【論文】

第37回土佐自治研集会
地元企画分科会 「ふるさと」を次の世代へ~「犠牲者ゼロ」の防災まちづくり~

 本稿は、東日本大震災や熊本地震の道の駅による支援状況の取材と現地調査の知見から、震災や緊急対応など「道の駅」の支援対策を述べ、今後の道の駅による災害支援、減災ネットワークの構築への方向性を、ソフト対策とハード事業の両方から説明した。ソフト対策としては、自治体との協定をはじめ、災害支援マニュアル、地元との防災訓練、ハード事業としては、停電、断水、一時避難時の食糧支援等の対策をはじめ、被災支援情報提供を行うと同時に道の駅同士の減災ネットワークの構築を図ることが最も有効であることを示した。



道の駅による災害支援と
減災ネットワークの構築に関する提言
―― 東日本大震災、熊本地震の事例検証から ――

山口県本部/山口県地方自治研究センター・理事長・宮崎大学教授 熊野  稔
山口県地方自治研究センター・理事・広島大学教授 伊藤 孝夫
長崎県立大学情報システム学部・教授 平岡  透
長岡技術科学大学・情報・経営システム工学専攻・講師 野中 尋史
岡山理科大学・総合情報学部・情報科学科・講師 廣田 雅春

1. はじめに(背景と目的及び方法)

 1991年に山口県等で道の駅社会実験が行われてから、1993年に建設省は「道の駅」登録制度を開始し、地方自治体が主体で建設した。1993年当初、全国に103あったのが2018年7月には1,145箇所に増加し、2018年で25周年目を迎えた。今では道の駅は農山漁村地域に賑わいを呼び、元気の源になっている所が多い。ドライバーの利便と地元のニーズが合致して、交流拠点をつくり、地域振興に寄与している。道の駅は「休憩、情報発信、地域連携の機能を持つ地域と共に創る個性豊かな賑わいの場」の定義を持ち、防災機能は入ってはいなかったが、一方で中越地震や東日本大震災など災害の多い我国において「道の駅」が災害緊急支援や防災拠点として役立つ事例が報告されてきた1)~7)。①公共施設であり、②幹線道に面し、駐車場やトイレが整備され、広いオープンスペースを有していること、③食糧・飲食等のストックがあること、④周辺の農家(井戸水や食料)や住民とのつながり、⑤情報の受発信場所、等の理由で災害対応の機能があり、災害時には避難場所や防災拠点としての優位性がある。既往の事例を受け、災害に対応しての防災拠点として有利であり、今後は災害緊急対応や防災拠点として役立つ機能を発揮していくことが望まれ、期待される。しかし東日本大震災や熊本地震への道の駅の被災や支援活動、防災機能に関する文献は十分とは言い難い。本稿では、1991年の山口県での社会実験当初から「道の駅」を研究し続けている筆者が、東日本大震災や熊本地震の取材と現地調査を通じて「道の駅」の震災、緊急対応や支援を述べ、今後の災害支援、減災ネットワークの構築への方向性を論じた。
 研究方法は、2011年8月、東北道の駅連絡会事務局の協力を得て、現地聞き取り調査、11月~12月にかけて東北道の駅へのアンケート調査(被災状況、被災対応・支援、防災拠点化への課題・方向性)を実施した。また、2016年7月、九州沖縄道の駅連絡会事務局の協力を得て熊本地震現地聞き取り調査を実施した。調査から得られた内容と考察を発表した。

2. 東日本大震災における「道の駅」の被災と支援状況

 平成23年(2011年)3月11日14時46分頃、三陸沖で発生したM9.0の大地震、大津波により、東北地方の太平洋沿岸地域は、未曾有の被害を受けた。更に、福島第一原発事故による避難や風評被害まで拡大した。
 東北地方は道の駅が139駅ある中で、太平洋沿岸地域には17駅ある。被害状況として、多くの道の駅は、建物の一部損壊や商品破損等の被害を受けた。被害が比較的少ない道の駅でも、停電・断水及び燃料不足により、運営への大きな影響を受けた。中でも、特に大きな被害を受けたのは合計で6駅ある。津波被害による壊滅的な被害をうけた以下4駅、岩手:みやこ、高田松原。宮城:大谷海岸(気仙沼市)福島:よつくら港。及び原発関連区域の以下2駅である。・建物被害及び休業1つ(原発警戒区域);福島:ならは、・物産施設等の休業1つ(原発緊急時避難準備区域);福島:南相馬である。
 また、その他3月被災後での東北道の駅の被災状況は、停電27駅、一部破損18駅、電話不通13駅、断水10駅、となっており、津波被害は壊滅状態である他、地震被害がほとんどである。停電は、電話が通じる道の駅は地震の発生後3日以内には回復しているが、断水はすぐには回復していない。東北道の駅連絡会の資料を整理すると、以下に示すような被災支援が行われてきた。受け入れたり、出向いたりの支援形態がとられている。東北3県のみならず、青森県や山形県の「道の駅」も支援活動をしている。

