生活ネットワーク型農業のすすめ

鹿児島県本部/鹿児島県地方自治研究所農業問題プロジェクトチーム・高山町職員組合

 

1. はじめに

(1) 高山町との出会い ― 『生活ネットワーク農業』との接点
 鹿児島県地方自治研究所が「鹿児島の農業の活路をどう切り拓くか」というテーマを掲げ、研究プロジェクトをスタートさせてから早何年が経過したろうか、そんな思いが脳裏を過ぎる。
 その間、メンバーも入れ替わったという事情もあろうが、一定の研究成果の報告がなされていないのは、これまでの研究費の無駄遣いと避難されても仕方あるまい。
 ただ幸いにも、プロジェクトメンバーの中に鹿児島県高山町職の二人の仲間が含まれていたことから、生産農家の事例調査・分析を同町で行っており、その結果、研究プロジェクト自体は存続する格好になっていたのである。
 プロジェクト活動の一環として、テーマごとに研究会等を開催する中で、今後の鹿児島農業の針路を展望してみるとき、高山町の農業振興の方向とが、重なって見えてくるのである。つまり、鹿児島県はこれまで「食の創造拠点かごしま」という構想の下、「モノ」を中心とした生産振興や地域活性化策をすすめてきている。もちろん他の地域も例外ではあるまいが。しかし今後は、「モノ」づくりを核とした地域農業振興策よりも、むしろ「ヒト」やそのネットワークを中心とした地域振興策がタイムリーという視座でとらえた場合、メンバーが描く高山町の農業振興の方向とが、ダブって映ってくるのである。
 そこで、高山町をターゲットに、その農業振興と農村活性化策を「生活ネットワーク型農業」と題して論じる中から、同町振興の課題と方向性を探るものとする。

(2) 高山町の概要
 
高山町は鹿児島県大隅半島の中央東南部に位置し、東北の一部は志布志湾に面し、東南に浦与志岳を主峰とする国見山系をはさんで、内之浦町、西部は吾平町と鹿屋市に接し、北部は高隈山系より発している肝属川を境に東串良町、串良町と接している。
 地形はほぼ一辺の長さが20kmの三角形をなしており、その総面積は12,875haで、そのうち農業振興地域は6,485.4haとなっている。
 気候は平均気温17.5℃、年間降雨量2,789mmと、比較的温暖で高温多湿な条件下にある。
 総人口は15,248人(平成5年推定、以下「同」)でうち農家人口は6,400人、総世帯数は5,976戸、うち農家戸数2,102戸という構成となっている。
 また産業別生産額は、推定で総生産額296億8千万円、うち第1次産業が92億円となっている。
 農業生産額(平成10年度推定)は、耕種部門が24億2千7百万で、品目別では上位から早期水稲9億4千7百万円、甘藷3億4千7百万円、きゅうり2億4千3百万円、ハウスみかん1億8千9百万円、葉たばこが1億6千7百万円などとなっている。また畜産部門は、豚31億2千6百万円、肉用牛18億9千万、乳用牛3千百万円となっている。総額では、76億1千7百万円と推定される。
 以上が、高山町の概要である。ここで本来ならば、高山町において実施した農家の実態調査について報告すべきであるが、これについては「高山町における農家実態調査 ― その中間的整理」(「自治研かごしま」1992年12月)を参照されたい。
 次の項では、その農家の実態調査で明らかになった高山町農業の特徴について、その概要について明らかにするものである。

