【自主レポート】

地域と連帯する学校給食

沖縄県本部/北中城村立学校給食共同調理場・調理員 楚南 兼二

1. はじめに

 北中城村は、沖縄本島の中部地域にあって、那覇市の北東、約16kmの地点にあり、東は中城湾に面し、南は中城村と宜野湾市、北は沖縄市、西は北谷町に隣接し、人口約16,000人の村です。
 緑豊かな景観に優れた北中城村は、村の将来像とする「平和で活力ある田園文化村」を推進するため「全村植物公苑づくり」「いきいき健康村づくり」「平和な村づくり」の三つの重点目標を掲げ村づくりを推進しています。
 さて、飽食の時代と言われて久しいですが、最近の児童生徒の現状は、体位は向上しているものの「生きる力」の基礎ともいえる体力は低下傾向が続いております。適切な運動と十分な休養・睡眠・調和のとれた食事という健康3原則を守り、徹底した生活習慣の改善が必要になってきています。
 望ましい食習慣の形成を促すことが極めて重要であり、食に関する指導を充実させるためにも、学校給食が果たす役割は大きいものであります。
 こうした学校給食の重要性を年頭に、私たち学校給食調理場では、子どもたちに農かな食習慣を身につけ、安全で、美味しく夢のもてる給食づくりに努めています。

2. 北中城村立学校給食調理場の概要

 北中城村の学校給食は、共同調理場方式で、小学校2校、中学校1校の約1,900食で、所長(教育総務課長兼任)、給食係長、栄養土(県費)、調理員11人(正規7人、臨時1人、日々雇用3人)、事務職員(臨時1人)で営んでおります。給食費小学校3,900円、中学校4,500円です。

3. 豊かな学校給食実現のために!

 私たちの学校給食は、地域の特性を生かした、「安全でおいしい学校給食」の提供を目標に、手作りの味を追及し、安全な食品の使用に向け、地域の旬の産物を使用し、子どもたちの生きる力を育てるため、地域・学校と連携して、郷土食、行事食等、献立の多様化給食内容の向上を図っております。

(1) 地産地消の推進
  ① 生産者の顔が見える安全・安心で新鮮な食材を確保する。
  ② 子どもたちに、地元の旬の食材を食べさせることにより、生産者の給食に対する理解を深め、農・水産業の振興を図る。
  ③ 子どもたらに、毎日見ている畑で何ができるか、地元の特産品が何なのか、知ることにより地元への愛着を深めることができる。
  ④ 地場産物の生産者や生産過程を通じて(体験学習等)農家の苦労を伝え、自然の恵み・食べ物への感謝の気持ちを抱かせることができる。
  ⑤ 学校給食を通じて、学校・家庭・地域との連携を深めることができる。

(2) 学校給食への地元産品活用の現状
  ① 水産物(アーサ)

北中城村漁業組合

  ② 野菜類(人参、じゃがいも、大根、サヤインゲン、冬瓜、にがうり、パパイア、へちま、なす、おくら、キャベツ、白菜、ほうれん草、レタス、サニーレタス、ようさい、セロリ、にんにく、ねぎ、にら、トマト、)

親川さん(喜舎場)
(ねぎ、にら、ようさい)
与那覇さん(仲順)
(人参、ネギ、ほうれん草)
与儀さん(大城)
(さやいんげん)

棚原さん(安谷屋)
(キャベツ、白菜、なす)
棚原さん(安谷屋)
(キャヘツ、冬瓜、ねぎ)
武島さん(荻道)
(パパイア)

  ③ 果樹類(パッションフルーツ、シークァーサー、四季柑)

大城さん(熱田)
(パッションフルーツ)
村吉さん(石平)
(シークァーサー)

  ④ 卵 類

比嘉さん(和仁屋)

  ⑤ キノコ類

大城さん(熱田)
えびす茸

  ⑥ みそ類

JA婦人部 みそ

(3) 具体的に見える形での実現として
  ① 地元食材の地域における活用実態の把握
  ② 学校給食・福祉施設・公共団体・あるいは企業の食堂における地元食材の活用促進
  ③ 地元食材の需要と生産計画等の調整
  ④ 地元食材活用促進の普及啓発
  ⑤ 地元食材を供給するシステム確立(流通の確保)および推進

(4) 地場産物調達体制

 

(5) 今後の課題
  ① 規格や生産量の確保(安定供給・農作物の植付け時期の調整や収穫後の保存)
  ② 余剰作物の処理
  ③ 価格の設定
  ④ 納入時の連絡体制(発注数量に応じられない場合の納入調整)
  ⑤ 地元食材の年間生産計画
  ⑥ 生産者への衛星指導
  ⑦ 仲介役(コーディネーター)の配置

(6) 地場産物活用における今後の目標
  ① 第一次産業の活性化
    学校給食費(年間)        80,000,000円
    基本物資(米、パン、牛乳等)   25,000,000円
    野菜類              15,000,000円
    肉類                6,000,000円
    魚類                6,000,000円
    その他(乾物、豆類、調味料等)  28,000,000円
     アーサ、野菜、果樹、卵、えびす茸、手作り味噌等、地場産物活用で10,000,000円目標
  ② 食農・漁教育
    村内の小・中学校で、総合学習、生活科などの授業で農・漁体験実施
  ③ 特産物の開発
  ④ 学校給食における生ゴミ、残滓による堆肥づくり

4. まとめ

 今、自治体を取り巻く環境はかなり厳しい現状が続いています。政府の三位一体改革や行財政改革等、財政難を理由に住民サービスが容赦なく切り捨てられようとしています。何でもかんでも安くあがればいいというものではありません。直営でなければできないサービスもあるのです。民営化・委託したからといって親の負担する給食費は安くなりません。逆に食材料の購入まで委託されたりすると、高くなることも有り得ます。さらに、民間委託が多数をせめるようになった場合、委託料の引き上げ要求に従わざるを得なくなり、結局直営よりも高くつくといった事態も覚悟しなければなりません。
 そのことを、地域住民に理解してもらうことが何よりも重要なことだと考えます。
 自治労運動は地域運動だとよく言われます。職員が創意工夫し、住民サービスをいかに向上させていくかを常に念頭に置き、職場環境を整えていけばおのずと住民に理解してもらえるものと思います。これから押し寄せる合理化の波をはねのけ、地域に根ざした学校給食を目標に、職員一致団結して頑張っていきたいと思います。


資 料

 私達はこんな学校給食をめざします ―豊かな学校給食の実現とこども達の未来へ―
 地産地消(給食センター協力農家)
 2005年度 食材別使用金額
 7月の予定献立表(給食だより)
 新聞記事