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                ラオスにおける教育・図書館の現状 
                1. ラオス人民民主共和国(Lao 
                People's Democratic Republic)の基本指標(99) 
                 ○ 面 積:23.68万平方キロメートル(日本の本州の面積程度) 
                 ○ 行 政:16県、1特別市、1特別地域(141郡-10,089村-799,000世帯) 
                 ○ 人 口:総数5,091.1千人(男2,516千人、女2,575千人、人口密度21人/平方キロ) 
                      年齢別 0-4  801.4千人(15.7%)、5-14 1,450.2千人(28.5%) 
                          15-64 2,648.9千人(52.0%)、65以上  190.6千人(  
                3.7%)  
                      首都ヴィエンチャン 583千人 
                 ○ GDP:国民1人当たり98GDP:261$(タイ 1,834$、日本34,302$) 
                      GDP99実質ベース:1,065,817Mi11.kip(成長率7.0%) 
                 ○ 産業構造:(GDP99実質ベース)農林水産業52.2%、製造業22.0%、サービス業25.2%、(農業人ロ85.5%(95、10歳以上)) 
                 ○ 国家財攻:(99-00経済社会計画)経済成長率5% 
                       歳入規模1兆6,800億KIP、歳出規模2兆7,000億KIP 
                 ○ 為替レート:1$=7,850KIP(00.6) 
                2. 教 育 
                
                  
                    
                      | 事       項 | 
                      1985年 | 
                      1990年 | 
                      1995年 | 
                      1999年 | 
                     
                    
                      | 小学校 | 
                      箇所 | 
                      7,470 | 
                      6,316 | 
                      7,591 | 
                      9,204 | 
                     
                    
                      | 先生・千人 | 
                      18.1 | 
                      22.0 | 
                      24.6 | 
                      27.0 | 
                     
                    
                      | 中学校 | 
                      箇所 | 
                      495 | 
                      682 | 
                      705 | 
                      748 | 
                     
                    
                      | 先生・千人 | 
                      4.5 | 
                      7.4 | 
                      7.7 | 
                      7.7 | 
                     
                    
                      | 小中学校 | 
                      生徒・千人 | 
                      564.6 | 
                      662.2 | 
                      842.0 | 
                      1,019.8 | 
                     
                    
                      | 高校 | 
                      箇所 | 
                      68 | 
                      119 | 
                      129 | 
                      178 | 
                     
                    
                      | 生徒・千人 | 
                      20.1 | 
                      33.3 | 
                      44.6 | 
                      62.6 | 
                     
                    
                      | 先生・千人 | 
                      1.4 | 
                      2.6 | 
                      2.8 | 
                      3.3 | 
                     
                    
                      | 大学 | 
                      箇所 | 
                      8 | 
                      3 | 
                      3 | 
                      1 | 
                     
                    
                      | 学生・千人 | 
                      5.2 | 
                      3.4 | 
                      4.3 | 
                      7.4 | 
                     
                   
                 
                 (1) 教育制度は、5(小学校、6歳から)、3(中学校)、3(高校)、4(大学)制で義務教育は5年である。(公的教育費:1996年対GNP比2.5%) 
                 (2) 小学校は、全体の85%の村に建設されているが、5年制の整備された学校は43%にとどまっている。これは旧体制では農村部の多くが6年制のうちの前期3年制の学校が多かったことや資金不足で改善が困難、交通手段等がないために2~3年でやめてしまうなどの事情によるといわれる。(学校施設はスタディツアーで見た限り整っていない。)このような現状から、学校整備に向けた環境づくりが大きな課題となっている。なお、中学校を設置している村は11%である。 
                 (3) 就学率は年々高まっているが、出席率は低く、中退する者が多く小学校を卒業する者は入学時の42%にとどまるという(*95-96)。 
                   なお、識字率(97-98、15歳以上)は男性82%、女性55%で農村部で低い。 
                   *小学校1年入学(100)→小学校修了(42)→中学校進学(38)→中学校修了(20)→高校進学(16)→高校修了(9) 
                 (4) 教員は、各県に均等に配置する方針だが、県内は必ずしもそうなっていない。 
                 (5) 学校等教育にかける時間は、都市部で4時間、地方では2~3時間程度である。 
                 (6) 教科書はほとんどの村で使用されているが、地方によっては困難なところもある。 
                3. 図書館 
                 (1) 図書館の現状は下記のようになっている(学校図書室も含めた数値とみられる)。 
                
                  
                  
                    
                      | 事       項 | 
                      1985年 | 
                      1990年 | 
                      1995年 | 
                      1999年 | 
                     
                    
                      | 図書館 | 
                      箇   所 | 
                      24 | 
                      70 | 
                      76 | 
                      107 | 
                     
                    
                      | 冊数・千冊 | 
                      47 | 
                      257 | 
                      54 | 
                      273 | 
                     
                    
                      | 巡回文庫 | 
                      箇   所 | 
                        | 
                      300 | 
                      1,897 | 
                      3,933 | 
                     
                   
                  
                 
                 (2) 学校図書館はもちろんのこと、公共図書館整備の遅れは著しい。また、図書数の絶対的不足に見舞われている。 
                 (3) 巡回文庫は図書館の不足を補う役割を果たしており回数は多いが主として首都付近の巡回となっている。 
                 (4) これらの現状は予算不足、出版事情が良くないなどの要因によっていると思われる。自治労名古屋と立川市職労が国立図書館に送った移動図書館車は大いに活用されているが、ラオス全土でのハード、ソフト両面に渡る図書館整備が課題となっている。 
                 (5) 国立図書館が行っている移動図書館サービス(94年7月に開始) 
                  ○ 99年末までに20ヵ所で行ってきた。(現在5ヵ所で実施中) 
                  ○ 20ヵ所の実績:利用者61,731人、貸出サービス9,860人、登録会員1,851人 
                  ○ 99年の実績:利用者19,176人、貸出サービス2,198人、登録会員 514人 
                  *移動図書館車・名古屋号の書籍数881冊(ラオス語339冊、タイ図書238冊、日本図書250冊、英語図書54冊) 
                   なお、国立図書館は、蔵書数300,000冊、職員46人、予算13.6万ドルで運営されているが、ラオスの図書館ネットワークの中心としての役割を担っていくには多くの課題が横たわっているようだ。 
                 (6) そのため、ラオス政府は、まず、全小学校に「図書箱」を配付するという「読書推進運動」に力を入れるとして5ヵ年計画(1996~2000年度)で実施することとしてきた。計画の進捗率は経済的危機等の影響もあって高まらず(現在5,300校に配置)、さらに計画期間を3ヵ年延長して取り組むとしている。 
                  (この資料は、スタディツアー調査、ラオス政府統計、SVA、JETRO、OVTAなどの資料により作成)  |