2. 生活ネットワーク型農業の構築に向けて

(1) 高山町農業の特徴
 担い手を中心とした農業生産や農業経営の実態調査、統計分析等の結果で明らかになった点で、特記すべきものは次のとおりである。
 1つめは、高山町自体は水田を中心とした純農村地帯であり、農業を基幹とする産業構造になっている点である。農村には確実に高齢化が進行しており、さらに地域によっては担い手構造に格差が生じており、一部に生産力の脆弱化が極端な例も見受けられる。
 2つめには、地域農業の将来に悲観的な農業者が依然として潜在してはいるものの、地域内の農村リーダーや農業後継者たちは、むしろ町や地元優先の論理で行動し、さらに世相やニーズなど農業とは異質情報にも敏感な生産活動を展開していることである。
 3つめは、さらにそれらを後押しする格好で、JAや農業生産者組織、自治体関係者が施策的にバックアップする構図となっている点である。しかし、そうした支援はそれぞれバラバラに行われており、三者の結びつきは、むしろ希薄と指摘せざるを得ない。
 4つめには、町全体の農業生産状況は、地域によってかなり異なっており、さらに昔から伝統的に作付・栽培されている品目は、水稲と葉たばこ、温州みかん以外には見当らないことである。言わば特化(特産)品目が見当らないという現実がある。確かに、水田転作など政策的に誘導した形で、集団的に同一作物を栽培したこともあっても、そうして導入した作物でも、その結果が芳しくなければ、2~3年で直ちに撤退するという経営理念が、農家の間に根づいている。
 5つめは、農家行動の特徴である。地元で生産された農畜産物は、地元で消費しようという機運が、農家の中に存在している点である。地元で収穫された農産物を学校給食へ供給するシステムと、その生産資材に対する町の助成措置は、そうした農家の意志の反映でもある。JAの共販率の低迷はその証しと言える。
 確かにこうした考え方は、中央市場との信用取引を前提とする大消費地をターゲットとした販売体制には馴染まないものの、地元での個別取引や産直、学校給食への供給など地場を意識した販売戦略が描かれている。生産のみらず、販売戦略や食農教育までも念頭に置く担い手たる経営者が多いのは、その所以である。

(2) 構想の前提となる農業を取り巻く諸情勢
 新たな農業戦略を構築する上で、その前提となる農業を取り巻く諸情勢についても、分析を試みた。
 第1点は、農業の国際化である。最近では、世界の動きが農業生産現場に直結すると言われるとおり、農業は既にグローバル化している。原料、製品といった形状、生産、販売、流通、消費といったプロセスなど、国際的視野に立った極め細かな農業観測が、経営戦略に求められている。
 第2点は、農業生産の担い手構造である。農村の高齢化や混住化、担い手不足といった構図は、全国ほとんどの“農業自治体”で見受けられる。当然、前提として位置付けなければならない。
 第3点は、農産物の安全性の追及である。減農薬や減化学肥料といった安全な農産物に対する需要は、益々高まりつつある。さらに、政策的にもJAS法の改正など、それらに呼応する体制が、制度的にも整ってきている。
 それと相俟って、都市生活者の健康・自然志向が、第4点として挙げられる。健康保持のため、食品としての安全な農産物への追及のみならず、心の健康のための自然志向や自然への回帰といった動きが、市民レベルで顕著になっており、その手段として農業体験留学や観光農園の利用など、農業を媒体とした形でも追及されてきている。
 第5点は、「食料・農業・農村基本法」の制定である。農業政策の枠組みが大きく転換しつつある。旧法を基調とする農業生産一本立ての政策が、食料の安定供給、農村の活性化までを含めて法的に整備されており、当然その理念を実現するための手法も変わるのも当然である。特に自治体に策定を義務づけたマスタープランは、理念実現に向けた計画性と成果のチェックを要求している。
 第6点は、中山間地域直接支払制度の開始である。食料・農業・農村法に基づく一つの目玉の施策であり、従来の補助事業とは、その考え方が異なる。これまでの補助制度との整合性と自治体の主導権の確保、対象地域へのコンセンサスづくりが課題となる。

