自治労四役と高市総務大臣との会見(10/27) 自治労委員長と総務大臣との消防職員に関する定例協議

 

1.高市総務大臣と自治労四役との交渉

自治労は10月27日、総務大臣との定例会見を行った。自治労側からは、川本委員長、荒金副委員長、杣谷副委員長、仙葉副委員長、福島書記長、青木書記次長が出席、総務省からは、高市総務大臣、北崎公務員部長ほかが出席した。

●川本委員長が別紙の要求書を高市総務大臣に手渡し、「引き続き緊張感と信頼感を持ったパートナーとして活発な意見交換をさせていただきたい」と述べた上で、次の2点について、以下の通り要請を行った。

 

(1) 地方公務員の給与決定について

国の「給与制度の総合的見直し」に準じた、給与制度の見直しが、多くの自治体で行われることとなり、約4分の3の自治体では地域手当が支給されていないため、国に準じた見直しの措置のみにとどまれば、給与水準が、ただ引き下がることになる。東日本大震災の被災自治体を始め、現場で懸命に働く地方公務員のモチベーション低下も懸念されるところ。

地方の人事委員会の給与勧告も、今月末には大方出揃うが、勧告も踏まえ、各自治体は11月、12月議会での給与条例改正を行うのが通常の流れである。一方、総務省は「合理的な理由もなしに、給料表や他の手当に積み増しするようなことは厳に慎むべき」また「国の給与法改正法施行前に、給与条例を施行するようなことは厳に行うべきではない」との考え方を示しているが、条例改正の内容、時期も含めて、その判断・決定は、それぞれの自治体に委ねられるべきものである。

本年の人事院勧告を踏まえた国家公務員の給与法改正は、秋の臨時国会の開催が不透明なため、現在もその取扱いは不透明な状況にあるが、国の事情により、地方行政の遅滞を招くことは許されるものではない。また、総務省は、この間、地公法の「生計費、国・他自治体・民間の給与を考慮」とする「均衡の原則」について、「制度は国、水準は地域民間賃金ただし地域の国家公務員以下」という考え方を示し、「技術的助言」と称して、総合的見直しを実施しない自治体・人事委員会への圧力を強めていたが、法の解釈を都合良く捉えた対応と言わざるを得ない。

要請書にもある通り、地方公務員の給与決定については、労使の自主交渉と自治体の自己決定を尊重し、不当な介入・指導等を行わないよう、改めて、大臣には要請しておきたい。

 

(2) 公的サービスの産業化、地方交付税算定の見直しについて

財政健全化計画を盛り込んだ「骨太方針2015」において、自治体の一般財源総額を2018年度まで「2015年度と実質的に同水準を確保する」と示されたことは、大臣を始め、総務省の尽力あってのことと推察しているが、真に「地方創生」「地域再生」を成し遂げていくには、財源が安定的に確保されていく仕組みが極めて重要。こうした考え方については、総務省とも共有できるものと確信しており、引き続き、ご尽力いただくことを強くお願いしたい。

さて、骨太方針では「公的サービスの産業化」が打ち出され、大臣通知においても、民間委託の推進など「行政サービスのオープン化・アウトソーシング等の推進」が示されている。また、歳出効率化に関し「先進的な自治体が達成した経費水準の内容を、計画期間内に地方交付税の単位費用の積算に反映する」、いわゆる「トップランナー方式」なる考え方を打ち出し、2016年度から「算定への反映を開始し、順次拡大していく」ことを経済財政諮問会議の経済・財政一体改革委員会で公表している。

財政窮迫の中、すべての自治体が主体的に行革努力を行ってきていることはご認識いただいていることと思う。その上で、なお一層の努力を政府として求めるということだが、押しつけであってはいけない。面積・人口・事業規模の差異、各自治体における検討経過や民間産業の展開度合の違いなどもあることから、民間委託等について数値目標を設けることは必ずしも適当ではない。また、「トップランナー方式」については、私どもとしては、自治体ごとに取り巻く環境が異なる中で、本来ある財政需要に基づかず、一部自治体の成功事例に基づき、自治体財政全体の縮小を狙おうとするものとしか見えない。「2016年度から反映」としているが、地域の実情を十分に踏まえた、慎重かつ丁寧な検討を強く要請しておきたい。

 

●これに対し、高市総務大臣は、「8月の定期大会で川本委員長をはじめとする新執行部の役員の皆さんが選出されましたこと、おめでとうございます。今後も、自治労の皆さんとはそれぞれの立場から地方自治の推進にむけて忌憚のない意見交換をさせていただきたい」と述べ、以下の通り回答した。

 

(1)地方公務員の給与決定について

地方公務員の給与については、地方公務員法の趣旨を踏まえ、各地方団体の議会において条例で定められるものである。総務省としては、国民・住民の理解と納得が得られる適正な内容とすべきものとの考え方に立ち、必要な助言を行ってまいりたい。

 

(2)公的サービスの産業化、地方交付税算定の見直しについて

民間委託等の推進は、地方団体が、質の高い公共サービスを効率的・効果的に提供するとともに、真に行政として対応しなければならない政策・課題等に重点的に対応できる簡素で効率的な行政を実現する手法としても有用である。

