市町村一覧図

府民と府政の新たな関係を構想する
分権法施行を受けて大阪府(都道府県行政)のあり方を探る

 

 

Ⅰ 大阪府の現状

 

1. はじめに

  大阪府は、府域の面積が全国で2番目に狭く、人口・人口密度が東京都に次いで2番目に高い状況で、昼夜間人口比が106.1%となっている。合計特殊出生率は1.30で全国42位で社会増の現象もあいまって14歳未満人口と65歳以上人口がほぼ同数となっている。製造事業所数・製造従業員数・商店数・商店従業員数、銀行預金・貸出残高共に全国2位、製造品出荷額全国3位、府内総生産は、東京に次いで2位でオーストラリア・メキシコと同程度の経済規模です。しかし、その大阪府が近年財政危機に陥り、1994年以来連続6年地方交付税の交付団体となっている。
 【大阪府域の沿革】

● 人口・世帯 883万人、345万世帯、人口密度:9,424人/km2、昼間人口:931.8万人
市町村の平均人口:196,063人(全国:36,591人)
平均寿命:男75.90歳、女82.52歳
● 市町村数 33市、10町、1村(うち、政令市1、中核市1、特例市の申請6市)
● 面   積 1,893km2 市町村の平均面積:43.02km2(全国:114.93km2
● ブロック数
● 広域連合 1(介護保険)

 

2. 大阪府の行政・政策課題の現状

 (1) 全国初の女性知事誕生から8ヵ月
   横山ノック知事が「強制わいせつ罪」で検察の強制捜査を受け辞任し、2000年2月7日、知事選挙が実施され太田房江知事が誕生した。失われた信頼の回復と府政再生の取り組みが始まっている。
   ノック府政の下での5年間は、①行政の素人の発想で府民と府政を身近なものにし、財政危機をアピールした。②無党派をバックボーンに「しがらみ」を排し、一律カットによる再建策を打ち出し、福祉・教育に多くの課題を残した。一律カットといいつつ、ビッグプロジェクトについては開発主導の側の言いなりの採算値を鵜呑みにし見直しを行わなかった。③女性の人権を踏みにじり、行政の長として決定的な過ちを犯し、職員の士気を低下させた。④ノック府政の約5年間、トータル方針ではなく各部ごとの施策が進められ、政策決定の優先度は議論されなかった。
  ① 太田府政誕生の意義と府民の期待
    太田府政の誕生は、全国初の女性知事の誕生は、男女共同参画社会に向けた大きな一歩であり、クリーンなイメージと行政のプロの手腕を府民は期待した。公約で財政再建と景気対策を車の両輪にと掲げ、福祉の拡充の視点で都市基盤の整備を求める声に応える必要がある。そのためにも徹底した情報公開と府民参画でビッグプロジェクトの見直しを行うことにより府政の再生に向けた取り組みを大胆に進め、府政の信頼回復を図ることが重要である。府労連・自治労府職は、知事との政策懇談会や自治研活動を通じ、具体的な政策提言を行っていく。

 (2) 大阪府財政の現状:財政再建緊急期間(平成11・12・13年度)の2年目
  ① 平成12年度予算の特徴<別紙①>のとおりであり、99年度決算見込みでも101億円の赤字となることが明らかになっている。平成13年度予算見込みは、依然として5,800億円の財源不足、12年度と同様の財源対策を講じても370億円の不足見込み(準用再建団体転落ライン約649億円)である。財政再建に向けた行財政改革の取り組みとして8月にまとめられた「府政再生に向けて ― 大阪府行財政改革レポート」でも5年間の人件費見直し1,180億円、事業見直し1,960億円など削減効果をうたっているが、歳入増への具体策・ビッグプロジェクト見直しによる今後の負担減の施策など緊急に取り組むべき課題は多い。

 

 

Ⅱ 大阪府財政再建プログラム(案)への組合としての取り組み

 

