基礎的自治体のあり方を問う

社団法人 日本青年会議所 
会 頭 上 島 一 泰

1. 住民との情報共有化

 情報の開示と十分な説明責任により、自治体の財政状況を住民に理解してもらうことが必要である。
 それにより住民が自治の意識を持ち、受益に対する負担を認識することにより、自らが、積極的にまちづくりに参画する事ができる。

 

2. 新しい自治体システムの確立

 地域のことは地域が良く理解しているという前提で、それぞれの「まち」、「コミュニティー」、「NPO」、「企業」、「自治体」のパートナーシップと住民の発意に基づいて、一つずつ問題を解決していく「新しい自治体システムを持つ社会」を創造していく事が必要である。

 

3. 地方自治体の自主性と主体性の確立

 地方自治体の自主性と主体性を高める観点で、権限の委譲や、行政の総合化・効率化を図るための規制の見直しをしなければならない。行政責任の明確化を図る観点からも国庫補助負担金の整理合理化と地方財源の充実確保なども不可欠である。
 それには地方自治体の総合的・効率的・個性的な行政の展開といった行政体制の整備・確立に積極的に取り組む事が必要である。その具体的な方策の一つが市町村合併である。

 

4. 市町村合併

 合併の意義は生活者本位の社会をめざした住民参加型のまちづくりを前提とした上で、行政効率化をめざしたスリム化した、しかもきめ細かなサービスや、行き届いた思いやりのある自治体づくりをしなければならない。大きな行政による重点的な投資や時代に即した一方的な住民サービスだけではいけない。

 

5. 実践と行動

 地方分権の中での行革の目玉、あるいは集大成が合併であり、自らの身を削ってやらなければならない課題である。
 合併は、総論賛成、各論反対が大勢である。
 それでも住民の要望や今後の公共システムを考えるなら自然な形で合併を求める動きになることと思われます。やはり、身近な課題から議論をはじめることが大切である。
 できるところからまとまり、生活レベルから着々と一体化をめざす。そんな取り組みが遠回りしているようで、意外と早道になる。「新しい社会システム」を考えた場合の今後の市町村合併の姿として、広域合併を提言、実践すべきである。

 

6. 青年会議所の利用と活用

 戦後の復興期において、青年会議所はほぼ行政単位で存在し、それぞれの地域において住民や行政、NPO、企業と連携をし、まちづくりを行ってきた。
 失敗例が多く見られる住民発議ではその実践力と各地の実例に基づく情報力をもった青年会議所に期待が寄せられている。
 若さと行動力、全国的ネットワークをもった青年会議所を積極的に活用していただきたい。