組織的犯罪処罰法改正案の衆議院法務委員会強行採決についての書記長談話

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1. 安倍内閣は5月19日、「組織的犯罪処罰法改正案」、いわゆる「共謀罪」法案について、衆議院法務委員会において強行採決を行った。

 

2. 「組織的犯罪処罰法改正案」については、衆議院の法務委員会等で審議が行われてきたが、金田法務大臣の答弁は不可解な内容に終始し、「組織的犯罪集団」の定義や運用について明確な答弁はついになされなかった。5月11日には、自民・公明・維新の三党が、取り調べの可視化を法案の付則に盛り込むことで法案修正に合意したが、捜査機関による恣意的解釈の余地は残されたままであり、共謀罪が濫用される危険性には変わりはない。このようななかで、政府・与党は30時間という形式的な審議時間の経過を理由として、5月19日に一方的に審議を打ち切り、採決を強行した。懸念に対する答弁が一切ない中で採決を強行したことは、立法府を軽視した暴挙であり、ここに強く抗議する。

 

3. そもそも国会審議で政府がまともな答弁ができない原因は、「組織的犯罪集団」について限定的定義ができないという、本法案の法的不備にある。政府は、処罰の対象を「組織的犯罪集団」とし、一般市民は対象にならないとしているが、処罰の対象となる277の罪が広範囲に及ぶことから、捜査機関の恣意的な運用によって、一般市民が「組織的犯罪集団」の一員となる危険性は残り、その定義は決して限定できない。このため、仮に本法案が成立すれば、市民団体による平和運動や労働組合の運動についても「組織的威力業務妨害罪」に問われ、弾圧される危険性がある。また政府は、テロ対策のために本法案が必要と説明しているが、「国際組織犯罪防止条約」の締結には新たな立法措置の必要はない。テロ対策については、民進党が対案として提案している個別法の改正で十分に対応でき、「共謀罪」が必要との政府の宣伝はまやかしに過ぎない。

 

4. すでに、山城博治沖縄平和運動センター議長の長期にわたる不当な拘留や、2016年参議院議員選挙時の連合大分に対する「大分県警隠しカメラ事件」など、現行法のもとでも、捜査当局の行き過ぎた捜査手法が問題となっている。「組織的犯罪処罰法改正案」が成立すれば、捜査当局に大きなフリーハンドを与えることとなり、現在違法とされている捜査手法が常態化し、結果として、捜査当局による多くの「冤罪」が生み出されかねない。また、通信や会話の傍受が横行し、日本は自由と民主主義が失われた監視社会となるだろう。

 

5.  「共謀罪」法案は、国民の猛反発によって、過去三度にわたって廃案となった経過がある。多くの国民に、今回の法案がテロ対策に必要なものではなく、過去の共謀罪法案と同様に極めて危険なものであることを広げていかねばならない。正当な労働組合の運動や平和を願う市民運動を委縮させ、憲法で保障された内心の自由の侵害につながる「組織的犯罪処罰法改正案」は、断じて成立させてはならない。自治労は、国会における取り組みを強化するとともに、連合、平和フォーラム、「総がかり行動実行委員会」に結集し、中央・地方において「組織的犯罪処罰法改正案」の成立を阻止するために、全力でたたかいぬく。

 

2017年5月19日

全日本自治団体労働組合

書記長 福島 嘉人