【第27回写真コンクール】受賞者発表!

「第27回写真コンクール」の審査を9月28日、東京・自治労本部で行った。今回のテーマは「笑・スマイル」。今回は77作品の応募があり、計9作品が入賞した。

残念ながら、今回のコンクールで特選は発表されなかった。

 

特選:該当者なし

 

入選:1点

 

「初めての微笑み」原田昌彦さん(山口・岩国市職)

「初めての微笑み」原田昌彦さん(山口・岩国市職)

選評:この世に生を受け、息子さんにとっての初めての微笑みを父親の原田さんが写真に記録しました。本人の生まれた喜びと親にとっての生まれてきてくれた喜びのふたつの喜びがひとつになったような作品です。写真を見ていると大げさかもしれませんが、生物としての人間が本来持っている強い生命力を感じ、そして、なんとも言えない幸福感に満たされます。まさに、一瞬のアルカイックスマイルを撮った秀作です。

 

佳作:3点

 

「いい顔み~つけた!!」室井つな子さん(福島・湯川村職労)

「いい顔み~つけた!!」室井つな子さん(福島・湯川村職労)

選評:満開の桜の下で子供たちが欄干に沿って一列に並んでいる様子を下から見上げるように撮った作品です。構図が無駄なくシンプルなので写真の印象を強くしています。そして、その単純さを補うように、桜の色、子供たちの帽子や洋服の色、欄干の焦げ茶色など様々な色が写真にメリハリつけています。真ん中の一段高い位置にいてこちらを見ている女の子の帽子のつばの赤色と微笑む表情がさらに写真に変化を与え、印象を強くしています。

 

「はじらい」三木様

「家族と一緒に!」三木雅也さん(香川・観音寺市職労)

「家族と一緒に!」三木雅也さん(香川・観音寺市職労)

選評:おそらく、これらの作品は撮影者が額縁を用意して、被写体の人たちに持ってもらい撮影したものでしょう。それぞれの写真にタイトルを付け、単写真として応募されましたが、仕掛けが同じなので、ひとつのシリーズとして捉え、二枚の写真を一組としました。この場合、仕掛けによってより明確になるテーマ性が必要です。写真は視覚的面白さだけでなく内容も重要です。額縁を使うことで何を表現したいのかを考えてみてください。

 

「つかまえた!」島村優さん(福岡・筑後市職労)

「つかまえた!」島村優さん(福岡・筑後市職労)

選評:シロツメ草畑で小さな甥が、シャボン玉を追いかけている様子を撮影した一枚です。エピソード欄に書かれたものによると、シャボン玉を捕らえた瞬間だそうです。逆光ぎみの光が、無数のシャボン玉に反射して、その存在感を増しています。一面のシロツメ草と後景の樹木の緑色が画面全体を落ち着いた雰囲気にし、左上の太陽の光跡が、アクセントになって、写真全体が幻想的な印象になっています。

 

努力賞:3点

 

「鼻笑-hohoemi」野中翔太さん(北海道・深川市職労)

「鼻笑-hohoemi」野中翔太さん(北海道・深川市職労)

選評:凍ってしまった鼻水とそれを見て笑う友人の表情をとらえた作品です。作者は北海道在住で、エピソード欄に、鼻水は拭う間もなく一瞬で凍った、と書かれています。マイナス何度なのか実際の気温はわかりませんが、冬の北海道の寒さを視覚的に理解できるような写真です。手前の凍った鼻水にピント合わせているので難しいと思いますが、欲を言えば、奥の笑っている人物のピントがもっと合っていれば、より強い印象になったでしょう。

 

「一服の安らぎ」渡邉一寿さん(新潟・新潟県職労)

「一服の安らぎ」渡邉一寿さん(新潟・新潟県職労)

選評: 農作業中の休息の様子を撮影した作品です。何の農作業かは分かりませんが、近所の人たちが集まり、お互いに手伝いをするのでしょう。エピソード欄には、一服中には笑顔があふれます、と書かれています。全体を写す意識が強すぎ、それぞれのひとの表情が分かりにくくなっています。この場の雰囲気をさらに良くとらえるために、一部の人の顔が写らなくても、その表情がもっとよく見える位置や距離、露出を捜し当ててください。

 

「ファミリー」宮地敏雄さん(佐賀・佐賀県職連合)

「ファミリー」宮地敏雄さん(佐賀・佐賀県職連合)

選評:コスモス畑の中で子供を抱く母子とそれを撮ろうとしている父親を被写体にした作品です。幼い子供がお母さんの口を押え、それを見ているお父さんは笑いながらシャッターを押しています。ほほえましい瞬間をとらえ、この若い家族の温もりが伝わってくるような作品です。ローアングルから撮影したことによって、手前のコスモスが画面上大きくなり、花々に包まれている感じが強調され、写真全体に暖かさを加えていると思います。

 

 

特別賞:2点

 

「大役を終えて」須田勝彦さん(福島・福島県職連合)

「大役を終えて」須田勝彦さん(福島・福島県職連合)

選評:エピソード欄によると、福島県南会津町の田島の祇園まつりで、花嫁さんたちの記念撮影が終わった直後のホットした表情をとらえた、ということです。記念撮影とは異なり、それぞれの顔の向きがバラバラで面白くまとめられていると思います。また、女性たちの笑顔も印象的です。上段の花嫁さんたちの髪飾りが見えないぐらい(白い角隠しだけにする)の位置で撮れば、さらにそれぞれの表情が強い印象になったでしょう。

 

「食べ過ぎたかな?」植木薫さん(神奈川・自治労横浜)

「食べ過ぎたかな?」植木薫さん(神奈川・自治労横浜)

選評: 成人式の姪御さんを撮影した作品です。エピソード欄によると、彼女は未熟児で生まれ、ご両親は心配して、大きく育てようと苦心していたそうです。姪御さんが、たくましく健康であることを強調しようとしたためか、広角レンズで近づいて上から撮っているので、上半身が大きくなりすぎて誇張しすぎになっています。カメラを真ん中ぐらいにして撮影しても、姪御さんの健康的なたくましさは表現できるのではないでしょうか。

 

講評:テーマの解釈を出発点に

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応募作品を見て感じたことは、赤ちゃんや子供を撮った写真が多数で、面白味に欠ける作品が多かったということです。残念ながら、特選はありませんでした。コンテストの審査で、いつも感じることが、類似の被写体を撮影する人たちがなんと多いことかということです。どのようなコンテストの審査員も、多数の写真を限られた時間の中で見て、良いと思うものを選びます。このような条件で作品を吟味すると、当然、似たような被写体の写真は、比較してより良いものを選びます。そのため、類似の被写体の写真は、どんどん選外になってゆくことになります。つまり、被写体が他の人と異なるだけで、かなり目立つということです。当然、被写体だけで選ぶわけではないので、最終結果はそんなに単純ではありませんが。そして、何を撮影するかを考えることは、テーマを考えることになります。今回のテーマは「笑・スマイル」でしょうと言われそうですが、これは募集をする側が設定した大きな枠組みのようなものです。ここからあなたが考え感じたことを出発点にして、被写体を選び、撮り方を考えてください。このようなプロセスで撮られた写真には、被写体を通して、撮影者が現出してきます。良い写真は、結果論では撮れません。

写真を構成する要素を大別すると、Subject(主題)Composition(構図)Light(光)の三つになります。これら三要素の中に被写体の選択やシャッターチャンスや色の選択などは含まれています。皆さんの写真をこの三点から見直してみてください。自分の写真に足りないものが分かってくるはずです。次回は自分なりにテーマを解釈して、あなたらしさを表現した作品を是非見せてください。