 大阪府の財政危機が顕在化してきた1996年大阪府は、「財政健全化方策」を発表した。
 しかし、庁内の雰囲気は「危機感」とは程遠いものがあった。
 1997年の9月府議会で「財政再建プログラム」の策定を約束させられた大阪府は、1998年2月「大阪府財政再建プログラム(試案)」を発表、4月には財政再建本部を発足させ7月に「素案」9月に「大阪府財政再建プログラム(案)」を策定した。
 府労連・自治労府職は、労働条件問題の労使交渉や定期昇給24月延伸など福祉・教育サービス低下の露払い的賃金抑制提案撤回の取り組みを全力ですすめる一方、全職場代表者会議やシンポジウムを開き問題点の確認と今後の取り組みへの意思統一を行ってきた。
 また、連合大阪が5月に発足させた「大阪府財政再建プロジェクト」での検討にも積極的に参加し、連合大阪は、対府申し入れや議会対策を積極的に展開した。さらに、連合大阪は関西経営者協会が参加呼びかけを行った「地方税財政制度の改革を求める大阪府民会議」は経済4団体をはじめ20団体が参加し、99年1月29日のシンポジウムで、国への働きかけの共同行動アピールを採択し、各省庁への要請が行われた。
 また、行政評価制度の導入にあたって自治労府職は、「限られた財源、人材」を前提にするなら、行政評価システムは資源配分、政策転換に活用されなければ意味がない。「何を目指すか」という行政目標・理念を明確に示すことが不可欠であり、その上で、評価指標が明確化されるものであると大阪府においてはまず、政策評価システムの導入を行うべきであると主張し、1999年の事務事業評価制度導入前と中間集約後に申し入れを行い、当局との意見交換を重ねた。
 大阪府財政再建プログラム(案)の緊急対策期間(99~2001年)後の2002年からの「大阪府財政再生計画」の策定が知事の方針で示されており、組合としての取り組みを強化する必要がある。

 

 

Ⅲ 都道府県財政確立の課題

 

 自治体の財政危機は今に始まったことでなく、従来より3割自治と揶揄されてきたように、国と地方の歳出の割合がおよそ1:2であるのに対し、国税と地方税の税収割合はおよそ6:4であり、大きな乖離を解消できずに今日まで交付税や補助金、起債により措置がされてきた。しかし今回のバブル崩壊後の財政危機の特徴は、とくに大都市圏を抱える都府県が深刻な事態に至っている点であり、景気の変動に対し脆弱な都道府県税制度の是正と地方税源の大幅な拡充なしには真の財政再建は不可能である。また、地方税源の大幅な拡充は財政再建のためだけに要請されているわけではなく分権確立の面からも不可欠である。
 現在、全国知事会も全国一律の制度としての法人事業税の外形課税化(東京・大阪の銀行税とは別のもの)にむけて、本気で取り組んでいるところであり(7月18日緊急要望決議)、地方分権推進委員会の8月8日首相に提出された「意見」でも明確に述べられている、今後の動きを注目すると共に地方税財政確立の取り組みを強化する必要がある。
 大阪府は、9月11日「税制改革素案」を発表した。「課税自主権を行使した独自課税についての検討結果」としてまとめたにしては不十分なものといえる。「法定外(普通・目的)税」としての「政策税」については今後引き続き創設の可能性について検討とした。そして「法人府民税の均等割」を資本金1千万円以上の企業について倍に引き上げることの検討というものと「環境にやさしい低公害車」の減税と「環境負荷の大きい車への超過課税」でこれは収支とんとんとなる。「産業再生プログラム(案)」(9月4日発表)の実施にあわせて「創業促進・企業誘致税制の検討」として税の軽減措置の実施に向けて検討としている。来年2月議会で予算案と共に成立させたいとしており、9月府議会(9月28日~10月20日)でも大きな議論となる。

 

 

Ⅳ 大阪府における「行政改革」は

 

