2025/07/15
人事院(中央左)に644,513筆の署名を提出。
公務員連絡会は7月15日、2025年人事院勧告に向けた要請行動として、人事院に対し署名を提出した。署名活動は5月下旬から7月7日まで、署名用紙とネットシグネを併用して実施し、最終的に644,513筆(署名用紙560,805筆、ネットシグネ83,708筆:うち自治労分539,876筆、9,146筆)を集約。組合員等から寄せられた一言メッセージとともに提出した。
冒頭、高柳英喜副事務局長は、人事院の酒井元康職員福祉局職員団体審議官付参事官に対し、署名用紙およびネットシグネで集約した署名を手交。「一昨年の個人署名の際よりも10万程度多い筆数である。約1カ月程度という短い期間で、全国からこれだけの署名が集まったのは、本年の勧告について、組合員が注目し、大きな関心を寄せていることを表している。人事院におかれては、その重みをしっかりと受け止めていただきたい」と切り出した。
そして、「前年比3%を超える物価上昇は終わりが見えず、世代や地域、家族構成を超えてマイナスのインパクトを与え続けている。引上げ原資の配分において余りに大きな差がある場合、個々の職員が、『自分の仕事はこの程度の評価でしかないのか』と考えてしまうことはやむを得ない。さらに、若い世代か中高齢層の給与上の扱いを見て、『あと10年、15年で自分の給与は頭打ちだ』と受け取ってしまうことも十分にあり得る。我々の求める『バランスの取れた賃金体系』は、全ての世代の職員にとって極めて重要な意味を持つということを是非とも理解されたい」と求めた。
また、人事行政諮問会議の『最終提言』が本府省の一部の職員層のみを優先し、優遇する見直しを打ち出していることについて、「全くもって賛同できない。給与法適用の職員約28万人のうち、本府省に勤務する職員は、4万数千人であると思うが、残りの20数万人については重要ではない、改善・見直しは必要ないとでも考えているのか。もしそうであるとすれば、人事院の本義にもとると言わざるを得ない」と、強く指摘した。
続いて、公務員連絡会に加盟する国公連合と自治労の代表から発言があった。自治労の林鉄兵総合労働局長は、以下のように自治体の実態を訴え、人事院の慎重な検討を求めた。
「地方の採用実態はまさに危機的だ。技術職や専門職は年度当初から欠員状態のままで、事務職でも年を明けてもまだ募集を続けている自治体もある。中途退職も増加の一方にある。人材確保には初任給水準だけでなく、中堅から中高齢層まで、将来展望を持つことができる魅力ある給与水準とする必要があり、全世代への適正な配分と再任用職員を含めた改善を求めたい。特に再任用職員については、地方では現役職員と変わらない質、量の業務を担っている実態もあり、処遇が見合わないという思いから負担の軽い会計年度任用職員に応募する例もある。国家公務員準拠ルールの中で現場の矛盾がより顕在化している。重ねて現場の思いに応える人事院としての取り組みを求めたい。
また、「最終提言」で本府省の一部の職員層のみを優遇するような施策の必要性が言及されているが、地方公務員に置き換えればジョブローテーションの中で企画立案などの業務にも従事することがあり、職員層として特定することは想定しえない。そうした地方公務員の現場実態から、最終提言にかかる具体の検討にあたっては、地方公務員の勤務条件は国家公務員に準拠することを基本とするものの、その影響は国家公務員にとどまらないことを十分念頭に置いて、慎重な検討をお願いしたい。」
