下水道事業の未来とエネルギーの地産地消を考える     公企評が福岡市で全国下水道・ガス集会を開催

公営企業評議会は8月9~10日,福岡市・福岡自治労会館ほかで全国下水道・ガス集会を開催し,32県本部129人(男性128人,女性1人)が参加した。

集会では、「水素リーダー都市プロジェクト~下水バイオガス原料による水素創エネ技術の実証~」と題して、津野孝弘・福岡市道路下水局計画部下水道計画課長の基調講演を受けた。福岡市は、下水処理の過程で出る汚泥を発酵させるときに発生する「下水バイオガス」から水素を製造し、燃料電池自動車(FCV)に供給する「世界初」の水素ステーションを2015年3月に開設している。FCVは、走行中はCO2や有害物質を一切出さず水しか出さないクリーンな性能と、水素5kg(3分で満タン)で約650km走行できる性能を併せ持つ次世代自動車として期待されている。また下水汚泥は、再生エネルギーとして安定的かつ多量に発生し、環境負荷の低い水素供給源の一つとなるため、地域の資源を活用し地域にエネルギーを供給する地産地消のエネルギーとして、将来の下水道事業や自治体エネルギー政策にとって期待される。津野課長は講演の最後に、福岡市の実証プロジェクトは、バック・トゥ・ザ・フューチャーの世界のように下水から自動車を動かす「夢のプロジェクト」であり、水素社会の実現に寄与している、また今後、福岡市の実証の成果として他都市の下水道事業でも展開されることを期待していると述べた。

写真①+福岡市津野課長

写真:福岡市の水素リーダー都市プロジェクトを説明する津野課長

その後、奥野局長が基調提起を行い、下水道政策の変遷から現在の公営企業会計導入など経営状態の「見える化」への対応、今後の課題などについて述べた。

さらに、熊本市職佐藤佑磨さんが、熊本地震で被害を受けた下水道施設の復旧・復興の状況やマンホールトイレの活用など地震後の避難住民への対応について報告した。報告の中で佐藤さんは、今後の取り組みとして、定期的な訓練を通したBCPなど情報の周知徹底、マンホールトイレの整備方針のあり方、利用のマニュアルの整備と周知を行うとし、また、災害時の地方公営企業間の支援として、すべての自治体での下水道台帳のデータ整備が重要、公営企業間の地下埋設物の情報の共有化が必要と訴えた。

最後に村木下水道部会長と廣田ガス・県公企部会が各々の部会の活動について報告した。

2日目は、実際に下水汚泥から出るバイオガスから水素ガスを製造している福岡市中部水処理センターおよび水素ガスステーション施設を見学した。

 

写真③+水素ステーション 写真:水素を燃料電池車(FCV)に供給する水素ステーション