(1) 施設受け入れ利用
① 緊急避難者の受入
 施設内に緊急避難した道路利用者や被災者の方々の受入や、食料・飲料の炊き出しや商品提供など
 青森:浅虫温泉、岩手:たろう、宮城:津山・三本木・みなみかた、福島:安達・そうま・南相馬・ひらた 他
② 被災地の救援基地
 自衛隊、消防、支援自治体の前線基地や物資の受渡場所
 岩手:のだ、宮城:津山・林林館・上品の郷・みなみかた、山形:いいで、福島:そうま・南相馬 他

(2) 機能面での支援
① 情報支援 避難者への道路情報、避難所情報等の支援
 山形県:いいで・たかはた・寒河江・天童温泉 他
② 被災地避難所支援 近隣避難所への炊き出しやおにぎり、食材の提供
 岩手:やまびこ館、宮城:津山・村田、福島:そうま 他
③ 被災地域の生活・復興支援 被災地域の生活支援のため、食料品や日用品など仕入れを工夫した営業やお風呂の提供
 岩手:やまだ、宮城:上品の郷・大谷海岸、福島:喜多の郷 他
④ 復興支援セール(被災地域の生活・復興支援と一部重複)壊滅した道の駅の現地での炊き出しや、支援する道の駅の特産品農林水産物を持ち寄っての販売、販売利益の寄付
 宮城;農海林ロード6(大谷海岸、上品の郷、津山、林林館、米山、みなみかた)による「大谷海岸」の支援、福島:あいづ道の駅交流会(12駅)他が「よつくら港」等で実施。
⑤ 義捐金の寄付
ア 東北「道の駅」災害支援委員会の支援
 東北「道の駅」災害支援委員会が開設(会長;道の駅「三本木」駅長)され、集まった支援金を東北道の駅の復興支援金・復興事業支援金として管理・使途の決定を行う機能を担う。「東北地方 太平洋沖地震災害支援金」4,625,818円(5/30時点)の管理・使途の決定を行い、第1回災害支援委員会にて、道の駅「大谷海岸」「よつくら港」の2駅に対し、一時金として100万円支給を決定した。5/14には道の駅「よつくら港」、5/26道の駅「大谷海岸」にて、贈呈式を実施した。
イ 東北「道の駅」連絡会による「復興支援スタンプラリー」
 東北「道の駅」連絡会主催の「東北『道の駅』復興支援スタンプラリー」を2011年度実施した。例年の「東北『道の駅』スタンプラリー」と違う内容で開催した。実施期間は、2011年4月28日(木)~2012年1月10日(火)。震災で休業している道の駅があるため、完走賞は中止し、スタンプ数に合わせた各賞は名称と内容を変更した。
 チャレンジブックの販売価格は300円として、そのうち100円を災害復興支援金とした。スタンプラリーに参加し、地域の野菜や特産品を購入することが、道の駅と被災地域の復興につながる。
 被災直後から、避難者や地域住民の生活を支えるため、多くの道の駅が、仕入れを工夫しながら営業を続けてきた。また、各道の駅では、産直の生産者や地元業者など、地域の方々とのネットワークが形成されている。
・このネットワークを一日も早く復活させ、地域経済が活性化する場をつくることが、地域の産業支援にもつながると考えられた。

