阿蘇テレワークセンターの取り組みについて

熊本県本部/阿蘇町役場職員組合

 

【事業の経緯と現状】

1. 事業の目的

 阿蘇テレワークセンターは、阿蘇の地域特性や自然環境を活かした農村型のテレワークセンターとして、高度な通信技術を活用しながら、①農村地域の高度情報化の促進、②地域のネットワークづくり、③雇用機会の創出など町の情報受発信の拠点として、また、地場産業活性化のための一翼を担う施設として、平成9年度に郵政省、農水省の補助を受け建設されたものです。

2. 事業の内容

 本来、テレワークは「遠隔勤務」とも呼ばれていますが、「情報通信で都市と地方あるいは、都市と郊外の間を結ぶことで立地条件にとらわれることなく通信回線で仕事のやり取りが出来る」ということですが、情報通信を活用することにより、田舎でも都市と同等に仕事が可能な環境を整備することで、雇用機会が拡大できると言うことですが、事業計画時、田舎の町でサテライトオフィス的な要素が成り立つのか。といった課題があり、検討した結果、阿蘇テレワークセンターは農村型としてまずは、地域全体の底上げ、特に阿蘇は農業と観光が基幹産業ですが、やはり、地場産業や住民に密着した、お役に立てるような施設にしよう、その次の展開として本来のテレワークを目指そうということで事業を行っているところです。事業の内容としては次の4つを行っています。

(1) パソコン研修
  誰もが気軽にパソコンが習えるように、現在、研修用パソコン35台を導入し郡内3ヵ所で、各種団体、地域住民等を対象にパソコン教室を開催しています。
  年間の研修者は延べ500~600人程度で、日本商工会議所のパソコン、ワープロ検定試験校になっており各種の資格取得が可能となっています。また、今年度から労働省の教育訓練指定講座の認定を受けることが出来、働く人の能力開発の支援をしていける講座の準備をしているところです。

(2) インターネットサービス
  地域の人が、安価で簡単にインターネットが始められるように「阿蘇インターネット」という名称でインターネット接続サービスを行っています。現在、会員数も急速に増加してきています。

(3) 情報ネットワークサービス
  現在、地域ネットワークづくりということで、農業、観光業、商業といった地場産業支援のためのネットワーク化や阿蘇広域介護認定審査システム、学校ネットワークづくりなどに取り組んでいます。
  地場産業支援としては、農業・気象情報システムや共同利用が可能な阿蘇地域の各種データベースの構築と受発信、地場産業のネットワーク構築のコンサルティング、サイバーモール阿蘇の実験運用などを主に行っています。
  特に、サイバーモール阿蘇はインターネットで阿蘇の特産品が買える、旅館、ペンションなどの宿泊予約が出来る。阿蘇の観光、物産情報が見れるというシステムですが、平成11年度に郵政省からモデル実験の委託を受け、阿蘇町、一の宮、波野村、産山村の4ヵ町村合同により共同利用型システムとして、開発を行ったものであり、特産品の販路拡大と商品開発、観光客の誘致活動等のインターネットを活用した1つの方法として昨年の9月から実験稼動しています。基本的には、インターネット技術、データベース連携技術を活用、テレワークセンターを拠点として、4ヵ町村の農業関連、商工関連、宿泊施設など28ヵ所とセンターの間をネットワークで結び、オンラインで地域の特産品や加工品の受発注、宿泊施設の予約作業を実施するために必要な基盤的システムとなっています。
  今後、ネットワークを構築していく中で、運営コストの軽減化や効率的で実効性のあるネットづくりが課題になりますが、そのためには、個々から町村単位、広域単位を基本としてシステムの共有化が大切ではと思います。

(4) デジタル入力作業
  本来のテレワーク業務として、現在、町議会議事録の作成やCD化、企業からのデータ入力作業の受託、会議録などのテープ起こし、ホームページの作成・更新などを行っています。

3. 運営体制等について

 運営体制については、センター自体が収益性を伴うということ、また、機動力と言いますか、ある程度臨機応変に運営していく必要があることから、町が100%出資している(財)阿蘇町地域振興公社に運営管理委託を行っています。
 現在、センターは7名で運営を行っていますが、その内訳は、町から1名(責任者)、NTT西日本熊本支店から派遣職員1名(専門技術者)、公社職員5名(内、1名はパート)となっています。

4. 地域での雇用機会の拡大

  本来、地域での雇用機会の拡大ということから言いますと、IT技術者やテレワーカの育成をどんどんやりたいわけですが、田舎では、なかなか仕事の確保が難しいということがあります。仕事の確保が先か、人材育成等を含めた受入体制づくりが先かということになりますが、やはり、仕事がなければ人は育たないし、実践を踏まえていかないとレベルも向上しないということもあります。その中でセンターとして推進出来るものとして、現在の業務の拡大と共に

(1) テレワーカの育成
  現在、パソコンインストラクターやデジタル入力作業のためのテレワーカーを3名実験的に育成しています。10月から業務契約を結び実際に仕事が始まります。今後、15名程度のテレワーカを育成。

(2) テレコテージの運営
  テレワーカーやIJUターン者、アグリビジネスなど地域での起業を目指す人などSOHOやベンチャーを支援するためにセンター設備の開放や共同で作業が出来るテレコテージの運営などを行っていく予定です。

阿蘇テレワークセンターネットワークシステム構成図(現状)