(3) 課題解決へ向けたコンセプト
 以上のような地域事情や情勢分析に鑑み、課題解決へ向けた概念を考察してみると ― 。
 まずは今後の農業や農村の方向を世界的視野でとらえることである。それを踏まえ、農業振興や農村活性化のための手法として、やはり国や県の施策は基本的に受け入れるスタンスがほしい。
 さらに2つめは、地域の農業事情を的確に分析することである。そのためには、入念な計数分析や「地域」の意向把握のみならず、分析能力も併せて要求される。当然“農政のプロパー”の養成が必要であろう。併せて農業観測や「地域」分析を踏まえたうえで、地域に最も適した営農システムの導入を実現することである。
 3つめは、従来からの「生産」を基軸とした農業施策立案に加え、「生活」の視点からの農業農村施策を再構築することである。
 4つめは、農村内外や異業種間の人的・物的交流ネットワーク化をすすめることである。いまや情報入手方法は、都会と農村とでは、その格差はほとんど解消されている。さらに都会には、地元からの出身者やその子孫が多く滞在している。こうした利便性や機動性、人的つながりを当然活用すべきである。
 5つめは、地域一体型の農業振興や農村の活性化を図ることである。つまり農業を基盤とした新たな産業コンプレックスの創出である。
 6つめは、持続的農業という生産政策、地域農業の振興、農村の活性化という経済政策に、食生活の改善・食文化の創造という地域政策を新たに加えた枠組みも意識すべきであろう。すなわち地域資源のリサイクル、農業の持続性、地域食材や伝統食文化の伝承など、トータルな食生活システムの構築が求められている。

3. 生活ネットワーク型農業構想の内容

(1) 基本理念とスローガン
 高山町はみどり豊かな自然の中にあって、あたたかい人情と歴史的文化のただよう農業のまちである。この豊かな自然の恵みと豊かな人間性を大いに生かし、これまで培ってきた農業や文化・観光交流といった人的ネットワークをフルに活用し、誰もが一度は行ってみたくなり、さらには住んでみたくなるような、「農業・食文化のまち」づくりをめざすものとする。
 そこには、理想とする農業・農村像(ユートピア)を出現する構図となる。

 新しい農業が、豊かな自然とあたたかい人間社会、正しい食文化の中で営まれ、誰もが一度は住んでみたくなるような『生活うるおい農業のまち・高山』

 さらに、目標とするユートピアを実現するためのスローガンとして、『生活ネットワーク型農業』推進を掲げる。

(2) 構想実現のための手法
 ① 効率追及からの開放
 これまでやられてきた効率追及型の農業政策は、様々な弊害をもたらしてきた。
 農業経営者が利便性の良い「優良農地」のみを物色した結果、荒廃した「劣等農地」が出現し、農薬や化学肥料を多投した結果、持続的な農業生産が限界にきたという反省もある。農業生産の持続性を念頭に、農用地の利活用プランの再構築を検討する。
 併せて、農業は多面的機能を発揮しつつ、一方で環境破壊につながっているという面も指摘されてきた。今後は地球環境にやさしい農業の実現を模索することとする。
 さらに、国民的ニーズや消費動向を踏まえ、安全なものづくりが既に始まっている。その構図に沿った農業技術の確立をめざす。
 ② 「ハード」優先から「ソフト」尊重へ
 農業政策には理念がないと言われることが多々ある。従来のように、農政の手法はメンテナンス的なもので果たしてよいのだろうか。ハード整備のためにソフトを構築するのではなく、きちっとした農業線形計画に沿ったソフト構築であり、ハード整備をすすめるものである。
 ③ 生産助長型から生活重視型へ
 農村は農業生産の場であると同時に、生活の場であるという現実がある。最近では、そうした認識が希薄になってきている。さらに農村に居住する住民の半数以上は、女性や高齢者である。これらは農村の大切な担い手であり、農業経営の担い手である。
 一方、農村には混住化がますます進み、Uターン者が現れ、若者も徐々に残りつつある。農村の居住者が快適な生活環境を確保し、様々な年齢階層や職業の生活者が、農業者と一体となって地域農業の継承や農村振興を図っていける生活重視型農業の実現をめざす。
 ④ 地元産食材による伝統食文化の創造
 
