生ごみ等のリサイクルの取り組み

京都府本部/久御山町職員組合

 

1. はじめに


 近年地球温暖化、フロンによるオゾン層の破壊など地球規模の環境問題が深刻なものとなっています。今日の私たちの生活は、大量生産、大量消費、大量廃棄に依存したライフスタイルになっています。
 社会経済活動の定着は廃棄物の増加等による、みじかな環境問題をまき起こし、今までごみはごみとして焼却、埋め立て処分されてきたものが、ダイオキシン等を発生させ生命の存続を脅かすような存在になっています。又、最終処分場が逼迫、更に新しい最終処分場を確保することが困難な状況でもあります。
 ごみをごみとして処分するまえに、循環型廃棄物処理への転換が必要となっています。資源ごみのリサイクルを進める中で、生ごみの処理の改善と、ごみ資源の活用を図ることをめざし、生ごみをコンポスト化(堆肥)し自然にもどしていくため処理機を町内の、小学校・保育所・地域福祉センタ-等に設置することにより、ごみの減量化、再資源化、教育的効果も期待、合わせて住民啓発の推進を図って行くことを目的として、取り組みを進めてきました。その経過等を報告します。

2. 経過

 97年(平成9年)4月に容器包装リサイクル法が施行され、2年が経過しました。
 久御山町では、リサイクル法の施行91年10月(平成3年)と廃棄物処理法の改正92年7月(平成4年)に伴い、ごみの分別収集が実施され資源化が進められてきました。
 しかし、生ごみについては、コンポストの容器を、学校等に配置して減量に努めましたが、場所の問題や衛生的な問題もあって効果を上げる迄には至りませんでした。
 容リ法が施行された97年度に、生ごみ処理の改善と、ごみ資源の有効活用の試みが再スタ-トされることになりました。
 町長をはじめ幹部職員や私たち組合員も先進的自治体の視察を行うなかで、環境に悪影響を与えない処理方法を推進していく方針で取り組みが進められました。
 まず、町内三小学校・三保育所の給食現場で排出される残飯や調理くずの量を2週間計量を続けて排出量を予測しました。計量については、水分を含んだ湿重量で行いました。結果は、表のとおりです。

生 ご み 排 出 量(日量)

1997年7月

施 設 名 リットル Kg 施 設 名 リットル Kg
御 牧 小 学 校  20  10 御 牧 保 育 所  15  7
佐 山 小 学 校  30  15 佐 山 保 育 所  15  7
東 角 小 学 校  80  40 宮ノ後保育所  20  10
合  計 130  65 合  計  50  24

 学校給食の食べ残しは、その日の献立や天候、授業の内容で大きく変わります。児童の苦手な魚を使った献立、切り干し大根の煮付け等の献立は残飯が多く、カレーライスや麺類等は殆ど残飯がありません。それに、梅雨時期の蒸し暑い日、運動会の練習が授業中行われる時は食べ残しが増えます。又、使う食材によっても調理くずの量が変わってきます。生ごみ調査は梅雨時期に実施したもので、残飯の量が多い時期でした。
 この調査を基に、給食現場から排出される生ごみの量を予測し処理機の種類選定等の参考にしました。

施設1ヵ月の減量数

施設名 リットル Kg
小学校
(20日)
2,600 1,300
保育所
(25日)
1,200 600
合 計 3,800 1,900

  小学校の年間給食回数平均185回×65㎏=12,025㎏
  保育所の年間給食回数平均300回×24㎏= 7,200㎏
 三小学校・保育園で、年間約20トンの生ごみが減量される計算になりました。

3. 機種選定と設置

 生ごみ処理機は、製造している企業が100社以上あり、バイオ式・消滅式・乾燥式等処理方法もいろいろ有りますが、循環型廃棄物処理への転換を図っていくには機種も限定されます。又、処理物の安全性や作業上安全で使いやすい機種に限定されます。生ごみの量を実測し最大量を把握し、標準処理能力を基準にして、一日当たりの投入量が若干バラツイても支障が無く、学校給食現場では三期休業(夏休み等)についても対応出来る機種など、選定条件がいろいろありました。
 ① 生ごみの処理方法(バイオ式)
 ② 臭いについて(腐敗臭等低減はどうか)
 ③ 処理物の安全性と後利用(堆肥として活用可能)
 ④ 作業上の安全対策(利便性・安全性)
 ⑤ 設置場所(外形・寸法)
 上記に示した内容を基に機種選定や設置場所の決定など、それぞれの現場の職員を中心に検討を行いました。
 98年(平成10年)6月に保育所、地域福祉センタ-に処理機が設置されました。
 小学校は機械自体が大きく、基礎工事、電気工事、屋根の設置等付帯工事があり、夏休みに設置され、9月の給食開始時から稼働しています。

生ごみ処理機の設置状況

設置施設名 設 置 日 機 種 名 処理能力 kg/日
御 牧 小 学 校
佐 山 小 学 校
 H10.8
 H10.8
㈱ 日 立 製 作 所
GMR-20CB-3
16 
東 角 小 学 校  H10.8 ㈱ 日 立 製 作 所
GMR - 50C - 3
40 
御 牧 保 育 所
佐 山 保 育 所
宮ノ後保育所
福祉センター
 H10.6.18
 H10.6.18
 H10.6.18
 H10.6.22
 ㈱ モリタエコノス
BT5E
5

4. 有効利用と住民啓発

 給食から排出された処理物(コンポスト)は、学校、保育所、役場など公共施設の花壇や、学校菜園の堆肥として活用しています。
 佐山小学校では、農業体験学校の学校菜園で土壌づくりに活用し、ジャガイモ、玉ネギを収穫、家庭に持ち帰り野菜の味覚をたしかめた。(地方紙記事)
 東角小学校でも、低学年(1~3年生)が、学習科目でサツマ芋やトウモロコシの栽培をしている学級農園で肥料として活用しています。
 住民啓発には、環境保全課職員が各給食現場から、コンポストを回収し500g程度をビニ-ル袋に入れ「この堆肥は、久御山町立保育所・小学校で給食から出された生ごみを資源化したものです。」「これは、すべて堆肥です。堆肥と土(1対3)の割合で混ぜて花を育ててください。」裏面には、肥料の作り方を詳しくかいてあるシオリを同封して、ごみの減量化啓発用に住民に配付している。又、ふるさとフェアなどの町のイベントにも花の種を添えて啓発運動に取り組んでいます。

5. 最後に

 この事業に取り組むにあたっては、町長・職員が一体になって、地球規模で環境が破壊されている現状を考えて、小さなことからコツコツと積み上げていく大切さを理解し取り組んできました。総事業費や維持費・経費等多額の費用がかかるのは勿論です。
 久御山町では、家庭生ごみ自家処理容器等設置費補助金交付の制度があり、これを利用して多くの家庭で設置して頂きたいと思っています。