
・毎年必ず全組合が携わらなければならないのか。

(2) 特徴点について
・半数以上の単組が活動方針に自治研活動との関わりについて記載がない。
・活動方針に記載がある単組でも方向性が定まっておらず、上部団体任せな活動内容の単組が複数みられる。
・各単組において担当者を決めてあるが、仕事や人材不足、組織率の低下を理由に取り組めない単組が増えてきている。
・活動の趣旨をとらえ普段の業務に活用している単組も複数みられる。
・自治研活動とは何か、必要性について疑問を持つ単組が多くある。
・なぜ自治研を行うのか。どういった目的で行うのか理解していないまま行っている。

3. 地域と労働組合の関わり

(1) 活動状況及び内容について
1 組合での地域活動の実施状況について
・地域での活動、地域のイベント・行事への参加などの地域と関わりのある活動(以下「地域活動」という。)をしているかとの問いに対して、していると回答した組合は、12組合(41%)、していないと回答した組合が17組合(59%)でした。
2 地域活動の内容について
・組合が行っている地域活動は、「公園・河川などの公共スペースの清掃活動への参加」、「組合の方針として地域内事業者を優先した物品役務調達」がそれぞれ4組合(33%)と多く、続いて、「季節の行事・フリーマーケットなどの地域行事への参加」が2組合(17%)でした。
・その他の回答が6組合(50%)あり、事業や活動が困難となっている地域の組織を助ける地域助っ人隊の結成、除雪を含むイベント等のボランティア参加、海水浴場、地域施設などの清掃活動が挙げられました。
3 地域活動を行う理由について
・地域活動を行う理由は、「地域活動を通して組合員の親睦を深めるため」が最も多く8組合(66%)、続いて、「地域の住民に組合について知ってもらうため」が7組合(58%)、「地域の住民と組合員の交流を図るため」が5組合(42%)、「地域の問題に組合として関わり解決するため」が3組合(25%)、「その他の理由」が3組合(25%)、「以前からその地域活動に参加してきたため」が2組合(17%)ありました。
・その他の理由として、地域住民へのアピールと関係団体・参加者との親睦、地域経済への貢献、組合員への地域産品のPRがありました。
4 地域活動を行わない理由について
・地域活動を行わない理由は、「今までそのような地域活動に参加したことが無いから」が最も多く8組合(50%)、続いて、「その他」が6組合(38%)、「地域活動に関わることは組合本来の活動ではないから」が5組合(31%)、「地域活動に関わることに組合員の理解が得られないから」が4組合(25%)、「地域活動に関わることに組合員の関心が得られず参加者が集まらないから」が4組合(25%)、「地域活動に関わることに特段の意義を感じないから」が2組合(13%)でした。
・その他の理由として、以前は地域活動を行っていたが、組合役員の不足、組合員の業務繁忙などの理由により取りやめた、組合員が業務を含めて個々の立場で地域との関わりをもって活動していることから組合として活動する必要性を感じないとの意見がありました。
5 活動方針における地域の課題について
・組合の活動方針の中に地域の課題に関する記載の有無について、「ある」との回答は、4組合(14%)、「ない」が25組合(86%)でした。
6 組合活動方針の中の『地域の課題』に関する特徴的な回答
・特定の記載はないが、県職員の労働組合として各地域との関わりを重視している。
・合併後の地域間の人口等の変化や地域住民の声などについて検証し、政策提言をしていくことにより次の10年につなげることができなければ、合併による地域振興や新たな広域連携に前進はないと思われます。
・過疎化や高齢化により人手不足となっている地域の活動を助ける「地域助っ人隊」の活動を継続的に取り組むとともに、認知度をさらに高め、より多くの組合員が参加できるよう周知方法などの工夫を図ります。
・地域・ボランティア活動に積極的に参加します。市民生活を守るため、県立加茂病院医療の充実のための運動に引き続き協力します。
7 地域の課題と考えるものついて
・「少子高齢化・人口減少」との回答が19組合(66%)と最も多く、続いて、「地方財政」が12組合(41%)、「子育て・保育」が10組合(36%)、「過疎・限界集落」が9組合(31%)、「空き家」が5組合(17%)、「教育環境」が4組合(14%)、「医療過疎」が3組合(10%)、「その他」が3組合(10%)、「地域交通・交通弱者」が2組合(7%)、「防災」が2組合(7%)、「特になし」が2組合(7%)、「克雪」が1組合(3%)でした。
・その他では、住民の無関心、基幹病院の開設に伴う地域医療の確保、組合として方針がないため選択できないとの回答がありました。
・「少子高齢化・人口減少」と回答した組合の半数以上が「地方財政」も同じく課題と捉えています。
・回答した多くの組合が2つ以上の課題を回答する中で、「特になし」との回答も7%(回答数2)ありました。
8 地域の課題をどのように考えているか
・「地域の課題を組合の課題としてもとらえてはいるが、具体的な行動に移せていない。」との回答が11組合(44%)と最も多く、続いて、「地域の課題は地域や行政が解決すべきものであって、組合が取り組むべきものではない。」が8組合(32%)、「地域の課題を組合の課題としてもとらえ、解決に向けて取り組んでいる、もしくは、取り組む予定である。」が5組合(20%)、「その他」が1組合(4%)でした。
・その他との回答では、人出不足となっている地域の情報を広く集めつつ活動を行っているとの意見がありました。なお、基礎自治体の職員として公私問わず地域の課題に対処することは当然であり、意図的に組合として活動する必要はないのではないか。組合がそこまで担う必要はなく、やりすぎると組合員の理解を得難い。
9 地域の課題の解決に向けて取り組んでいる活動(予定も含む)について
 回答した5つの組合における活動は、以下のとおりです。
・地方自治、原発問題等の地域の課題に向けて組合と地域で共闘している。
・地域助っ人隊の結成、中山間地域支え隊への登録。
・厚生連との協議、県議・市議との連携、県本部への要請。
・子育て・保育、地方財政に関する当局への要求、高・新教組からの依頼による署名運動の実施。
・加茂市・田上町の医療を発展させる会への役員と事務局員、監査の派遣。

