新型コロナウイルス感染症・第5波に際し医療・保健労働者に関する談話

 

国内の新型コロナウイルス感染症の新規感染者は連日過去最多を更新し、感染拡大に歯止めがかからない状態となっています。この間、感染拡大の波が押し寄せるたび「医療崩壊」の危険性が指摘されながらも、日本の医療が持ちこたえてきたのは、体調管理や入院調整にあたる保健師、救急要請があれば駆けつける救急救命士、そして命をつなげるため全力を注ぐ医師、看護師、コ・メディカル職員ら現場の職員が、この急場をなんとか鎮静化させるため、臨戦態勢で挑んできたからにほかありません。

 

 

しかし、第5波となる今回の感染拡大で状況は一変しました。急激な感染拡大により、とりわけ医療資源に乏しい地域において、基幹的な役割を担ってきた公立・公的医療機関では、確保した病床数を大幅に上回る感染者に、入院の必要性があっても病床が確保できない状況が全国各地で相次いでいます。救急の現場では、従来の救急隊編成のほか、予備や退役した救急車等も導入して急増する救急要請の対応にあたっていますが、受入先が決まらない「救急搬送困難事案」も過去最多を更新しています。保健の現場では感染の急拡大により「積極的疫学調査」に限界が生じ、過労死ラインをすでに超え業務がオーバーフローした職場もあります。限られた医療資源の配分をめぐる「命の選別」という、医療を担う者として承服しがたい状況が間近に迫っている現状に、現場ではかつてない危機感を抱いています。

 

 

この間、住民の方々が制限された生活を送る中、医療・保健労働者はさらに厳しい行動制限の下で過ごしてきました。さらにはコロナという非常時に対応するため、自身の生活時間を犠牲にし、災害時など臨時の必要がある場合に適用される36協定を超えた時間外労働も受け入れ、心身を酷使し対応にあたった職場もあります。周囲からの心無い誹謗中傷や極度の疲労によりメンタルヘルスに不調をきたしたり、バーンアウトにより職場を去っていく職員が続けば、医療・保健現場は、感染状況にかかわらず「医療崩壊」から「医療壊滅」状況に陥ってしまいます。

 

 

1年半にわたるコロナとのたたかいにおいて、現場の使命感や危機感だけを頼りに、その場しのぎの方針により現場を混乱させてきた政府のあり方は、厳しく批判されるべきと考えます。そして、政府は、保健・医療機関における慢性的な人員不足を長年にわたり放置し、地域の実情を顧みることなく公立・公的医療機関の再編・統合を促し、公衆衛生を担う保健所を削減し続けてきたこの間の政策が、地域医療を破壊し、公衆衛生体制の弱体化につながったことを認め方針転換をはかるべきです。

 

 

政府には、新型コロナ感染症への対応で基幹的な役割を担う公立・公的医療機関や保健所、消防が職務を果たせるよう負担を軽減するとともに、過酷な状況で勤務にあたる職員への正当な評価を求めます。また、地方と都市部の医療資源の違いを認識したうえで役割の明確化や、自宅療養者への十分なケア体制の整備など、日本の保健・医療機関が総力をあげ、この災害級の難局に立ち向かえるよう、早急な体制構築を求めます。

 

2021年8月24日

全日本自治団体労働組合

書記長 鬼木 誠