表1 東北道の駅ヒアリング調査結果表

道の駅 特 徴被災状況支援状況その他
三本木地盤の良い場所であり、国道4号700数十キロの中間地点防災拠点として指定された防災情報ステーション停電、断水、道路寸断避難者の受け入れ
1週間分の食料の提供
隣接する幼稚園への避難者にトイレ貸出
近隣の農家や肉屋からの食材の提供
道の駅「たから」からの支援
大谷海岸海に面していて、鉄道の駅と同じ敷地津波の直接被害による建物内部崩壊「農海林ロード6」による応援販売
仮設トイレの設置
500m離れた大谷小・中学校の校庭に仮設住宅
田老被災地域にある東北第2号の防災拠点道の駅2回目の揺れで停電、ほとんど被害なし1次避難所として避難者の受け入れ
食料品等、避難者への無償提供
他の道の駅からの食料品等の支援
ひらた愛称は"芝桜の里"。あぶくま高原道路 平田IC近くに立地建物に多少のクラック
電気、プロパンガス、水道は問題なし
休憩施設に避難者を受け入れ、復興支援イベント(利益はそのまま義捐金としてよつくらへ)、食料品の提供 福島第1原発の状況が全く予断を許さなかったので16、17日は臨時休業
ばんだい磐梯山をバックに磐越西線を走る列車を眺めることが出来る土台の基礎に少しクラックあいづ道の駅交流会の事務局として復興支援
救急車の中継地点
9駅全部で炊き出し
自衛隊や警察、消防、ボランティアなどの被災地への応援隊の中継地点
喜多の郷国道121号上にある道の駅。愛称は"ふれあいパーク喜多の里"建物にクラック
建物設備など営業できなくなるような被害はなし
あいづ道の駅交流会の活動
売り上げの一部を義捐金
名物の温泉バーガー
温泉施設の提供
町としてボランティアが動いて、がれきや土砂の片付け作業

 8月に6駅の駅長に対して聞き取り調査を行い、表1に整理した。特に防災の方向性について以下に纏めた。
 道の駅「三本木」は、東北第1号の防災拠点道の駅として、自家発電装置が自動的に働き、防災情報ステーションは明かりがつきTV等は機能した。中に段ボールを敷いて雑魚寝約30人、車中泊の人を加えると、100人を越す避難者が1週間位いた。周辺に野菜農家が多く、周辺農家からの井戸水や米や野菜の提供があり、炊き出しへの貢献もしてくれた。方向性として、緊急時にすぐ動けるような防災マニュアルの策定と熟知、行動が必要。また公的な機関との協定を作り直さないといけない。災害時の食料提供などの保障体制を行政がきちんとしてくれる体制づくりが必要であるとした。
 「大谷海岸」は、海に隣接し、津波の直撃被害を受けた道の駅の仮設営業により、国道45号の利便だけでなく、近隣の仮設住宅者の食事や食料品提供などの生活に役立っている。
 「田老」は、被災地域にある東北第2号の防災拠点道の駅として、3日間の津波防災館の避難者約50人への対応をした。集落が周りにあり、近所の人たちが4日目までは、津波防災館への避難者に、おにぎりや水タンクを持ってきてくれて、道の駅の掃除もして、まわりの集落が助けてくれた。全国の道の駅の仲間が応援に駆けつけてくれた。食料品、特産品、トイレットペーパーを持ってきてくれた。方向性として近所と普段からの道の駅の連携と交流は大事。防災対応マニュアルはぜひとも必要。従業員しかいなかった時、すぐに対応できる体制が大事。各道の駅にあった方が良い。道の駅が地元のサロンとなり、いざという時、地元がサポーターとして支えることは大事とした。
 「ひらた」は、休憩施設に避難者を受け入れ、よつくら港などの復興支援イベントの先駆者といえる。今後の防災対応については、TV、ラジオは非常時にも見れるようにすること。携帯電話が通じる体制づくり、コミュニケーションを取れる体制など情報提供は一番大事。役に立つ人は大事。日ごろからの道の駅を拠点とした防災訓練は大事です。自動販売機の災害救援ベンダーなどの配慮。
 「ばんだい」は、あいづ道の駅交流会の事務局として復興支援セール等の支援をした。自家発電機と水タンクも全国的に選択して増やしていくことは重要でしょう。災害はいつ来るかわからない。災害のための連絡網、普段からのコミュニケーションを作っておくことが大事です。モノ、ヒト、情報の交流を道の駅交流会を通して頑張っていきたいとした。
 「喜多の郷」は、あいづ道の駅交流会の活動と温泉施設の提供を行った。災害時の防災対応マニュアルは必要。喜多方市との防災協定や防災計画に道の駅をいかに機能させていくかも今後は重要。福島県の防災協定「道の駅防災総合利用に関する基本協定」は機能していなかった。規模が大きすぎて県も対応できなかった。今後はこうした教訓を生かすことが大事とした。

