2024/09/10
9月10日、自治労は松本剛明総務大臣が行った記者会見を受け、「地域手当に係る特別交付税減額措置の廃止」について、下記の通り談話を発出しましたので掲載します。(最下段よりWordファイルをダウンロードできます)
地域手当に係る特別交付税減額措置の廃止に対する談話
1. 9月10日、松本剛明総務大臣は、記者会見において地域手当に係る特別交付税減額措置の廃止を表明した。国基準を上回る地域手当を支給する自治体に対して、財政に余裕があるとみなし、超過分に相当する特別交付税を減額してきたが、都道府県単位化への見直しに合わせ、人材確保の観点から廃止することとした。
2. 本年の人事院勧告では、地域手当の級地区分を都道府県単位に広域化する見直しが示され、国基準によると現行の支給割合から引き下がるもしくは支給対象外となる自治体が全国で191自治体生じることとなった。また、県境の自治体では隣接する自治体と新たに大きな格差が生じるという課題や人口20万人未満の自治体では民間賃金指数が反映されないという自治体規模による格差も惹起させた。
こうした中、総務省が設置した社会の変革に対応した地方公務員制度のあり方に関する検討会給与分科会は、「給与分科会の取りまとめに向けた基本的方向性」において、地方においても、国と同様の級地区分・支給割合を基本としつつ、「地域の実態を踏まえ、地方公共団体が独自に支給割合を設定することも考えられる」としており、今回の廃止表明はこの「基本的方向性」の具体化として、独自の支給割合を阻害する要因となっていた措置を廃止するものである。
3. 自治労は、この間、特別交付税の減額措置は自治体の給与決定に対する介入・制裁であるとして、その廃止を求め交渉や「地方の実態と自主性を尊重した給与制度を求める署名」にも取り組んできた。この度、廃止が表明されたことは、署名をはじめとした運動の成果であり、素直に評価したい。ただし、今回の廃止の対象は地域手当のみであり、寒冷地手当、期末・勤勉手当等については国基準を上回る場合の削減措置が残されているため、いずれも早期に廃止すべきである。
4. 今確定闘争では、減額措置の廃止も交渉材料のひとつとして、国基準で支給割合が引き下げとなる自治体は少なくとも現行支給割合の維持を求める必要がある。さらには、近隣自治体と支給割合の格差が生じる自治体をはじめ、すべての自治体で現下の賃上げや人材確保難の状況を踏まえ、引き上げを求める取り組みの強化が求められている。
今秋の解散総選挙の可能性が取り沙汰される中にあって、年内の給与法成立には大きな影響が想定されるが、自治体の給与決定は労使自主決着が基本であり、月例給・一時金の引き上げをはじめとした確定闘争の課題と合わせて交渉を積み上げなければならない。
自治労は、すべての組合員の力を確定闘争に結集し、賃金・労働条件の改善にむけて全力で取り組む。
2024年9月10日
全日本自治団体労働組合
書記長 伊藤 功