 現在の危機の意味を把握するために、まず過去の大阪府の行政改革の特色を確認しておこう。
 75~84年度に行われたことの概要は<表2-1>のとおりである。
 当時の労使のやり取りは勿論厳しいものであったが、財政危機の規模において現在のそれと、一桁違うという感は否めない。
 82年度決算で黒字に転換し、その後にバブルの時代があって、現在の深刻な危機を準備するのであるが、94年以降の動きについては<表2-2>のとおりである。
 大阪府の財政状況と見通しに関して、大阪府庁内の一部で危機感が深まり、それが「全庁的に共有」され、やがて府庁「外部」に対しても明らかになっていく、その過程を跡づけることができる。そして、この各段階のタイムラグ(時間差)が、ときとして重大な結果をもたらす、ということも分かる。
 大阪府の財政危機が「周知」のこととして、議論の枠組みが狭く固定された状況のもとでまとめられたのが「大阪府財政再建プログラム(案)」である。その特徴は<表2-3>のとおりである。
 財政再建プログラムのショックが浸透し「本来の地方分権の理念」が薄れる一方、新しい自治体と住民の関係構築をめざす取り組みも進行した。行政手続き条例の施行、情報公開条例の改正などとともにその代表的動きとして注目すべきものが<表2-4>の行政評価システムの構築である。
 大阪府は、今年の8月末、この間の財政危機の中で「行政改革大綱」に基づき実施してきた「行財政改革」についての取り組み内容を「府政再生に向けて ― 大阪府行財政改革レポート ―」としてまとめ「府民の皆さんの将来のために、課題を先送りせず、今、行動します!」と宣言し、「本当に必要な施策を見極め、主要プロジェクトや指定出資法人を含めた例外なき点検をする」として、行政評価システムを拡充する事を明らかにした。

 

 

Ⅴ 府民と府政の新たな関係を構想する

 