(2) 傾向について
 地域活動を行っている12の組合を見ると組織内議員を擁立している組合が多いことから、組織内議員を通して地域の課題を組合の課題として捉えている組合が多いと考えられます。
 地域活動を行っていない組合については、地域活動は組合の活動ではない、組合員の理解が得られないとの回答から、地域活動が組合本来の活動ではないと考えている組合が多いことが窺えます。地域活動を行っていない組合であっても地域課題を認識し、解決に向けて組合が活動していくべきと考える組合が16組合と過半数を超えており、中には地域活動を行っていないと回答した組合も含まれています。ただし、16組合のうち11組合は、具体的な行動に移せていない状況です。
 取り組まないと回答した組合の傾向としては、個人的に地域と関わっていると回答している組合が多く、組合員と地域との距離が近く、組合として活動する余地がないと考えられます。

4. 今後の自治研活動への取り組み(アンケート回答からの考察)

(1) 活動の方策、取り組み課題
・自治労の自治研方針を確認しながら、今回のアンケート結果から問題点や今後の取り組み課題を以下のように考察しました。
・「単組活動方針への自治研活動との関わり」については、29単組中、約2/3の18単組において、単組活動方針に自治研活動に関する方針が記載されていない結果でした。また、「毎年必ず全単組が携わらなければならないのか」、「取り組みを行う時間的余裕がない」との回答があったり、「単独の1組合で解決するあるいはできる問題ではない。各労働組合が協力して取り組むべきである」、「組合というより一市民として地域課題を意識していけるとよいと思う」、「今までどおり地道な個々の活動が地域との関わりにおいては重要であると考える」、「地域は役場職員と見ている。組合員とは別の問題と考える」という回答があったりしました。
・さらに、単組の今後自治研活動に取り組む意思を問うた設問では、中央本部・県本部方針に反し、「ない」と回答した単組が2割(5/29単組・17.2%)近くに及ぶとともに、「分からない」もしくは「未回答」の単組が、全体の半分に及んでいる(14/29単組・48.3%)。両方を合わせれば、29単組の2/3に及ぶ結果であった。(19/29単組・65.5%)
・このことは、そもそも単組や単組役員自体が、自治研活動へ理解がないことを表しているのではないでしょうか。

5. まとめ

(1) アンケートより
 まずは、「なぜ自治研活動をするのか?」について全単組に広く周知をすると共に、活動をすることでどういった利点が生まれるかについても周知する必要があります。
 そして今後の自治研活動への取り組みのアンケート結果でもあるように、「他の組合の状況・具体的な事例に関する情報提供」と「学習会の開催」との回答が、9割近くとなっていることも併せ考えると、「そもそも自治研とは?」といったことを学ぶ研修やオルグの機会をつくっていく必要があるのではないでしょうか。
 自治研の活動においては、課題を見つけることや、その課題をどう解決していくか、そこにどう単組が関わっていくかといった点に、目がいきがちです。先出のように、県内でも、取り組みを進めている単組がある一方で、自治研活動について全く理解していない単組があります。先進的な取り組みを進める単組を例にしながら、このあたりでもう一度原点に返って、自治研活動を「普及」させる取り組みが求められているのではないでしょうか。

(2) 労働組合と自治研活動
 これまで県本部自治研推進委員会は、単組や職場、あるいは地域・住民に関わる課題について調査・研究し、職場・地域でその実践をめざすことなどを目的に通年の活動を続けてきました。多くの労働組合が自治研活動について、「労働組合が賃金や労働条件だけでなく、地方行政や自治体政策、自らの仕事のあり方などについて、主体的に研究・討議し、質の高い公共サービスを提供できる取り組みをしたい」と思っています。しかし、その反面「新潟県自治研究集会を開催するための実行委員会となっているのではないか」「せっかくテーマを設定して研究・事例報告をしても、集会後に単組や職場で活かされていない」「そもそも『自治研活動』を地域あるいは職場や単組で実践することは難しい」など、さまざまな悩みや課題、継続的に取り組むための方法などについて、総括し検討を行っていく必要があります。

(3) 問題提起
 私たちは、公共サービスを提供する労働者の立場から、自治体政策や公共サービス、自らの仕事のあり方などについて学び、研究し、実践することで、まちづくりの一翼を担うことができます。そのことは、公共サービスを提供する者としての資質を高めることにもつながります。特に、青年部等の若手組合員を対象とすることで、次代の単組を担う人材の育成にもつながるものと思います。さらに、公務員バッシングが続いている中で、市役所の業務や市職労の活動の理解を進めることにもつながっていくものと思います。こう考えていくと、「自治研」活動をしない理由はないと考えますが、皆さんはどう考えるでしょうか。

提 言
・県本部主導で学習会やオルグを行い、各単組に広く普及活動に努める。
・県本部主導で各単組における取り組み状況を把握し、情報提供及び指導をする。
・各単組は積極的に自治研推進委員会に参加し、活発に活動する。


 以上を、第3分科会としての問題提起と提言とする。