2025/11/14
クレーンで焼却炉にごみを投入する模擬体験
記念講演、職場見学など 日本の加盟組織と交流深める
PSI(国際公務労連)のダニエル・ベルトッサ書記長が10月16~17日に来日した。
16日にはPSI-JC運営委員、女性ユースネットワーク委員と意見交換。17日には記念講演を行った。また、東京・杉並区にある清掃工場も見学した(上写真)。
ベルトッサ書記長はオーストラリア出身。父は州営発電所の職員、母は公立学校教員という「公務員一家」の生まれ。2023年の世界大会でPSI書記長に就任した。
PSI(Public Services international)とは
日本語名:国際公務労連。公共サービス労働組合の国際組織。世界150カ国・700組合3000万人で構成。日本からは自治労、国公連合、全水道、ヘルスケア労協、全消協が加盟。
記念講演
「自国第一主義」を掲げ、移民・難民など外国人排除を叫ぶ政治傾向が、世界各地で強まっている。日本もまた、例外ではない。《危機》と呼ぶべき、この時代状況の中、公共サービス労働組合はどのように対応すべきか。ダニエル・ベルトッサ書記長が講演した。
自国第一主義、排外主義の台頭による世界の分断―公共サービスの直面する危機にグローバルな連帯で反撃しよう
公共サービス労働組合が、世界中で直面している危機について、いくつか特徴的な事象を取り上げ、いかに反撃し勝利することができるか、お話します。
世界各地で極右勢力が台頭 社会の分断が深まっている
最大の危機は、極右勢力の台頭です。
こうした勢力が伸びているのは、経済が疲弊し、多くの人には不安定な雇用しか提供されず、ごく一部の者が富を得ているという、新自由主義の経済システムに原因があります。これに対する大衆の『怒り』は正当なものです。
極右は、その『怒り』を煽り、「外国人やLGBTなどに配慮した政府の政策が多数派国民へのサービス低下や賃金低下の原因だ」と主張しています。それは間違っています。
私たちは公共サービスについて市民に対し、分かりやすく話すことができます。公共サービスの充実のためには弱者の排除ではなく、富裕層への課税強化などの政策転換が必要だということを、語りかけることが大事です。
ILOなどの『多国間システム』を自国第一主義が破壊している
国連、WHO(世界保健機関)、ILO(国際労働機関)などの多国籍機関は国際協力のため需要な役割を担っています。その資金源は加盟国の拠出金です。自国第一主義を掲げる米トランプ政権は、こうした拠出金を大幅に削減しており、国際諸機関は財政危機に陥っています。
アメリカは、ILOの2024-2025年の2年間の予算の、各年度1億700万ドルの執行を停止しました。ILOの年間予算の25%です。これによって、ILO職員の雇用も脅かされています。こうした動きにはイギリス、フランス、中国も追随しており、ILOを潰そうとしているのです。
敵の攻撃から仲間を守ろう組織の拡大こそが反撃の力に
かつてない危機に立ち向かう力を付けるには、組織の拡大が必要です。組織化はPSIの取り組みの柱です。PSIは加盟組合の組織化を支援するための基金を設けています。
PSIは国連やILOの職員の雇用を守る取り組みを支援します。
労働組合の指導者を攻撃から守ることは最優先の課題です。ケニアでは保健組合の指導者が警察に射殺されました。パレスチナではイスラエルによって組合員が日常的に攻撃されており、昨日も西岸地区で組合事務所をイスラエル軍が襲撃しています。こうした攻撃とたたかいます。
不確実な時代は、これからも続くでしょう。日本の仲間の奮闘を期待します。
(機関紙じちろう2025年11月15日号より転載)