1. 大阪府における分権推進の取り組み

 (1) 大阪府の総合出先機関の推移は、<別紙②>のとおりであり、町村指導としての「地方事務所」(1942~1972)が、総合出先機関としての「府民センター」となり、1994年に「通信・交通などの飛躍的な発達、各市町村の行政能力の向上など」を理由に廃止された。
 (2) 大阪府庁内分権の推進
   大阪府庁内における分権は、財務規則上の「出納員」への「委任事務」を1980年、82年、1994年、96年、98年と実施し、決裁権限の委譲についても意思決定の迅速化という観点から進められてきた。組合も「行政改革」の具体的な紙として意見反映をその都度行ってきた。今年4月には、「業務執行体制の見直し」が実施され、「係制が業務単位のグループ制」となり「職制の見直し」も実施された。その中で「意思決定の迅速化を図るため、可能な限り権限の下位委譲を図る」として「職制をフラット化して、所属長までの意思決定ラインを短縮すると共に、課長補佐及び主査に積極的に権限を委譲する」とした。しかし、様々な問題点やグループ制移行への職員の不満中で、進んではいない。
   公営企業・特別会計部門について「自立的な目標管理」の導入が図られ、「組織の長に、基本的な枠組みの下での業務運営に関する裁量権の付与」が昨年度から行われている。
 (3) 大阪型地方分権手法~市町村への権限委譲
   大阪府は、「国の画一的な行政にとらわれることなく地域の課題に機動的に対応するため、国の政策を先導あるいは補完してきた」という自覚と自負の下「分権型の社会づくりの先導的役割を担っていく責務があり、またそれに必要な能力も有する」として1994年「大阪府地方分権推進検討委員会」が「地方分権の推進に向けて」提言を行った。その中には国から府県への権限委譲すべき具体的業務も明記する内容であった。
   さらに1995年11月には、同年5月「地方分権推進法」が制定されたことを踏まえて「府と市町村との新たな協調関係を確立するため全庁的な検討を行い」「地方分権推進に向けて(第2次提言)― 分権時代における府と市町村との新たな関係をめざして ―」を発表した。その中には「大阪版地方分権制度」が提唱され、「府と市町村で移譲を検討する事務(例)」が示されていた。これらを受けて「府と市町村の新たな関係を確立するための抜本改革」のためと1996年「分権時代の新たな行政システムをめざして ― 大阪府行政改革大綱 ―」には「大阪版地方分権推進制度」創設が盛り込まれた。
   これらの取り組みを受けて1996年5月、大阪府、大阪府市長会、大阪府町村長会の3者で「大阪府・市町村分権協議会」が設置され、12月には「大阪版地方分権制度に関する考え方(報告)」がとりまとめられた。これに基づき、1997年4月に「大阪版地方分権推進制度実施要綱」が定められた。(別掲)
   この要綱は、市町村が事務移譲を求める申し出を行い、移譲の可否移譲時期、移譲に伴う財源措置、人的支援等の検討を行い、当該市町村に回答するものである。財源については、①移譲事務に必要な人件費及び事務費を経常経費として交付する、②移譲準備に必要な初期的経費を交付する、③必要な人的支援を行うというものであった。
   この「要綱」に基づき、毎年の権限委譲の調査が実施され、少しずつではあるが着実に権限移譲が進んだ。98年度は福祉分野を中心に14事務、99年度は街づくり分野を中心に16の事務が17の市町に移譲され、2000年度は、街づくり分野を中心に7事務が移譲された。<別紙③>また、府と市町村の職員派遣・交流は、<別紙④>のとおり。
 (4) 中核市・特例市について
   大阪府域では、中核市は堺市のみで、堺市は、中核市となった年より大阪府からの「出向」助役は受け入れていない。政令市を志向する堺市は、今年8月、独自の合併構想を提唱し、対象とされる市町より反発が出ている。しかし、大阪府が9月に「市町村の合併推進についての要綱(仮称)<素案>」(別項参照)を発表したことにより、素案に示された市町へ「合併問題懇談会」の設置を呼びかけるとしている。
   また、分権法施行によって「特例市」が設けられることとなったことを受けて、対象となる豊中・吹田・茨木・枚方・東大阪・寝屋川・八尾の7市のうち東大阪市以外の6市が特例市の要請を行った。大阪府は、9月府議会で同意を得た後、自治大臣に申請を行い、来年4月の指定をめざすとしている。
 (5) 広域連合と市町村合併
   大阪府においては、今年の4月現在1つの広域連合(くすのき広域連合:介護保険関係、守口・門真・四條畷)と44の一部事務組合が設置されている。広域行政推進協議会などの協議会や機関の共同設置(4つの介護認定審査会:池田市・豊能町・能勢町、泉佐野市・田尻町、泉南市・阪南市・岬町、河南町・太子町・千早赤阪村)などが行われている。
   大阪府は、1999年7月の「地方分権一括法」の公布、「合併特例法」改正・施行、8月の自治省による「市町村の合併の推進についての指針」策定、都道府県への「市町村の合併の推進についての要綱」策定の要請を受けて、2000年1月25日「市町村の合併の推進についての要綱」の策定に関する「懇話会」(メンバー:市長会会長、町村会会長、経済界、労働界、学者等)を設置し、2月1日に第1回会合を開き8月28日の第5回「懇話会」での議論を経て9月1日「市町村の合併の推進についての要綱(仮称)<素案>」を発表した。<別紙⑤>今後、府議会や市町村での議論を経て12月には(案)としてまとめたいとしている。
   また、大阪府は、2月から3月にかけて「市町村合併に関するアンケート調査」府民8,000人を対象に実施した。その結果は、「合併する必要がある」と「検討する必要がある」とで28.6%「合併する必要はない」が44.4%、「どちらとも言えない」が19.5%で、「合併する必要がある」と「検討する必要がある」の合計が、「合併する必要はない」を上回る市町村が14団体あった。具体的な検討を行っていない段階でのこの数字は、どういう意味を持つのであろうか。
   大阪府の「市町村の合併推進についての要綱(仮称)<素案>」は、府内市町村の現況と課題、市町村合併の必要性、市町村合併の効果や合併に際して懸念される事項への対処について述べた後、市町村合併の形を30パターン示し、「自主的・主体的な市町村合併の推進に向けた府・市町村及び住民の取り組み」課題を示した。
   先に述べた「懇話会」で議論される際、この合併パターン議論については「非公開」で実施され、「要綱素案」も懇話会の提言や答申とせず、懇話会の議論を踏まえた大阪府独自の素案として発表されたのは、市長会会長、町村会会長など懇話会メンバーへの「配慮」と思われる。
   これらの合併パターン毎に付記されている「合併により期待される効果」には「特例市移行による行政サービスの拡充」「中核市移行による行政サービスの向上」が25パターンで述べられている。この視点で行けば、市町村合併で権限移譲が進み大阪府がその結果どういう行政規模どういう行政を行うことになるのかもセットで示さなければならないのではないかという自治労府職の問いに対して、市町村課は行政改革室で検討していると答えるにとどまり、行政改革室は、今後の検討課題としている。
   指定都市・中核市・特例市で処理する主な事務の比較は<別紙⑥>のとおりであるが、大阪府市町村課示す、中核市や特例市の枠組みで合併が進めば、大阪府の事務が確実に移譲されるのであるから大阪府庁内の必要事務は激減することになる。大阪府という組織の適正規模、広域調整業務としての業務の在り方を早急に検討していく必要がある。
   今後、自治労府職は、自治労大阪府本部傘下の市町村職員組合と連携し、市町村と大阪府行政のあるべき姿に向けた検討を行い、市民・府民参加の行政を確立していくため取り組みを強めていく。
   一方、大阪府の知事部局の職員は、今後10年間で4割が退職する。大阪府財政再建プログラム(案)は、10年間厳しい再建策を講じても黒字に転じる見込みとはなっていない。この様な中で、府民の参画で大阪府を再生させていくことは、待ったなしの課題である。

