神奈川県「財政健全化のための税制改革基本構想
(グランドデサイン)の素案」(2000年7月)の概要


1. 財政自立を支える税体系の確立に向けた取り組み

(1) 安定的基幹税源の確保の検討
  全国一律で、広く薄く外形標準課税が可及的速やかに導入されるよう、望ましい外形基準を示して、国に提言する。

(2) 国・地方の適正な税源配分検討
  地方団体における個人所得課税及び消費課税の位置づけを高め、財源確保を図る観点から、現行の税源配分を抜本的に改革し、安定的な地方税体系を構築するよう国に提言する。

2. 財源確保対策と、喫緊の重要課題への対応

(1) 法人二税の超過課税措置………現行の税率で延長する。
 ○ 法人事業税は標準税率の5%増し、法人税割は5.8%
 ○ 超過課税の対象から除かれる中小法人の拡大

基準額の引上げ

     ● 法人事業税

   所  得   年5,000万円以下 → 年1億円以下
     ● 法人税割    法人税額   年1,600万円以下 → 年2,600万円以下
資本金の引上げ
       1億円以下 → 2億円以下

 ○ 充当事業:地震防災対策の強化、産業振興対策の強化、<新>環境保全対策の強化
 ○ 実施期間:5年間

(2) 自動車税の超過課税措置…新たに標準税率の1.2倍で措置する。
  ○ 充当事業:交通事故に対する安心・安全対策、交通渋滞の緩和と円滑な交通流の確保、公共交通の新たなシステムづくりの推進、自動車による環境負荷低減化対策の推進
  ○ 実施期間等 平成13年度から5年間

(3) 法人事業税の大幅落込みを補うため、法人課税について臨時特例措置(法定外普通税)を検討する。

3. 税制上の優遇措置による政策誘導

(1) 不動産取得税の軽減措置……京浜臨海部等の産業活性化と雇用の創出

(2) 自動車税の軽減措置…………環境にやさしい自動車の普及促進
 ○ 本県が定める低公害車のうち電気自動車、天然ガス自動車、メタノール自動車
  及びハイブリッド自動車             標準税率の0.5倍
 ○ 本県が定める低公害車のうち上記以外のもの   標準税率の1.0倍
 ○ 本県としての低公害車の基準・範囲を検討する。

 

4. 豊かな暮らし・健全な地域、地球環境の向上を図るための税政策

(1) 生活環境税制の構築

 ○環境保全税: 環境汚染対策や廃棄物対策の観点から検討する。
当面、自動車税に軽減措置について、「環境保全」の目的に沿うよう、制度構築する。
 ○水源環境税: 家庭や工場、事業所などで利用される水の安定確保と水質の保全、それらの基盤となる水循環機能の保護に資する水源地域環境諸施策の充実を目的として、「水源環境税(仮称)」の早期導入を図る。
納税義務者は、水道水等の利用者とし、特別徴収義務制度についても検討する。
 ○都市生活環境税: 各種施設等の周辺環境対策を行い、都市生活環境の保全と管理を図る。
 ○都市防災税: 危険物貯蔵施設等に係る安全対策を検討する。
当面、法人二税の超過課税の充当目的である地震防災対策の中で、必要な財源を確保する。

(2) 長寿、福祉社会の構築に向け、現行の自動車税の減免措置を、福祉的配慮の視点をもって見直し、対象の拡大を図る。