3. 熊本地震の道の駅の支援状況

 熊本地震は、2016年(平成28年)4月14日21時26分以降に熊本県と大分県で相次いで発生した内陸型地震で道の駅が果たした役割は以下の点があげられる。

(1) 一時避難場所
 広い駐車場、敷地がある「道の駅」は一時避難場所として利用された。道の駅「あそ望の郷くぎの」に隣接するアウトドアショップより、避難者へのテント、寝袋等の貸し出しが行われ避難場所として活用された。(テント設置数は、約30張)

(2) 車中泊の場所
 震災後、余震が続くため、24時間トイレが使える「道の駅」の駐車場が車中泊の場所として活用。
 道の駅「大津」の駐車場は地震発生直後、昼夜を問わずほぼ満車。他にも22の道の駅が車中泊の避難場所となり、利用された。
<車中泊の避難場所となった道の駅(22駅)>
小国、波野、旭志、大津、坂本、不知火、鹿北、七城メロンドーム、泗水、きくすい、清和文楽邑、通潤橋、竜北、たのうら、宇土マリーナ、阿蘇、うき、大野温泉、美里「佐俣の湯」、あそ望の郷くぎの、水辺プラザかもと、ゆふいん

(3) 前線基地
 被災地に近く、広い敷地をもつ「道の駅」では、自衛隊の前線基地として活用され、さらに支援物資の中継基地としても活用された。
① 道の駅「菊水」:緊急災害対策派遣隊(TEC-FORCE)の災害対策本部を設置。
② 道の駅「あそ望の郷くぎの」:地震により南阿蘇村の道路が通行止めとなり、熊本市内から物資搬入ができないため、自衛隊が炊き出し、避難所への食料配布を実施。
③ 支援物資の保管。

(4) 中継基地
① 「道の駅」の駐車場は、被災地へ向かう支援車両や緊急車両の中継基地として活用。
② 自衛隊や緊急車両、支援物資を運ぶ車両などが、被災地支援へ向かうにあたり、道の駅「小国」は、県境に近い「道の駅」であることや、道の駅「大津」、「旭志」は、熊本空港に近い位置にあることから中継地点として利用された。

(5) 情報提供
 手書の道路情報掲示、配布から始まった道路情報の発信が、SNSや地域FM通じて被災箇所情報の発信。
※ 道の駅のHPよりも、スマートフォンを活用すれば情報掲載が簡易である、との理由から、情報発信媒体としてFacebookやツイッターといったSNSが多く活用された。
※ 被災後の通行可能な道路の情報は、トヨタ車のナビ情報を集約して作られる「通れた道マップ」等の情報等を紙の地図に手書きで落し、コピーをして配布・掲示。
① 道の駅「きくすい」:手書き情報
② 道の駅「阿蘇」:プロジェクターを活用し道路情報提供
          観光マップを活用し通行止め箇所をSNSで発信
③ 道の駅「小国」:道路情報を発信、地域FMで道路情報を発信

(6) 炊き出し支援の実施
 「道の駅」で炊き出しが行われ、被災者へ無償提供。
① 道の駅「大津」:テナント会社社長の発意から、1,200食分の炊き出し(豚汁・ご飯:1,000食、豚汁200食)を実施。
② 道の駅「あそ望の郷くぎの」:水や食材が豊富にあった為、炊き出しを7,400食、実施。
③ 道の駅「旭志」:早く施設を再開させることが重要との駅長の考えから、他の施設よりもいち早く道の駅を再開し、肉が豊富にあったため、800人分の"焼きだし"を実施。

