男女がともに担う自冶労運動の構築にむけて

山形県本部/女性参加推進委員会 

 

1. この間の運動経過

 県本部においては、1993年以降本部の「組織強化長期計画」の提起を受け女性の労働組合運動参画を図るため「女性参加推進委員会」を設置し女性が「安心して働き続けるために」どのようにしていくべきかを討論してきました。
 女性の置かれている現状及び女性の意識を分析し、課題を整理することを目的として「女性参加推進アンケート」を実施してきました。
 自治労組合員103万人のうち40%を占める女性の意志や意識を運動に反映することし民主的運動を確立するとともに、現在の男性主体の社会システムから男女平等社会システムづくりを進めていく必要があります。

2. 男女がともに担う自治労運動にむけた取り組み

(1) 情 勢
  日本における女性労働者を取り巻く情勢は、高度経済成長期から安定成長期にさしかかる70年代前半から、政府の労働力・雇用政策の調整弁として、パートタイム労働者、派遣労働者等の不安定労働者として扱われ、働く権利が確立されないまま放置されてきました。
  80年代以降、労働組合や社会党により大衆闘争が組織され1985年に「男女雇用機会均等法」が成立し、雇用の分野における女性の均等取り扱いが一定前進しました。
  しかし、労働基準法の女子保護規定の撤廃や労働者派遣法の対象業務原則自由化により女性が男性と同じように働ける機会ができた一方で、この規制緩和により働きつづけられない状態がつくられたことも事実です。

(2) 女性参加推進アンケートの結果から
  現状を把握するために、「女性参加推進アンケート」を実施してきました。
  結果については、「資料」を参照ください。
  男女平等や共同参画を望むかとの設問に対し、「仕事でも家庭でも望む」が7割を越えている一方で、「仕事でも家庭でも望まない」が7%存在していることは今後の大きな課題になっています。
 ① 自治体の現状
   自治体における女性の昇任・昇格差別や夫妻で同一自治体に勤務している場合の一方の管理職登用に際する他方の退職勧奨(強要)などの事例が報告されていたため、実態調査を行いました。
   係長・課長などへの女性の登用については、ほとんどの自冶体で登用されています。全体に占める女性の割合は職階が上がるにつれて低下しています。
   一方で、役職に就くことに対して、条件はあるものの「望ましい」との回答が8割に及んでいます。また、その条件については、「整っていない」という意識が5割、「整っている」が3割という結果になり、条件整備を必要としていることが伺えます。
   職場の女性差別の解消については、「行政上の課題」との意識が8割に及んでおり行政責任として男女平等をとらえていることがうかがえます。しかし、行政責任を唱える一方で必ずしも労働組合の主体性を必要としていない現在の意識も集約されました。夫妻で同一自冶体に勤務している場合の一方の管理職登用に際して、他方の退職強要があるかを調査した結果、3単組と少数ではあるものの実在していることが明らかになりました。また、制度としてなくても「慣例」として存在していることなども報告されており、さらなる実態調査の実施が必要になっています。
 ② 単組・労働組合の現状
   民主主義を確立していくために労働組合は運動をしていますが、その労働組合内での女性の運動配置について調査を行いました。
   単組における労働組合運動への女性の参画については、ほとんどの単組で執行委員に女性も配置されています。しかし、1~2人という単組もあり「女性部」の代表として執行委員になっているということで、一般執行委員に女性が配置されていない現状もあります。また、女性の単組三役については、4単組程度しか配置されていません。
   女性が労働組合の役員になる場合の意識を調査した結果、職場での理解や家庭での理解等が得られないという回答が5割に及んでいます。また、組合の会議が多いという意識が2割に及んでいます。
   組合用語がわからないという回答も1割を占めています。

3. 男女がともに担う自治労運動にむけた課題

 アンケートの結果から、全体として女性差別解消・男女平等を望んでいる中で、女性が運動に参画する際に「条件が整っていない」ということがあげられます。具体的には、家庭や職場での理解と体制が整っていないということです。運動に参加しにくいということは、家庭や職場を離れられないという意識と実際そうであることを明らかにしていますし、例えば年休などの権利も行使しにくいということにもつながります。実際に権利取得の状況は取得率の低下となって現れています。
 会議が多いという意識と、その反面女性の機関会議への参加率の低さの間には、ギャップが存在しています。このことは労働組合を運営する側として配慮すべきことでもあり、現状を打開していくための主体を誰が担っていくかを討論することが必要です。
 先の第145通常国会において、男女共同参画法が成立しました。共同参画に向けては行政が働きかけを強めていますが、政治がこれらの施策を進める際には、例えば労働基準法の改「正」や派遣法の改悪などの雇用形態の変更による労働者への締め付けなども現実に進められているということをとらえながら労働組合として民主的にかつ「安心して働き続けられる」労働環境づくりを基本に全体で討論していくことが求められています。

女性参加推進アンケート集約結果