2. 府民の参画システムの確立で大阪府と府民の新たな関係を展望する

  2000年4月分権推進法の施行で機関委任事務が廃止され、国と都道府県・市町村が対等・平等な関係を確立することとなった。歳入・歳出全般にわたって「国のせい」にせず、各自治体がその中身を責任を持って引きうけるということが前提になる。すなわち、自治体の住民(大阪府民)への説明責任(アカウンタビリティ)が自治体職員の重要な課題となっている。地方分権のキーワードは、「情報の共有化と意思形成過程への参画」である。
  多岐にわたる大阪府政の中で府民がそれぞれの施策の内容を理解し判断していけるわかりやすい情報の公開・提供は不可欠である。その前提で府民の政策選択の合意手法を確立していく必要がある。また、現在進行中の事業の点検・チェックが府民参画で実施できるシステムの確立を行う必要がある。また、各施策についてのNGOの提言を受け止め、反映できる参画システムを追及する。大阪府の未来像をともに築きあげていくため、自治労府職は7月21日に自治研集会を開催し、分権法施行後の大阪府政(都道府県)の在り方を展望する「府民と府政の新しい関係の構築」に向け、府民の参画を進めるための具体案を以下の内容でのたたき台として提起した。今後、大阪府・連合大阪や自治労大阪府本部、各運動団体と議論を重ね、大阪府のあるべき姿を追求していきたい。
 (1) 事務事業評価・施策評価・建設事業再評価・外部監査の内容・手法拡充
   事務事業評価は2年目にはいり、9月の中間とりまとめでは200事業を見直すとしている。これを踏まえた予算編成作業が行われるが、今後事務事業評価の手法を拡充し、事前評価・施策評価に早急に発展させていく必要がある。
   外部監査が昨年度から実施され、その報告は庁内を揺り動かした。今後もその拡充を図り、政策的な数字を実像のものに変えていく必要がある。
 (2) 基本政策議論の府民会議・公聴会・NGOの府民会議
  ① 審議会の見直しは、女性の参画推進とメンバーの刷新が必要。多くの審議会でメンバーがダブり、時間の制約もあり行政の文章の追認を行っているところと専門委員も含め各委員がそれぞれの分野の検討を行っている審議会との差が大きいことの改革。
  ② インターネットでの大阪府の各種計画や施策への意見募集が進められ、パブリックコメントの具体策が検討されているが、早急にシステム化し実施させること。その際、府民すべての参画の保障が課題である。情報砂漠、情報弱者をつくらないこと。
  ③ 総合計画や産業再生プログラムや税制の在り方や主要プロジェクト事業評価など主要施策については、その基本論議を行う府民会議・公聴会などを開催すること。
 (3) ビッグプロジェクトの見直しを府民参加で
   大阪府の主要事業(面的開発プロジェクト)や出資法人の各事業ごとに事業継続、凍結、縮小、廃止の4パターンの今日的試算数字を明らかにし、府民の議論を求め、公聴会などを積みかさね、府議会で判断を求める。負担の合意のプログラムづくりに直ちに着手することが必要である。
 (4) 環境アセスの戦略アセス化
   計画策定前の基本構想段階でアセスメントを行い、計画そのものの是非を判断する、即ち開発そのものを環境バイアスで判断しようとする戦略的アセスメント(総合アセスメント)の導入に向けて次年度から試験的実施を行うべきである。
 (5) あらゆる分野への女性の参画を進める
   7月17日に諮問された「男女共同参画社会の実現に向けた条例」づくりを府民の参画で行い、あらゆる場への参画の条件整備について働きやすさという観点での条件整備を急ぐこと。
 (6) NGO、地域との連携を一層進める
   市民運動をともに担う自治体職員のあり方と行政の役割を明確化し、外国人労働問題、環境問題、野宿者対策、地域での子育ち支援、ドメスティックバイオレンスへの対応などの分野で行政と市民との仲介役としてNGOの活用を推進するべきである。