表2 熊本地震対応道の駅の食事支援

道の駅 支援内容 対象者 費用負担
波野 震災直後からの3日間(株)神楽苑のやすらぎ交流館に被災者を受け入れ食事を提供。 やすらぎ交流館に300人。道の駅の避難者も対象。 道の駅を運営している(株)神楽苑が負担。市への請求予定はない。
旭志 4/18、4/19肉の提供、駐車場にて800人分の焼き肉を提供 近隣の被災者や駐車場の避難者 防災協定により菊池市に申請する予定。
大津 断水解除のレストラン再開日(4/29)に無料で、温かいご飯とトン汁を提供。 近隣の被災者や駐車場の避難者 費用はレストランが負担。野菜、みそ、しょうゆ等は道の駅負担。
通潤橋レストラン所有の冷凍うどんを炊出用として提供(1回)町内の避難所の被災者負担は道の駅
七城メロンドーム市役所の要請により、おにぎり弁当200個を3回提供避難所の被災者費用は菊池市が負担。
竜北 飲料、おにぎり、果物を延べ4日間、数回提供(300~400台)道の駅に避難している被災者費用は道の駅竜北が負担。
宇土マリーナお弁当を提供(1回)
4/18~4/23水道水を無償提供
市内の避難所の被災者 
阿蘇炊き出し、その機材の貸出し。道の駅の食料、飲料の提供。阿蘇市の避難所の被災者道の駅阿蘇が提供。
うき自衛隊が被災者に対して行った炊き出しの材料を提供(2~3週間)。避難所に米を提供宇城市の避難所の被災者 炊き出しの材料は市の要請で市が負担。米は道の駅の運営者JAが負担。
美里「佐俣の湯」町役場からの依頼で、避難所に向け、おにぎりを2回、その後弁当を提供した。美里町内の避難所の被災者費用は町が負担。
あそ望の郷くぎの4/16より1週間、約7,400食を提供。3日間は炊き出しに全力を尽くした。道の駅に避難している約300台の被災者。レストランの食材、そば道場のそばを提供。その後は生産者が提供。
上天草さんぱーる食材、果物などを提供(4/22)阿蘇望の郷くぎの被災者へ道の駅上天草さんぱーる他2団体による
ゆふいんからあげ、コロッケ、惣菜等を震災後の1か月間供給。町内の避難所の被災者(約300人)道の駅が負担

(7) 飲食料・生活物資提供
 飲料食料・生活物資の無料提供や近くの避難所へ食材や「おにぎり等」の提供。
① 道の駅「大津」:ブルーシート130枚、水2リットル2,000本、離乳食・オムツ・生理用品を配給。
② 道の駅「あそ望の郷くぎの」:電気復旧後、近くの避難場所にパン、オニギリ等を提供。
③ 道の駅「阿蘇」・「ゆふいん」:近くの避難場所に、道の駅で販売している米、野菜の食材やおにぎり、お弁当等を提供。

(8) 道の駅相互連携・支援(九州沖縄道の駅ネットワーク)
① 支援物資の提供
 断水や道路の寸断により流通がストップしたため、飲料水、トイレットペーパー、オムツ・生理用品等の商品が不足した。そのため、九州・沖縄「道の駅」ネットワークをはじめ、道の駅「せせらぎの里こうら(滋賀県)」より、ペットボトル飲料やオムツ、生理用品等の支援物資の提供があった。
② 道路情報提供での連携
 道路の通行情報の案内において、別府方面の通行情報は、道の駅「ゆふいん」で、福岡・熊本方面の通行情報は、道の駅「小国」で案内する、といった形で相互連携が図られていた。
③ 特産品等の販売協力・支援
 被災後、通行車両、観光客の激減により、いくつかの道の駅では、その存続が危ぶまれている。そのため、九州・沖縄「道の駅」連絡会の呼びかけに応じるものとして、4/29道の駅「せせらぎの里こうら(滋賀県)」より、道の駅「大津」に対して、100万円分の商品注文が行われた。
○緊急支援物資(500mlペットボトル):道の駅「茶の駅」
<支援内容:合計134ケース(3,216本)>
・4月18日:各10ケース(計110ケース:2,640本)
道の駅大津、旭志、泗水、不知火、坂本、七城メロンドーム、竜北、たのうら、宇土マリーナ、うき、ゆふいん
・4月19日:各5ケース(計15ケース:360本)
道の駅有明、上天草サンパール、うしぶか海彩館
・4月22日:9ケース(216本)
道の駅波野
⇒道の駅「不知火」からの要請
品切れする(物資の入手困難)ものを手配・発送
・トイレットペーパー ・ティッシュペーパー ・洗剤 ○支援マッチング

(9) その他の支援
① 被災道の駅の商品お買取り支援
② 「道の駅」に簡易トイレ・防災トイレ設置
③ 温泉の無料(入浴)提供
④ エコノミー症候群のチラシ配布
⑤ 避難所情報
⑥ 被災地域の営業再開した店情報
⑦ 道の駅連携