いまや日本の食糧の自給率は40%を僅かに上回る程度に落ち込んでいる。飽食の時代と引き替えに、農村ですら輸入農畜産物であるという意識すら希薄になり、簡単に「代替品」を口にするようになっている。
 地元で作ったものは、地元で価格を決め、地元でできる限り販売する態勢を農家自らが整える必要もあろう。
 農村には地元食材を題材とした伝統的食文化が随分存在するし、それ以外にも、地元で取れながら無意識のうちに輸入品に手を出している事例も多々ある。地元産の確実性を強調しつつ、水田転作による穀物類や自給飼料の確保、学校給食への地元農畜産物の提供等を通じて、地元農畜産物の自給率の向上と循環化を図ることが、食農教育や食文化の正しい伝承につなげるものとする。
 ⑤ 門戸開放と「市民的担い手」の育成
 農業の後継者不足を農家出身者に求めるだけで、問題が解決するものでもあるまい。もちろん、農業の「良さ」や「大切さ」を強調しながら、食農教育をすすめることも忘れてはならない。それでも、今後の農業は農家出身者だけではやっていけるのだろうか。またやっていっていいものだろうか。農業を正しく理解しながら、地域農業を守っていくとき、農村以外の居住者の理解も必要ではあるまいか。都会には農業をやりたいという潜在的農業の担い手が、相当数存在するという。こうした市民的担い手に門戸を開放してもいいのではなかろうか。
 一方、農業経営者(専業)のみの育成だけでも、地域農業の継承が果たして可能かどうか。多様な担い手の出現こそ、地域の社会慣行や資源管理と相俟って、農業の継承につながると確信し、その育成に努める。
 ⑥ 自然教育とリンクそして農業を守ることが環境を守る
 言うまでもなく、農業は自然と切り離しては考えられない社会的な行為である。さらに人を育てることが農業を育てるとよく言われてきた。まさに、農村にはさまざまな伝統文化や地域資源が存在し、それらを「イエ」と「ムラ」が守ってきた。その農村こそは、地域「協同」の場である。
 施策立案の段階で、こうした理念をあらゆる施策の中に盛り込みながら、農業施策の推進を図るものである。
 ⑦ 地域農業の継承・創造のための「環境」づくり
 まずは、農村が「協同」の場であることを、地域に根づかせるための意思表示と、意識変革のためのコンセンサスづくりをすすめるものである。地域農業の継承、さらには新しい農業の創出のためには、そうした環境づくりがどうしても必要である。
 さらにその根底には、それを担う新しい農村リーダーの台頭が待望視されている。自治体や集落、農業団体、生産者が一体化した形で、その「環境」づくりと「基盤」づくりをすすめるものである。

4. 具体的な施策展開

(1) 人的ネットワークによるブランドづくり
                           ┌─有機的農業による  高い安全
   新ブランド「高い安心・高山の農産物」─┼─契約的販売による  高い安定
                           └─中間経費を抑えた  高い収益
 従来の「モノ」を中心とした産地育成のみならず、人的ネットワークを活用した「ヒト」主体のブランド確立を図る。すなわち、「少品目大量販売」から「多品目少量取引」をも考慮に入れた販売スタイルを新たに確立する。
 具体的には、直販者会の組織化やシンボルゾーンの設定、都市圏の町出身者会の組織化をすすめながら、それらを活用した人的ネットワークによる農畜産物(商品)取引、ブランドづくりをすすめる。

(2) 地域事情にマッチした組織づくり
                       ┌─いろんな人    女性・高齢者・「集落制」農業
   『高山ならでは』の農業推進─┼─いろんなタイプ  加工・契約取引・産直
                        └─いろんな農業   無農薬・特別栽培
 『農業はひとりではできないものである。自然があって、地域が在って、そこに仲間がいるからこそ可能である』
 そのため、それぞれの地域に見合った組織づくりをすすめ、それらを母体とした農業振興や新しい産業の創出に努める。
 「集落制」農業や農業生産組織の法人化をはじめ、女性起業グループの育成、高齢者グループによる「ふれあい農園」の設置・運営、農産加工グループの育成と、その拠点センターの整備、それらを基盤とした宅配等のニューアグリビジネス等を育成する。
 さらに、無農薬・無化学肥料栽培など、消費者ニーズを意識した農業生産グループの育成をめざす。