各地方団体においては、地域の実情を踏まえ、民間の能力やノウハウが活用されることにより、コスト削減やサービス向上が図られる業務を適切に選定していただいた上で、自主的・主体的に民間委託等に取り組んでいただきたいと考えている。

骨太方針2015」においては、歳出効率化に向けた取り組みで他団体のモデルとなるようなものを地方交付税の基準財政需要額の算定に反映することとされているが、その取組にあたっては、同方針において「財源保障機能を適切に働かせ、住民生活の安心・安全を確保することを前提」とすることが明記されている。

取組の具体的内容は現在検討中であるが、こうした前提を十分に踏まえて進めてまいりたい。

また、取り組みを進めるにあたっては、各地方団体の人口規模、地理的条件等が異なることから、このような地域の実情を踏まえるとともに、地方団体のご意見を伺いながら、丁寧に議論を進め、その内容について地方団体のご理解と納得が得られるものとなるよう努めてまいりたい。

 

●これに対し、川本委員長は、「東日本大震災からの復旧・復興も途半ば、また度重なる異常気象による災害が全国各地で相次いでいる。その中で、地方自治体で働く者は、住民を守るという立場で奮闘している。自治体が住民にとっての本当のセーフティネットとして、いかに機能していくかが問われてきており、少子・高齢社会への対応という課題も大きな課題としてのしかかっている。安定的かつ持続的な行政運営の実現のため、地財確保、地方税制全般の充実など、大臣、そして総務省に引き続きご尽力いただくことをお願いしたい」と再度要請し、締めくくった。

 

 

 川本委員長     高市総務大臣

 

 

 

2.自治労委員長と総務大臣との消防職員に関する定例協議

●引き続き、消防職員に関する定例協議として川本委員長は、以下の通り要請した。

消防職員の団結権に関わって、ILOは、第87号条約第9条を根拠に団結権から除外することが不適当である旨、1973年の勧告以降、繰り返し指摘してきている。これに対し、日本政府が2014年年次報告において「我が国の消防は、第87号条約第9条の“警察”に含まれる」と主張しているのは問題である。消防職員の団結権否定の論拠とされてきていることは、職務上の問題であって、団結権とは無関係のものばかりである。

これに関しては、2010年に総務省が設置した「消防職員の団結権のあり方に関する検討会」報告書において、「諸外国や本土復帰前の沖縄の状況を調査したが、団結権が認められていることにより、消防業務への支障があったか否かまでは確認することはできなかった」と事実認識に係る指摘がなされており、そうした議論・検証があったことにも留意が必要。

一方、消防職場は、依然としてパワハラ・いじめ等、職場環境をめぐっては改善すべき課題が多く、対等な労使関係を構築していくことが非常に重要である。消防職員に団結権と協約締結権を付与するとした地方公務員制度改革関連2法案(第181国会提出)の廃案の後、地公法改正もあったが、団結権に係る措置は講じられないままである。政府は年次報告において「基本法附則第2条の規定に基づき、今後も関係者から意見を伺いながら、対応を検討してまいりたい」とし、昨年定例協議においても、高市大臣から「今後とも、国家公務員制度についての動向を踏まえ、対応してまいりたい」とご回答いただいている。繰り返しになるが、消防職員の団結権付与は、ILOから再三再四、改善勧告を強く受けている問題であり、自治労のみならず、連合、そして国際社会からの要請と受け止めていただきたい。これまでの検討経緯を含む全体状況を正確に把握した上で、引き続き、ご対応いただくよう強く要請する。

 

●これに対し、高市総務大臣は以下の通り回答した。

消防職員を含む地方公務員の労働基本権については、国家公務員制度改革基本法附則第2条において「国家公務員の労使関係制度に係る措置に併せ、これと整合性をもって、検討する」こととされている。

国家公務員の自律的労使関係については、担当大臣から、多岐にわたる課題があり、これを措置することについて、いまだ国民の理解が得られるような段階にはない、引き続き慎重に検討する必要がある、との認識が示されているのが現時点の状況である。

消防職員の団結権を含む地方公務員の労働基本権のあり方については、今後とも、国家公務員制度についての動向を踏まえ、ご意見を伺いながら対応してまいりたい。

また、消防職場におけるパワハラ・いじめについては、相手の尊厳や人格を侵害する断じて許されない行為と考えている。消防庁としては、消防本部におけるパワハラ・いじめ事案を覚知したときは、事案の内容、再発防止対策、当事者に対する懲戒処分等の状況について確認するとともに、当該本部に対し再発防止対策の徹底等を指導している。特に事案の内容が重大な場合は、通知によって厳正な服務規律の確保と消防職員の倫理の保持に努めるよう助言している。消防大学校においても、平成26年度から新任教官教育等の中で、事例研究も交えたハラスメント教育を実施している。また、消防学校についても、昨年度末に教育訓練の基準に関する指標を改正し、幹部教育におけるハラスメント教育を明示し、強化している。これからもみなさんが働きやすい、風通しの良い職場環境を確保するよう努めてまいりたい。

 

最後に、川本委員長は、「パワハラ・いじめに関して、様々な通知、対応等をいただいていることのお礼を申し上げたい。一方で、報道されている事案は氷山の一角であろうと思うので、引き続き様々な対策をとっていただくようお願いしたい」と要請し、定例協議を締めくくった。