4. 災害支援拠点としての「道の駅」の方向性

 基本は自助(道の駅のソフト・ハードにおける災害対応の強化)、共助(災害時における自治体や道の駅同士の連携協力機能強化)、公助(行政等の災害支援機能の強化)が重要であり、平常時での防災拠点化へのできることからの対策が必要と考えられる。東日本大震災や熊本地震への対応を経ていえることは、道の駅の連携機能を発揮して、連携協力しており、被害の小さな道の駅が被害の大きい道の駅を支援して、復旧を早くしていることが特徴的な教訓である。このことから、全国の道の駅は個々の自助努力を図りながら、平常時の連携活動も重視して、非常時の災害連携協定を適切に締結すべきであり、いざという時に助け合い活動を機能させることが肝要であろう。

(1) 防災拠点化計画・防災対応マニュアルの作成
 各都道府県単位での道の駅を活用した広域版の災害支援対応計画や道の駅を所有する各地方自治体の防災計画に道の駅を活用し、防災化への予算化を検討することが肝要である。これに基づき、各道の駅の防災拠点化計画の作成が大事である。個々の道の駅では、まずお金をかけずにできるものを整理し、次にハード計画を立て、道の駅防災対応マニュアル・災害支援プログラム等の作成を図ることが望まれる。

(2) 平常時機能の災害対応強化
 新潟県中越地震や東日本大震災、熊本地震では、地震発生直後は電気や水が使用できなかったという問題点が指摘され、大地震や大津波の発生時でも避難機能を維持できるよう、事前に防災拠点化を進めておく必要があろう。
 平常時における「道の駅」の3つの基本的機能を災害時にも活用すると共に、それをベースとして災害対応性を強化することがより効果的と思われる。例えば、休憩機能は、平常時にトイレ、駐車場、公衆電話などが、災害時には一時避難場所になり、用水が確保して使用可能な防災トイレになり、余裕空間には飲料水備蓄タンク・地下貯水槽、非常用発電設備が整備されていることが望ましい。情報発信機能には、道路状況・迂回路情報や災害情報発信、安否情報の提供など、電話・faxが不通になった時の通信手段と非常時の連絡体制の確保、地域連携機能では、救援物資の中継機能・一時保管場所、配布などが考えられる。
 また非常時の敷地・施設の開放には、どこがどんな内容で可能なのか等の検討も行っておくことが望まれる。

(3) 災害発生時の利用に関する協定締結
 今後は各都道府県と道の駅管理者、道路管理者との間で災害時の協力協定の締結が望まれる。岐阜県東濃地区、福島県、群馬県では、県と「道の駅」管理者及び道路管理者において防災総合利用に関する協定が締結され、災害発生時には「道の駅」施設の提供や物資の提供など、迅速かつ適確な応急対策等を実施する取り決めがなされた。初めに2007年12月に岐阜県東濃地区「災害時における応急生活物資の供給及び被災者等への支援に関する協定」がなされた。災害発生時に応急生活物資を迅速かつ円滑に被災地へ供給並びに被災者等への支援を目的に、岐阜県東濃振興局と東濃圏域の「道の駅」10駅が締結した。①災害発生時に、東濃圏域内の被災地への支援が遅れることがないよう、東濃圏域の「道の駅」10駅の物資を流通備蓄として活用、②観光客等近隣滞在者への情報提供や物資・食事の優先提供等の支援の実施を協定内容とした。
 2008年8月には、福島県「道の駅防災総合利用に関する基本協定」が、福島県と県内の「道の駅」16駅及び道路管理者で締結された。協定内容は、災害発生時における迅速かつ的確な応急対策等の実施を目的に、災害発生時に県からの要請に基づき「道の駅」施設やスペースを防災利用する。(防災利用内容)としては、①避難施設(臨時入浴施設を含む)の提供、②救援物資の提供及び保管、③救援物資の運送に係る拠点・中継施設の提供、④防災関係機関の活動拠点場所の提供、⑤道路情報、被災情報等の発信、⑥広域避難における中継・休憩施設の提供 等である。今回の災害時には相応の協定内容の機能を果たしている。
 2008年11月には、群馬県「『道の駅』の防災総合利用に関する基本協定」が群馬県と県内の「道の駅」19駅及び道路管理者で締結された。目的と協定内容は、福島県と同様である。

