LGBT?労働組合に関係のあることなの?

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LGBT?労働組合に関係のあることなの?

2017/06/27

 

自治労も加盟している、国際公務労連加盟組合日本協議会(PSI(Public Services Interna-tional)-JC)の女性委員会・ユースネットワークは2017年度男女平等セミナーを開催した。昨年はPSI(Public Services Interna-tional)関連会議を日本で開催した関係で、2年ぶりの開催となった。今回は初めてLGBT*をメインテーマとして開催、初日の6月23日はLGBT法連合会で事務局代理をつとめる増原ますはら裕子ひろこさんをお招きした。(トップ画像:講演する増原さん)

「佐藤・鈴木・高橋・田中」さんより多いLGBT当事者


増原さんは東京ディズニーリゾートで初の同性結婚式を挙式、渋谷区同性パートナーシップ証明書第一号の取得者でもあるレズビアンの当事者だ。薬指には結婚指輪をはめているが、それをみると大多数の人は男性と結婚していると思うという。増原さんのような一見「普通の人」でも当事者だということを自らの例をもって説明した。そして現在日本の人口の7.6%、13人に一人が当事者であることを紹介。日本の4大苗字とされる「佐藤・鈴木・高橋・田中」さんが合計5%であることから「いままで4大苗字の人に会ったことのない人はいない。LGBTは実は身近な存在」と話した。

 SOGIハラってなんだ


LGBT当事者であることを周囲に公表することを「カミングアウト」というが、実際に職場でカミングアウトする人の割合は全体の4.3%。仮に300人の会社なら約20人がLGBT当事者、カミングアウトしているのは1人という計算になる。多くの人が職場でカミングアウトしないのは、することによって職場にいづらくなることを恐れているからだという。増原さんは、当事者がカミングアウトしやすい雰囲気をつくることでLGBT対策が進むと説明。職場として「アライ(ALLY)」といわれるLGBTの理解者/支援者をつくることが必要、と訴えた。


アライであることを周囲に知らせるためのシール。スマホやPCに貼るといい アライであることを周囲に知らせるールを目立つところに貼るのは有効な取り組みだ


また、LGBTの当事者が苦しんでいるものに「SOGIハラ(ソジハラ)」というものがある。SOGI(ソジ)とは、好きになる人の性別(性的指向=Sexual Orientation)、自分がどの性か(=性自認=Gender Identity)の頭文字のこと。実際に2016年12月に人事院は「人事院規則10-10」の運用を一部改正し、「性的指向や性自認をからかいやいじめの対象とすること」をセクハラとして例示している。いわゆる「ホモネタ」などで当事者に限らず誰かをからかいの対象にすることは明確に「セクハラ」でありSOGIハラだ。

LGBT当事者であることは、仕事の能力とまったく関係がない。労働組合が率先してアライを作ることで誰にとっても働きやすい環境になる、とまとめた。

労働組合もここまで来ている


続いて、労働組合・NGOの取り組み報告として、自治労福井県本部・越前市職員組合の緒方(おがた)(ゆう)さん、全消協ユース部・北海道ブロック幹事の江部(えのべ)寿(ひさし)さん、アムネスティ・インターナショナル日本 ファンドレイジング部門・副ディレクターの土井(どい)陽子(ようこ)さんから報告をうけた。

緒方さんは、NPO法人丹南自治研センターや越前市役所、越前市職員組合などでの取り組みを紹介。越前市役所には、入職2年目までの職員で構成するバーチャルな課、「IJU課」がある。そこでは、丹南自治研センターによるLGBTについての講演会や上映会、「理解が目で見てわかる」ようなパネル展示や啓発グッズの作成など、アライを増やす活動をきっかけに、学校や行政に取り組んでもらいたいことなどのアンケートを実施。広報誌にLGBTに関する説明を掲載したり、採用書類の性別欄を削除するなど、全国の自治体でも先進的な取り組みを行っている。

また越前市職は、2017春闘方針でLGBTに関する必要な対策を求め、越前市議会では、LGBTに関する一般質問も出されるなど、地域全体と連携した活動が報告された。


江部さんは、LGBTに悩んでいる職場の仲間から全消協のユース部にSOSが発信されたことが全消協の取り組みのきっかけだったと紹介。トランスジェンダーの当事者からユース部幹事が悩みを聞き、まずはLGBTについて知ってもらうことが必要として、偏見をなくすための講座を開催。オリジナルのTシャツ・ポロシャツも活用しながら、各ブロックや県、単協などでも講座を開催している。

全消協のLGBTへの偏見をなくす活動により、将来、消防職員をめざすLGBTの当事者から相談のメールが来るなど、取り組みは着実に広がりを見せているという。


土井さんは、人権団体としてLGBTの課題について取り組むことの意義を報告。「LGBT」としてカテゴライズし、その分野での人権を求めるのではなく、すべての人の人権を求めていくことが大切であると話した。


今回のテーマは参加者に強い印象を与え、その後のグループ討論やワールドカフェでも活発な意見交換がなされた。また参加者からは「今回の講師を招いて学習会を開催したい」「組合のロゴを虹色にしてアライシールを作りたい」など積極的な声が聞かれた。今後、PSI(Public Services Interna-tional)-JC女性委員会・ユースネットワークでは、独自の「アライシール」をつくることなど、独自の取り組みを計画している。

参加者全員で記念撮影。前から2列め右から3人目が増原さん、青木書記次長をはさんで4人目が土井さん。1列目左端が緒方さん、一人おいて3人目が江部さん。 参加者全員で記念撮影。2列め右から3人目が増原さん、青木書記次長をはさんで4人目が土井さん。1列目左端が緒方さん、一人おいて3人目が江部さん。


*注 LGBT(エルジービーティー)とは性的少数者の総称でレズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの頭文字をとったもの。増原さんの講演ではLGBTQI(エルジービーティーキューアイ)としてQ=クエスチョニング。セクシュアリティを探し、迷い、揺れ動いている状態。I=インターセックス。生物学的な性が「男性」「女性」どちらとも断定できない状態・人、も含めた性的少数者全体のお話しを頂いた。

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