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地方労組発

出張労働相談を開催 未組織労働者の厳しい現実を実感

9月15日(土)大村市のプラザ大村において、「労働組合による出張労働相談」を実施した。電話での相談が1件、来場しての相談が2件あった。相談の中から特徴的な相談を紹介する。

労基法違反だらけの職場

相談者は3人の女性で、小さなお子さんを連れて相談に来られた。無認可保育園に勤務する正社員とパートの保育士さん。賃金遅配が慢性化しており、園長に尋ねると、「タイムカードが見当たらなかった」「銀行に行けなかった」など、その場しのぎの言いわけ。残業代も1時間を超えないと付かず、タイムカードも始業時だけ打刻で、退社時は押さないように指導されている。健康診断も自費で受診させられ、雇用保険や社会保険も給与から引かれているものの、加入していなかった期間があったらしい。有給休暇は無いと言われ、休むとペナルティで数千円を引かれるそうだ。

劣悪な園児の保育環境

相談者らが困っているのが、園の運営状況。多くの児童を受け入れているにもかかわらず、保育士の数が不足しており、安全・安心が担保されていない状況にある。通常は2~3名の保育士しかいないにもかかわらず、行政などの監査の時には全員を出勤させ十分な人数に見せかけるという脱法行為を行っている。相談者らも行政の担当者に問題を指摘するらしいが、それほど強い指導はないらしい。今年の夏は全国的に暑い夏だったが、園でも高温になる部屋で保育する日もあり、児童の健康状態も心配との事。残念ながら彼女らの意見に園長は耳を貸そうとしないらしい。相談者らの話によると、児童の受け入れは多く、労働条件は低いのに自転車操業なのは園長の浪費癖だろうと嘆く。

組合結成に向けて仲間に呼びかけを!

相談者に対しては「多くの基準法違反があり、未払い賃金もある。タイムカードの打刻は当てにならないので、スマートフォンで退社時に写真を撮る(最近の携帯は場所も時間も記録される)などの記録をする事。園長らとのやり取りはメモや録音をする事」などを指導。

有給休暇などの法制度を説明し、これまでのように個人で物を言ってもらちが明かないので、組合を作って交渉を申し入れる事が一番であることを説明。彼女らも「未払いのまま辞めていった人もたくさんいる。他の職員もみんな同じ状況なので呼びかけてみる」と、ちょっとヤル気になってきた。また、「話をしたらスッキリした!」「どこに相談してよいかわからなかったので安心した」と、対応した担当者の名刺を握りしめて会場を後にした。

このような劣悪な労働条件で働かせる経営者を絶対に許すわけにはいかない。児童の為になんとか我慢している保育士の気持ちを悪用しているのだ。この「子供たちの為にも!」と立ち上がろうとしている相談者らを全国一般は仲間の力で支えていく。


大村市の公共施設で開催


今回開催した施設は大村市民の交流の場として親子で遊べる遊具スペースやホール、調理室などが併設された総合施設である。コミュニティールームなども色んなワークショップやミーティングなどで借りることができ、空いている部屋はだれでも自由に使用する事が可能なため、学生が自習したりしている。部屋もガラス張りで、開放的な施設である。

長崎地本では、日常的に労働相談は実施しているが、これまでは事務所で電話を待っているだけであり、相談が無い日もある。「未組織の組織化」が課題であり、これまで続けていた労働相談活動の重要性はわかっているが、そもそも労働組合の組織率がこれだけ低いのに、事務所で待っているだけで電話が鳴るはずがないと考えた。まずは労働組合を身近に感じてほしいとの想いからの発想だった。今回の情宣は長崎新聞で1週間の宣伝を行なったが、初回という事で「足を運んでくれる人などいないだろう」と思っていたが、みごとに予想は外れた。方向性は間違っていなかった事を確信。継続する事が重要だ!

 


当日の施設では30名程度高校生が自習や談笑をしていた。隣の部屋からはポスターを見て、アルバイトの話が聞こえてきた。「労働組合」という言葉を初めて目にした高校生も多かったのではないだろうか!