(4) 地元管理自治体との事前協定
 地元管理自治体の防災計画に当該道の駅を活用することを盛り込み、災害時、緊急時の災害対応の規約を締結して、水や食料・物資の補給を地元管理自治体との事前協定の中に盛り込み、予算化することが重要であろう。

(5) 「道の駅」同士の災害対応連携協定
 道の駅連絡会管内で平常時に協定を結び、イベント等で連携を持ちながらも、災害時には応援できる体制づくりが必要である。産直ネットワークを確保し農産物や食料等の商品が不足せずに周辺住民への生活支援を図る。復興イベントや復興支援セールにより地元や被災地を元気づけるなどの配慮が望まれる。

(6) 「道の駅」を拠点とした自主防災組織の確立
 町内会や自治会が母体となって地域住民が自主的に連帯して防災活動を行う任意団体を道の駅を拠点として確立する。そして、○自主防災組織の連携体制により、各地域・自治会の自主防災組織がお互いに連携し協力体制を果たす。

(7) 地方自治体同士の災害協力協定
 遠方と隣接した自治体同士は外して、程良い近接距離の自治体同士が災害協力協定を結び緊急時に協力援助する。

(8) 都市農村交流による災害協力協定
 都市と農村の交流による自治体や組織同士が災害協力協定を結び緊急時に助け合うとともに、道の駅が自治体と民間との災害協力協定を締結し非常時に助け合うことが肝要であろう。

5. まとめ

 道の駅の防災対応は今後必要であり、まずは、各道の駅が災害対応マニュアルを作成し、現在の状況でできること、改善や追加すべき対策や機能、施設は何か、ソフト・ハードに分けて、迅速にできることから防災対策を講じていくことが肝要である。
 ソフト対策では、地元自治体や道の駅同士及び周辺地域との連携協定の締結である。自主防災組織を確立して、災害時対応のマニュアルやプログラムに沿って、自治体や農家等の周辺住民も巻き込み、防災会議、危険予知活動や防災訓練などの平常時からのリスク管理を今後は、取り組む必要があると考えられる。
 ハード対策としての防災への施設整備の基本は、停電と断水への対応である。自家発電装置は必要基本条件で、ソーラーパネルと高性能蓄電池での非常時対応も検討が望まれる。飲料用と生活用の水槽タンク及び地下水の給水ポンプ等の設置は重要である。また緊急用の非常時トイレが確保できる地下貯水槽があれば望ましい。情報用のラジオとTV(停電時使用可能なもの)の備付、防災無線等は必須である。道の駅を拠点とした安否確認のための情報入手システム等の検討も望まれる。防災拠点であれば、緊急用の防災備蓄倉庫も設置が検討される。こうした道の駅の対策は、各地方自治体の防災計画の中に盛り込まれ、行政の取り組みとして政策に位置づけられ予算化されることが重要である。各道の駅のソフトとハード支援対策と各道の駅同士が災害支援ネットワークを結んで面的な協力体制を構築していくことが求められよう。道の駅の災害支援、防災性能の向上は、災害時の地元地域の免疫力を高めることになり、人の命を救う駅にもなりえるので今後の適切な展開が求められる。

謝辞;調査にご協力いただいた東北「道の駅」連絡会事務局や九州沖縄「道の駅」連絡会事務局及び各「道の駅」駅長に厚く御礼申し上げます。




引用・参考文献
1)北陸「『道の駅』」ユーザーズくらぶ「みちゆっく」;「新潟県中越地震への『道の駅』の災害対応」;2004年11月2日~12日に新潟県内33駅に対して行ったアンケート結果(29駅から集約)
2)東北道の駅連絡会事務局 資料
3)東北道の駅連絡会;東北道の駅震災情報プラットホームHP
4)九州沖縄道の駅連絡会事務局 資料
5)国土交通省 道路局 国道・防災課;「道の駅」の災害時における活用について
6)熊野稔;「道の駅」のサービス水準の向上と地域振興の方向性;地域開発 2011年3月号 地域産業活性化と「道の駅」特集 PP.48~53 日本地域開発センター
7)熊野稔;「道の駅」の環境保全と災害対応及び防災拠点化への方向性 中越地震と東日本大震災を事例として 2011年度日本建築学会大会 地球環境部門 地球環境・防災のデザイン指針小委員会 PD資料報告集 地球環境と防災のフロンティア(2)―地球環境・防災の総合的デザイン指針に向けて― pp59~62 2011年8月