市民と医療・保健・福祉従事者の連携を求めて
― 「医療と保健と福祉の市民ネットワーク東海(MHW東海)」の取り組み ―

愛知県本部


1. MHW東海の取り組み

 「介護の社会化を進める1万人市民委員会愛知支部と強く連携し、介護保険を市民の手でつくり上げよう。」を合い言葉に、1998年1月に愛知県内の医療・保健・福祉関係者、自治労、福祉NPO、生協関係者等が、「医療と保健と福祉の市民ネットワーク東海(MHW東海)」を立ち上げ、約100名の団体・個人の会員が参加し、自治労愛知県本部も副代表として参加しています。
 MHW東海は、学習・研究活動、広報活動、調査・政策提言活動を活動の柱とし、具体的には以下の活動を行ってきました。

(1) 学習・研究活動
 ① 1998年3月29日 学習会「介護保険と共生の街づくり」(名古屋市教育館 森・高浜市長、人にやさしいまちづくりネットワーク代表が講演。60名参加)
 ② 5月24日 シンポジウム「公的介護保険とケアの質の保障」(中小企業センター、パネラーは池田省三さん、大熊由紀子さん、五島正規さんら、500名参加)
 ③ 6月20日 学習会「介護保険のもとヘルパー・社協はどう頑張るのか」(名古屋市民会館、講師 須加美明さん、120名参加、自治労愛知県本部と共催)
 ④ 7月17日~18日 国際シンポジウム「英国から学ぶ福祉社会とNPO」(愛知県国際会議場、実行委員会に参加、250名参加)
 ⑤ 10月29日 「まちづくり交流フォーラム研究集会'98」(名古屋市公会堂、実行委員会参加、「人にやさしい街づくり」分科会担当、400名参加)
 ⑥ 12月20日 学習会「なごやの介護保険の進捗状況」(ボランティアセンター、運営委員会として名古屋市の介護保険担当者に質問状を出し、説明を求め。25名参加)
 ⑦ 1999年3月28日 年次総会・介護保険カウントダウンシンポジウム(愛知健康の森 主な市町村担当者が報告、森・高浜市長、コラムニスト・ジョン・ギャスライトさんが講演、120名参加)
 ⑧ 6月6日・20日 介護支援専門員試験セミナー(名古屋観光会館、102名参加、自治労愛知県本部と共催)
 ⑨ 10月24日 シンポジウム「NPO・市民事業がつくる21世紀の福祉社会」(愛知県産業貿易会館、厚生省、愛知県の担当者、NPO・市民事業代表が報告、200名参加、NPO連絡会と共催)
 ⑩ 12月26日 学習会「市民がつくる総合介護条例」(女性会館、講師堀越栄子さん、70名参加、自治労愛知県本部、市民自治あいち21と共催)
 ⑪ 2000年5月26日~28日 名古屋国際福祉展示会「ウェルフェア2000」において福祉NPOの活動紹介と介護保険相談等を実施。
 ⑫ 7月2日 学習会「介護保険が始まって」(名古屋市総合福祉会館、大谷強さん、70名参加)

(2) 広報活動
 ① 機関紙「地域共生情報」を隔月発行し、介護保険の情報や、市民イベント情報等、広く市民運動へも開放した紙面づくりを進め、会員だけでなく、保育や障害者、街づくり関係者等との情報交換にも努めています。
 ② 必要に応じ緊急ニュースレターを発行。

(3) 調査活動
 ① 1999年8月 愛知県内88自治体・1広域連合・3一部事務組合に「介護保険準備・自治体アンケート調査」を実施。68自治体・一部事務組合から回答が寄せられました。
   内容について、10月24日シンポジウムで発表、マスコミにも公表。
 ② 1999年9月 愛知県内の「住民互助タイプ福祉団体」87団体に介護保険に対するイメージと関わり方に関するアンケート調査を実施。39団体から回答が寄せられました。
   内容について、10月24日シンポジウムで発表、マスコミにも公表。

(4) 政策提言活動
 ① 各シンポジウム・学習会には必ず自治体行政担当者に周知し、シンポジウムにはパネラー等として参加してもらっています。
 ② 1999年11月9日 政府の介護保険制度見直し案に反対する緊急アピールを発表し、政党(共産党除く)愛知県組織に申し入れを行いました。

2. ネットワークの拡大・発展をめざして

 介護保険制度実施に向けた愛知県下でのMHW東海の取り組みは、行政、マスコミを巻き込み、大きな役割を果たしてきたことは言うまでもありません。また、多くの市民との連帯も生まれた。特に、自治労の情報力と組織力は、MHW東海を底から支え、福祉NPOを始めとした様々な団体、市民と、友好的な関係を築くことができ、今後の介護ネットワークの拡りが期待できる状況が生まれつつあります。
 こうした中、4月に介護保険がスタートし、MHW東海の会則では、「介護保険が施行された時点で、活動の見直しを行う」ことになっていたため、運営委員会においてこれまでの運動の成果を基礎に、今後は介護保険のみならず、医療・保健・福祉・街づくり全般についても課題としていけるネットワークづくりをめざして検討を積み重ね、本年7月2日に開催された年次総会で活動の継続発展の確認と、それに伴う会則の改正を行い、また、これに先立って開催された1万人委員会愛知支部総会での、「この際会を解散しMHW東海に一本化する」旨の総会決議も含め、新たな「医療・保健・福祉ネットワーク活動」の推進をめざすこととなりました。
 今後は年内にNPO法人格取得をめざし、介護保険関連の独自事業展開、NPO連絡センターや、ハートフルセンター(《財》愛知県労働者福祉基金協会《連合愛知、労金、労済、住宅生協などが支援》)の行う介護保険事業と、連携を取りながら活動を展開していく方針です。
 しかし、これまでMHW東海に結集していた幾つかの団体・個人が、介護保険事業に忙殺され、活動に参加できない、介護保険制度創設にむけ努力してきたが、いざ、始まると、問題だらけで、これまで何をしてきたのか分からなくなった、と活動に距離をおいてしまったりの残念な傾向も見られます。
 情報の提供、学習討論の場の保障、中央と自治体段階での取り組み等、市民と行政の接着剤としての自治労の役割が、ますます重要となってきています。