(3) 「こうやま農村文化公園」の建設
   「こうやま農村文化公園」 ― オープンリゾートのまち・高山
 地域資源をフル活用し、自然教育や農業教育の場として、農村と都市との交流のまちとして、新しい『農村文化むら』構想としての、「こうやま農村文化公園」を建設する。
 具体的には、オーナー制観光農園等による、「育てて・収穫する」という農業体験ゾーンの設定、農村留学制度の創設による農村生活の体験や自然とのふれあいの場の設定、都市と農村との定期交流会の開催、農業サイクリングマップの作成など農村体験イベント等の企画、サマー・ショートステイなどの夏季民宿の設置への支援などを通じて、町全体を網羅しつつ、年間を通じて利用できる農村文化公園を建設する。

(4) 農業・農村情報の発信基地づくり
   全国に発信!高山の農畜物・特産品
     ― 人が居て、郷土出身者が暮らす都会/農村との情報通信の隔離感は今はない/「こだわりの情報」発信基地・こうやま
 インターネットのホームページの活用や情報テナントの設置など、あらゆる情報通信手段を駆使したり、郷土出身者会の設立とそのネットワーク化、共通モチーフを意識した姉妹タウンの締結と諸行事の共同開催など、情報通信網をフル活用して、高山の農畜産物や特産品の販売・促進を図ることとする。

(5) 生活を核にした「協同」による農業の担い手づくり
   農村のみんなが農業の担い手 ― 生涯教育に組みこまれた食・農業教育
 「いま」の担い手確保はもちろん、「これから」の担い手確保をも併せて、長期的視野にたった担い手対策を講じるものである。
 たとえば、小中学校を中心に運営されている学習農園を地域運営型へ再編・拡充したり、Iターン者の農業インターン制度の創設と初期生活支援の実施、他国や他市町の学童との農業体験交流などを通して、地元定住を意識した施策づくりをすすめる。

(6) 資源循環・持続的農業推進のための基盤づくり
   地球環境にやさしい農業への移行
 資源循環・持続的農業の推進にあたっては、「できる人から ― できるものを ― できるところで ― できるだけ」を合言葉に実施することとし、自治体が先導的役割を担うものとする。
 具体策として、モデル展示の設置、町独自の認証制度と価格保証制度の創設、輪作体系や地域堆肥マップの作成など、持続的農業推進のための施策を展開する。さらに導入に関わる補助事業については、予算の傾斜配分の措置を講じる。

(7) 自然条件に克つ防災営農・組織づくり
   防災営農・組織づくり
 鹿児島県における農業振興を図る上で、自然条件に克つ防災営農対策が大前提であることは言うまでもない。
 様々な自然災害を克服するために、町技連会など関係機関一体となって事前対策を講じる。さらに事後処理のため、自主防災組織の設立や共同防除組織の機能の拡充など、協同の力で防災営農を推進する。

(8) 地域農業の継承・創造のための「協同意識」づくり
   「産」「消」協同による地域農業継承のための意識づくり
 農村女性の感性と行動力を最大限に活用し、生産地と消費地が直結した女性型アグリビジネスの創出や、農村の伝統食材や食文化の継承など、地域の農業や文化の継承・創造を図ることとし、そのための農村女性を中心とした農ネットワーク化をすすめる。
 具体的には、農村女性を中心とした農業振興や文化継承のための自主的な組織づくりや「生」と「消」とによる「農」のための学習会の定期開催を推進する。

(9) 農地保全基金の創設と「耕境」の保持
   地域農業の継承のための農地資源の確保
 食料・農業・農村基本法に基づく諸制度の円滑な運用を行うものとする。特に食料の安定供給と農業の持つ多面的機能を確保するため、優良農地の確保保全に努める。
 そのため、地域ごとに農地保全基金を創設し、地域住民の出資と補助金等を原資にあて、その有効運用を図りながら、ゾーニング等により有効農地量を確保するものとする。そのほか、水田農業施策に対応できる組織づくりや中山間地域直接支払制度の導入への対応、アグリミニマムの設定によって、「耕境」の保持を図る。