辺野古新基地建設のための大浦湾岸海域における工事着手に対する書記長談話

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辺野古新基地建設のための大浦湾岸海域における工事着手に対する書記長談話

2024/01/10

1月10日、自治労は沖縄防衛局が、名護市辺野古の新基地建設にむけ、大浦湾岸海域における工事に着手したことを受け、下記の通り談話を発出しましたので掲載します。


 本日、沖縄防衛局は、名護市辺野古の新基地建設にむけ、大浦湾岸海域において護岸造成のための海上ヤード設置などの工事に着手した。私たちはこの間、辺野古新基地建設に反対する県民とともに、工事の承認をせず、国に対して工事の中止と解決にむけて対話を求め続ける沖縄県・玉城デニー知事の姿勢を支持してきた。今回、これまでの前例にない国の代執行による工事が強行されたことは、沖縄県との対話を蔑ろにし、県民の民意、さらには地方自治を無視するものであり、到底許されるものではない。
 そもそも、辺野古に基地を建設することに問題がある。普天間から辺野古に基地機能が移転されることにより、名護市に新たな負担や基地の危険性が生じることとなる。さらに基地建設作業が開始されて以降、基地建設予定地である大浦湾の海底は「マヨネーズ並み」と形容されるほど世界でも稀な軟弱地盤が発覚している。海面から90mにも及ぶ地盤に7万本以上の杭を打ち込むというとても非現実的で危険な計画であり、希少なサンゴ類や多様な海洋生物が生息する豊かな自然が残る環境さえも破壊することとなる。
 2021年に玉城デニー知事は、沖縄防衛局が提出した軟弱地盤が明らかになったことによる工事計画の変更承認申請の内容について、公有水面埋立法に基づき、「埋立の必要性」や「国土利用上の合理性」が認められないこと、国が軟弱地盤への技術的調査を十分に実施しておらず環境保全や災害防止の要件も満たしていないことなどを踏まえ、不承認とする処分を下した。この判断に対し、国土交通大臣が不承認を取り消し、玉城知事に対して地方自治法に基づく設計変更申請の承認を勧告した。これに対し沖縄県は国土交通大臣への取消訴訟等を行うが、裁判所はいずれも棄却するとともに、続く代執行訴訟でも国を追認する姿勢を崩さなかった。そして2023年12月28日、国土交通大臣は、地方自治法245条の8第8項に基づき、沖縄県知事に代わって埋立変更承認の代執行を行った。
 国と自治体は「対等・協力の関係」であり、地方自治は憲法で保障されている。だからこそ地方自治法では代執行の要件を厳しく定めている。そうした考えに基づき、これまで沖縄県は対話による解決の手法を求めてきた。これに対して異例の代執行を行いながら一方的で強権的に基地建設を進めようとする国と、公有水面埋立法などの法的審理・判断を行わず国の主張を追認し「県が求める対話による解決は代替策に当たらない」とする司法の態度は、地方自治の本旨を無視し、地方分権改革以前の国と地方は「上下・主従の関係」という思考に逆戻りさせるものである。そしてその結果、さらに沖縄県に基地が拡大・強化され、県民の負担を強いることにつながる。私たち自治労は、多くの自治体労働者を組織する労働組合であるからこそ、地方自治を否定し、住民を危険にさらすような行為を看過することはできない。
 2023年11月にはアメリカ空軍の輸送機「オスプレイ」が屋久島沖に墜落する事故が発生した。また、台湾有事が煽り立てられ、沖縄など南西諸島で軍事の増強が進められている。さらに、岸田首相は憲法改正について「自分の総裁任期中に改正を実現したい」「条文案の具体化を進めたい」と述べるなど、改憲にむけた意欲をより強く打ち出している。地域の安心・安全を蔑ろにし、さらに戦争ができる国へと突き進むことを許してはいけない。私たちは、軍事拡大を許さず、地方自治をより進めるための闘いをさらに強化していく。
2024年1月10日
全日本自治団体労働組合
書記長 伊藤 功

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