産業技術学院の運営に関する取り組み経過

佐賀県本部

 

1. はじめに

 産業技術学院は、県の生涯職業能力開発の中心的機関としての役割を担い、従来、佐賀市、多久市、唐津市にあった職業能力開発校を再編統合して平成8年に開校しました。
 「県立高等職業訓練校再編整備基本構想策定委員会」や「職業能力開発審議会」での議論を踏まえて、開校したとろこであるが、少子時代の中にあって学生募集に危機感を募らせる県内の専門学校等で組織する専学連とその支持を受ける自民党県議等により、当初から相当の圧力を受けてきた。
 これまで、専学連による労政能力開発課への日常的な陳情や県議会における自民党県議による追及により、学生募集時期の制限や新規高卒者の受入制限、更には学院パンフレットの事前検閲など、行き過ぎた行為がまかり通ってきた。
 先の12月議会では、産業常任委員会において、自民党県議が「授業料を有料化すること」「新規高卒者は徐々に減らしてなるべく早くゼロにすること」などが質問され、景気の低迷による税収減や景気対策のための財政出動により財政難にある県が、今2月議会で平成13年度から授業料を徴収するとする条例改正案が上程されるに至った。
 また、学院の一部の科における定員割については、学生募集時期の制限や新規高卒者の受入制限などが大きな要因と思われるが、国の行政監察で指摘されることとなった。
 このままの状態を放置すれば、産業技術学院の存続さえも危ぶまれるとの認識の下に、産業技術学院の関係者との協議を踏まえて、労働組合として、県議会や主務課である労政能力開発課に対して、取り組みを進めてきたところである。

2. 県議会対策

 現在の県議会の中で、県職労の協力会派としては「県民ネットワーク」がある。(構成は、社民党の県議、無所属の県議、民主党の県議、公明の県議の4人)
 この中で、社民党県議、無所属県議の2人とは定例県議会班にその他の労働組合と共に「県政対策会議」を開催して意見交換を行い、場合によっては質問依頼を行ってきた。
 今議会の議会運営委員会(各会派の代表で構成)の決定により、知事が答弁に立つ代表質問に社民党県議が立つこととなったため、まず、代表質問で学院の運営について質問をお願いした(別紙参照)。この時点での知事の答弁は、「授業料については有料化することで了解願いたいが学生募集の方法等については検討したい」というものであった。
 詳細にわたっての質問は常任委員会で行うこととなるが、「県民ネットワーク」の割振りにより、学院の関係する産業常任委員会には、民主党県議がメンバーに入っているため、その後は常任委員会に向けて民主党県議への説明と質問依頼を行った(別紙参照)
 常任委員会で民主党県議は依頼文をほぼそのまま採用し、執行部を追及した。
 その結果、平成13年度からの授業料有料化については、撤回させることはできなかったものの、学生募集時期を見直すことや積極的にPRする必要があることなどについて前向きな回答を引き出すことができた。
 今後も状況を見て県議会で取り上げていくこととしたい。

3. 労政能力開発課対策

 議会対策と並行して労政能力開発課長との折衝も取り組んできた。課長との折衝で確認した事項は次のとおり。
  ◇ 学院については平成8年の開校後も一部には廃止論もある。しかし商工労働部及び労政能力開発課として廃止することは100%考えていない。
  ◇ 議会での質問を踏まえて、これから専学連等と話し合いをしていくが、学生募集の時期については何とかしたい。
  ◇ 産業技術学院運営等検討会議に現場代表を入れることについてはそのようにしたい。院長だけでなく、課長も入れることはOK。
  ◇ 学生募集活動。PR活動については、大変とは思うが、是非現場の先生にもこれまで以上に協力してもらいたい。


(県議代表質問内容)
 次に産業技術学院の運営等についてお尋ねいたします。
 県立産業技術学院は、労働人口の減少と高学歴化の進展による「技能離れ」が懸念される中、次世代を担う人材の育成を目的とした職業訓練、職業能力開発に関する諸サービスを実施する人材開発の総合的センターとして、平成8年度に佐賀市・多久市・唐津市の職業能力開発校を再編統合のうえ開校し、離転職者及び新規学卒者を含むその他求職者等の職業訓練を実施されてきたところであります。
 このような中、平成11年度の入校状況等を見てみると、普通課程は定員125名で103名、短期課程は定員100名で101名の入校となっております。
 短期課程は定員を満たしているものの、高校卒業程度を対象とする普通課程においては22名の定員不足となっております。
 これは、産業技術学院の学院生募集のあり方が主な原因ではないかと考えております。定員に対する新規学卒者の割合を制限していることや高等学校等において学生の進路希望がほぼ決まった1月以降にしか募集をしていないことが挙げられます。
 また、全国でも例が少なく、九州に限って見ればまだ実施している県がない授業料の有料化についての条例改正案が提出されております。
 中高年を中心とする離転職者の発生と新規学卒者の就職難の今日産業技術学院の様な公的職業訓練施設の役割は以前にも増して重要であり、もっと積極的に県民にPRしていくべきではないかと考えます。そこで、
 まず、次世代の県内企業を担う若年技術者を育成する普通課程において授業料を徴収することについての考え方、
 次に、学院修了者の県内企業への就職状況について、
 さらに、学院生募集方法も含めた今後の産業技術学院の運営についてどのようにされるのかお伺いします。