組織的犯罪処罰法改正案(共謀罪法案)の参議院強行採決に関する書記長談話

1. 安倍政権は、6月15日、組織的犯罪処罰法改正案、いわゆる「共謀罪」法案について、参議院において採決を強行した。

 

2. 国会審議の焦点であった「組織的犯罪集団」の定義や運用については、参議院法務委員会の質疑においても、ただの一度も明確な答弁がなされることはなかった。それどころか、政府は、参議院法務委員会の審議で、環境保護や人権保護を掲げた団体であっても、それが「隠れ蓑」であれば処罰の対象となる、と答弁し、さらには「組織的犯罪集団」の「周辺者」も処罰の対象となると答弁した。国会審議を通じて、捜査機関の恣意的な運用によっては、一般市民でも「組織的犯罪集団」の一員となり得ることが明らかになったのだ。改正組織的犯罪処罰法が、政府に批判的な労働組合や市民団体を弾圧するための手段となる危険性は、より鮮明となったといえる。

 

3.  しかし政府・与党は、参議院法務委員会での審議を一方的に打ち切って、委員会採決を省略し、本会議で直接採決を行う「中間報告」によって、組織的犯罪処罰法改正案の採決を強行した。本来、法案に関する議論を深めるために、国会の審議があるはずだが、その議論を中断し、数の暴力によって「中間報告」という禁じ手まで使い、強引に法案の成立を図ることは、議会制民主主義の否定であり、決して許されるものではない。このことは、加計学園疑惑で追及を受ける政府・与党が、会期を延長することなく、6月18日の会期末までに、強引に国会を閉会しようと目論んだ結果である。まさに、憲政史上最大の汚点を残すこととなった、今回の強権的かつ横暴な国会運営について、強く抗議する。

 

4. 組織的犯罪処罰法改正案については、国連のプライバシー権に関するジョセフ・ケナタッチ特別報告者も、その書簡のなかで、「『共謀罪』法案は、他の法律と組み合わせて幅広い適用が行われる可能性があり、プライバシーの権利やその他の基本的な国民の自由の行使に深刻な影響を及ぼす」との危惧を指摘している。これに対し、政府・与党は一方的な抗議を行うのみで、論理立てた回答を一切行っていない。このよう安倍政権の独善的な姿勢は、国際社会のなかで平和国家として日本が築いてきた評価を著しく損なうものであり、憂慮すべき重大な事態である。国内だけでなく、国際的にも懸念の声が高まりつつあるなかで、不安や批判の声に一切耳を傾けることなく、一方的に「共謀罪」法案の採決を強行した安倍政権は、まさに民主主義の破壊者であり、即刻退陣すべきである。

 

5. 今後は、改正組織的犯罪処罰法によって新設された「共謀罪」について、その濫用を防いでいくことが急務となる。自治労は、引き続き、国会における取り組みを強化するとともに、連合、平和フォーラム、「総がかり行動実行委員会」に結集し、中央・地方から、我々の民主主義社会を守るため、全力でたたかいぬく。

 

2017年6月15日

全日本自治団体労働組合

書記長 福島 嘉人